2013年3月23日、音楽実験室・新世界にて行われたヲノサトル率いる、MOODCORE RYTHM MACHINEの熱いライヴがOTOTOY独占で配信解禁! もちろん音質は24bit/48kHzの高音質でお届け! ドラム缶、蓋、一斗缶といった風変わりな打楽器が刻む南国調のリズムと、流れるようなシンセサイザー、そして美しいメロディを奏でるギターが絡み合うライヴは、まるで真夏の異国のよう。ジョン・コルトレーンの「インプレッションズ」を始めとする妖艶なカヴァー曲は雰囲気たっぷり。また、2人のパーカッショニストによる渾身の即興演奏も、ライヴならではの緊張感と熱気に包まれている。作品ごとに異なる表情を見せるヲノサトルの、タイトル通りムードとリズムが溢れだすライヴの模様を、是非高音質で体感していただきたい。
ヲノサトル / MOODCORE RYTHM MACHINE
【価格】
mp3 単曲 150円 まとめ購入 1,500円
HQD(24bit/48kHzのwav) 単曲 200円 まとめ購入 2,000円
【Track List】
01. インプレッションズ (ジョン・コルトレーン)
02. タヒチ・ハット(デオダート)
03. 青い夜のマンボ(ヲノサトル)
04. 犬神家の一族 愛のバラード(大野雄二)
05. ヒプノティーク(ヲノサトル)
06. 不眠症のサンバ(ヲノサトル)
07. 即興演奏(スティーヴ・エトウ、山口とも)
08. パーセプション(ヲノサトル)
09. プレジャー・ライフ(ヲノサトル)
10. アルマス・イルマス(ジョアン・ドナート)
11. エルドラド(ヲノサトル)
12. オールド・ファッションド(ヲノサトル)
出演 : ヲノサトル (computer, keyboards)、助川太郎 (guitar)、スティーヴ・エトウ (percussion)、山口とも (percussion)
※まとめ購入には、ライヴの模様やヲノサトルの曲解説を掲載したブックレットが付いてきます!
※アルバム及びイベント名の表記はアーティストの意向によるものです。
LIVE REPORT : 2013年3月23日(土)@音楽実験室 新世界
六本木駅を降りて西麻布方面へしばらく歩くと、音楽実験室・新世界というライヴ・スペースがある。扉を開け、受付を済まし、地下へと続く狭い階段を下りると、そこは小洒落たバーのような空間が広がっていた。開演までまだ15分ほど時間があるが、すでに客席の大半は埋まっている。客層を見ると、30代から40代の大人の女性が大半である。その中に、いかにも音楽を嗜んでいそうな男性客も混ざっている。土曜日の夜ということで、みんなラフな格好をしている。そして天井には、ミラー・ボールの他に、シルバーの球体がいくつもぶら下がっている。西麻布という土地もあるのだろうか、筆者が普段足を運んでいる新宿や下北沢のライヴ・ハウスと比べると、やはり圧倒的にお洒落な雰囲気である。今夜ここで、ヲノサトルがホストを務めるイベント「MOODCORE RYTHM MACHINE」が行われる。
ステージに目をやると、まず飛び込んできたのは、両サイドにあるドラム・セット… ではなく、潰れかけた巨大ドラム缶や一斗缶、蓋、自動車のタイヤのホイール、発泡スチロール、銅鑼など。これらが、ドラム・セットの代わりに、所狭しと配置されている。しかも、ドラム缶の上にはiPadが置かれている。
定刻を少し過ぎた頃、このステージにヲノサトルが登場し、「新世界にようこそいらっしゃいました。今日はMOODCORE RYTHM MACHINEと題した、珍しい2パーカッション編成で、しかも普通の打楽器ではなく、これ何に使うんだろうってものを愛用しているお二方を迎えます」と説明する。そして、ヲノによるユーモアたっぷりな紹介により、「アンダルシアの貴公子」こと、助川太郎(Guitar)、「中国の不思議な役人」こと、スティーヴ・エトウ(Percussion)、「オズの国の妖精さん」こと、山口とも(Percussion)が、ステージに招かれる。ヲノの紹介通り、ステージ上がかなり濃い空間となっている。特に、巨大なドラム缶の前に陣取ったスティーヴは、太極拳の名手とも思えるような服装も相まって、強烈なインパクトである。このメンバーにより、果たしてどんな化学反応が生まれるのだろうか。
ムーディなシンセサイザーの音色に導かれ、「インプレッションズ」からライヴはスタートした。パーカッションの2人は、早速思い思いに蓋や銅鑼、一斗缶をドラムのように叩いている。ドラム缶はかなり使い古されているのか、ベコベコに凹んでいて、スティーヴが叩くたびに大きく揺れる。彼らが奏でるリズムの上で、ヲノのシンセサイザーと助川のギターが、時折美しいメロディを聴かせる。今回のライヴは2部構成になっており、第1部ではカバー曲を中心に演奏された。
水が流れるような音がしたり、ザルの中で豆のようなものを転がしたり、鈴が鎖のように連なった楽器を鳴らしたりと、まさに音楽実験室という会場名に相応しいステージが繰り広げられる。ヲノがパーカッションのセットを眺めながら、「すごい時代になったものですね」と笑顔でコメントするシーンもあった。第一部の最後に演奏された「不眠症のサンバ」では、山口がどこからともなくニワトリのおもちゃ(雑貨屋などで売っている、首を絞めると鳴き声を模した音が鳴るもの)を大量に取り出し、リズムを刻む。場内には、ニワトリの断末魔の叫び声が響いた。
