THE THROTTLE、キャラ立ち本格始動──1stシングル『CYCLOTRON』で抜き打つ現代のJ-ロック・シーン

ニュー・サムライ・ロックンロールを標榜する5人組ロック・バンド、THE THROTTLEがバンド史上初となるシングル『CYCLOTRON』をリリース! これまで3000本を超える路上ライヴの実施や、複数の作品リリースを行なってきた彼らが“本格始動”を明言して打ち出した今作。これまではオールド・スタイルのロックを表現していた彼らだが、『CYCLOTRON』は現代のJ-ROCKサウンドの要素が詰め込まれた1枚になっている。なぜ本格始動のタイミングで、THE THROTTLEは現代の日本のロック・シーンへ向き合ったのか!? メンバー全員に話を訊いたインタヴューをお届けします。
INTERVIEW : THE THROTTLE

お気に入りのレコードやアーティストのポスターで溢れかえった秘密基地のような事務所兼スタジオで、生まれ変わったTHE THROTTLEのインタヴューをおこなった。レザージャケットにバンダナ、オールバックというロックンローラーな出で立ちで、2014年に音楽シーンに登場して以降、作品をリリースするごとに自分たちのイメージをぶち壊して突き進んできたTHE THROTTLE。彼らが“本格始動”と銘打って完成させた4曲入りのシングル『CYCLOTRON』は、2019年ロック・シーンのど真ん中を射抜く王道のJ-ROCKサウンドだ。果たして、彼らに何が起きたのか。過去2枚の作品をリリースしたメジャー・レーベル〈CONNECTONE〉を離れ、再びインディーズでDIYなやり方を選び取った5人に、結成当時から掲げる「ニュー・サムライ・ロックンロール」の現在地を探った。
インタヴュー&文 : 秦 理絵
写真 : 大橋祐希
この5人で一生いくんだなって思いますね

──今回、資料では「本格始動」と銘打ってますね。いままでも積極的にリリースやライヴを重ねてきましたけど、ギアの入れ方が変わったということですか?
SHU-GO(Gt) : ぜんぜん違いますね。もちろん、いままでも全力でやってきてはいるんですよ。路上ライヴをしながら、リリースとかツアーもやってきたし。ただ、いままではメンバーの音楽性の好みがいろいろな方向にあって、それを練り合わせながら試行錯誤している感じだったんです。
──特にアルバム『A』以降は、ロックンロールだけじゃなくて、ヒップホップ、ニューウェイブ、グラムロックまで、メンバーの嗜好がぶつかり合うカオス感がありました。
SHU-GO : そう、カオスですよね(笑)。それはそれで、俺たちのなかでは胸を張って、かっこいいことをやってきた自負はあるんですけど。今回はみんなで話し合って、「これだ!」っていうひとつのものを一緒に作りあげていこうとしたんです。
ARISA(Dr) : だから、めちゃめちゃ喧嘩したよね。

──どうして、そういうことが必要だと思ったんですか?
RYO-CHANG(Vo) : もともと俺たちは2013年5月にTHE THROTTLE(以下、ザスロ) として旗を上げたんです。当時、P.B.ZとAIのふたりはいなかったんですけど。ずっと路上ライヴをやってて、1950年代、1960年代のオールディーズなロックンロールをやってたんですね。チップを集めるために。俺らはジャズとかリズム・アンド・ブルースも大好きだし、ミスチル (Mr.Children) とか山口百恵が好きなメンバーもいて、いろいろなカルチャーがあるなかで、ロックンロールを愛しながらやってた。でも、YouTubeにあがる俺らの楽曲を見て、周囲からは「プレスリーになりたいの?」とか「ドクター・フィールグッドになりたかったの?」とか言われてきたんですよ。
SHU-GO : 本当は違うのにね(笑)。
RYO-CHANG : というなかで、いろいろ模索しながら、ビクターからアルバムを出したこともあったんですけど。『A』っていうアルバム(2017年リリース) のタイミングで、P.B.Z、AIが加入して、ひとりが抜けて。いまの5人体制になったときに、いったんメジャーを辞めて、俺たちのアジトを持って、本当の意味で自分たちが掲げてる「ニュー・サムライ・ロックンロール」を探す旅に出かけようっていう話になったんです。

