自主運営の2年間で得た最高の仲間と新たな冒険の真っ最中ーーラストクエスチョン全員インタヴュー
RPI(ロール・プレイング・アイドル) 、ラストクエスチョン。2015年に結成され、脱出ゲームでおなじみ株式会社SCRAPのアイドルとして活動したのち、2016年3月から自主運営で活動をしている。これまでの間にメンバーも複数入れ替わり、現在は初期メンバー1人、新加入の2人の計3名で活動中。そんなラスクエから、名刺代わりのフリー配信曲「マジックアワー」が到着。「ラブゾーマ」の新テイク配信も味わい深い彼女たちに、2年ぶりのインタヴューをおこなった。
>>現体制の初音源をフリー配信「マジックアワー」<<
あの名曲を現メンバーで再録音!
ラストクエスチョン / ラブゾーマ
【配信携帯】
ALAC/FLAC/WAV/AAC
【価格】
単曲 : 257円(税込)
INTERVIEW : ラストクエスチョン
2015年12月、待望の1stアルバムを発売し、翌年1月に渋谷クアトロでワンマン。普通ならここで弾みをつけ、さらなる飛躍へと向かいそうな流れだが、ラストクエスチョンには大きな壁が待っていた。それまで所属していたSCRAPから、事実上の解雇を言い渡されたのだ。
一部メンバーはこの時期に卒業したが、残りのメンバーは自主運営でグループを続ける道を選んだ。しかし、試練はこれで終わらなかった。新メンバーが加入するも、その大半は短期間で離脱し、なかなか編制が固定できない。あっという間に独立から2年が過ぎていった。
2018年1月、いまの彼女たちのライヴを観た。そこにはステージを飛び出して駆け回る3人の姿があった。彼女たちの笑顔は、大きな充実感に満ちていたのだ。紆余曲折の裏で地道にライヴ活動を続け、やっと出会えた理想的なメンバー。いまでは唯一の初期メンバーとなった桃井美鈴はブログにつづった。「これが最後。もうメンバー入れ替えはなし」と。
この2年間、彼女たちになにがあったのか。マイナスからの再スタートを経て、どのように信頼できるメンバーと出会ったのか。桃井はもちろん、月見むぎ、御坂しのぐの2人にも話を聞いた。ここからまた、新たな一歩を踏み出していく。
インタヴュー & 文 : 前田将博
PHOTO : 大橋祐希
これ以上は面倒見きれませんって
――約2年ぶりのインタビューですが、その間にだいぶいろいろありましたよね。2015年12月に1stアルバム『QUEST』を発売して、翌16年の1月13日に渋谷クラブクアトロでワンマンを開催、その直後の2月にはそれまで所属していたSCRAPとの契約が終了し、フリーになりました。
桃井 : 自主運営になりました。後ろ盾がなくなって、できることが一気に減っちゃったから、まず資金調達からスタートしないとって(苦笑)。
――当時のブログに「力不足」が理由と書かれていましたけど、事前に契約終了の条件みたいなものは言われてたんですか?
桃井 : 明確には言われてなかったけど、そういう空気はヒシヒシと感じていました。クアトロで絶対に600人集めようってミーティングのたびに言われていて、いかなかったら雰囲気的に(契約)切られるなってのは感じていて…。結果として400人に行かないくらいだった。それで、これ以上は面倒見きれませんって。
――ライヴ後に言われた?
桃井 : クアトロの反省会みたいなのがあったんですけど、そこで当時のメンバー4人が今後どうするかって部分もふくめて話し合いました。これから君たちは会社がなくなるけど、この先どう生きていくんだって。めっちゃヘビーでしたね。
――そこで桃井さんと浅川琴音さん以外のふたりの卒業が決まった。
桃井 : 就活で悩んでいたり、そもそも脱出ゲームが好きでやってたり、別のアイドルを掛け持ちしている子もいたので。それでみんな自分の道を選んだ。
――独立してからの活動は、大変だったんじゃないですか?
桃井 : それまでは吉村(さおり、プロデューサー)さんやマネージャーがいて、全部やってくれていたので、物販の売り上げやライヴのギャラもまったく知らなかった。自主になって、はじめてチケットバックの制度とかを知って、こんな条件で出ていたのかって。
――でもライヴの回数は以前より増えましたよね。
桃井 : とにかく誘われたら全部出るくらいの気持ちでした。それまでは1カ月に4本とかだったのが、一気に15本とかに増やして、資金を稼いでいました。
――オファーは途切れずにきた?