15分ほどの休憩を挟み、第二部がスタート。スティーヴがドラム缶を倒し、おもむろに叩きだすと、山口のパーカッションとのセッションが始まった。スティーヴはドラム缶に跨がりながら、日本語か英語かも分からないような、不思議な言葉を呪文のように連呼。野獣のような貫禄と圧迫感があり、今にも暴れ出しそうである。山口もそれに負けじと、発泡スチロール上に組まれた木琴のようなものを叩きながら、謎の言葉を呟く。筆者は今まで数多くのライヴを見てきたが、こんな光景は初めてである。
セッションが終わると、「パーセプション」が始まる。休憩時間にだいぶアルコールが回ったのか、立ち見の観客は曲に合わせて陽気に踊っていた。ヲノはMCで、「両側から工事現場のような音が聴こえてきます。打楽器の音は複雑で、高い倍音がいっぱい入っているので、森林浴みたいな気分になる。どんどん頭が良くなるので、みなさんにもお裾分けしたい気分です」と語る。かなり賑やかな森林浴である。ここからは、ヲノのオリジナル曲を中心にライヴが進んでいく。「プレジャー・ライフ」では、それまでの野性的なリズムから一転、緩やかなリズムに乗せた、助川のギターの心地よい音色が響いた。
その後のMCで、この日のライヴ音源がOTOTOYで発売されることが発表される。「みなさんの歓声や笑い声もたくさん入っておりますので、著作権料などを要求しないように。今日来ている人は、「間違った音があったのに、なくなってるぞ」と、テクノロジーの進歩を肌で感じることが出来ます。是非ご購入ください」と話し、客席からは大きな笑いが起こった。そして、本編最後の曲「エルドラド」が演奏される。一段とダンサブルなリズムに、客席が沸く。曲が終わり、これでライヴも終了かと思いきや、そのままアンコールへと突入。ヲノ曰く、「容積の大きい楽器ばかりですので、一回戻ってまた出てくるみたいな小芝居をやってる余裕はないのです」とのこと。ヲノのMCは、最後までユーモアに溢れていた。ラストの曲「オールド・ファッションド」では、スティーヴが再びドラム缶を倒し、跨がる。サイドから鳴り響くパーカッションの重いリズムとは対照的に、ヲノと助川は軽やかに演奏していた。客席からは手拍子が起こり、心地よいグルーヴが場内を支配すると、この日一番の一体感に包まれた。最後にもう一度ヲノがメンバー紹介し、一礼すると、再び大きな拍手と歓声が起こる。強烈なインパクトとグルーヴを残したまま、2時間に及ぶステージは終了した。(text by 前田将博)
セット・リスト
<SET1>
01. IMPRESSIONS
02. THREE DAYS OF THE CONDOR
03. TAHITTI HUT
04. MAMBO NOCHE AZUL
05. HYPNOTIQUE
06. 犬神家の一族
07. VIAGEM
08. Samba Do Insonia
<SET2>
09. PERC IMPRO
10. PERCEPTION
11. PLEASURE LIFE
12. FINAL DESTINATION
13. Almas Irmas
14. EL DORADO
15. Old Fashioned
ヲノサトル LIVE ARCHIVES
>>ヲノサトル・ムードコア・ポッセ ライヴ : 特集はこちら
>>ブルーモーメント・ライヴ : 特集はこちら
>>メメント・ライヴ : 特集はこちら
>>ヲノサトル feturing 田中邦和ナイトキャップ・ビフォア・クリスマス : 特集はこちら
>ムードコア・スカッド1 - ラウンジ・セレクション : 特集はこちら
>ムードコア・スカッド 2 - ダンス・セレクション : 特集はこちら
RECOMMEND
エマーソン北村 / Green Dolphin Street / Polka Dots & Moonbeams
80年代末に「Jagatara」や「Mute Beat」に参加して以来、常に個性的なシーンでアーティストのサポートを続けてきたキーボード・プレイヤー。少ない音数でグルーヴを出す確実な演奏と、レゲエやニュー・ウエーブなどD.I.Y.な音楽を出発点としながらもフォークからアバンギャルドにいたる幅広い音楽を理解する愛情あるその姿勢が、メジャー / アンダーグラウンドを問わない多くのアーティストやリスナーから支持されてきた。更に、バンド・サポートでの活動と並行して、古いキーボードとリズム・マシンだけの一人プロジェクト「エマーソン北村ソロ」も行なっており、全国のカフェから大きなフェスさらにはフランス・パリまで、ライヴの足跡を残し続けている。
清水靖晃+渋谷慶一郎 / FELT
文化庁主催の東京見本市2010インターナショナル・ショーケースの一環として、池袋・東京芸術劇場の中ホールで行われた公演の記録。ともにアコースティックと電子音楽を行き来しつつ先鋭的な音楽を作り続けるアーティストだが、このコンサートが初顔合わせ。バッハを下敷きに、演奏家同士のセッションというよりは、作曲家同士がひとつの音響空間を作り上げていくようなパフォーマンスを楽しむことができる一枚。
清水靖晃+渋谷慶一郎 / FELT : 特集ページはこちら
Sound&Recording : 特集ページはこちら
BILLY WOOTEN / Live At The Jazz Cafe
ビリー・ウッテン伝説最終章! ジャズ・ファンクの歴史にそびえ立つ傑作ライヴ・アルバムでレア・グルーヴの殿堂入りを果たしたヴィブラフォン奏者、ビリー・ウッテン。2003年、彼が奇蹟の渡英を果たし、名門クラブ、ジャズ・カフェに出演した際のライヴ音源をPヴァインだけで独占配信! 何とバックを務めたのはSPEEDOMETER!「In The Rain」の再演に涙!
