つんく♂さんらしいエールとして背中を押していただいたような気がして
──今回のアルバムの歌詞を書く上で、作るのが難しかった曲はどれですか?
前島:“五月雨”ですね。この曲はチームの方から「夏、恋愛、せつなさ」という歌詞のテーマのオーダーがあって書いたんです。それで普遍的な、誰もが情景を思い浮かべられるような歌詞にしたいなと思って、とても悩みましたね。
──どうやってその悩みは解決したんですか?
前島:いろいろな作詞家さんの本を読んで勉強しました。その中で、今回“女神 Stay Gold!”で楽曲提供をしてくださった、つんく♂さんの本のなかに、作詞の極意のようなことも書かれていて、それがとても勉強になったんです。そのおかげで、歌詞の視点を定めることができて、無事に書き上げることができました。

──“女神 Stay Gold!”は、前島さんが敬愛するつんく♂さんが楽曲提供をされています。
前島:私自身、過去にはハロー!プロジェクトのオーディションを受けていたんです。そこから紆余曲折、様々な経験を経て、今回なんとつんく♂さんとの作品が実現しました。まさかこんな日が来るなんて、まだ少し信じられないくらいです。
──制作はどのように進んだのでしょうか?
前島:まず私から、つんく♂さんにお手紙を書かせていただいて、それがきっかけで実現したんです。熱意が届いて、本当に夢が叶いました。本当に嬉しいです。
──どんなイメージで制作をお願いしたのでしょう?
前島:私からつんく♂さんに「こういう楽曲にしたい」とお願いさせていただいたんです。私はBerryz工房さんが大好きで、特に“スッペシャル ジェネレ〜ション”という楽曲があるんですけど、ライブでは伝説的に盛り上がる曲なんですよ。そういう楽曲を目指したいとお伝えしました。もうひとつは、つんく♂さんが書かれる人生賛歌のような歌詞が本当に大好きなので、そういった世界観でお願いしたいとお伝えしました。それだけお願いして、あとはすべてつんく♂さんにお任せしました。
──この歌詞は理想だけではなく、人生のリアルも描かれていますよね。
前島:そうなんです。私は1番Bメロの「奇跡を夢見る女子高生だったけど」という一節が、本当に刺さってしまって(笑)。女子高生くらいの頃に、つんく♂さんと共演させていただいたことがあって、そのときに「私はハロプロが大好きなんです!」というお話もしていたんです。そのことまで思い出してしまって、レコーディング中も泣きそうになりました。
それにサビの「眩しくて 眩しくて 輝かしい 未来だろ」や「ほら 怯むな もう 勝つしかないんだ」といった言葉には、静かな闘志や内に燃える青い炎のようなものを感じるんです。「頑張れ」と直接言うのではなく、つんく♂さんらしいエールとして背中を押していただいたような気がして、特に心に刺さっています。
──すごく良い歌詞ですね。
前島:あともうひとつ、個人的にうれしいなと思っているのが、グループ時代に歌っていた“赤い情熱”という楽曲で、「勝利の女神は振り向くよ」というパートを歌っていたんです。時が経って、「自分が勝利の女神として輝き続けるんだ、私がやるしかないんだ」ということを、つんく♂さんに言っていただけたということがすごく嬉しくて。若いころの自分も肯定して、一緒に前に進めるなと思いました。これからずっと歌わせていただくなかで、ずっと勇気をもらえる曲になりましたね。

──“Jeanne d'Arc”も、“女神 Stay Gold!”と同じく、勝利の女神というテーマに通じる楽曲ですね。
前島:そうなんですよ! そこが共鳴しているのも、個人的にはうれしいです。“Jeanne d'Arc”は、ジャン・アヌイさんが書かれた『ひばり』という私がすごく好きな戯曲がテーマになっています。これは、ジャンヌ・ダルクを描いた戯曲なんですけど、いつか舞台で『ひばり』のジャンヌを演じることが、私の人生の夢なんです。それくらい、自分にとって大切な物語なので、このテーマは絶対に入れなければいけないと思いました。
──楽曲自体はハードなロック・チューンですね。
前島:作曲・編曲はfripSideなどを手がけられている齋藤真也さんにお願いしました。「ライブで盛り上がる、かっこいいデジタルロックをお願いします」とオーダーして制作していただきました。
タイトルは“Jeanne d'Arc”なんですけど、描いているのはあくまでも私自身のことなんです。ジャンヌ・ダルクに共鳴し、彼女を演じたいと願う自分の視点で書いています。舞台用語を取り入れることも私らしさになるかなと思って、歌詞には「悲劇」や「喜劇」、「外連味(けれんみ)」といった舞台や演劇にまつわる言葉をたくさん入れています。演劇に真剣に向き合ってきた自分だからこそ表現できるものを、歌詞にも落とし込みたいと思いました。
──この曲には、決意表明のような印象も受けました。
前島:そうですね。ジャンヌ・ダルクの精神といちばん重ね合わせているのが、1コーラスとラストサビにある「恐れなどとうに終えたわ」というフレーズです。これは『ひばり』で描かれるジャンヌ・ダルクの人物像から大きな影響を受けています。
『ひばり』の中に、「恐れることを先に終えてしまった者がいちばん強い」という考え方があるんです。戦場へ向かわなければならない状況で、本当に強い人とは誰なのか。それは恐れをなくした人ではなく、恐れを受け止め、乗り越えた人なんだという考え方が、私はすごく好きなんです。私自身も、不安や緊張など、さまざまな感情と向き合いながら表現活動をしています。この曲の中で「恐れ終える」ことができたら、もっと強く、自分らしく戦っていけるんじゃないかと思って、この言葉を書きました。
──ご自身としては、もう「恐れ終えた」という感覚ではないのでしょうか。
前島:そうですね。過信や慢心はしたくないので、「もう恐れ終えました」と言い切るのは違うと思っています。でも、自分の中にある恐れも含めて受け止めていくことが、『POLYPHONY』という作品のテーマでもあると思うので、そういう気持ちでこれからも歩んでいきたいですね。














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