桃井 : いや…営業しました。前から出ていたところとかはお誘いも来ましたけど、「アイドル」「ライヴ」とかでめっちゃ検索して。あとはほかの出演者さんのマネージャーにあいさつして呼んでもらったり、地道に増やしていきました。
栃木から2時間かけて、連絡したその日に来てくれて
――2016年は基盤づくりの年だった。
桃井 : 上を目指せる状況ではなかったですね。いまだから言えるけど、浅川があまり長くいられないことも当時から個人的に聞いてはいたので。なので、新メンバーを募集しないと続けられなくなっちゃうから、その子たちが活動しやすいようにと。
――本当に運営視点になっていますね(笑)。
桃井 : 活動の交通費とか、個人のボイトレ費とかはグループで負担していて、そういったものが未払いになってしまうのが嫌だったので、(笑)。その秋に新メンバーを募集して、入ったのがむぎです。
――月見さんは、なぜ応募したんですか?
月見 : アイドルが好きだったので、自分でもやってみたいと思っていて、募集しているグループを探しました。そのなかで、やりたいことができそうだったのがラスクエだったんです。イラストを描くのが好きなんですけど、自主運営なので、そういうことも活かせるかなって。
桃井 : 応募の内容が結構やばかった。
御坂 : 伝説になってる(笑)。
桃井 : 好きな役職に「魔道士」と書くのはいいんですけど、「魔法が使えるようになりたい」「ステッキぶんぶん」「マジカル~」みたいに書いてあって、やばいのがきたなと(笑)。それで、とりあえず会ったほうがいいなって。
――狙って書いてたんですか?
月見 : ちょっと狙ってました(笑)。もちろん活動はまじめにやるけど、アイドルは人を笑顔にするわけだから、まじめに書いてもダメかなって。
桃井 : 実際に会ったら普通の子だった。
月見 : 制服だったしね。
桃井 : それも、急いで来たんだなと思って好印象でした。栃木から2時間かけて、連絡したその日に来てくれて。あと最初からキャラが立ってた。そのときは書類通過した子を公開オーディションして、お客さんの投票で決めたんですけど、ファッションショーみたいなコーナーでみんな花柄のフリルとかを着てくるなか、目が描いてあるやばいTシャツを着てきたという。
月見 : 治安悪そうって言われた(笑)。
桃井 : 当時は18歳で、伸びしろがあったのも大きかったですね。やりたいことも決まっていたし。でも栃木在住ってことだけが不安でしたね。正直、最初の頃はすぐに辞めると思ってました(笑)。
――同時期に入ったほかのふたりは、すぐに辞めてしまったんですよね。
桃井 : 3カ月で(苦笑)。
月見 : そのときに、みっすーさんと浅川さんに「辞めるなら今だし、続けるなら長いふたりと比べられてつらいよ」って言われたんです。
桃井 : もちろん続けてほしいとは思っていたけど、浅川が卒業してから辞められると私がひとりになっちゃうので、それよりは3人一気に抜けてイチから新メンバーを入れた方がいいんじゃないかって。でも、むぎは泣きながら、ついてくって言ってくれたんですよ。
月見 : 言わなくていいよ(笑)!でも辞めようとは思わなかったですね。楽しいのに辞めるわけないって。
桃井 : そういう話をしてから、この子はもう辞めないぞって思って、私としても人生を預かった気になりました。
受ける前あたりに、前にやっていたグループがなくなっちゃった
――そして9月16日に浅川さんが卒業します。桃井さん的には、結構前から覚悟はできていた?
桃井 : そのつもりでむぎも入れてたんですけど、当日はあまりピンとこなかったですね。アンコールでエモいことを言い出したので、そこでやっと実感したくらいで。彼女は、最後までみんなに笑っていてほしいっていう気持ちが強かったから。
――そのライヴの頃には、御坂さんの加入も決まってたんですよね。
桃井 : 浅川が抜ける発表をする前に募集をかけ始めて、そのときに応募してきてくれました。
――御坂さんは、なぜラスクエに入ろうと思いましたか?
御坂 : それまでアイドルとかいろいろな活動をやってきて、ちょうど受ける前あたりに、前にやっていたグループがなくなっちゃったんです。それがファンを裏切るような終わり方で…。
桃井・月見 : 地下アイドルあるある(笑)。
御坂 : 大人の事情で辞めて、後々にメンバーにも裏切られるようなことが発覚したり(苦笑)。それでも諦めきれなかったので、次は自分が納得できるようにやれて、絶対に続けられる活動がしたいと思っていたんです。そしたらラスクエの応募条件に「絶対辞めない人」っていうのがあったので、合致しているなって。
桃井 : そこが一番大事ですから(笑)。経緯を聞いたら信憑性もあるなって思ったし、経験者なので歌もダンスもうまかった。即戦力がほしかったこともあり、すぐに確定して連絡したような気がします。
ただ上を目指してやっていくだけ
――これで3人が揃って、現体制が11月12日にお披露目されました。振り返ってみて、いままでメンバーが定まらなかった理由はなんだったと思います?
