ラストクエスチョン現体制2周年を終え、そして〈フェス〉へ…──この3人パーティが切り拓く新たな景色

『ゲームで世界を繋ぐアイドル』として活動するRPI(ロール・プレイング・アイドル) 、ラストクエスチョン。2019年は、初の全国流通CDのリリース、渋谷WOMBでのワンマン・ライヴ〈2-FINAL JACKPOT-lastbet-〉の実施、そして月見ル君想フでの2周年記念ワンマンの開催など、自分たち自身で次々とその道を切り拓いてきた彼女たち。そんなラストクエスチョンが、来たる結成5周年へ向けて発表したのは、なんと主催フェスの開催! 確実にレベルアップを重ね、新たなステージへ向かう3人に、決して平坦とは言えなかったここまでの道のりを振り返りながら語ってもらいました!
初の全国流通ミニ・アルバム『777』OTOTOYにて配信開始!
「夜アド ~深夜2時のアドベンチャー~」のMVも公開!
【MV】夜アド ~深夜2時のアドベンチャー~ / ラストクエスチョン【MV】夜アド ~深夜2時のアドベンチャー~ / ラストクエスチョン
INTERVIEW : ラストクエスチョン
2年間変わらず、同じメンバーで活動する。そんな当たり前のようなことが、このグループにとってどれほど尊いことだったのか。メンバー間の信頼と絆はかつてないほど深まり、ライヴでの過去最多動員や、念願だった初の全国流通音源の発売など、結果として着実に現れ始めている。
がむしゃらに、それでいて地に足をつけながら歩んできたこの2年。その期間を振り返るべく行われた今回のインタビューの途中、ふいに涙が頬を伝うメンバーもいた。それはきっと、彼女たちが過ごしてきた時間の濃厚さと、思いの強さの裏返しでもあるのだろう。グループはまもなく5周年を迎える。長かった助走期間を経て、ここからさらなる飛躍を目指し、ラストクエスチョンの3人は突き進んでいく。

インタヴュー&文 : 前田将博
写真 : 大橋祐希
ライヴに入り込んで見られる形の糸ぐちを、あのライヴで見つけられた
──現在の3人体制になって2年になりますが、ここまでメンバーが変わらなかったのはグループの歴史の中で初めてですよね。2018年4月に渋谷GUILTYで行われた現体制初ワンマンでは「メンバーが辞めない初めてのワンマン」というのをプッシュしていましたし。
桃井 : めっちゃ押してましたね(笑)。
──このライヴではチケットを200枚売ることを目標にしていましたが、結果的に220枚を売り上げて満員になりました。
桃井 : 3人でのいいスタートになりましたね。私たち自身、配信をしたり、フライヤーを配りに行ったり、路上ライヴで手売りをしたりと手を尽くしたんですけど、ファンの方の協力も大きかったです。別の界隈の人に声をかけて、多くの人を連れてきてくれた印象がありますね。
御坂 : あとは過去のラスクエを見ていて、新体制で久しぶりに見に来ようかなっていう人もいた気がします。

──新しくなって、これまで興味を持ってくれていた人が集まるいいタイミングだったのかもしれないですね。それまでのワンマンでは、ライヴの他に謎解きパートにも力を入れていましたが、その構成を思い切って変えたのもこの公演からでした。
桃井 : これまでは演出に凝りすぎて、ライヴが1時間、それ以外が1時間あって、初見の人が飽きる構成でした。だからその演出部分を20分くらいに凝縮して。
月見 : ライヴと混ぜ込んでね。
桃井 : 結果的に、初見の人も飽きずにライヴに入り込んで見られる形の糸ぐちを、あのライヴで見つけられたのも大きかったです。その前のワンマンまでは、途中で帰っちゃう人もいるのがステージからたびたび見えたので。
御坂 : そんな感じだったんだね。
桃井 : GUILTYではそういうことがなかった。
月見 : あと謎を解いたり寸劇をやったりしていた頃は、準備がすごく大変で。リハもギリギリまでやっていて、めちゃくちゃ忙しかった。それがなくなったぶん準備がスムーズで、すごく余裕がありましたね。前の日にちゃんと寝たし、こんなにゆっくりしてていいのかなって。
桃井 : これが普通なんだけどね(笑)。
月見 : ちゃんと役割分担できていたのもよかった。
桃井 : 前の体制のときは、ひとりが抱えがちだったんですよ。特定の人しか概要を知らないから、当日とか前日に説明されて、そこから準備が始まるみたいな。でもこのライヴは3人で構成を決めたこともあって、リハや準備もスムーズだった。
──変えたことの成果がちゃんと現れていたんですね。
桃井 : だから個人としてもグループとしても、自信を持てるようなワンマンだった気がします。

