「ポップ」の枠を広げている最中
——5曲目の“アルキメデス”はどういうイメージで制作したんですか?
詩羽:この曲は1番最後に作ったんです。「ラップが少なめだからラップパートがある方がいいかもしれないですね」という話をして、こういう曲になりました。文字が詰まった曲は久しぶりなので楽しかったですね。
ケンモチ:「アルキメデス」という名前ってどこか堂々としていて、ラップとしても使いやすかったんですよ。でも物理学者のアルキメデスのお話には沿っていなくて、名前の語感から「歩き」にフォーカスした曲です。歩くことの良さについて語っているのに、いざ待ち合わせをしたら「チャリできた」ということを言いたかったんです。あとは「チャリで来た」という、ヤンキーの中学生のプリクラ画像で有名なネットミームに繋げてみようかなと(笑)。

——なるほど(笑)。 “四天王”は、4月17日に開業した商業施設「ハラカド」のオープニングムービー・タイアップ・ソングになっています。
詩羽:この曲は「四天王って知ってんの?」と「摩天楼で待ってんぞ」のダジャレですよね。どうですか、ケンモチさん。
ケンモチ:正解です(笑)。まあダジャレなんですけど、それも後々コール&レスポンスが生まれたらいいなという気持ちで書いた曲ですね。「ハラカド」は原宿と表参道の一角にあるビルなんですけど、あの交差点はどの角にも特色があっておもしろいんですよ。なので、その四角が「四天王」みたいだなと思ってインスピレーションを膨らませていきました。あとは、四天王って実力があるのに、裏で暗躍してばかりであまり知られていないのが寂しいんじゃないかなと思って、そういうイメージも盛り込みました。クリエイティブな人や企業がテナントに入ることを目指しているというお話だったので、クリエイター視点の四天王像を描きましたね。
——サウンド的なこだわりはありますか?
ケンモチ:ドロップはベース・ハウスで作って、バースの部分はアフロハウスというかパーカッションでやわらかい感じにして、サビで一気に鳴り出すような曲調を意識しました。
——タイアップにおいても、サウンド面でもさまざまなアプローチで挑戦する姿勢が見えます。そのあたりは意識されている部分なんでしょうか。
ケンモチ:いまはカンパネラを聴いてくれる人にとっての「ポップ」の枠を広げている最中なんです。その一環として、“たまものまえ”とか“マーメイド”のようなタイアップ曲でも、「これもポップなんじゃない?」って少しずつ提案していますね。

——なるほど。7月からは〈ZEPP TOUR 2024 POP DELIVERY〉が始まりますが、どんなツアーになりそうですか?
詩羽:武道館を経て、どんなお客さんが集うのかはやってみないとわからないですね。気持ちは変わらず楽しくライヴしたいです。
Dir.F:まだ構想段階なんですが、演出面でも今までとは違う見え方ができるようなことを考えていこうと思っています。もちろん詩羽自体は変わらないんですけど、ボリューム感のあるようにしたほうが、フェスや大きなステージたったときに活かせるのかなと思います。
——なるほど、新たな演出が見れそうですね。今後の展望を1人ずつお伺いしたいです。
Dir.F:カンパネラのコミュニティは、日本だけでなく他の国、あるいは国内でももっと広げられると思うので、細かく地方でライヴをしてみてもいいのかなと思っていますね。『POP DELIVERY』って言っているように、届けていかないと伝わらないと思うんです。東京にみんなが来てもらうんじゃなくて、細かく回るというのは大事なのかなと思っています。
——なるほど。ケンモチさんは?
ケンモチ:いろんな他のサウンドプロデューサーを見ていると羨ましくなってしまうのですが、この前の武道館公演を経て、僕には詩羽もDir.Fもスタッフさんもいるし、何より聴いてくれる人がたくさんいるから、自分も十分にありがたい状況にいるんだと再認識したんです。何でもやらせてもらえるありがたさを生かして、もっと水曜日のカンパネラだからこそできることにチャレンジしていきたいと思っています。
——具体的な構想はあるんですか?
ケンモチ:最近よくphonk(フォンク)というジャンルの曲を聴いているんです。まだまだ掘れば、いろんな音楽が出てくるなって思いました。あとはアジアのローカルなベース・ミュージックも聴いていますね。
——リファレンスがたまっているわけですね。詩羽さんの今後の展望は?
詩羽:武道館公演を終えて、改めて自分のことを応援してくれる人たちから、いろんなものをもらっているなと思ったんです。だからこそ自分も目一杯の愛情を返したいなと思いました。これからもみんなが楽しいものを作っていきたいですし、そこは全力でやり続けたいなと。水曜日のカンパネラはポップで少し変だからこそ、私が合っている場所だなと思います。この場所で私にしかできないことをやっていきたいです。

編集 : 西田健、草鹿立
らしさ全開のポップ・ミュージック集!
LIVE INFORMATION
〈ZEPP TOUR 2024 POP DELIVERY〉
2024年7月3日(水) 北海道・Zepp Sapporo
開場18:00 / 開演19:00
2024年7月9(日火) 福岡・Zepp Fukuoka
開場18:00 / 開演19:00
2024年7月17日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside
開場18:00 / 開演19:00
2024年7月18日(木) 愛知・Zepp Nagoya
開場18:00 / 開演19:00
2024年7月31日(水) 東京・Zepp Haneda
開場18:00 / 開演19:00
詳細はこちら
https://g.wed-camp.com/news/detail/462
水曜日のカンパネラ 過去の特集ページはこちら
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PROFILE
2013年からコムアイを主演歌唱とするユニットとして始動。メンバーはコムアイ(主演)、ケンモチヒデフミ(音楽)、 Dir.F(その他)の3人だが、表に出るのは主演のコムアイの みとなっていた。2021年9月6日、コムアイが脱退、二代目として主演/歌唱担当に詩羽(うたは)が加入となり新体制での活動をスタートさせる。2022年2月にリリースした「エジソン」のMVが解禁後、SNSを中心に話題となり再生回数は 5300万回を記録。ストリーミングの累積再生回数は1億回を突破した。
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