今年5月に開催された、OTOTOYに集う若者が、ただただ音楽について語り合う… という非常にシンプルな会、若者座談会。あれよあれよと話題が広がり、かなり“バズる”記事となってしまいました。ここで調子に乗ったOTOTOY編集部。なんと第2回を開催しちゃいました!! まだまだ若者たちの音楽に対するエネルギーはとどまるところを知らない! 今回はマニアックな新顔も加わり、座談会は司会のライター前田もまとめきれないほどの、かなりの散らかりっぷりに!?
進行 & 文 : 前田将博
本座談会で紹介しているアーティストの音源は配信交渉中!! 徐々に配信スタートしていきます!!
>>前回の【若者座談会】はこちら
好評だった若者座談会を再び開催!
ーーまずは順に自己紹介をお願いします。僕と岩瀬さん、竹島さんは前回も参加しましたね。
鰐川 : 鰐川翔伍、20歳です。ふるえるゆびさきっていうバンドで歌とギターをやっています。8月26日に、『続きをきかせて』というアルバムを出して、OTOTOYでも配信しています。海外をふらふらと旅するのが好きで、エキゾチックなバンドを好みます。はすごくいいなあと思います。
岩瀬 : 岩瀬知菜美です。22歳で、OTOTOYのアルバイトです。最近はFBY()とシェフ()の新譜、あとはマキシマム ザ ホルモンの新譜がめちゃくちゃ良かったです! 踊れるような音楽が特に好きで、いまはというバンドに注目しています。
高橋 : 高橋拓也と申します。21歳で、7月からOTOTOYでインターンをしています。音楽は、ナゴムレコードから入ってそこから広げていきました。いまは80年代のノイエ・ドイチェ・ヴェレ(ジャーマン・ニュー・ウェーブ)を中心に発掘しています。追っているバンドは、左右っていうバンドと例のK、あと聴きつづけているのはD.A.Fっていう、ドイツのゲイっぽいバンドです。
鶯巣 : 鶯巣大介です。21歳で、7月からOTOTOYでインターンをしています。大学1年生のときからが好きで、TOKYO NEW WAVEからインディー・ロックに入り、ライヴに行くようになりました。2年くらい前の、赤い公園とでんぱ組.incの対バンをきっかけに、でんぱ組.incとかみたいなアイドルも聴くようになりました。
竹島 : 竹島絵奈、21歳です。OTOTOYやCOOKIE SCENEとかのWEB媒体でインタヴューさせてもらったり、レヴューを書いたりしています。ニール・ヤングが好きです。よろしくお願いします。
ーー司会の前田です。aikoとを愛しています。最近はあまりライヴに行けずに、新しい音楽をあまり発掘していないので、是非とも今日は皆さんに教えていただきたいです。みなさん大学生とのことですが、周りの人はいまどんな音楽を聴いているんですか?
鰐川 : ビートルズを聴くっていう人はたくさんいますね。あとは、クラブに行く人たちはパーティ・アンセムとか聴いてるイメージが、勝手にある。
岩瀬 : パーティー・アンセム聴く友達いないですよ!?
鶯巣 : むしろそんな言葉を口に出したことがない!
竹島 : 私もクラブには行かないですね…。
ーー大学生活のライト・サイドとダーク・サイドが垣間見えた気がしますね(笑)。
鰐川 : そんなつもりじゃなかったんだけどな(笑)。あと、ひと昔前はみんな少女時代を聴いていたような。
高橋 : 少女時代を聴くんだったら、ポンチャックとかはどうなんでしょう? 昔、(石野)卓球さんとかがけっこう勧めてた韓国の大衆音楽なんですけど。チープなキーボードで、「アリアリ~スリスリ~…」みたいな曲で。
一同 : 何それ!?
ポンチャック・ディスコ : 2拍子を基調に無数の歌が歌い継がれる。長距離バスやタクシーの運転手が眠気覚ましのために聴く、労働歌とも言える役割を果たしていた。日本で有名になったアーティストとして李博士(イ・パクサ)が挙げられる。電気グルーヴなどの紹介で、ソニー・ミュージックエンタテインメントからデヴューを果たしている。
高橋 : かっこよすぎじゃないですか!? たこ踊りですよ!!
岩瀬 : ライト・サイドな大学生は、絶対これ聴かないよ(笑)!
YouTubeって僕らの世代の重要なファクターですよね
ーー一発目からすごいのが出ましたね(笑)。高橋くんはナゴムから音楽に入ったとのことですが、普通の21歳はまずそこにたどり着かないと思うんだけど、どうやって知ったんですか?