──ザスロに抱かれている、ステレオタイプな「ロックンロール・バンド」のイメージをずっと壊していきたかったというか。
RYO-CHANG : うん、そのあとにリリースした2枚のEP (『FOX』と『RACCOON』) は会場限定盤だったんですけど、まさにカオスでしたからね。でも、カオスを狙ってたところもあったんです。ただ、俺らは東京ドームないし、アポロ・シアター、カーネギー・ホールでやれるようなバンドにならなきゃいけないわけで。いよいよ「俺たちのロックンロールは何だろう?」っていうことを突き詰めていく作品の第1弾が、この『CYCLOTRON』ですね。
SHU-GO : いままでの流れを知ってる人は、「こうなったんだ!?」って思うかもしれないんですけど、僕らのなかでストーリーはつながってるんですよね。
──そうやってザスロの新しいロックを突き詰めていくうえでは、自分たちだけのスタジオを持つことも必要不可欠だったんですか?
P.B.Z(Machine) : こういうスタジオを作業場にして持っているバンドは、なかなかいないと思うんですよ。だからこそ生まれてくる音楽に俺らっぽさが出てると思いますね。
RYO-CHANG : まさにDIYというかね。
SHU-GO : ロマンもありますよね。最初はRYO-CHANGが言い出したんですよ。言っても、スタジオを作るとなると、お金もかかる。でも、こういう自分たちの空間を持つことで、「自分たちだけでやる」っていう気持ちが固まったところもあると思います。
AI(Ba) : 単純に会う日数が増えたよね。
RYO-CHANG : 不幸にもね(笑)。
AI : それで(メンバー同士が)こういう性格のやつなんだとか、こういう音楽が好きなんだとか、いままで知らなかったことが見えてきて。いままでライヴで気を遣ってたところもあったんですけど、いまは「こういうことをやりたいんでしょ?」っていうのが自然にわかるんです。ここで話したことがステージに出るし、それをフィードバックさせて、曲作りにも活かせるから、ファミリー感が強まったし。この5人で一生やっていくんだなって思いますね

悲しみを知るからこそ滲み出る、幸福の輝きが好き
──それぞれのメンバーの好きな音楽を具体的に教えてもらえますか?
ARISA : 私は昭和のアイドルとか、平成初期に流行ってたような日本の歌謡曲が好きですね。メロディがきれいで。
RYO-CHANG : いちばん好きなのは?
ARISA : え? いちばんは…… 決められない。でも、山口百恵さんとか、松田聖子さんとか、辛島美登里さんとか。ピンク・レディーみたいなアイドルも好きですね。

SHU-GO : アイドルの草分け的な存在だよね。
ARISA : 1回聴いただけで、みんな口ずさめる曲が多くて、歌詞もわかりやすくて。あの昔の感じがたまらないんです。
RYO-CHANG : 僕はいろいろな音楽が好きだから、ひとつを言うのは難しいけど、自分で解析すると、悲しい音楽が好きなんですよ。ヒップホップもロックもジャズもブルースもゴスペルも然り、そういうものがグッときますよね。
──ジャンルで聴くというよりも、その音楽が持つ空気感でチョイスしてるというか。
RYO-CHANG : うん、それはあると思います。あとはクラシックピアノもやってたから、ゴージャスな音楽も好きだし。
──「悲しい音楽」っていうのは、ザスロの音楽にも出てると思いますか?
RYO-CHANG : 出ちゃうんですよ。でも、出すぎるから、ちょっと抑えるっていう作業をしてるぐらいです。悲しみを知るからこそ滲み出る、幸福の輝きが好きですね。
──P.B.Zさんは?
P.B.Z : 僕は矢沢永吉です。
──この事務所の入り口にもポスターが貼ってありますもんね。