自分たちでやるようになって見えた景色
──そのライヴでアルバム発売などがアナウンスされて、11月にアルバム『LIFE POINT』をリリースしました。
桃井 : アルバムを出したのが、この3人でのちょうど1周年でした。その記念ライヴで5月にワンマンをやることを発表して。
御坂 : 6カ月での連続自主企画と新曲披露も発表しましたね。
月見 : 鬼畜スケジュール……!
──自主企画を毎月やるだけでも、かなりハードですもんね。
桃井 : バタバタだったんですけど、ここでも3人が役割を分担していたから良かったのかなって思います。ブッキングは私がやって、新曲の振り付けや衣装のデザインはむぎにやってもらったりとか。あと今回の新曲を作ってもらったのは、ぐみこ(御坂)のもともとの知り合いの人が多くて繋いでもらったり。
──結果的に連続自主企画のラストとなった5月の渋谷WOMBのワンマンは、過去最多の368人を動員しました。
桃井 : それまでの5回は全部違う方をブッキングした対バンのライヴだったので、それで興味を持ってくれた方がWOMBに来てくれた気がします。
御坂 : だからその6カ月間がなかったら、過去最高はなかったかな。

──こちらのライヴは、よりシンプルな構成になっていましたよね。
桃井 : 演出という演出を全部とっぱらいました。最初から最後までストレートに勝負した初めてのライヴでしたね。
御坂 : アンコールまではほとんどMCがなくて、水も飲めなくてつらかった(笑)。
桃井 : WOMBにはステージの後ろにスクリーンがあるので、それをフル活用したライヴでもありましたね。むぎがほとんど作ってくれたんですけど。
月見 : 曲中にみんなが呪文を言う「呪文ミックス」があるんですけど、それをスクリーンに映したいと思ったんですよね。ただ映すだけじゃつまらないからドラゴンが出てきたりとか。
桃井 : 初めての人にもわかりやすいって好評でしたね。みんな声を出してくれているのがステージからもわかったし。
──桃井さんとしては、2016年の渋谷CLUB QUATTROワンマンの動員を超えたという意味でも大きかったのでは?
桃井 : 今だから言えますけど、あのときは関係者など招待の人もふくめての動員でしたからね(苦笑)。そういう意味でも、WOMBはラスクエに興味がある人だけが来ていたのが、明確な違いでした。クアトロのときはまだSCRAPさんに所属していたこともあって、プロデューサーが作る謎解きが好きで来てた人がいたんですよ。だからライヴが始まると、客席に温度差があった。でもWOMBはライヴが好きで見に来てくれた人たちが中心だったので、特に終盤はみんな大きく乗ってくれているのが、目に見えてわかりました。
──ある意味、3人の実力だけで掴んだステージですもんね。
桃井 : 前はやらせてもらっていた感が強かったけど、自主運営になって自分たちでやるようになって見えた景色なので、本番中はすごく感動していました。3人になってから、ファンの人の応援したいっていう気持ちもすごく強く感じるんですよね。熱量が全然違いましたし、もっともっとこの景色を広げていきたいなと思いました。

せっかく出会えた仲間と、これからも
──そして9月に、連続自主企画で発表した新曲をまとめたアルバム『777』をリリースしました。こちらは念願の全国流通なんですよね。
桃井 : タワーレコードさんやHMVさんで初めてパネル付きで展開していただいて、感動しちゃいましたね。
御坂 : あそこのプレートに名前があるってだけで、ちょっと認められてる感があるじゃないですか。地下アイドルではありますけど、確実にあがってるんだぞって(笑)。全国のファンの方から、地元で買いましたとか言ってもらったので、形になってきてるんだなって実感が持てたのもうれしかったですね。
月見 : 私の地元・栃木のお店にもCDが並んでるんですよ!友だちとかも写真を送ってくれて。
桃井 : めっちゃうれしそう(笑)。
──同じ栃木出身のギュウゾウさんがやってる〈ギュウ農フェス〉にも、最近は頻繁に出演してますよね。
桃井 : ラスクエはなかなか出られなかったんですけど、むぎが入ってから温情枠で出させてもらえるようになりました(笑)。前回はついに温情枠から外れて、新木場コーストの野外ステージのトリ前を任せてもらえるようになったり、徐々に認めてもらえてるかな。
月見 : 〈ギュウ農フェス〉のメイン・ステージに立つまで私は上京しないと公約しちゃったので、ギュウゾウさんよろしくお願いします(笑)!
──改めて、この2年間を振り返っていかがですか?
月見 : みんなパフォーマンス面でめちゃくちゃ力がついたなと思いますね。特に桃井さんは、ダンスめちゃくちゃ下手だったんですよ(笑)。歌っておけば大丈夫だろうって、感覚で踊っている感じだった。
桃井 : 真剣にやってるつもりだったけど、ごまかしながらやってた部分はあったかもしれないですね(苦笑)。
月見 : 最初は怖くて言えなかったけど、やばいと思ってました(笑)。
桃井 : 恥ずかしい……。
月見 : でも新曲とかを重ねるごとに、めちゃくちゃ踊れるようになったんですよ。それまでは苦手意識が強かったんだと思う。

