【活動休止前ラスト・インタヴュー】少女閣下のインターナショナル、音楽キャリアの集大成をハイレゾ配信
2016年7月8日のライヴをもって活動休止期間に入る少女閣下のインターナショナルが初のアルバム『殺人事件』をリリースした。ライヴでの定番曲から新曲までを収録した、まさに彼女たちの音楽キャリアの集大成といえる渾身の作品。新曲には、夏の大△・川口貴大と滝沢朋恵が作曲に参加した「グランギニョルのフラミンゴ」、元あヴぁんだんどのサウンド・プロデューサー佐々木二郎が作曲&編曲を担当した「ATARI SHOCK LOVE」を収録。既存曲にも新たなアレンジを加えており、聴きどころ満載の全15曲をOTOTOYではハイレゾ配信し、メンバー全員に活動休止前最後のインタヴューを行った。
活動休止期前、初のアルバムを配信スタート
少女閣下のインターナショナル / 殺人事件
【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/96kHz)、AAC
※ファイル形式について
【価格】
単曲 270円(税込) / アルバム 2,160円(税込)
【トラック・リスト】
1. 真夜中に餌を与えてはならない
2. mug
3. グランギニョルのフラミンゴ
4. ATARI SHOCK LOVE
5. 乙女みたいな季節
6. 少女閣下のPKウルトラ計画
7. école
8. ショートクタイシ・イズ・デッド
9. みなごろしフライデー(naked)
10. HAL451
11. 怨み節/マカロンウエスタン
12. No where on-do
13. 僕らの心電図
14. 万国お化け博覧会
15. アイドルに恋をしてはならない
※「万国お化け博覧会」のみフリー・ダウンロード可能です。パッケージページよりカートにお入れください。
INTERVIEW : 少女閣下のインターナショナル
少女閣下のインターナショナルは東京の地下アイドル・シーンでも異端だった。所謂楽曲派のアイドル・ファンたちをも困惑させようとしているかのようにセンセーショナルな楽曲群に、予定調和をぶち壊すライヴ・パフォーマンス。どちらも決して大衆性があるとは言えないかもしれないが、それは唯一無二の個性となり、シーンのなかで異様な存在感を放っていた。
ほぼすべての持ち曲を1枚にまとめたキャリア唯一のフル・アルバム『殺人事件』を残し、グループは2016年7月8日のライヴをもって活動を休止する。事実上の解散。少女閣下のインターナショナルとは、いったいなんだったのか。ギリギリのバランスで成り立っていた奇跡的な2年の歴史を、5人のメンバーとともに振り返った。
インタヴュー&文 : 前田将博
ダンスと歌をめっちゃやるグループだと勘違いして受けたんですよ(笑)(黒石)
ーー少ナショは2014年9月30日にお披露目されましたが、里咲さんが他グループに所属していた2012年頃から、現在演出を担当している長田さんたちとアイドル・グループを作りたいと話していたそうですね。
里咲りさ(以下、里咲) : 長田さんとか街田さんは元々ただの友達で。そんな話をなんとなーくしてから1~2年経った2014年のはじめごろから動き始めて、夏くらいに急にテンション上がってきた長田さんに電話で呼ばれて「オーディションやります」っていう動画を撮ったのがはじまりです。
ーー最初から自分もグループに入る予定だったんですか?
里咲 : そうです! でも、ずっとソロを並行してやっていたので、しばらくしたら抜けるはずでした。正直に言うと仕事もプライベートも暇してる頃だったので、長田さんと街田さんと遊んでようくらいの気持ちでした。
ーー当時はどんなグループにしようと思っていましたか?
里咲 : 地上を目指す! とかではなくて、ゆるい感じで曲やコンテンツを出し続ける息の長いグループになると思っていました。
ーー最初のオーディションで、なのさん、衿花さん、雨宮あまめさん、そして辞めたメンバーの4人が入ったと。なのさんと衿花さんはなぜオーディションを受けたんですか?