P.B.Z : そうなんですよ。中学2年生のときに、「エステティックTBC」のCMに出てるのを見たんです。白シャツにデニムで、〈オンリーワン!〉って歌ってて、「なんだ、このかっこいいおじさんは!」ってなって。当時は、矢沢しか聴いてなかったですね。
SHU-GO : 中学2年生でしょ?
RYO-CHANG : すごい感度だよなあ(笑)。
P.B.Z : 当時はYouTubeもないから、DVDを買って、ライヴを見たんですよ。日産スタジアム(当時の呼称は、横浜国際総合競技場)でやった「TONIGHT THE NIGHT~ありがとうが爆発する夜」っていうのがあるんですけど、あれで永ちゃんが「I LOVE YOU,OK」で泣くんです。それを見て、一緒に泣いてましたからね。わけもわからず。

──当時は、好きな理由とかもわからなかったと思いますけど、いまになって、どうして自分がそこまで永ちゃんに惹かれるのか、考えたりしますか?
P.B.Z : 憧れですよね。こういう生き方って、かっこいいなっていう。音楽も、世に媚びてない。“矢沢”というジャンルをやってる。矢沢さんは9月にアルバムを出すんですけど、そのティザーを見ても矢沢なんですよ。その貫いてる感じがかっこいいんだと思います。
──AIさんは、どんな音楽に影響を受けているんですか?
AI : 僕はザスロに入る前から今も、ずっとジャズ・ミュージシャンをやっているんです。で、RYO-CHANGに誘われて、急にロック・バンドに入ることになって、改めて自分がどういう音楽が好きだったのかを思い返したんです。ASIAN KUNG-FU GENERATIONとかスキマスイッチとか、日本の邦ロックを聴いてたなって。高校生のときは、ART-SCHOOLとかTHE NOVEMBERSなどの、オルタナティヴなバンドが好きだったな、とか。
RYO-CHANG : 最初に買ったCDはなんだっけ?
AI : 最初に買ったのはエアロスミスのベスト盤。
SHU-GO : これだけJ-ROCKの話をして(笑)!?
AI : (笑)。やっぱり感受性が豊かな学生のときに聴いてた音楽は、自分のなかに沁みついてるなと思いますね。THE NOVEMBERSの楽曲は、いまライヴで聴いても泣いてしまいます。

──SHU-GOさんは?
SHU-GO : 僕もベクトルとしては、RYO-CHANGに近くて。聴く音楽の幅は広いんですけど、やっぱり好きだなと思うのは、1980年代の終わりから2000年代の初期にかけてのJ-ROCKですね。サザンオールスターズ、イエモン(THE YELLOW MONKEY)、DEEN、ミスチルといったザ・1990年代と、2000年代では、アジカンとかバンプ(BUMP OF CHICKEN)。日本語詞の曲が好きです。年の離れた姉ちゃんがいたから、大黒摩季とかプリプリ(プリンセス プリンセス) とかも聴いてて、ああいう大スターが好きですね。
──メンバーのルーツを聴いてると、今作『CYCLOTRON』で、ザスロがアンダーグラウンドなものよりも、王道のロックを目指した流れも納得ですね。
AI : 自然な流れに感じますよね。
SHU-GO : いろいろな段階はありましたけどね。僕らは大学が全員一緒で、P.B.Zは照明・音響で裏方専門、他の4人はジャズ科出身だから、ジャズのかっこよさも理解していて、大スターのシンガーに憧れてたんですよ。
RYO-CHANG : 彼はビング・クロスビーが好きで、僕はフランク・シナトラが好きなんです。いわゆるスター像に憧れるよね。
SHU-GO : スタンダードなスイング・ジャズの歌もの。一度そこから離れてたけど、ザスロがこういう流れになったときに、やっぱりルーツも聴いてるなって思いますね。

