
連載5回目となる今回の『kilk records session』は、先月に引き続きレーベル座談会をお届けする。メンバーは、kilk recordsの森大地、前回も登場していただいた術ノ穴のkussy、そしてNovel Soundsの根岸たくみ、Wonderyouのエリーの4人。ものすごいスピードで時代が変化する中、レーベルを運営している4人はどのような考えを持って活動しているのか。それぞれが持つアイデアと意見を、惜しみなくぶつけ合ってもらった。
恐らく「これが答えだ! 」というものはないだろう。なぜなら、音楽に対するニーズは多様化しており、そこに向けて個人でできることも増えているからだ。裏返して言えば、アイデアさえあれば、いくらでもやり方があるということでもある。そんな現状の中で希望を持ってレーベルを運営する4人に集まってもらい、座談会を行った。
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進行&文 : 西澤裕郎
正式デビューを果たした虚弱。の先行フリー・ダウンロード
虚弱。 / 哲学者の画壇
その生成も隆盛も、そして衰退をも経験した彼女達が次に目指すのは、次のポストロック・サウンドを生成すること。一足早く届いたデビュー・アルバム『孤高の画壇』は、ヴォーカロイドをフィーチャーした楽曲や、エレピをメインに置いた楽曲等、バラエティに富んでいる。
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V.A / Kilk Records Sampler 2011 Summer
【TRACK LIST】
1. Rehearsal(Ekko) / 2. Retrospect(üka) / 3. Atlas(Tie These Hands) / 4. Bold Chain(Hydrant House Purport Rife On Sleepy) / 5. Summer(Gamine) / 6. Shower Drop(Melodique) / 7. sincerer-y(nemlino) / 8. Fading Sigh(Ferri) / 9. Goodbye(Chris Olley) / 10. egoist(studio live ver./虚弱。) / 11. Zhulong(alternative version/urbansole) / 12. Glow(Worm Is Green) / 13. life(bronbaba) / 14. The Sea , The Room(Aureole)
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音楽を「産業」として放棄してはいけないと思う
——まずは、今回新たに参加していただく2人から自己紹介をお願いします。
根岸たくみ(以下、根岸) : Novel Soundsというレーベルの代表代理をしている、根岸たくみと申します。もともと、swimmingpoo1とBertoiaというバンドでレーベルに所属していたんですけど、昨年からレーベル・オーナーの代わりに運用もしています。よろしくお願いします。
エリー : NATURE BLISSという会社で、Wonderyouというレーベルを主宰している、エリーと申します。会社の中でレーベルをしているので、個人でやっている方のご意見もお聞きできたらと思います。よろしくお願いします。
——最初の話題として、2012年1月、HEADZに所属していたサンガツが著作権を放棄したニュースを取り上げたいと思います。ネットを中心に話題になりましたが、レーベル・オーナーであるみなさんは、どういう風に感じたのでしょう。
森大地(以下、森) : まず誤解がないように言っておきますと、サンガツさんのことは大好きだし尊敬もしています。その上でお話しますが、率直に言えば、とりわけ新しいことでもないかなと思いました。インディーでやっている人たちは、すでにそれに近い姿勢でやっているわけですし。もちろん、うちは完全に著作権フリーって言い切っていないんですけど、それはなぜかっていうと、例えば戦争促進のためだったり、自分の望んでいない形で使われたりする危惧があるからで、著作権に関する問題ってそれくらいの感覚なんですよ。時代の流れ的にもフリーの精神は当たり前のことで、あえてみんな公に言わなかっただけだと思うんです。でも、それをちゃんと話題にしたことはいいなって思います。
kussy : 俺も、そんなにビックリするようなニュースでもないかなと思いました。俺らは、権利が発生するものは1回1回直接話していけばいいと思ってやっているから。

——とはいえ、「どうやって音楽でメイク・マネーするか」という制約から自由になって、未来に身を委ねることにしたことは、一歩踏み出した感はありますよね。
森 : 確かにそうですね。ただ、我々はそこを放棄するわけにはいかないんですよ。僕たちはレーベルなので、マネタイズの部分は切り離すことはできないし、音楽を産業としても放棄してはいけないと思うんです。もちろん具体的なアイデアも色々考えていて、例えば、年間5000円を会費にして音源は落とし放題にするとか、1万~2万円でファン・クラブみたいにして、うちが主催するライヴも全部無料にするとか。
根岸 : つまり、年間パス制ですね。
森 : あと、Spotifyみたいにストリーミングで全曲聴き放題にして、それを広告費でまかなうとか。うちはJASRACに登録していないので、いくらでもそういうことはできるし、宣伝兼フリー専用のメディアにしてもいいかなと思っています。どちらにしろ、音楽産業そのものを否定するのはイヤなんです。音楽産業が成り立たないかというと、そんなことはないと思っている。
kussy : 今の話を聞いていて思ったんだけど、森くんはどこかのタイミングでCDをスパッとやめようと思う?
