2020/04/06 18:00

【Save Our Place レポート】いま、ライヴハウス / クラブで何が起きているのか? ──小岩BUSHBASHの現状

現在、新型コロナウィルスの感染が世界中で日に日に拡大している。音楽業界でもその影響は大きく、感染のリスクを避けるため、さまざまなライブイベントの中止が発表された。また、集団感染が確認されたことから、ライヴハウスやミュージシャンたちへのバッシングも発生している。いまライヴハウス / クラブではどのような変化が起き、どのような状態に立たされているのか。小岩BUSHBASHのオーナー、柿沼実に話を伺った。

このインタヴュー当日に行われた無観客ライヴ『CRYMAX BROADCAST』のライヴ音源を、『Save Our Place』企画第一弾として現在配信中。



3月29日に小岩BUSHBASHで開催された無観客ライヴ〈CRYMAX BROADCAST〉でのライヴ音源。Limited Express (has gone?)の新曲やDEATHROの無観客コールアンドレスポンスなど、4組それぞれの渾身の楽曲を収録。また、当日の様子を撮影したブックレットも同梱している。


撮影 : 大石規湖 / 西田健 / 水上健汰
PA / 録音 : 松田健一 / 大畑修平
ステージ : 久我真也
写真 : 大橋祐希
ジャケットデザイン : 佐野貴久
THANKS TO 柿沼実, OTOTOY and ALL OUR FRIENDS

収益はクレジット決済手数料を除いた全額を小岩BUSHBASHへのドネーションにあてます。

INTERVIEW : 柿沼 実 (小岩BUSHBASH )

このインタヴューを実施した3月29日、東京では桜と共に雪が降っていた。異常な天候はこの事態を象徴しているようだった。いま、世界は新型コロナウィルスの影響で混乱している。音楽業界でもライヴハウス / クラブで集団感染、ライヴハウス / クラブへのバッシングがどんどん加熱している。そのなかでライヴハウス / クラブへの補償を求める「Save Our Space」の活動も行われている。小岩BUSHBASHのオーナー、柿沼実の言葉は文化を守ってきた人間からの悲痛な叫びだ。OTOTOYではライヴハウスを助けたいという気持ちで「Save Our Place」というプロジェクトを立ち上げた。私はライヴハウス / クラブに日常が戻る日を心の底から願っている。

インタヴュー&文 : 西田 健
撮影 : 大橋 祐希

正直、この状態が続くと生活ができない

──いまの現状をお伺いしたいのですが、BUSHBASHはどのようなことに困ってらっしゃいますか?

柿沼:新型コロナウィルスの影響が日本でも拡大していく中で、お店でやっているイベントやライヴがどんどんキャンセルになり、店の営業としてできることが少なくなっています。実際かなり困窮している状態です。

──時期的には、どの辺りから変わってきましたか?

柿沼:2月後半のイベント自粛の要請から、いろんなところに影響が出はじめました。お客さんも減りはじめたし、予約を入れてくれる人が少なくなってきて。なかなか足を運んでくれなくなってしまいましたね。

──最初はどのように感じていたのでしょうか?

柿沼:一番最初の段階で、とても大変なことになってきたと思いました。実際どうしていいのか、どういう対応をすべきなのかがわからない。知識としても僕らが持てるものや考えられるものも少ないですし。でも僕らはそれが仕事なので「営業を続けていく」という選択肢しかないわけじゃないですか。これをやらなければ生活していけないという状態の中で、不安がありながらなんとか営業を続けています。

──いま(このインタヴューは3月29日に実施)、まさに週末の外出自粛を都内で求められていますが、またモードは変わってきましたか?

柿沼:かなり変わりましたね。さらに客足は減りました。明らかにこの2日~3日前から大きく。ウチはまだギリギリやっていますが、別のライヴハウス / クラブではもう厳しいという話もあります。

──状況はさらに厳しくなっている?

柿沼:働いている人の生活はもちろん、音楽自体をやる人もライヴハウス / クラブのような場所がなければできない。いろんな人が関わってこういう場所ができている。たとえば、フリーランスでやられている照明さんやPAさん。アーティストが作る物販も売る場所がないから業者も苦しくなってくる。どんどん末端にしわ寄せがくるわけで。いろんなことが密接に関わりあっていて一個潰れるとドミノ倒しのように崩れていく。このままだとみんなダメになってしまうんじゃないかという不安があります。

──なるほど。

柿沼:コロナウィルスというものが新種の病気ではあるので、怖いものであるという認識はありますが、国とか政府とかがどう対応していくのかということに対して、ちゃんとした補償や要請ではなく指示が出てなかったことによって、みんながどうしていけばいいのかわからなくて、それが混乱に繋がっていったと思います。

──たとえば十分な補償が示されたとしたらどうしますか?

柿沼:いまの状況を考えると、感染拡大がやはり心配なので補償があれば店を閉じるということも考えられる。しばらくは営業を休止しながらも、自分たちでできることを考える時間ができる。配信なども具体的な形でやっていきたいなと思いますね。でも補償がないままだと、やりようがないんですよね。正直、この状態が続くと生活ができない。つまるところ、いろんな状況を安定させて、新しい出来事に対して自分たちでどう社会の中で付き合っていくかというバランスがとれないと、僕らはもう生活をしていくことができないです。

ライヴハウス / クラブという場所は厳しい社会からの逃げ場でもある

──ライヴハウス / クラブで集団感染が確認されて、ライヴハウス / クラブへのバッシングのような事態にも発展しています。

柿沼:報道の「ライヴハウス / クラブで感染」というようにいろんな人の目に触れるところで特定の名前を出すということがどういう風になるかっていうのは、想像しうることだったと思うんです。なのにライヴハウス / クラブが悪のような報道をするというのは、みんなの不安とかをそらすために、僕らは槍玉に挙げられたという感じがします。ライヴハウス / クラブで働く僕たちはスケープゴートにしかなってないし、みんなの捌け口をそこにしただけだと思います。実際に存在している病気の脅威とは別の話で、こんなひどい社会なのかと思いました。

