バーチャル空間から〈サマソニ〉を目指して──Vsinger、猫 The Sappinessはどのようにして歌を届けるのか?

元室内飼いの猫の願いが星に届き、ある日、人語を喋る“猫 The Sappiness”の姿に──。今回、そんなVsingerとして活動する彼女へインタビューを実施。ボカロ楽曲のカバーや、堀江晶太をはじめとするさまざまなクリエイターによる書き下ろしオリジナル楽曲などを継続的に投稿し、その確かな歌唱力と、聴くものを魅了する表現力でバーチャル・シーンに鮮烈なインパクトを与えている猫 The Sappiness。彼女の歌唱に影響を与えた「マクロスF」についてや、VRChat空間を活かした活動に加え、〈サマソニ〉を目指すという今後の展望までたっぷり語ってもらった。
Synthionが手がける、エレクトロ・チューン
INTERVIEW : 猫 The Sappiness
インタビュー&文 : 森山ド・ロ
猫らしく、きまぐれに幅広く──
──音楽を意識して聴き始めたのはいつ頃ですか?
アニメの「マクロスF」を見たのが完全なきっかけで、同時に歌を好きになったきっかけでもありました。
「マクロスF」を見ていなかったら、音楽に触れる機会はほぼなかったと思います。
──音楽をやってみようと思ったのは完全に「マクロスF」だったんですね。
そうですね。アニメの影響で完全にMay'nさんに憧れてしまって。最初の方はMay'nさんの真似をしてよく歌っていました。そのうち歌が上手いと言われることが増えたんですね。毎日のように聴いて、ずっとずっと歌っていたので、音楽というか歌がちゃんとできるようになってきたのかもしれないです。

──音楽活動を始めて音楽の趣向に変化はありましたか?
めちゃくちゃあるかもしれません。Chillっぽい音楽はほとんど聴いてこなかったですし、どっちかというとガンガンいく感じのジャンルというか。バラードよりもロックサウンドが好きではあったんですけど、音楽におけるエモの要素みたいなものを、強く求めてた節はありました。
──これまでネコザさんがリリースしてきた楽曲を振り返ってどう感じますか?
これまでロック・サウンドのようなアグレッシブな楽曲を聴いたり歌ったりしてきたんですけど、これまでリリースした楽曲は、本当にいろんなジャンルで、むしろアグレッシブな楽曲は少ないんですね。その中で自分がどうハマっていくかというのが全く想像ついていなかったんですけど、挑戦してみると今まで感じたことのない魅力があるなと思っています。
──どのような魅力を感じたのでしょう
“散歩”や“1R Vacation”はネコザというシンガーを構成していく段階であり、猫 The Sappinessの真骨頂とも言えるんですよね。ほとんど体験したことのない音楽だったんですけど、それがすごくいいなと自分では思えたので、今はロックに固執してるわけでもなくて、いろんな音楽をやっていきたいと思っています。
──今年3月“Your Own Daybreak”は、正真正銘のロック・サウンドですが、なぜこのタイミングでロックをやろうと思ったんですか?
“Your Own Daybreak”は、ある種“成仏するための曲”みたいな側面があります。これまで私はお家の中にいたんですよ。だからお家だったり日常に近い曲が多かったんですが、この新曲でようやく家の玄関が開けられたという状況なんですね。この先の活動の転換になる曲として、私と一番親和性の高い曲で飛び出していく決意を歌いたいなと思いました。
──なるほど。これからはロックに専念していく...というわけではない?
私の歌声を世に届けていきたいと思ったときに、できればたくさんの人に届いてほしいんですね。なので、あえてジャンルを絞らずにやっていきたい、という思いがあって。毎回いろんなクリエイターの方と制作して、それぞれの色をしっかり出していこうとしています。
──幅広いリスナーを獲得していきたいんですね。
そうですね。シンガーとして世の中に何を残していくのかと考えたときに、いろんなところに爪痕を残していった方がいいんじゃないかと思ったんです。なんだかんだ私って気まぐれなんですよ。猫ですし。すぐ気が変わるので、その性質を音楽で表現するなら、やっぱり様々なジャンルに挑戦することかなと。だからあえてジャンルは絞らない方向でやっています。
──これまで歌ってきた楽曲で苦労したジャンルや「こういう歌い方は今までしてこなかったな」というものはありましたか?
曲の難易度でいうと“猫のみぞ知る”が一番難しかったです。特にサビが難しすぎて......。ラップっぽい入り方をするんですけど、ああいう表現はこれまでやってこなかったので、苦労しました。でもやっていくうちに楽しくなっちゃいましたね。
──チルい楽曲はどうでしたか?
全体的に難しい曲が多いんですけど、特にチル系の楽曲は難易度が高い印象です。ポップス寄りではあるんですが、ノリがアップな曲はある程度テンションを上げていけば成立する部分もあって。“盛り上がりすぎてはいけない”チルさの表現といいますか。曲としてのピークなんだけど、ピークになりすぎてはいけない、というバランスがすごく難しくて。開放的に歌いたいところを、頑張って抑える難しさはありましたね。“1R Vacation”は本当に難しかったです。






