「これがザスロの音楽だよね」って、胸を張って言える
──今作の制作はそういうバンドの方向性が決まってから進んだんですか?
SHU-GO : いや、これが出来上がるまでに30~40曲ぐらいデモがあったんです。
AI : いろいろ試しながら、かっこいいなって残ったのが、これだよね。
P.B.Z : いままでは選ぶっていう作業がなかったんですよ。
RYO-CHANG : そうだね、「これかっこよくね?」って思いついたものを出してたからね。
P.B.Z : だから、今回はめちゃくちゃ時間がかかりましたね。
──作品が完成してみて、今作で曲を選んだ基準は何だったと思いますか?
AI : 一緒に歌えるかどうかっていうことですね。いままで、RYO-CHANGとSHU-GOのボーカルの技術力に頼って、難しいことをやりすぎてたんです。
RYO-CHANG : ぜんぜん、自覚はないけどね(笑)。ただ、ザスロは、ずっと裏をかいてたところがあって…… いや、自分たちで裏をかいてたつもりなはいんだけど、見え方として、反逆児、異端児、アウトローって言われがちだったと思うんです。それが、今回はちゃんとポップスなんですよ。でも、それが俺らのなかでは、いちばん裏だったりもして。
──リスナーの感覚で言うと、今作はストレートな王道ロックだけど、ザスロとしては、わりと真逆をついた感覚があるというか?
RYO-CHANG : そう。だから、真逆をやることに対して、正直、葛藤もあったんだけど。いまでは「これがザスロの音楽だよね」って、胸を張って言えるようになりましたね。ようやくストレートな道を進めている手応えを掴めてきたんです。
──全4曲のうち、RYO-CHANGさんとSHU-GOさんが、2曲ずつ作詞作曲を手がけていますけど、わりと作曲者のカラーがくっきり出てますよね。
RYO-CHANG : ああ、出てますね。
──SHU-GOさんが手がけた「Limited」と「Don't Let It Go」は、いままで以上にデジタルな音色を打ち出した、ラウドなミクスチャー・ロックで。
SHU-GO : デジタルな部分はP.B.Zの存在が大きいですね。
P.B.Z : とにかくかっこいいシンセを盛り込みたいなと思って作っていきました。
SHU-GO : いままで、こういうことをできる人間がいなかったから、やりたいと思ってもできなくて、ギターでやったりしてたんですよ。いまは、「こういう音を出したい」って言うと、「こういうことでしょ?」みたいな感じで、(P.B.Z が)PCを使って魔法みたいに出してくれるんです。

ARISA : ふたりのやりとりはめっちゃおもしろくて。SHU-GOの言ってることって、私が聞いてると、「なに言ってるの?」みたいな感じなんです。
RYO-CHANG : こいつ(SHU-GO)が言ってることは誰もわからないよね(笑)。
ARISA : それを(P.B.Zが)汲み取って出すんですよ。
SHU-GO : 女房役みたいな感じですかね(笑)。
P.B.Z : 人のやってることを具現化するのが好きなんですよ。みんな、けっこう擬音で表現してくるんです。ピカーンみたいな音がほしいよね、とか。「何なの、その半濁音は!?」ってなるけど、それが音にできたとき、「それそれ!」って言われるのがうれしいんです。