──まさにいま、ライヴハウス / クラブが諸悪の根源のように言われていますね。

柿沼:ライヴハウス / クラブがスケープゴートにされているという現状と、自粛を要請する中で補償の案が一切でないというのは、すごく極端な言い方をすると「もう死んじゃえば?」みたいな話じゃないですか? 我慢にも限界はあるわけで。このままだと本当に生活ができなくなってしまう。やっぱりいまのこの状況を乗り越えられるのかというところなんですけど、あまりにもいろんなことが酷すぎて「我々は社会の一員じゃなかったのかな?」とまで思います。

──疎外感のようなものがありますか?

柿沼:こういうお店をやっていることで、普通に生活している中でも感じていたところはあるんですけど、この状況からはじまる一連の流れの中で、さらに苦しさは増すというか。僕は音楽が好きだからこういう職業をやっている。そこでの体験がすばらしいと思ってやっている。それをみんなで同じ場所で体験する。それがなにより大切なことで、やりがいが何より大事で、そういうことがやれないということ自体が精神衛生的にもかなり厳しくなっています。

──なるほど

柿沼:体のひとつをもぎ取られたような感覚です。音楽は自分の必要な要素のひとつになっているから。ライヴハウス / クラブという場所は厳しい社会からの逃げ場でもあると思うんです。音楽がないと苦しい人たちがいるからライヴハウス / クラブがある。いろんな人がいて、その人たちが存在していける場所だと思うんです。そういう人の手助けをできないという苦しみもありますね。

──ライヴハウス / クラブはそういう人を助ける場所にもなっていたと。

柿沼:自分的にもそういう場所であってほしいなと思っていたので、ちょっといまの状況は参っちゃうなと。それがいちばん悩んでいることかもしれないですね。しかも、いまは営業をすることによって、社会から敵視されて憎しみの的になるっていうのは、極端に言えば自分たちは存在してはいけないのかなとも思ってしまいます。

──そこまで追い込まれている状態なんですね?

柿沼:こういう困窮したときには、文化的な物は一切必要ないと世の中からは思われているのかなと。でもこういうときだからこそ、文化的なものは必要だと思うし、人間が人間たりうる要素だと思います。それがなくなっちゃったら、ただ生きているだけっていうか。なんのために生きているのかという話でもあるし。でも、その中でも助けてくれる人や新しい動きをしている人がいたりだとか、それこそ「Save Our Space」という署名活動をしてくれていることは支えになっていますね。ああいう動きが自分たちの言いたいことを形にしてくれていますし、賛同者がいるというのは、励みになっていますね。

──はい。

柿沼:どうにか乗り越えなきゃという状況にありながらも新しく手に入れたものもたくさんある。そこにはすごく希望はあるし、これからやってくる社会のあり方がわかったような気はします。場所の補償を求めるだけではなく、これからのことをさらに頑張って動いていきたいなという感じです。

【小岩BUSHBASH 公式HPはこちら】
https://bushbash.org/
【小岩BUSHBASH 公式ツイッターはこちら
https://twitter.com/KOIWA_BUSHBASH
【小岩BUSHBASH Youtubeチャンネルはこちら
https://www.youtube.com/channel/UC8BJ3jMOvDNJXzeJWygf-vA

『Save Our Place』

OTOTOYは、音源配信でライヴハウスを救うべく、支援企画『Save Our Place』をスタートさせました。『Save Our Place』では、企画に賛同していただいたミュージシャン / レーベルが未リリースの音源をOTOTOYにて配信します。その音源売り上げは、クレジット決済手数料、(著作権登録がある場合のみ)著作権使用料を除いた全額を、ミュージシャンが希望する施設(ライヴハウス、クラブ、劇場など)へ送金します。

詳細はこちら
https://ototoy.jp/feature/saveourplace/


この記事の筆者
西田 健

1990年生まれ。熊本出身の九州男児。2019年までイベント業界で働きながら、福岡親不孝通りにてJ-POP、アニソンのDJ活動を行う。その後上京し、OTOTOY編集部にてアイドル、アニメ関連を中心に担当。映画、深夜ラジオが好き。

O'CHAWANZ、ゲストの魅力をラップで引き出す『コラボ』アルバム

O'CHAWANZ、ゲストの魅力をラップで引き出す『コラボ』アルバム

勇気を出して踏み出して──MyDearDarlin’インタヴュー後編

勇気を出して踏み出して──MyDearDarlin’インタヴュー後編

これから出会うあなたへ──MyDearDarlin’インタヴュー前編

これから出会うあなたへ──MyDearDarlin’インタヴュー前編

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.84 30歳

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.84 30歳

4人組楽曲派アイドルグループ、EMOE─『Negative』のなかに光を見出す

4人組楽曲派アイドルグループ、EMOE─『Negative』のなかに光を見出す

いま話題の音楽原作キャラクタープロジェクト〈電音部〉、ロスレス配信中!

いま話題の音楽原作キャラクタープロジェクト〈電音部〉、ロスレス配信中!

KAQRIYOTERROR×作詞家・GESSHI類 対談

KAQRIYOTERROR×作詞家・GESSHI類 対談

PEDRO、〈LIFE IS HARD TOUR〉最終公演 ライヴ・レポート

PEDRO、〈LIFE IS HARD TOUR〉最終公演 ライヴ・レポート

TOP