桃井 : うんうん。3人になってから振り付けをほとんどむぎが考えてくれるので、桃井は何が違うかを定期的に指摘してくれて。ぐみこはダンス経験があるし、余計に私が下手くそなのが目立つんですよね。だからふたりを見て修正できるし、そこに合わせようって思えるようになった。歌もパフォーマンスも3人体制になって余裕ができたぶん、まわりが見えるようになったのかもしれないですね。自分自身もやらなきゃやばいって気付かされたというか。
月見 : いまはそれぞれ信頼して任せられる部分が多いから、自分のやるべきことに集中できるのは大きいよね。
桃井 : 見てくれている方も、今のラスクエは過去より断然いいって言ってくれますね。
月見 : めちゃくちゃ言われる。過去はどんなだったんだ(笑)。
桃井 : そういう意味でも、2年間で一番変わったのって、パフォーマンスでも運営の部分でも、3人が信頼してやれているところなのかなって気がすごくします。

──それもメンバーが変わらないからこそですよね。
桃井 : それは大きいですね(笑)! これまではリセットして積み上げて、よし行くぞってときにまたリセットって感じだったから。
御坂 : 私が入ったとき、桃井さんはメンバーチェンジのことをずっと引きずってたもん。それからやっと安心して進めるようになって、3人で意見をバチバチぶつけ合えるようになった。
桃井 : 1回本気で怒られた。
御坂 : ふたりでめっちゃ喧嘩しましたね(笑)。
月見 : 私が寝てる深夜の間に(笑)。
桃井 : ふたりが意見を言ってくれても「それは無理」とか「できない」って、頭ごなしに否定しがちになっていたことがあったんです。自分が経理とかをやってきたこともあって、お金的に無理とか、人脈的に無理だよって。それが続いたときに、今はいろんなことが自由にできるはずなのに、なんで全部否定するのって言われて。
御坂 : せっかくの自主運営なのにって。
桃井 : 自分としては運営的に考えて言っているつもりだったんですけど、ふたりの意志を無視してたことに気づきました。それからは本当に無理なことは仕方ないけど、否定するんじゃなくて、別の方法を提案したりできるようになった。
月見 : 成長したよね。
桃井 : 桃井さんが一番成長しました(笑)。
御坂 : そうやって3人でめちゃくちゃ本音で話し合ったりしてきたから、姉妹というか、家族みたいになれたよね。
桃井 : そうだね。パーティーだしね。

──月見さんと御坂さんには変化はありましたか?
桃井 : 特にこの1年で、むぎはすごい勢いで成長しているなっていうのを感じますね。ふたりのときは追い詰められていたこともあったと思うんですけど、自分の中に明確な理想がすごくあるなと思っていて。いっときを境に、ダンスがすごくバキバキになって。歌も苦手だけど、どうにか伝わるように試行錯誤しているし。演者としては一番成長しているので、それが刺激になって私たちの成長にもつながっていると思う。
月見 : ずっと歌わなきゃって意識が強くて必死に集中していたんですけど、ダンスがおろそかになっている気がしたんですよね。それを自覚してから、どっちも上手に振り分けられるようになった気がします。でもそのぶん、ライヴがめっちゃきつくなりましたね。酸素が薄いことが多くなりました(笑)。
御坂 : 入ったのは私より1年くらい早いんですけど、新メンバーとして近い立場でいられるから、私も頼ることが多いですね。デザイン関係とかもそうですけど、仕事がすごくできるんですよ。だから信頼して全部任せられる。
(月見が涙を流していることに桃井が気付く)
桃井 : あれ、泣いてる? どうしたの?
御坂 : さっきから泣いてたよね。気づくの遅い(笑)。
月見 : ……褒められるの慣れてないから(笑)。
桃井 : ファンの人も一番褒めてるよ。
月見 : あいつら、直接言わないのに(笑)!