──たとえば、「Limited」を作るときに、イメージしたアーティストとかはいました?
SHU-GO : リンキン・パークとか。リンキンの1stアルバム(『Hybrid Theory』)から『メテオラ』くらいまでの作品のイメージはあったと思いますね。
P.B.Z : もともとスクリレックスみたいなダブステップとか、デジタルな曲も好きなんですよね。それは絶対にロックと噛み合うサウンドなので。
──「Limited」の出だしで、メロディとラップがまったく違う旋律で進みながら、徐々に重なるじゃないですか。あそこが最高ですよね。
RYO-CHANG : あれ、本当はラップがメインだったんですよ。でも、最終的なミックスの段階で、(SHU-GOが)自分の声を出したいから、ついた(音量を上げた)んですよ。エゴを出してきたんです。
SHU-GO : 違う違う! そういうエゴの出し方はしない!
RYO-CHANG : 全力で否定してくるな(笑)。
SHU-GO : 本当は、この曲は2番もあったんです。で、1番はメロディかラップだけでいって、2番にメロディとラップを重ねていくっていう話があったんですけど、いろいろ構成を練っていくなかで、この曲で2番はいらないってなって。そういう経緯もあったから、ちょっとメロディの音量を上げたくて。曲が良くなることを第一で考えたんです(笑)。
──なるほど。一方、RYO-CHANGが手がけた「GO CHASE」と「BONITA」は、ルーツ感もあって、これまでのザスロの文脈をしっかりと受け継いでいるというか。
RYO-CHANG : やっぱり昔のザスロらしさも、自分たちの歴史として、どこかで感じさせないといけないなと思ったんです。あと、俺はハードロックが好きなんですよ。クイーンとかスコーピオンズ、KISS、ザ・マーシャル・タッカー・バンドみたいな、アメリカン・ロックが好きなんですよね。
──ダイナミックでスケール感のある?
RYO-CHANG : そう。でも、もうオールド・ロックンロールはやりたくなかったんです。で、現在のマネージャーに出会ったときに、彼はハードコア・バンドのベースをやってるから、僕のなかにハードコアっていうカルチャーがやってきたんです。で、もうひとつはパンク・ロックですね。この掛け合わせがファッショナブルに感じたんです。
──具体的に言うと、どのへんのバンドですか?
RYO-CHANG : ハードコアでいうと、先日、来日ライブを観に行ったVITAMIN Xです。パンク・ロックでは、SAですね。岩手のフェスで対バンしたときに、超かっこよくて。ファッションを見てもテッズ(テディボーイ) ですし。だから、俺の作った曲は、ハードコア、パンク、SA感に、ちょっとだけロックンロールとヒップホップって感じですね。
このメンバーだから、このファミリーだから、全員でここまで来られた
──いままでの作風と比べると、特にリズムのアプローチがまったく違うと思いますけど、ARISAさんはドラマーとして、どういうスタンスで今作に向き合ったんですか?
ARISA : 昔のザスロとはまったく違うから、正直大変でした。この作品ができあがるまで、私は「なんでストレートなオールド・ロックンロールをやらないんだろう?」と思ってたんですよ。というのも、『CYCLOTRON』に辿り着くまでに、ザスロがやってきたことはそれなので。そこを離れて、いろいろ模索するなんて、不自然だし、遠回りしているだけなんじゃないの!? と思ってたんですね。でも、みんなで話し合って、喧嘩をして、この作品ができて、ライヴをしていくなかで、ようやく「これだ!」っていう感覚を掴んできた手応えもあって。いまは、これが5人でやる音楽として、正解だと思えるようになりましたね。

──AIさんは、どうでしたか?
AI : 僕はこういう音楽も好きだから、ベースの幅が広がるのが楽しかったです。「歪みを増やしていい」とか、「どんどん大きい音を出して」って言われると、「いいんですか!?」って感じで(笑)。いままで、ヒップホップ調の曲では、クールにかっこつけてライヴをやることが多かったけど、いまはトレブル(アンプで音域を調整するツマミ) をバーンって上げて、ヘドバンもして、「楽しい!」って感じですね。わりと変化を楽しんでます。
──歌詞を書くうえでは、何か意識したことはあったんですか? 日本語と英語の語感を大切にしながらも、力強いメッセージが多いな、と思いましたが。
SHU-GO : これは再確認したことだったんですけど、「いま大活躍しているミュージシャンの音楽に救われている人間がたくさん存在してる」と思ったんです。俺も、そのひとりだったし。歌詞で歌われてることって、ふつうに言葉だけ聞いたら、ダサいかもしれないし、幼稚に感じるかもしれないけど、その歌に、音楽に、命を助けられてる人もいるんですよね。それを踏まえて、ちゃんと人の心に響く歌詞を考えようと思いました。
──再確認したきっかけは何かあったんですか?
SHU-GO : いろいろなバンドのライヴを観るときに、意識的にお客さんの反応を見ていたんですよ。それで、「なるほどな」と思ったというか。アーティストの発する一字一句で、お客さんが楽しんだり、悲しんだりしてたんですよね。いろいろな場面で音楽に助けられてきたから、そのアーティストのことを心から愛してる。っていうことに気づいたうえで、今回の曲や歌詞を作っていったんです。
──いろいろなエンターテイメントがあるけど、みんなで一緒に感情を爆発させるようなものはないですよね。
RYO-CHANG : そう。ああいう光景を見ると、J-ROCKは、やっぱり特別な魅力を持っていると思います。オーディエンス各々がゆっくり揺れて、「気持ちいいね」って言いながら、シャンディ・ガフを呑むっていうだけじゃない。みんな、本気で涙と汗を流してるんですよ。そのステージに立っているアーティストに必要な力とは何かをいま、考えています。
SHU-GO : 俺らも、ああいうふうにならなきゃいけないっていうことですよね。