桃井 : これはメンバーに言ってるけど、熱量が違うって言葉をよく使っていますね。練習やライヴのスケジュールを組むときに、例えばプライベートを優先されたりすると「なんで?」って思っちゃう。私自身がラスクエ中心に動いているので。
月見 : ズラせるよねって思っちゃうよね。
桃井 : そう。私はこれだけライヴがしたいのに、ほかの人のせいでライヴができなかったってなると、私自身のモチベも下がっちゃうというか。そうなるとメンバー間の距離も縮まらないし、一緒にがんばろうってテンションにはなれないんですよね。これまではラスクエ以外に大事なものがある人が多かった。それでうまく進めないっていうのが、一番大きかったかな。
――そこに関しては、ふたりは大丈夫だと。
桃井 : 唐突にライヴが決まって、来てほしいって言ったときに来てくれるだけですごくうれしいんですよ。だから、ここからスタートっていう意識が強いので、ただ上を目指してやっていくだけですね。
――桃井さんのブログに「これが最後。もうメンバー入れ替えはなし」とも書いていましたよね。
月見 : 私もやだ。新しい人いらない(笑)。
桃井 : この3人は、普通にプライベートでも一緒にでかけたりするんですよ。こんなことはいままでなかったし、そういう気持ち的な意味でも、いまはすごくやりやすいです。やっとメンバーがみんな同じ方向を向いて同じところを目指せるっていう、過去最高の状態なのかなって思います。みんなでちゃんと話し合って、イベントやグループの方向性も決められているので、すごくいい状態ですね。
――運営的な部分も、分担してやっているんですか?
桃井 : 私が中心ではありますけど、ちゃんと役割分担はありますね。デザイン関係は、むぎに丸投げだし(笑)。ぐーちゃんは音源関係をいじれるので、編曲したりしてくれます。メドレーやりたいねってなったときにアレンジを頼んだりとか。過去の経験もあるので、人脈も広いんですよ。なのでふたりのアイデアとかをふくめると、できることは広がっていますね。
――編曲できるのは心強いですね!
御坂 : 自分で編曲して歌っていたこともあったので、録音・編集したり、曲から抽出してカラオケ音源を作ったりもできます。
――将来的には、自分たちで曲を作ったりもできそうですね。
御坂 : 最終的には、みんなで作ってみたいですね。
月見 : 私も作詞したい。
桃井 : 権利関係の問題で、一部の楽曲を去年の11月に封印しちゃったので、いまはできる曲が限られているんですよね。その流れで、ふたりが作詞作曲できるんだったら作れたらいいよねって話もしました。楽曲もこれまでと変えたいんですよ。できなくなった曲と同じだけの新曲を作っているので、雰囲気もがらっと変わると思います。
――外部への発注はどうしていますか?
桃井 : 次にどんな曲がほしいか話して、誰に頼んだら実現できるか考えて、メールを送って交渉しています。この前頼んだ、しずくだうみちゃんは唐突にDMが来て、「曲作りたいです!」って言ってくれて。同い年で勝手に友だちだと思っていたので、うれしかったですね。そういう人とのつながりでも曲ができたりしています。
――なるほど。話を聞いていると、いまは前しか見ていないのがすごく伝わってきました。でも、これだけ紆余曲折あると、心が折れそうになったことはありませんでしたか?