森 : 場合によっては、それもあるかもってくらいかな。バンドを応援したいと思ってCDを買ってくれる人が増えているように感じているんですよ。そういう人たちがいる限り、そこはまだ分からないです。ただ、もしかしたら10年後20年後に、CDの値段は限りなくゼロに近くなっているかもしれない。だけど、ライヴに来るお客さんは、いなくならないと思うんです。要するに、「所有」から「共有」に価値観が変化してきているんですよね。だから、うちは徐々に音楽事務所的な仕事も増やしていこうかとも考えています。いくつかの書籍(例えば『デジタル音楽の行方』)でも言われているように、プロバイダー料に500円くらい上乗せすることで、限りなく0円に近い形で音源を聴けるようになるかもしれないですし。
kussy : Napster的なことだよね。定額を払っておいて、音源は取り放題っていうのは。
根岸 : 有線を自分の家に引くような感じでもありますね。
森 : リスナー目線で言えば、確かにそれは理想的なんだよね。10~15年前だったら、よっぽどマニアックなレコード・ショップに行かないと聴けなかったものが、簡単に聴けるようになっていて、それはすごく素晴らしい。CDは売れなくなっているけど、音楽を聴いている人は増えている。そんな矛盾の中、この先5~10年先を考えたときに、どうやって収益を上げるかなんだよね。
リスナー目線で満足してもらえる形にしていくのが重要
——CDの話が出てきましたが、コレクターズ・アイテムなどの方法でCDに可能性を見いだすことはできないのでしょうか。
エリー : 私はCD好きですよ。
根岸 : 僕も買った日は添い寝します(笑)。
エリー : CD、レコード、カセット、それぞれのメディアに合う音楽があると思うので、選択肢の一つとして残しておけばいいと思います。録音じゃないとできない音楽を作っている人や、ライヴができないバンドもいるので、そういう人のためのツールの1つであっていいと思います。そこに可能性をすがる感じではなく、一つの選択肢って感じで。
——なるほど。根岸さんはどうですか。
根岸 : 僕の場合、レーベルを運用する1番の目的が違って、あくまで音源のリリースなんですね。僕はオーパーツが好きで、文明が崩壊したあとにも遺物として残っているようなものじゃないと嫌なんです。だからプレス工場がある限り、CDとして作りたい。よそがCDを出さなくなってきたのなら、コレクター向けに作っていきたいって部分もあります。
——つまり、CDの危惧を逆手にとると。
根岸 : というか、フリーの配信ばかりになったとき、メジャー(・レーベル)に勝つのは難しいと思うんです。じゃあ、どう差別化するかというと、意地でもCDを出していることがブランドになると思っていて。僕はそこを放棄するつもりはないですね。あと、各バンドのやりたい方向性に従って進めたいというのもあります。
森 : 誤解されるといけないんだけど、もともとは僕もCDマニアで、何千枚も持っているんですよ。でも、生演奏のみで音楽を聴いていた時代の人からすれば、レコードだって、CDだって、mp3だって、音楽という「情報」が入ったコピー品とも言えるわけですよね。演奏会場に来ることのできない人たちが、家や車で楽しむ為の代用品だと。こういう考えを冷静に受けとめられるようになったのは、ここ5年位のことで、30歳を越えてこんなに考えが変化するとは思わなかった。ただそれでも声を大にして言いたいのですが、僕はCDを今でも支持しています。その理由の一つとしてあげられるのは、ライブでは再現できない、音源ならではの凝った仕掛けが色々できるってことですよね。もう一つは、グッズとして持っていたい気持ちに応えることができるっていうこと。いくら「共有」の時代がきていると言っても、本当に大好きなものだったら、僕だって「所有」していたいですから。音楽に限らず、図書館があっても本は買うし、手元に残しますよね。あと前回の対談で、応援料って話題が出たじゃないですか。それをすごく実感していて、アーティストのことを大好きなお客様は、予約して買って下さるんだよね。本当に好きじゃなきゃ、予約はしてくれないでしょ。
根岸 : 面倒ですもんね。
森 : そこまでして買ってくれる人がいることは本当にありがたいし、これから先もずっと大事にしていきたいです。リスナー目線で満足してもらえる形にしていくのが重要かなと思っています。
根岸 : バンドマン的に考えると、CDのリリースがなかったら、何を基準に目標を定めていくのかが疑問ですよね。配信でデビューしましたっていうのは、本当に効力があるのかなって。配信は誰でもできるじゃないですか。でもCDを出すっていうのは、やっぱり一つ敷居が上がるんですよね。
