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”ニューヨークを拠点に活動する日本人バンド”という謎に包まれたプロフィールと、ドラマ主題歌となった「NAMInoYUKUASAKI」のヒットによって、一気にその名を知られることになった逆輸入バンド、THE RiCECOOKERS。ヘヴィーなギター・リフと変幻自在のリズム・セクションを有するロック・サウンド、英詞、日本語詞を織り交ぜたマルチカルチュラルな楽曲センス、そしてニューヨーク仕込みのライヴ・パフォーマンスは、彼ら独自のもの。今回、より厚みを増したオルタナティヴ・ロックを聴かせる、3曲入りのニュー・シングルをリリースするTHE RiCECOOKERS。OTOTOYでは、新曲「of the real」のPVを独占先行公開するとともに、ツアーのため来日した彼らに、なんと到着当日にインタビューを敢行! 2週に渡ってロング・インタビューを掲載します! 彼らのサウンドの背景に、彼らのバンド・スタイルの背景に、どのようなストーリーが隠されているのか。即出しのインタビューを、熱い楽曲とともにお楽しみください。
「of the real」のPVを独占先行公開!! 監督はキングコング・西野亮廣
ニューヨークで自ら制作した絵本の原画展を開催していた、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣(にしのあきひろ)。その個展にTHE RiCECOOKERSのメンバーが足を運び、ミュージック・ビデオの製作を依頼したところ西野が快諾、今回の異色のコラボレーションが実現した。クレイメーションの優しい雰囲気が、タイトでエッジーなサウンドと混ざり合った、激しくも切ないPVとなっている。
THE RiCECOOKERS 2013 春 TOUR ”JUXTA-NOISE”
2013年05月03日(金)@名古屋・池下 CLUB UPSET
OPEN 17:30/ START 18:00
w/ Jake stone garage
2013年05月04日(土)@大阪・心斎橋 CLUB DROP
OPEN 17:30/ START 18:00
w/ Jake stone garage
2013年05月06日(月)@福岡 LIVEHOUSE CB
OPEN 17:30/ START 18:00
w/ Jake stone garage
2013年5月12日(日)@東京・代官山 Unit
OPEN 17:00/ START 18:00
w/ N.Y&Bicycle (ニューヨークと自転車)
THE RiCECOOKERS / of the real
【価格】
mp3、wavともに 単曲 250円 / アルバム 750円
【Track List】
01. of the real / 02. Sweet Canaan / 03. ロックンロールを永遠に
INTERVIEW : THE RiCECOOKERS
2010年にデビュー後、自身の楽曲がドラマの主題歌に起用され、ブレイクを果たしたTHE RiCECOOKERS。彼らは、メンバー全員が日本人でありながら、音楽活動の拠点をアメリカのニューヨークに置いている。そこにこだわる理由とは何か。シングル『of the real』の発売と、4ヶ月ぶりの日本ツアーにむけて来日した彼らにインタビューを敢行し、2週連続でお届けする。
彼らは、ニューヨークという異国の地で、音楽を制作し、バンド活動を続けてきた。第1週目となる今回は、日本にいる我々にはなかなか見えないニューヨークでの音楽活動について。そして、お笑いコンビ・キングコングのメンバーであり、絵本作家としての顔も持つ西野亮廣が監督を務めた「of the real」のPVや、ツアーへの意気込みについてなどを伺った。
インタビュー&文 : 前田将博
写真撮影 : 雨宮透貴
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日本という国、ボストン、ニューヨークという街
ーーみなさんは、日本人でありながらニューヨークを拠点に活動されていますよね。
廣石友海(Vo、Gt / 以下、廣石) : もともとみんなボストンのバークリー音楽大学に通っていて、そこで結成したんです。そのあと、ニューヨークに拠点を移しました。
大山草平(Dr / 以下、大山) : ボストンにいるときから、(ボストンで活動するのではなく)絶対どこかには出たいと思ってましたね。ボストンは学生の街で人は多いんですけど、そこでなにかやるには限界がみえてるので。日本でも、地方でバンド組んで一緒に東京に出てくるじゃないですか。そういう自然な感じでしたね。
ーー廣石さん以外は、生まれは日本なんですよね。
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廣石 : 僕はメキシコですね。
大山 : 他は、大学入るまでは日本にいました。
ーー日本に戻って音楽活動をするという選択肢はなかったんですか?