PROFILE
ヲノサトル Satoru WONO (computer & keyboards)
現代音楽からエレクトロ・ポップまで幅広い作風で知られる音楽家。芸術ユニット「明和電機」にオルガン奏者「経理のヲノさん」として関わり続け、ムード音楽バンド「ブラック・ベルベッツ」にも参加。2011年より「MOODCORE」レーベルを始動し、新世界でのライヴを収録した『』などのアルバムをOTOTOYから連続リリース。また電子音楽レーベル「fill」を主宰して2012年CD『舞踏組曲』をリリース。2012年12月からはDJ ebee#1、NATSUMIとのポップ・ユニット「XILICON」を始動してiTunesよりシングル連続リリース中。 現在、多摩美術大学准教授として映像・音楽の研究や指導も行っている。
助川太郎 Taro Sukegawa (guitar)
ブラジル音楽・ジャズ・クラシック・即興演奏など、ジャンルを超えて活動するギタリスト。ジャズのバック・グラウンドに加え、クラシックで培った音色、ブラジル音楽の多彩なリズム、エフェクターを駆使した電子音などが混然一体となった、カラフルで個性的な演奏が持ち味である。ブラジル固有の弦楽器カヴァキーニョも得意とする。近年では民族楽器「口琴」に深く魅せられ、口琴奏者としての活動も開始。ギター、口琴、カバキーニョを併用する独自の演奏スタイルで、多種多様なミュージシャンとのライヴ、レコーディング、ツアーなどに活躍。数々の音楽シーンに刺激的なギター・プレイを注入している。ソロ・アーティストとしてブラジルの器楽「ショーロ」を現代的にアレンジしたソロ・アルバム『Noturno』を2008年に発表、現在も最先端の器楽演奏を追求している。またボーカリストEMiKO VOiCEとのブラジル音楽ユニット「メヲコラソン」では2008年より4年連続で生音ボサノバ・ホール・コンサートを日経ホール、東京オペラシティなど都内大ホールで開催、例年ソールド・アウトの人気企画として継続している。
スティーヴ・エトウ Steve Eto (percussion)
1958年、L.A.生まれ。1964年、初来日。80年代よりバンド活動を始め、爆風銃(バップガン)、PINK、PUGSなどのバンドで活躍。 演奏家としては小泉今日子のデビュー・ツアーから始まり、近年は堂本剛、布袋寅泰、COMPLEXなどさまざまなアーティストをサポート。20年超えて活動するバンド、デミセミクエーバーとともにソロ・ライヴも活発。この十年は奄美群島にただならぬ縁を感じ、公認はぶ大使として島に関わるイベントなどを各地で立ち上げている。
山口とも Tomo Yamaguchi (percussion)
日本廃品打楽器協会会長、打楽器奏者、写真家。 祖父、山口保治は「かわいい魚屋さん」「ないしょないしょ」など数々の童謡を創った作曲家。父、山口浩一(新日本フィルハーモニー / ティンパニー名誉首席奏者)の長男として東京に生まれる。つのだ☆ひろのアシスタントとして音楽の世界に入る。1980年「つのだ☆ひろとJAP,S GAP,S」でデビュー。解散後、フリーのパーカッショニストとして中山美穂、今井美樹、平井堅、石井竜也、サーカスなど、数々のアーティストのツアーやレコーディングに参加。95年の音楽劇「銀河鉄道の夜」をきっかけに廃品から様々なオリジナル楽器を作るようになる。おおたか静流とのスピリチュアルなライヴ・パフォーマンスやロックの中山ラビ、アヴァンギャルド・ジャズの三宅純等活動の場を広め、04年には日本演芸協会の福岡詩二氏から「打楽器コメディアン」の称号をもらい、浅草東洋館に出演、好評を博している。03年4月から06年3月までNHK教育テレビ「ドレミノテレビ」に「ともとも」の愛称でレギュラー出演していた。「音楽=音を楽しむこと」をモットーに近年は子供から大人まで楽しめる音楽を目指し、オリジナル廃品楽器を使ったパフォーマンス活動をして注目を浴びている。ガラクタに命を吹き込む打楽器奏者。