黒石衿花(以下、黒石) : 踊りが好きだったので、ダンスと歌をめっちゃやるグループだと勘違いして受けたんですよ(笑)。当時の少ナショのロゴみたいなものがライオンだったので、かっこいいグループなのかなと思って。
羊戸 : 私は高校生のうちにやっておけることをやりたいと思って、雨宮を誘って一緒にオーディションに行くことになって。検索して見つけたなかで少ナショだけ動画があって… この顔(里咲)は人が良さそうじゃないですか(笑)。ほかは得体の知れないのばかりで。
里咲 : やっぱり私は人を安心させる術を持ってる(笑)!
羊戸ひなの(以下、羊戸) : いまより、ぷくぷくしてたし(笑)。
ーー初ライヴから結構お客さんはいたんですよね。
里咲 : お披露目は20人くらい来てくれました。ただ次からはお客さんが1人や2人のライヴばっかりで、みんなが病んでいくという…。
ーーその状況が変わったのはいつ頃ですか?
里咲 : 11月〜12月くらいですね、ゆり丸(篠原ゆり)さんの生誕で花凛初お披露目をしたライヴとかから勢い出てきましたね。
白川花凛(以下、白川) : おいなりさん投げてよかった。
里咲 : 曲覚えなくていいからとりあえず「わー!」とやっていてくれたらいいと言ってたんですけど。はじめて、やってやった感があった。
ーー白川さんは少ナショ加入前からグラビア活動をしていたんですよね。
白川 : 14歳くらいからやっていたんですが、グラビアだけでやっているとどんどん水着の布が薄くなったり面積が小さくなったりするんです。それでこれからどうしようってなった頃に、ゆるめるモ! さんとかベルハーさんとかサブカルっぽい感じが流行っていたので、その流れに乗ろうと思って応募しました。
里咲 : かりんがオーディション用に送ってくれたプロフィールは最高すぎて「里咲は見るな!」と言われるくらいでした(笑)
白川 : グラビアってひとりで勝負しなきゃいけないので、個性が強すぎるくらいじゃないと生き残れないと思ったんですね。それを顕著に出しすぎちゃってたのかな。
ーーその後、雨宮さんが2015年4月に辞めて、もちさんと二文字杏さんが5月にお披露目。
福円もち(以下、福円) : はじめて中野ロープウェイに行ったときに店長の伊藤さんが「君はアイドルが好きなのかい?」と突然話しかけてきて、「募集している人がいるから受けてみたら?」って。
ーーもともとアイドルになりたかった?
福円 : めちゃめちゃ探していたんですけど、行くところ全部ダメで。少ナショも知らなかったんですけど、名前がかっこいいので惹かれました。
里咲 : みんなロゴとか名前にだまされちゃってるね(笑)。
今のまま続けていても未来が保証できるかわからない(白川)
ーー6人になってからは特に盛り上がってきているような印象がありました。
里咲 : 初主催ライヴで動員160人くらいいって、オファーも増えていって、夏に向けてバイブスが上がっている時期でした。
羊戸 : ふたりが入ったあとくらいがめっちゃ楽しかった。
白川 : あがってくる曲もすごくかっこよかったし。
羊戸 : 「少女閣下のPKウルトラ計画」とかその頃だよね。
里咲 : そんな感じでだんだんみんなも打ち解けて仲良くなって、遠征とかもして「楽しいね」みたいな。花凛が骨折ったりとかはありましたけど(笑)。
白川 : 6~8月はひとりだけめちゃくちゃ病んでいました(笑)。
ーー9月に全国流通で『乙女みたいな季節』を出して、11月に渋谷eggmanで初ワンマン。ミニ・アルバム『パルププログラム』リリースと勢いがあるように見えました。ワンマンは200人以上入って、里咲さんがライヴ中に涙を見せるシーンもあって。
羊戸 : そういえば泣いてた。まじエモい!