──ザスロって、これまでも作品をリリースするごとに変化を恐れずに、自分たちのロックを模索してきたように見えますけど、なぜ、そういうことができるんでしょう?
SHU-GO : いや、怖いですよ。どちらかと言うと、僕らはそういう風に安易に自分たちの表現を変えることをディスってたんですよ。だから、今回の作品を作るうえでは、少なからずバンドのなかで争いがあって、一筋縄ではいかなかった。このメンバーだから、このファミリーだから、全員でここまで来られたっていう感じなんです。誰かがザスロをやめてもおかしくなかったよね?
RYO-CHANG : わりと「解散かな」っていう空気が流れた時期もあったし(笑)。
P.B.Z : こうやって笑顔で喋ってるのが不思議なぐらいの荒療治だったよね。

──でも、いまは変化をして良かったと思ってるわけですよね。
AI : そうですね、このシングルの曲はリリース前から、ライヴでかなりやってるんですけど、お客さんが見せてくれる景色が違うんですよ。1~2年前とはノリがぜんぜん違うから、ちゃんと楽しい方向にいってるなっていう手応えがあるし。
SHU-GO : やっぱりお客さんが喜んでるほうが嬉しいもんね。ポカーンってされるより
RYO-CHANG : ポカーンとされてきた期間が長かったからね(笑)。
AI : お客さんが手を上げる位置が一緒なんですよ。僕たちはずっとそういうのを求めてたし、逆に「ここで盛り上がるんだ!?」みたいな、思ってたのと違う反応が起きて、勝手にひとり歩きしていく曲もあるし。そういうことが、いまは新鮮で楽しいですね。

THE THROTTLEの過去作品も配信中!
LIVE INFORMATION
ALL Need is LIVE -THE THROTTLE 1st Single”CYCLOTRON” Release Party-
2019年7月26日(金)@下北沢GARAGE
OPEN 19:00 / START 19:30
チケット料金 : 前売り¥2500 当日¥2800 +1D
出演 : THE THROTTLE / THE NUGGETS / The First Penguins (OA)
“水曜日のスロットル”
2019年8月9日(水)@下北沢GARAGE
OPEN 20:00 / START 20:30
チケット料金 : 前売り、当日R ¥500
出演 : THE THROTTLE / Kroi
PROFILE

THE THROTTLE
2013年5月25日に活動をスタート。RYO-CHANG(VOCAL)、SHU-GO(GUITAR)、AI(BASS)、P.B.Z(MACHINE)、ARISA(DRUMS)の5人を中心にファミリーで制作活動をDIYで行なっている。活動開始当初、渋谷・新宿のストリートで3000本を超える路上ライブを展開。これまでに〈ビクターエンタテインメント〉内レーベル〈CONNECTONE〉より2枚のアルバムをリリースし、2018年に独立。自主インディーズレーベル〈CHIKARA LABEL〉を旗揚げ。ジャンル問わず、現代を示すロックを表現しているバンドを招集して開催するパーティイベント〈ROCKER ROOM〉を不定期で企画。対バン型屋内路上ライブイベント〈水曜日のスロットル〉を、ほぼ月一で水曜日に下北沢GARAGEと共同開催中。デジタル・ハードコア・パンク・バンド、SPARK!!SOUND!!SHOW!! と不定期で対バン企画ライブ〈抗争〉を全国で展開中。Spotify にてサブスク宅録楽曲シリーズ「TAXI DRIVER SERIES」を公開。不定期でゲリラ的に新曲をUPしている。
編集 : 伊達恭平
編集補助 : 矢野圭将