高橋 : 小学校のときにラジオで「日本印度化計画」が流れたのをきっかけに筋肉少女帯を聴き始めて、ナゴムの全曲集を知って、そこから有頂天とかたまとかを聴きだしたんです。
ナゴム・レコード : 1980年代に存在したインディーズ・レコード・レーベル。個性の塊のようなバンドを積極的に取り上げ、筋肉少女帯、人生、たま、ばちかぶり、木魚、カステラ、カーネーションなどがここからレコードやソノシートを発表した。
ーーどれもリアル・タイムではないと思うんだけど、どうやって聴いていたの?
高橋 : 当時の音源をオークションで探したり、YouTubeで見たりしていましたね。
鰐川 : YouTubeって僕らの世代の重要なファクターですよね。
高橋 : そうですね、YouTubeがなかったらここまでバンドに関心を持たなかったかな。
岩瀬 : 私も高校のときから、暇なときはずっとYouTubeでバンドを探したりしてました。
鶯巣 : 関連動画をずっと辿ったり。
ーーYouTubeで知ったアーティストはどんなものがありますか?
鰐川 : を毎月配信している動画で知ったり、「take away show」を観てアーティストのつながりを見つけたりします。キーワードが広がっていく感じは、YouTubeならではだと思う。レーベルやライヴ単位だと、そういうのはわからないですよね。
岩瀬 : ってバンドを関連動画で辿って見つけたんですけど、めちゃくちゃセンスが良くて、渋いです。
鶯巣 : このあいだ、(下北沢)GARDENでワンマンやっていましたよね。
岩瀬 : そんなに人気なんだ! まだライヴは観に行ったことないんですけど、若者からおじさんまで受けそうですよね。
鶯巣 : おおっ、オシャレ。
高橋 : けっこうしゃがれた感じの声ですね。
ーー高橋くんはYouTubeではどんなアーティストを観ていますか?
高橋 : 過激そうなのをメインに探しているんですけど、最近だとオリタッタフレンズっていうバンドと、ペケキング・テリーという大阪フォーク・シンガーが結構えぐい感じで良いんですよ。
(オリタッタフレンズ「we are the mac」視聴)
鶯巣 : (イントロを聴いて)これマックのポテトが揚がったときの音じゃない? でも曲自体は思ったよりもまともな感じだ。
高橋 : デモ音源だともっとチープな感じだったんですけど、アルバムだとかなり綺麗にまとまっているんですよ。めっちゃソリッドになった! CMのメロディとかも使ってて。ペケキング・テリーは、なぎら健壱とか高田渡とか、あの時代のフォーク・ソングから強い影響を感じる方で、ちょっと動画が… 宗教団体をネタにした曲で。とりあえず「風神雷神デ○ィ夫人」っていう音源を。
「風神雷神デ○ィ夫人」の試聴は、ペケキング・テリーのMyspaceからどうぞ!
岩瀬 : おお、意外とかっこいいかも…?
鶯巣 : でも社会にはでていけなそうな曲(笑)。
高橋 : これ以外にもCD出したらヤバい感じの曲しか歌ってない人なんですよ。この人が最近キテますね!
岩瀬 : ライヴはどんな感じでやってるの?
高橋 : ちょっと前に中野でやった、プロレスにゆかりがあるバンドを集めた企画に出てました。
鶯巣 : プロレス…!?
高橋 : 他にも膀胱チョップっていうバンドとかが出ていて。単にメンバーがプロレス好きだったり、パフォーマンスにプロレスをネタとして仕込んでいる人たちが集まっていて、そこでテリーさんを知りました。ほんとうはもっと、「つよポンすっぽんぽん」とか、良い曲がいっぱいあるんですよ。
鰐川 : 名前からして良い曲じゃなさそう(笑)!
高橋 : そこがまた良いんですよね(笑)。
鰐川 : ゴキコン(劇団ゴキブリコンビナート)とか、病気マンはどうですか?
高橋 : もちろん好きですよ! 病気マンはライヴも観ました。バケツにゲロ吐いて振り回したり… 彼は逸材ですよ…!
鰐川 : 団子三兄弟(3人が横に並んで頬に串を刺すパフォーマンス)とかすごかったよね。でっかい針を刺して3人が繋がって…。
竹島、岩瀬 : うわぁ…。
鰐川 : あとはハナタラシとかもすごくて、火炎瓶を投げたり。
高橋 : ユンボでライヴ・ハウスに突っ込んだり。
soundcloudは、まさにいまって感じがしますね
ーー話がやばい方向に盛り上がってきました(笑)。竹島さんは、YouTubeは観ますか?
竹島 : YouTubeはかなりよく活用してます。あと、同じくらいsoundcloudもよくチェックしますね。
鰐川 : soundcloudはアーティスト本人が使ってるイメージがすごいある。
竹島 : 北園みなみさんの新譜は、いつも楽しみに待ってますね。
ーーsoundcloudは、まさにいまって感じがしますね。ほかにsoundcloudで出会ったアーティストはいますか?
