11名の“俯瞰派”たちはどう読み取った?──3776『公開実験《LINK MIX》』ハイレゾ配信!
静岡側からだけではなく、山梨側からのアプローチも加わり「リンクアイドル」として活動する富士山ご当地アイドル・3776が『公開実験《LINK MIX》』をリリース。今作は6月にリリースされた『公開実験《山梨版》』、『公開実験《静岡版》』を直枝政広(カーネーション)、掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)ら11名がミックスを加えた音源なのですが、そもそも《山梨版》とか《静岡版》とか《LINK MIX》ってなんだ? ってなっている方も大丈夫! こちらのレヴューを読んでいただければこの音源の面白さが伝わるはずです! OTOTOYでは24bit/96kHzのハイレゾ音源、限定ボーナス・トラック付きにて好評配信中ですので、まだの方はこのレヴューを読んですぐ音源のチェックを!
《MONO x MONO》のMIXはOTOTOYのみ!!
3776 / 公開実験《LINK MIX》
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 162円(税込) / アルバム 1,890円(税込)
【収録曲】
01. 見えない《LINK MIX》Case of イトウヨシノリ
02. 桃としらすの歌《LINK MIX》 Case of S.A.L. as ROMANTIC PRODUCTION
03. 見えない《LINK MIX》 Case of OTONARISOUND
04. もうちょっとおやすみ《LINK MIX》 Case of 西中島きなこ
05. 桃としらすの歌《LINK MIX》 Case of ひろし/せまし
06. 私のものです!《LINK MIX》 Case of skddj
07. 見えない《LINK MIX》 Case of フカヲ
08. 私のものです!《LINK MIX》 Case of 直枝政広
09. もうちょっとおやすみ《LINK MIX》 Case of 掟ポルシェ
10. 桃としらすの歌《LINK MIX》 Case of motan
11. 見えない《LINK MIX》 Case of 永田壮一郎
12. 私のものです!《MONO x MONO》
13. もうちょっとおやすみ《MONO x MONO》
14. 桃としらすの歌《MONO x MONO》
15. 桃としらすの歌《MONO x MONO》
《LINK MIX》を聴く前にまずはこちらを!!
3776 / 公開実験《静岡版》
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 162円(税込) / アルバム 972円(税込)
【収録曲】
01. 私のものです!《静岡版》
02. もうちょっとおやすみ《静岡版》
03. 桃としらすの歌《静岡版》
04. 見えない《静岡版》
05. 私のものです!《静岡版》[Instrumental]
06. もうちょっとおやすみ《静岡版》[Instrumental]
07. 桃としらすの歌《静岡版》 [Instrumental]
08. 見えない《静岡版》 [Instrumental]
《LINK MIX》を聴く前にまずはこちらを!!
3776 / 公開実験《山梨版》
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 162円(税込) / アルバム 972円(税込)
【収録曲】
01. 私のものです!《山梨版》
02. もうちょっとおやすみ《山梨版》
03. 桃としらすの歌《山梨版》
04. 見えない《山梨版》
05. 私のものです!《山梨版》[Instrumental]
06. もうちょっとおやすみ《山梨版》[Instrumental]
07. 桃としらすの歌《山梨版》 [Instrumental]
08. 見えない《山梨版》 [Instrumental]
【REVIEW】3776『公開実験《LINK MIX》』
3776が『公開実験《LINK MIX》』というアルバムを発売した。本作は6月28日に発売された3776 Season#4として初のCD『公開実験《山梨版》』『公開実験《静岡版》』の「LINKモード版」だという。そもそも《山梨版》《静岡版》、そして「LINKモード」とはいったいなんなのか…。