──御坂さんに成長を感じる部分はありますか?
桃井 : ぐみこはもともとの期待値が高かったんですよ。即戦力で入ったので。
月見 : 歌もうまいし、踊れるやんって。声が七変化するもんね。ライヴ中に隣で聴いているのが楽しい。
桃井 : 歌割りも、絶対に音を外してはいけないところを振ってます。出だしとか、音が消えるところとか、目立ちそうなところは全部ぐみこです(笑)。
御坂 : おそろしい(笑)。
桃井 : あとぐみこのいいところは、自分の気持ちを素直に言えることな気がしますね。言ってくれるからこそ気付けることがあるなって思うし。それでいて気遣いもできる。私がいっぱいいっぱいになっているときにLINEとかで口調が強くなっちゃうことがあるんですけど、そういうときにホワっとした空気を入れてくれるんです。
月見 : 普段はポンコツだけどね(笑)。
御坂 : それは否定できない……(笑)。
桃井 : Twitterでは、迷子になったみたいなことばかり言ってるしね(笑)。でもライヴ中はびしっと決めてくれるから、そのギャップも魅力かもしれない。

──御坂さん自身ではいかがですか?
御坂 : 私が入ったタイミングが、それまで支えてきた重要なメンバーが抜けたときで、1年目はひたすらその穴を埋めようというイメージでやってきました。
桃井 : だからプレッシャーはすごかったと思う。
御坂 : それで気が抜けたところで体調が崩れて。そうなると心も弱くなるじゃないですか。本当に自分はダメだなみたいに思うことがあって…。実は、辞めたいと思ったことも何度かあったんですよ。
桃井 : そういうときは私に個人で連絡が来るんです。しばらくやりとりしたあとに、むぎに相談するんです。「ぐみこさんがピンチです」って。2、3回あったかな。
月見 : 「そんな気がしてた」って返してね(笑)。
御坂 : その都度話し合いして、ふたりがすごく話を聞いてくれて、支えてくれるんです。最終的に楽になったのは、「もう病弱アイドルってことでいいんじゃないか」って言ってくれたことで。
桃井 : もう、それで押し出していこうって(笑)。
御坂 : あと待っててくれるファンの方たちがすごくたくさんいて、「待ってるから気にしないで」ってみんな言ってくれてたから、ちゃんと治療していこうって前向きに思えました。
桃井 : その頃より全然元気になったよね。顔色もいいし。
月見 : 一時期痩せこけてたもん。
御坂 : そんなこともあって、いまはやっと「ラストクエスチョンの御坂しのぐです」って言えるようになってきたのかなって気がします。
──この記事が公開される頃には、月見ル君想フでの2周年ワンマンも開催されています。
桃井 : そこで発表することを言ってもいいですか? 来年の2月25日でラストクエスチョン自体は5周年になるんですけど、2月24日が祝日なので「ラスクエフェス」を目黒鹿鳴館で開催することが決まりました。先ほど会場から連絡がきたので、無事に発表できます(笑)。これからブッキングしていくんですけど、これまでお世話になった人たちに全部で14〜5組くらい出ていただきたいなと思っています。
御坂 : そこでもまた新しいお知らせができるように、がんばります!
桃井 : これからも突っ走っていきたいなと思っているので、そのための2周年ワンマンや鹿鳴館フェスになるのかな。
──現体制になってから、ずっと勢いがありますよね。
桃井 : 3年前にむぎに出会って、2年前にぐみこと出会って、ここまで来られたことはとてもうれしいです。せっかく出会えた仲間と、これからももっともっといい景色を広げていければなと思ってます!

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編集 : 伊達恭平
ラストクエスチョン主催フェス開催決定!!!!
〈RPF (ロールプレイングフェス) 〉
日時 : 2020年2月24日(月・祝)
時間 : 開場 : 13:30 / 開園 : 14:00
場所 : 目黒鹿鳴館
料金 : 一律2,000円(+1D)
出演者(第一弾発表・敬称略) :
ラストクエスチョン / ZOMBIE POWDER / I to U $CREAMing!! / せのしすたぁ / パピプペポは難しい and more……
ライヴ詳細はこちらから
https://last-question.com/schedule/
ラストクエスチョンの過去作はOTOTOYにて配信中!
過去のラストクエスチョンへのインタヴュー記事もチェック!
PROFILE
ラストクエスチョン
ゲームをコンセプトに活動している【ロール・プレイング・アイドル】ラストクエスチョン。
現在は勇者・魔導士・盗賊の3人パーティ。
ラストクエスチョン オフィシャルサイト
https://last-question.com/
ラストクエスチョン 公式twitterアカウント
https://twitter.com/question_idol