竹島 : annie the clumsyという、わたしの大好きなSSWがいます。最初はsoundcloudで知ったのですが、JETSETで音源を見つけたので購入しました。「Oh yes he is」という曲は、がアレンジしてたりします。
高橋 : ものとして大事に作ってる感じがしますね。
竹島 : それから、annieさんがsoundcloudでコメントしていたwith me! というアーティストがいて。aotaがやっているバンドなんですけど、ローファイなサウンドと、胸がきゅんとしてしまうようなヴォーカルに、心を掴まれてしまいました。
岩瀬 : このあいだ、KONCOSとかと一緒にやっていましたよね!
竹島 : 打ち込みの曲もあるようです。このあいだ、ココ吉に行ったらフィジカルで発売されていて驚きました。好きな方とかはヒットするかもしれませんね。
ーーみなさんは最近観たライヴで印象的だったものはありますか?
高橋 : ちょっと前に、新宿LOFTで昼間にやっていた、左右とトリプルファイヤー、が出演していた企画に行きました。
鶯巣 : 左右すごくいいですよね。
高橋 : かっこいいですよね! 80年代のニュー・ウェーブと54-71あたりのアプローチが感じられて、すごく好きなんです。
鰐川 : 左右なら、うちのサックスがやってたバンドに、キーボードで参加していたときに対バンしたことありますよ。クウチュウ戦もいたかな。あと、2年前に対バンした漢字2文字のバンド名の3人組で、ドラムがキーボードのリズムでストイックに叩いてるバンドが印象的でした。名前はなんだったかな。あまりライヴをやっていないのに、めちゃくちゃうまくて。訊いてみたらライヴ前に1回スタジオに入るだけっていう。
高橋 : もしかして都心じゃないですか?
鰐川 : そう、都心だ!
高橋 : いまは活動休止してるみたいですね。
鰐川 : (試聴して)あー、なつかしい! ライヴもいいけど、ぜひ音源でも聴いてほしい。
高橋 : 以前ユニオンで売っていた『3』という自主製作盤をジャケ買いしました!
ーー鶯巣くんは印象的だったライヴはあります?
鶯巣 : 最近観て良かったのは、予感システムっていうバンドです。プラハデパートっていうバンドの2人がやってるエレクトロ歌謡ユニットですね。今年の5月に活動開始したみたいで、最近YouTubeでも音源をたくさんアップしています。本人たちにメールをすればミニ・アルバムを送ってくれるっていう企画も9月までやってて。
鰐川 : メールして送ってくれるのはいいですね! バンド名もいいですね。
鶯巣 : あとは、この前観た、溶けない名前っていうバンドのライヴがすごい良かったです。「歌謡シューゲイザー」って本人たちは言ってて、ツイン・ヴォーカルでメロディもすごくいい!
鰐川 : 初期のアーバンギャルドにもこういう曲ありましたね。
ーー名古屋のバンドですよね。僕も気になってるバンドです。
鶯巣 : そうです。僕が観たのが、東京の初ライヴみたいだったんですけど、もっと来てほしいですね。いま、音源を買えるのはライヴとディスクユニオンだけみたいだし。
高橋 : 割とローカルなバンドがどこまで東京で通用できるのかっていうのはありますよね。距離の障壁をどこまで減らせるかっていうのは気になるところです。
岩瀬 : 地元でもう成り立っているから東京に来る必要がないバンドもいますよね。
ーーいまアイドルもご当地が多いですからね。ゆるキャラもご当地だし。
鶯巣 : あー、確かに。
おじいちゃんの世代のはっぴいえんどを僕らが好きっていうことなのかなあ
岩瀬 : ちょっとオシャレ系で私のおすすめなのは、っていうバンドです。鳥取を中心に活動しているみたいで、ビートルズとかの影響も感じるんだけど、決して古いわけではなくていまっぽくもある。
高橋 : 2000年代のガレージ・ロックの影響とかを受けてそうな音ですね。
鰐川 : 最近ライヴ・ハウスに行くと、こういう音楽をよく聴きますね。あとポニーテールスクライムってバンドはなんでもっと売れないんだろって感じがする。
鶯巣 : 最近「GREAT HUNTING」とかにも出ていますよね。
鰐川 : みんなまだ若くて、ストイックですげえいいと思うんだけど…。
高橋 : いつ売れてもおかしくない感じですね。
岩瀬 : 東京スーパースターズとかに近い感じですね! ストレートで、染みますね。
鰐川 : あともうひとり、ナカザワドアノブって人をすすめたいです。僕のバンドのサックスがプロデュースしてて、歌を聴くととんでもなくびっくりする感じです。無力無善寺とかでよくライヴをしています。
高橋 : ああ、渋いですね。
鰐川 : NHKの子供歌謡に出るのが目標らしいです。この人、バイトもしてなくて高円寺で弾き語りで飯を食ってるんですよ。人間的にすごくおもしろいです(笑)。
岩瀬 : いまの時代にそんな人いるんですね! 生き方がかっこいい。
鰐川 : ミロクレコーズってところから出してるんですけど、この界隈全部面白いです。弥勒(みろく)だから56億年後に救われるっていうコンセプトの元でやっている。変な黒さがあるんですよね。下北沢で漫画朗読するおっさん(東方力丸、路上で漫画を読むパフォーマー)が、普段は誘われても断るのに「お前なら出てやる」って言って、ナカザワドアノブと詩を朗読する女の子と3人でイベントをやったんですよ(笑)。
竹島 : 帰るときに頭がおかしくなってそう (笑)。
岩瀬 : もうちょっとポップなの、いきましょう(笑)!