桃井 : 正直、あったと思いますね。事務所をほぼ解雇みたいな状態で離れて、メンバーも減ったことは大きかった。マイナスからのスタートだったから。あと、これまでどうしてもワンマンのたびに卒業がつきまとっていたんです。そのたびにイチからスタートしなきゃだったので、またがんばれるかなって不安でした。本来はワンマンって、次に進むためのものじゃないですか。全然進まないのが4回くらいあったんです。そのたびに、ネガティブな理由で変わらなきゃいけなかったのは、しんどかったですね。
――それでも続けられたのは、なぜなんでしょう。
桃井 : ここしかないって気持ちがあったからですかね。私もいろんなオーディションをこれまで受けてきて、落ちて、ここがやっと拾ってもらった場所で。はじめて自分のために楽曲や衣装が作られたりっていうのにすごく感動して。ラスクエの楽曲は最初から関わっているので、全部に思い入れがあるから、ほかのアイドルになって、ほかの曲を歌うってことは考えられないです。あと、パズルガールズ時代からもう4年になるんですよね。そのあいだに、なにひとつ達成できていない。WWWやクアトロでワンマンをやったりもしたけど、目標の集客に達していないから、まだスタート位置にいるままだって。そう思うと、全然辞められないんですよね。夢をなにも叶えていないのに。アイドルもラスクエも、辞めるビジョンが全然見えない。なので、まだしばらくここにいます(笑)。
ラスクエはめんどくさいって思っている人にこそ、4月30日は来てほしい
――4月30日に渋谷GUILTYで、いよいよメンバーが辞めないワンマンが行われますが、ここでやっと次の一歩が踏み出せる。
桃井 : そうなんです。本当に。200人くらい入る会場なので、ちゃんと人を集めて、ラスクエの楽しさが伝わるワンマンをやりたい。そこでわかってもらえたら、また倍くらいの人数を集めて秋くらいにワンマンをやれたらって思っています。
――いまのラスクエのライヴは勢いがありますよね。以前よりシンプルで、楽しみやすくなっているようにも思えました。
桃井 : 前は謎解きが多くて、ワンマンだとライヴと謎解きが1時間ずつみたいな構成が多かったんですけど、それも変えようと思っています。謎解きパートが賛否両論だったので。もちろんそういう要素も残してはいるんですけど、誰でも楽しめるようなものにしようと。ラスクエはめんどくさいって思っている人にこそ、4月30日は来てほしいな。そんなに頭を使わなくても楽しめるようになっているから(笑)。
――それに先がけて、ゆーきゃんさんが作った「マジックアワー」を無料配信するんですよね。現体制で初の音源です。
桃井 : やっと3人で出せます。去年は浅川が辞めるってわかっていたから、音源を出すに出せなかったんですよ。特にCDだと形に残っちゃうから。でも新しいものが出ないと、停滞している感じになっちゃうので、今年は音源やMVも出したいですね。あと、3人バージョンの「ラブゾーマ」も同タイミングで配信します。この2曲は、その第一歩としたいです。
――最後に3人の今後の目標をお聞きたいんですけど、桃井さんはずっと変わらずZeppでやりたいとおっしゃっていますよね。
桃井 : 3年以内にZeppでワンマンって勝手に掲げています。Zeppは、はじめてアーティストさんのライヴに行った会場なんです。あと私は武道館に行ったことがなくて、はじめて行ったアイドルのライヴは、ももクロさんの日産スタジアムなんですよ。なので、武道館よりもそっちでやりたい(笑)。もちろん武道館にも立ってみたいですけど、そういう思い入れを重視したいですね。
月見 : 私は目黒鹿鳴館かキネマ倶楽部がいい。じゅじゅのしらいちゃんを知って、はじめて行ったワンマンがキネマなんです。鹿鳴館は、しらいちゃんの生誕と卒業で行って、すごく記憶に残ってる。あと、ツアーもしたいです。
桃井 : 新曲を増やしたら全国流通でアルバムを出して、そのリリイベでツアーやれたらいいですね。その前にワンマンで売れる音源がほしいので、シングルを出したいです。夏はフェスに出たいので、アルバムはそこに間に合わせたいな。いい加減TIFの出禁を解除してもらわないと(笑)。
――初出場で出禁になったという(笑)。
桃井 : 当時ダイブしたメンバーはいないってことを押していきたいと思います(笑)。もちろん、ほかのフェスにも出たいですけどね。
御坂 : 私はテレビに出たいですね。Mステの階段を降りたい。ほかにも子どもとかも楽しめるようなテレビとか、ホールとかでイベントをやってみたい。家族やおじいちゃんおばあちゃんとか、自分の身内にちゃんと活動してる姿を見せてあげたい。
桃井 : 安心させたいよね。
月見 : 年齢関係なく、いろんな人に観てほしい。
桃井 : 小さい子が安心していられるような現場ってなかなかないですからね。ゲームというコンセプトは、老若男女関係なく楽しめるものだと思うんです。方向性が違うけど、Negiccoさんのライヴとかは、みんなで楽しめるじゃないですか。ラスクエも、そういう存在になりたいですね。
DISCOGRAPHY
LIVE INFORMATION
ラストクエスチョン ~第一章 知恵と魔法と剣と呪われた王子~
2018年04月30日(月祝)@渋谷GUILTY
OPEN 17 : 00 / START 17 : 45
料金 前売り2,500円 / 当日 3,000円(各+1D)
Peatixにて販売中
PROFILE
ラストクエスチョン
ラストクエスチョンとは人生で1度はゲームやマンガの主人公になってみたかったすべての人に贈る、一緒にまだ見ぬ物語を作っていけるアイドル。それがラストクエスチョン!
時にはライヴ中に殺人事件が起こり、みんなで犯人を捕まえたり。
時にはパーティを組んで悪の組織に立ち向かったり。
この物語の中ではあなたも、ラストクエスチョンのメンバーも、みんなが主人公です。
これからの旅路の中、どんな物語が生まれていくのでしょうか。
未来は誰にも解りません。
テレビゲームより濃い冒険に、一緒に繰り出そう!