里咲 : こんなに観てくれる人がいて、メンバーのみんなもいて、手伝ってくれる運営の人とかもいて、こんな夢みたいなことって本当に起こるんだと思って。
ーーそれまでも脱退や活動休止のウワサが絶え間なくあったように思うのですが、実際グループはどのような状況だったんでしょうか。
黒石 : … 私は辞めたいと思ってないときがないかもしれない(笑)。最初はレッスンも公園だったりとかして、何をやっているんだろうと思って。ずっと、やりたかったのは違うと思いながらやっていました。
ーーどのような経緯で活動休止に向かっていったんでしょう。
里咲 : TRASH-UP!! さんのおかげでCDを出して、ワンマンがあって、すごく嬉しかったですけど、ひと通りやり尽くしてしまった空気と目指しているものが違ってきてるなという感じがしまてした。ある部分特殊な仕事だし、それぞれのやりたいことや将来と意思を尊重したいと考えてたので、話し合いとかしてました。
白川 : 高校生たち(羊戸、黒石、福円)が卒業してそれぞれの進路に向かうっていうのもあって、今のまま続けていても未来が保証できるかわからないというのはありました。
福円 : 僕は少ナショ変えてやるぞくらいの勢いだったんですが、ワンマン終わってからはまた「あれ、違う」と思うようになって。
羊戸 : 大学に入って視野が広がり、やりたいことができました。将来見据えて、お金も稼ぎたいです! 大学頑張ります!
ーーでは大きな理由があったというよりは、そういうタイミングが重なった。
里咲 : そうですね〜。あ! 少ナショをはじめた2014年の8月からつけている経理のノートがあるんですけど、それが2016年の7月で最後のページになるんです。だから最初からこれは決まっていたんだと思って納得しました! これもタイミングですね!
ーー解散ではなく休止にした理由はなんだったんでしょう。
白川 : 前日まで解散って言ってましたからね。
長田 : やりたくなったときに、いつでもやれるようにってことですよ。
ーー里咲さん、白川さん、もちさんの3人はアイドル活動を続けるんですよね。
福円 : はい。これからはもっと色んなことに挑戦してみようと思ってて飛躍的に活動できたらと思っています。福円は一体どうなるんでしょうね〜
白川 : 白川はグラビアの活動と、最近はライターをやらせてもらっているので、いい感じに半ヲタを満喫しています(笑)。
里咲 : 白川さんが書く文章超面白い!
白川 : ツイッター芸人なので(笑)。でも絵恋ちゃんがいるから…。
里咲 : さとさきはソロがんばっていきます。
ーーなのさん、衿花さんは今後どんな仕事をしたいですか?
羊戸 : 最後まであの子なんだったんだろうと終わりたい。あと、お金を稼ぎたい(笑)。将来的には、自分の趣味に近い仕事に就ければと思っています。
黒石 : いま裏方の学校の総合科に通って、PA・照明とかマネージメント、パソコンとか全部学んでいるんです。だから音楽の業界には関わっていたいですね。ダンスもやれたらいいなと思うし。
2年間夢みたいだったし最後にこのアルバムを出せて本当に良かった(里咲)
ーー最後に集大成のアルバム『殺人事件』が発売されました。
白川 : ベストって肯定的ではなかったんですけど、すごくエモい感じになりました。
里咲 : 本当に泣けるんですよ〜。2年間夢みたいだったと思うし、最後にこのアルバムを出せて本当に良かったです。みんなががんばったアルバムだから。
ーー個性の強い曲ばかりですが、それぞれ好きな曲や思い入れが強い曲はどれですか?
福円 : 思い入れが強いのは「少女閣下のPKウルトラ計画」ですね。それまではずっとメロディーがあまり音程を気にしなくていいゆるい感じのものばかりだったんですが、少ナショっぽさは残しつつアイドルっぽい曲がほしいって長田さんとかにたくさん相談してできた曲ですね。好きな曲は「ATARI SHOCK LOVE」です。
白川 : 白川は「怨み節/マカロンウエスタン」が好きです。加入したときに私のことを作曲家さんに言ってもらって、地声が低いのでかっこいい感じの曲になったんです。あと初披露のときに骨を折っていてライヴに出られないかもしれなかったんですけど、最終的に左腕が90度のまま披露したという思い出があるので好きです(笑)。
羊戸 : 私も思い入れが強いのは「怨み節」ですかね。もちに手伝ってもらいながら私がダンスを考えたんですよ。私は根暗でプライベートでは暗い歌しか聴かないので、好きな曲は「école」です。アイドル・ソングが流れてくるとめっちゃいらいらするんです。iPodに社長の「だってね。」も入れていたんですが消しました(笑)。
一同 : (笑)。
里咲 : 私はどれも好きなので決められないDDです!