大山 : みんな音楽をするためにアメリカに渡って、バークリー大学に通ってましたからね。
廣石 : アメリカは世界に通じる窓口みたいな部分があるし、ニューヨークも音楽面で言ったらバラエティに富んだ街なので、自分たちを試すにはいいところなのかなって感じています。
ーーもともと世界を目指した視野の広い活動を考えていたんですね。ニューヨークに拠点を移して、変わったことはありますか?
廣石 : 大きい街で、みんながつねに動いてるので、急かされるみたいなところはあります。ボストンは結構リラックスした街だったので、(NYに行って)みんな真面目になったというか、活動に勢いがつきました。行ったからにはやらなきゃっていう思いもあったし、単純にライヴ・ハウスの数も多いので、ライヴの量は増えましたね。
若林大祐(Ba / 以下、若林) : 音楽に限らず、絵描きとかダンサーとかが地下鉄の車内でパフォーマンスをしてたりとか、刺激が大きいです。そういうことはボストンではなかったので。
ーー電車のなかでパフォーマンス!?
若林 : 終わったあとに帽子を差し出して、お金を入れてもらうみたいな。そういうのは、音楽やライヴをやる上で、すごく刺激になります。
ーー日本でも音源のリリースやツアーがありますが、それとは違う流れでニューヨークでの活動がありますよね。具体的には、むこうでどのような活動をされているのでしょうか。
廣石 : ライヴは、ニューヨークで毎月2~3回やってますね。ボストンとかがあるノース・イーストのほうでも、たまにやったりはしますけど。
大山 : 基本は普通のブッキングみたいなイべントに出るんですけど、日本のワンマンでやるようなロング・セットでのライヴもやりました。
ーー音源のリリースはいかがですか?
廣石 : 日本でのデビュー・シングルの『Four of Our Songs』と、アメリカだけで出した『Paradise』の2枚をリリースしています。
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ーーアメリカでのバンドの立ち位置というか、知名度なんかはどのくらいなのでしょう?
廣石 : 日本もアメリカも、まだまだって感じですかね。
大山 : 日本みたいに流通に乗ってないしね。
廣石 : 向こうではダウンロードが主流ですしね。CDはもう、大型電器店みたいなところでしか売れないし。
ーーじゃあどうしてもライヴ中心の活動になる?
廣石 : ライヴは50~100人くらいお客さんが来てくれますね。
大山 : あとは曲を作ったりとか、制作中心の活動です。
ストレートに反応が返ってくるアメリカでの音楽活動
ーーアメリカで日本人が音楽で食べていくのは、厳しいと感じますか?
廣石 : どうなんですかね。日本もアメリカもチャンスがあるかどうかって話だと、厳しいのは同じじゃないですかね。
ーー日本でやっていればシーンも作りやすいというか、ある程度の土台があると思うんですけど、アメリカで日本人がやるとなると、完全に音楽で勝負するしかないイメージがあります。
廣石 : 確かに、そういった意味ではシビアかもしれないですね。
大山 : でも、ライヴとかの反響はいいよね。
廣石 : ハコの人とかも、初めは様子見みたいな感じなんですけど、ライヴが終わると「すごく良かった」って言ってくれたり。アメリカ人にはウケがいいと思います。ニューヨークに日本人のバンドはいくつかいるんですけど、本格的にやってる人は珍しいですからね。
ーー純粋に音楽が評価されている。
廣石 : そういう感触はありますね。
若林 : そこはアメリカの利点かもしれないですね。シビアですけど、正直に言ってくれるので。ボストンにいた頃は、すごく小さなバーでやってたんですけど、演奏中にお客さんが急に踊りだしたり、話しかけてきたり、ダイレクトな反応が返ってきましたね。僕らを観にきたお客さんじゃない人が、音を聴いて隣のバーから観にきてくれることもあるので、そういうときはうれしいです。
ーー逆に、大変だと思うことはあります?