これまで何度か形態を変えて活動してきた3776が、今年5月に3776 Season#4としての活動を開始した。メンバーは静岡担当の井出ちよの、山梨担当の広瀬愛菜のふたり。ライヴは、2つの少し離れたステージで、それぞれがパフォーマンスを同時に行うという実験的なもの。ふたりが歌う楽曲はリンクしており、2つのステージどちらの音も聴こえるポイントでミックスされた音楽を楽しんだり、自身が応援するメンバーのステージの前でどちらか一方を応援したりすることも可能とのこと。「LINKモード」と名付けられたこのライヴ形態において、ふたりは決して同じステージに立つことはないという。その姿勢を体現したかのように、初音源も広瀬愛菜が歌う《山梨版》、井出ちよのが歌う《静岡版》に分けて発売された。
その「LINKモード」を音源で疑似体験できるのが、今回の『公開実験《LINK MIX》』。「LINKモード」におけるライヴの楽しみ方が観客に委ねられているように、参加した11組のアーティストがそれぞれの解釈でつくりあげた11通りの「LINK MIX」が収録されている。直枝政広、掟ポルシェといったミュージシャンを筆頭に、有名アーティストも手がけるスタジオ・エンジニアなど、さまざまな人たちが《山梨版》《静岡版》に入っていた4曲をミックス。これらはあくまで「聴こえ方の一例」とされている。
収録曲のなかでは4人がミックスした「見えない」が最多。今回はこちらを聴き比べてみようと思う。原曲(この表現は適切ではない気もするが)である《山梨版》《静岡版》の同曲は、全編にわたって存在感を放つ野太いベースの音と、その上をゆったりと浮遊するヴォーカルとギター、そしてさまざまな状況を並べながら前半は「見えない」、後半は「見える」と繰り返す歌詞。これらはどことなく不気味で、ある意味ではホラーのような雰囲気も感じた。
そんな楽曲の4通りのミックスのなかで、もっとも衝撃的だったのはM7の「Case of フカヲ」。イントロをはじめ随所に散りばめられたふたりのささやき声、そしてその声やヴォーカルを強調するかのように削ぎ落とされた、ベースやリズムを際立たせたサウンド。この曲が持つ不思議な中毒性をとことん増幅させているようなミックスだった。M3の「Case of OTONARISOUND」は途中で挿入されるふたりの話し声や叫び声(?)、そして迫りくるノイズ、ライヴを意識したかのように聴こえてくるさまざまな音など、こちらも曲をとおして狂気を感じた。
一方でM11の「Case of 永田壮一郎」はおそらくアコースティック・ギターの音が強調されているせいか、まったく別物のように、特に後半はとてもポップな印象を受けた。コーラスやエフェクトなどで味付けされているとはいえ、主旋律を歌うヴォーカルはどれも変わらないはずなのに、ふたりの歌声もどことなく爽やかに聴こえるから不思議だ。M1の「Case of イトウヨシノリ」はもっともバランスが良い印象で、途中、ヴォーカル・パートが移行するタイミングでバックの音も変化するなど、ふたつのステージを行き来しているような感覚があった。
「見えない」だけでもこれだけの「聴こえ方の一例」があるわけだから、当然のようにほかの曲も個性的なものばかりで、どの曲も聴くたびに新たな発見がある。配信版のみに収録されている、《山梨版》《静岡版》のMONOモードそれぞれをモノラルにして単純にLRに振った「MONO x MONO」ミックスと聴き比べてみるのもおもしろい。しかしこの「MONO x MONO」ミックスが答えというわけでは決してないのが、奥深く、そしてややこしいところ。この「一例」を踏まえつつも、結局は「LINKモード」のライヴを自分自身で体感するまで、答えは見つけようがないのかもしれない。
(Text by 前田将博)
3776の過去作品はこちら
LIVE SCHEDULE
毎月第三日曜日に富士で開催されている「いちばの朝市」が、今後「LINKモードの定期公演」の場所のひとつになるかも?
詳細は3776の公式サイトにて今後チェックしてみて下さい。
いちばの朝市
場所 : 岳南富士地方卸売市場(静岡県富士市田島100 )
日時 : 毎月第三日曜日朝7時〜11時(3776の出演は9時頃恒例。今後の出演は未定。)
3776の公式HPはこちら
3776のTwitterはこちら
PROFILE
3776
富士山ご当地アイドル3776。 3776の読み方は、「みななろ」。3776は、富士山の標高。2013年6月22日、富士山世界遺産登録と同時にオリジナル曲『私の世界遺産』で本格デビュー。一年間限定の富士宮市制70周年記念アイドルグループ「TEAM MII(チーム エムツー)」の後継グループ。 2017年5月3日に「Season#4」というスタイルで活動を再スタートするまでの約2年間は、井出ちよののソロユニットのスタイルとして活動。Season#4は、 静岡県在住の井出ちよのに加え、新たに山梨県在住である広瀬愛菜が「LINK」し、お互い同じステージに立つことはないが、音楽はリンクしている、という「リンクユニット」というスタイル。