ーー気を抜くとやばい方向に行きますね(笑)。OTOTOYっぽいのだと、はどうでしょう?
鶯巣 : めっちゃいいですよね。CDが、木の板に釘で打ち付けてあるようなわけのわからない仕様なんですよ(笑)。
鰐川 : のバンドのドラムとしても活動していますよね。
鶯巣 : 関口(萌)さんですね。彼のソロ曲をバンドで演奏しているのがアンダーボーイズなんですよ。
ーー関口さんはParadiseっていうすごいバンドもやっていますよね。
鶯巣 : アンダーボーイズのメンバーがのベースののもと(なつよ)さんとやってるSolid Afroっていうバンドも良いですよ。
ーー岩瀬さんは、ほかにおすすめのアーティストはいますか?
岩瀬 : ってバンドですね。見た目はガツガツのパンクなんだけど、音楽はすごく起伏があって、移り変わる展開とメロディがすごくいい。
鶯巣 : 売れそうな雰囲気ありますね。キーボードも入ってて、壮大な感じですね。
岩瀬 : クラシックのインスト・カヴァー・アルバムとかも出していて、アプローチもおもしろいんです。
ーーほかに言い残したアーティストはないですか? バンド以外や海外の人でもOKですよ。
鰐川 : 台湾だと、がすごく良いですね。
ーークラウド・ルーはピーヴァイン・レコードから出しているんですね。
竹島 : ピーヴァインといえば、12月にデヴュー・アルバムを出すおいしいはなしというバンドが好きです。ローファイ・サイケ・ポップ・バンドです。男女のツイン・ヴォーカルで、ちょっぴり毒があって、それでいてキュートな曲がくせになります。
鰐川 : この前、対バンしました。「草原」っていう曲が頭の中から抜けないです。
鶯巣 : 懐かしい感じで、童謡っぽいですね。
高橋 : これまでのローファイ系のバンドにはあまりない、柔らかいタッチの音とヴォーカルですね。女性ヴォーカルとこういったサウンド・アプローチを混ぜたのは、意外といままで見られなかった気がします。
ーー少しもの悲しい感じの曲ですね。ところで、最近のバンド名って日本語が多いですよね。
鰐川 : この前twitterでも誰かつぶやいてたな。僕らも「おまえら日本語の名前ばっかつけやがって」って言われるし(笑)。
ーーはっぴいえんどとかの時代は日本語ばかりだったのが、80年代後半から2000年代の初頭くらいまでローマ字ばかりになって、今はまた日本語が多い気がしますね。
鰐川 : 菊地成孔が「ジャズが来てファンクが来てヒップ・ホップが来て、僕がいまヒップ・ホップを好きなように、音楽は隔世遺伝だ」って言っていて。同じように、おじいちゃんの世代のはっぴいえんどを僕らが好きっていうことなのかなあって思ってます。菊地成孔が言っているから間違いないです(笑)。
ーー日本語名のバンドでおすすめはいますか?
鰐川 : あ、それなら、ふるえるゆびさきっていうバンドを…。
一同 : あははは(笑)。
ーーじゃあ、最後にふるえるゆびさきを聴きましょう(笑)。こちらはどんなバンドですか?
鰐川 : 失敗しない生き方と学校が同じで仲が良いんですけど、リーダーの天野(龍太郎)くんによると、「ポストcero以降の音楽って言っている奴らにナイフを突き立てるようなアバンギャルドさがある」らしくて、それにあやかってみようかなあと。
ーーカクバリズムとかを好きな人にウケそうですよね。
竹島 : すこし、ハイマラズ的な要素がありますね。
鰐川 : なんかこの状況恥ずかしいですね(笑)。
高橋 : こういう感触のものだと、洞もおすすめです!
岩瀬 : PVもすごく凝ってて、めちゃくちゃ良い!
ーー良いですね。こういうアーティストにもっと表に出てきてほしいですよね。
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