廣石 : ライヴをやり始めた頃に、ライヴの途中で「もういいでしょ」って止められたりとか(笑)。僕たちがトリだったんですけど、お客さんが全然入ってなかったので。
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廣石 : そうではないですね。
若林 : ライヴで、日本人だからっていうのを感じたことはないですね。
大山 : ちょっと珍しいなくらいには思ってるかも知れないですけど。
ーー日本語詞の曲も、むこうではそのまま歌ってるんですか?
廣石 : やってますね。もともと僕はずっと英語で歌詞を書いていたんですが、ボストン時代にライヴを見にきてたアメリカ人のお客さんに「お前ら日本人なのに、なんで日本語で歌わないんだ」って言われて、確かにそうだなって。そこから日本語でも書くようになりました。でも、英語だからウケるとか、日本語だからウケないみたいなことは全然ないです。意味はわからないと思うんですけど、日本人が日本語で歌ってるほうがしっくりきたりするんですかね。
大山 : 友だちとかには、なに言ってんだかわからないって言われますけどね(笑)。
廣石 : 日本にアメリカのバンドとかが来ると、言葉がわからなくても盛り上がるじゃないですか? それと同じような感じだと思いますよ。
ーーホームページのインタビューでロックについての話をされていましたが、みなさんはいまの日本のロック・シーンについて、どんな思いがありますか?
廣石 : 僕はそこまで日本の音楽は聴いてないですけど、いまはネットがあるので、YouTubeとかでいくらでも観られますよね。ロックに関して言えば、いまはロックの中のジャンルが細分化されてしまっているので、音楽の種類というよりはコンセプト的なものなのかなって考えています。
若林 : 僕は日本だと、凛として時雨っていうバンドが好きで結構聴くんですけど、ジャンル分けを見たらギター・ロックって書いてあったんですよね。昔はそんなジャンルはなかったし、どんどんファンの人が欲しいものを細分化して、分散していってるようなイメージがあります。同じロックではあるんですけど、好みも分かれてきてるんじゃないかなって。僕の解釈なんですけど。
廣石 : リスナーにしてみれば、分けてあったほうがわかりやすいでしょうしね。
大山 : あと今は、自分で情報を探さないと見つからない部分がありますよね。昔だと自分で探さなくても、そのシーンのメイン・ストリームに出て、ラジオやテレビの音楽番組で聴いたりすることが、ロックでもありましたからね。そういうバンドが少ないから、聴き手も受け身じゃなくて、自分で探してる感じなのかなって。
ーーそういう意味でも、どかんと売れるのは難しい時代ではありますよね。
廣石 : そう思います。ネットとかがある時点で選択肢があり過ぎるし、メインのメディアが取り上げてくれない限りは、なかなか難しいですよね。だから逆に、コアなファンがつくと思うんですよ。自分で探して、自分で見つけたって意識があると思うので。
若林 : 細分化された分、熱がすごく強いコアな人は、潜在的にはすごくいるんじゃないかなって気がします。
ーーTHE RiCECOOKERSのお客さんはいかがですか?
廣石 : すごくコアな方もいます。日本だと特にそうです。日本に来る機会が、そんなにないからかもしれないですけど。
いままで聴けなかったようなTHE RiCECOOKERSを聴かせたい
ーー今回リリースする『of the real』について伺います。こちらは、タイプの違う3曲が収録されていますよね。
廣石 : 去年はミニ・アルバムとか、1曲だけのデジタル・シングルという形でリリースして、もっと僕たちのコアな面を出したくなったというか、オルタナティヴな面を見せたいと思って。あえてシングルにはしないであろう曲を、シングルとして出したかったんです。いろんな面を見せたいという思いがあったので、シングルだけど3曲入りにして、曲のタイプは敢えて違うものにしました。
ーーみなさんは、もともと音楽の大学に通われていたこともあり、マニアックにしようと思えばいくらでも出来ると思うんです。でも、この3曲もコアではあるんですけど、技術を前面に押し出しているわけではなくて、すごくキャッチーですよね。
廣石 : 大学に行ってた頃は、結構マニアックな感じでやってました。
大山 : ギター・リフばかりみたいな(笑)。いまみたいに、メロディを活かすって感じではなかったです。
若林 : 1番と2番の間にギター・ソロがあったりする曲もありました。
廣石 : 当時は、ミュージシャンに向けた音楽みたいな感じでやってました。みんな経験を積むにつれて、ライヴなんかも僕たちだけでやるんじゃなくて、お客さんも一緒に混ざり合ってこそのライヴなんだって気づき始めたんです。それまでは自分たちだけで世界を作っちゃってたんですけど、お客さんと一緒に作り上げていきたいって、ボストンを出る直前くらいに思うようになりました。
ーー藤井さんも曲を書いていますが、いかがですか?