kussy : 高くなりますよね。あと、若い子が音楽に夢を持つのは、お金だったりもするんだよね。好きなことで稼げるんだっていう。俺はヒップ・ホップ・シーンの近くにいるから、未だにヒップ・ホップ・ドリームみたいのがあるってことを実感する。だから、フリーから生まれるチャンスも分かるけど、蔓延しすぎると線引きがあやふやになってくると思うんだよね。
CDを買ってくれた人が満足してくれる作り込みにしなきゃいけない
——NATURE BLISSは、社内にレーベルがいくつもあるんですよね。それぞれ、どういう関係で付き合っているのですか。
エリー : それぞれのスタッフが、会社内でレーベルを持っているので、例えば1タイトルが100枚以下しか売れなかったとしても、あとの2つで穴埋めしたりして、レーベル同士が支え合っています。次のリリースで売れたら別のところを埋め合わせてっていう感じですね。
kussy : 大元はNATURE BLISSだけど、内容や構成によってレーベル名を変えているイメージですよね。
エリー : もちろん、すべて売れるように頑張っていますけど、それプラス、マスタリングのお手伝いをしたり、レーベルさんにエンジニアを紹介したり、通訳をしたりしています。
kussy : つまり、レーベル裏方何でも屋みたいな感じってことですね。お手伝いをしてお互いが得をして、報酬をもらうっていう。それも一つの正解例だと思う。
エリー : あとは、レーベル・サポートというのもやっています。最近は仕事をしながらレーベルをされている方も多いじゃないですか。平日じゃないとお店に営業に行けない人の代わりに、商品を紹介しに行くとか、色々とサポートしています。
kussy : それは、かなりの信頼関係がないとダメですよね。要は、頼むほうがお金を払っているわけじゃないですか。ちゃんとやってくれているかなっていう所は、数字はもちろん、信頼関係がないと難しいですよね。
エリー : うちがサポートをさせてもらっても、セールスと音楽の善し悪しはどうやらあまり関係ないらしくて、売れないものは売れないですし、そのときはサポート料いただくのが申し訳ないですよ。だから、やれることは全部やっています。
kussy : 以前、NATURE BLISS社長の杉本(直彦)さんの講義を受けにいったとき、「日本の音楽を海外に伝えるために中国語を勉強しています」って言っていて、すごいなと思ったんですよ。そういう道も含めて、NATURE BLISSは多角的にやっていますよね。

——OTOTOYではDSD配信などの高音質音源の人気があります。音質の面に関してはどう思いますか。
kussy : 選択肢が増えるのはいいことだと思いますけど、お客さんがそこまで高音質を求めているとも思えなくて。それはミュージシャンにもよるだろうし、音質が悪い方がアジがある場合もある。選択肢が増えていることがいいんじゃないかな。
根岸 : 何形式でも落とせるBandcampの形は、リスナーとしてすごくいいですよね。とはいえ、バンド側としては高音質のものも買えるようにしておくのがベストなのかなって思います。
kussy : いま、ほとんどのアーティストが配信をやっているじゃないですか。だから、これまでのやり方を活かす人も必要なのかなって。今度THA BLUE HERBが新曲を2曲入り1000円のCDで出すみたいで、配信はやらないらしいんですよ。それはそれで、そそられる。選択肢を増やすのも1つだし、限定させるのも手かなって。答えも何もないんだけど、選択肢が増えて、音楽が身近で手軽になったのはいいことかな。
根岸 : 僕は、フリーで1万曲落としたっていうのは自慢にならないんじゃないかと思うんです。これだけCDを持っているぜっていうのがステータスになったりもするので。「これ買ったぜ! 」って言ってもらえるようなものを、残しておいたほうがいいと思いますよね。
kussy : 俺は一回、CDのコストを下げることにすごい力を費やしちゃったんだよね。歌詞カードをつけなくていいんじゃないかとか、ネットにアップしておけばいいんじゃないかって。でも、CDを買ってくれる人が限られているのであれば、買ってくれた人が満足してくれる作り込みにしなきゃいけないと今は反省してます。
根岸 : 紙ジャケを開けて何も書いてなかったら、何じゃこりゃってなりますもんね。CDを外したら写真が出てきた、みたいなところが嬉しかったりするし。
——その感覚はすごく分かります。そう考えてみると、CDも長い期間かけて愛されてきたメディアなんですね。