黒石 : えりは「mug」が好きです。盛り上がるし、振り付けがヘドバンみたいな感じで。ロックで激しいのが好きなので。
里咲 : 振り付けをえりと花凛がやってきてくれたんだよね。あれが一番ライオンっぽい!
黒石 : ライオンが好きなわけではないんだけど(笑)。思い入れが強い曲は「乙女みたいな季節」ですね。つらかった時期にすごくやっていた曲で、初期のメンバーがいた頃に秋葉原とかでやっていたのがすごく印象に残っていて。自分のパートの音程が全然わからなくて、でも正解がないのがすごく嫌で一番泣いた気がします。
里咲 : レッスンの度に誰かが発狂してたよね(笑)
ーーカヴァー曲以外は、これで持ち曲全部ですか?
里咲 : 全部です!
ーー最後に、少ナショとは自分たちにとってどういう存在だったか訊かせてください。
里咲 : 小さい時になんとなく近所にいる人たちと集まって遊ぶじゃないですか。でも誰かが転勤とかでいなくなってしまうと、その集まりは解散になる。そういう感じがします。放課後に外でつるんで悪巧みしていた感じ。だからこうやってインタヴューとかで説明しても、あまりしっくりこないんですよ。なにやったとかもあまり覚えていないし、なんとなく一緒に遊んでいたという感じがします。
黒石 : 地下アイドルさえも知らなかったし、自分がやっていなかったら絶対関わりたくないグループだから、メンバーとしてやっているけど最後までなんだったんだろうという感じ。本当によくわからない存在です。
福円 : 脳に衝撃を与えてくれました。いまの感覚は「クレヨンしんちゃん」の春日部防衛隊みたいな気持ちなんですよ。バラバラな人たちが集結して平和を守っていく集団というか。居心地がいいですね。あと、自分を変えてくれました。それまではなにごとにも無関心な感じで先のことも考えてなかったんですけど、色々な人に興味を持てるようになりました。やりたいことを見つけるきっかけにもなりましたね。
白川 : 14歳から地下アイドルといってもカバー曲しかなくて、カラオケみたいなライヴしか出れなかったり、番組内のたった数秒間の出演権を争って有料チャットで毎日宣伝したり、活動の場がないのでとにかく必死でした。だから少ナショに入って、いままでしたことがないワンマン・ライヴやインストア・ライヴをやったりとか、CDが全国流通で出せたりとか、好きなアイドルさんと共演させていただいたりとか、素敵な経験をさせていただきました。なので、ご迷惑をおかけしてすみませんでした!
里咲 : 締めの謝罪!
羊戸 : 私はファッションや服が好きなんですけど、着る服によって変われると思っているんですよね。少ナショの活動自体が私のファッションだったというか、少ナショをやることで普段の私じゃなくいられるというか。どっちも私ではあるんですけど。
ーーそれを経たことで自分に変化はありましたか?
羊戸 : めっちゃありました! 結構はっきり意見を言えるようになったし、人として成長しましたね。それまでは自分がめっちゃ嫌いだったんですけど… いまも好きというわけではないですが、自分を認められるようになりました。
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LIVE INFORMATION
活動休止前ラスト・ライヴ
少女閣下のインターナショナル殺人事件
2016年7月8日(金)@新宿MARZ
PROFILE
少女閣下のインターナショナル
里咲りさ、黒石衿花、羊戸ひなの、白川花凛、福円もちによる5人組のアイドル・ユニット。 2014年の秋に結成し、2016年夏に活動休止する。 アヴァンギャルドでアナーキーな楽曲と、「シルエットだけで誰だかがわかる」という個性豊かなメンツが特徴。