藤井恒太(Gt) : ライヴを通してもそうですが、曲をたくさん作っていくなかで、自分たちの引き出しも増えてきたんだと思います。昔はいまに比べてバラエティがなかったというか。でも、今回のシングルもそうなんですけど、キャッチーなものを作ろうと意識しているわけではなく、結果としてこうなった感じですね。
廣石 : 最初は伝えたいことが伝えられなかったけど、お客さんとのやり取りの中で、こうすれば伝わるんだなっていうのが分かってきた感じです。
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ーーOTOTOYで独占先行公開される、タイトル曲の「of the real」のPVを、キングコングの西野亮廣さんが監督をされていますが、どういう繋がりだったんでしょう?
廣石 : 西野さんがニューヨークで個展をやってて、見に行ったらすごく良かったんです。それで、「(PV制作を)やってもらえないですか? 」って訊いたら、むこうも快く「やってみたいです」と言ってくれて。
ーー西野さんの絵の、どんなところに惹かれましたか?
大山 : 僕らのPVでもやってるんですけど、クレイメーションが良かったです。絵本の原画が壁にストーリーに沿って張ってあって、その裏のモニターでクレイメーションの映像を流してたんです。芸人さんが個展をやるというので、最初はどんな感じなんだろうっていう思いもありましたけど、それを吹き飛ばすような内容でした。
廣石 : すばらしかったですね。
若林 : 先入観はなくなりました。お笑い芸人っていうより、一人のアーティストだなって。
ーー完成したPVを見て、すごく優しくて暖かい印象を受けました。でも、THE RiCECOOKERSの音を考えると、少し意外性がありますよね。
廣石 : バンドが出てるシーンとクレイメーションのシーンの、ギャップが面白かったです。
大山 : 確かに、かわいらしい感じですよね。PVでも毎回新しいことにチャレンジしていきたいです。曲やライヴでもそうなんですけど。そういう意味でも、今回は西野さんとのクレイメーションを使ったPVで、新しい試みができて良かったですね。
ーー日本でのツアーがはじまりますが、こちらはワンマン・ライヴ並みのロング・セットでやるんですよね。
廣石 : そうです。今回のシングルのコンセプトと同じなんですけど、いままで聴けなかったようなTHE RiCECOOKERSをお聴かせしたいと思ってます。
大山 : ハードル上げてきたね(笑)。ライヴ・パフォーマンスであったり、やる曲であったり、この期間でできる新しいことを詰め込んだものを見せられると思います。
廣石 : 『of the real』に入っている曲はもちろん、古いのも新しいのも万遍なくやろうと思ってます。
ーー楽しみにしています。
廣石 : 最初から最後まで、一瞬も目が離せないようなライヴにします!
第二週目のインタビュー公開は5月7日を予定! お楽しみに!!
THE RiCECOOKERS、過去作も配信解禁!!
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PROFILE
THE RiCECOOKERS
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2004年にバークリー音楽大学に通っていた廣石友海、藤井恒太、若林大祐、大山草平でアメリカのボストンにて結成。現在はニューヨークへホームを移し、精力的にライブ活動を行っている。バークリーの伝統に裏打ちされた緻密な楽曲作りと達観した詞の世界観は、新たなシーンを形成する現在(いま)のニューヨークを吸収し、繊細さと裏腹なヘヴィネスが混在するTHE RiCECOOKERSサウンドを更なる高みへ! 2010年、TBS系金曜ドラマ「SPEC」の主題歌に大抜擢されたシングル「NAMInoYUKUSAKI」はオリコンWeeklyチャート初登場15位! シングル「NAMInoYUKUSAKI〜TV SPECial COLLECTION」は初登場6位の大ヒット!
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