森 : ただ、CDができたのって、ファミコンができたのとほぼ同時代の話ですよね。そこからほとんど発展していなかったのが、逆におかしいんじゃないかとも思っていて。その間、5.1chのシステムを開発したのは映像分野のDVDですよね。2つのスピーカーからしか聞けないっていうのは、音楽業界のおごりでもあったんじゃないかって。ゲームは、ファミコンからスーパーファミコン、プレステって進化していったわけですから。
人とレーベルとファンを繋ぐコミュニケーションが、カギを握っている
kussy : 俺はこれからは店舗っていうのがカギな気がしていて。
エリー : 確かに、人が来て、聴いて、買っていくみたいなところは大事ですよね。
森 : mona records(下北沢のライヴ・スペース&おんがく食堂)とかはそうですよね。
kussy : お酒も呑めて、演奏もできて、さらに好きなものも売っていて、その空間がレーベルにもなればいいのかなって。
森 : つまり、人とレーベルとファンを繋ぐコミュニケーションが、カギを握っているってことでしょ。
——僕もレーベルとレコード・ショップの垣根が、少しずつなくなってきているように感じています。最近では、お店がレーベルを始めるところもありますからね。
エリー : たまに、お店だと思って事務所にお客さんが来ちゃうことがあるんですけど、CDを買っていってくれますからね。
kussy : それも、ありですよね。
エリー : うちの作品に関しては、事務所にいるそれぞれの担当が世界で一番解説できますし。このリリースにはこんな裏話があってね~とか。
kussy : そんなんだったら、行きたくなりますもん。
根岸 : もしかしたらバンドもいるんじゃないかって、ワクワクしますよね。

——それを実現しているのは、残響recordですよね。レーベルであり、レコード・ショップも運営している。kilk recordsのCDも置いてもらっているんですよね。
森 : そうですね。以前、残響ショップでAureoleのCDを見ていたお客さんに店長さんがお薦めしてくれて、買ってくれたこともありました。
——それって理想的な形の1つですよね。密なコミュニケーションをとりながら、お客さんに合ったものをお薦めできるっていうのは。言い方を変えれば、お客さんを育てているってことでもありますから。
森 : そのコミュニケーションはいいですよね。
kussy : あと、レーベルがイベントを持つことも大事だと思っていて。POPGROUPの場合だと、KAIKOOに出れるとか。だから、俺らもイベントを始めることにしました。アーティストによっては、仕事をしていてイベントを企画するのが難しい場合もあるから、そういう人たちが興味を持ってくれる仕掛けもいいかなって。
森 : 働きながらやり続けることが難しい人たちのために、俺らが動きますよっていうのもレーベルの役割の一つだよね。
エリー : 時間があってもしゃべりが苦手なアーティストさんもいるしね。
森 : そう。仕組みもわからないし、お金もない人もいる。あと、バンドを広める為に、時間を費やすことができない人たちも多いでしょ。だからレーベルは必要だと思うんだよね。
kussy : 俺もレーベルは必要だと思う。それだけに、それに見合った影響力を俺らが持たないとなって思うよ。資金も大事だしアイデアも必要。そういう意味でも、残響recordには夢があるよね。
アーティストとの信頼関係をどう結んでいくのか
——先ほど信頼関係というワードが出てきましたが、みなさんはどのようにアーティストとの信頼関係を作っているのでしょう。Novel Soundsは、レーベル自体が広島にあるんですよね。
根岸 : そうなんですよ。いま、3、4組だけ東京のアーティストなんですけど、あとは四国とか地方のアーティストなんです。実際、僕はほとんど直接会ったことがない。その中でどうやって信頼関係を築いているかといえば、これこれにはいくらかかるよっていう、お金のことを全公開しています。
kussy : そこは、うちも全公開してますね。
根岸 : 最低限のことはこちらでやるけど、バンド側でやってほしいことがあれば、オプションという形で付け加えていく。ここに広告打ちましょうとかってことは、1から全部話し合いますね。
kussy : それは、絶対に信頼関係ができるね。
根岸 : あと僕はレーベル所属のバンド・メンバーでもあるので、「僕は前回これでやったけど、どうする? 」って、同等の目線で相談に乗れるんですよ。
kussy : 俺らも値段を全公開しているんですけど、勝手に「広告費を20万円使ったよ」なんてことをすると、アーティストに支払うお金も減っちゃうから、ちゃんと話し合って決めて一緒に闘ってもらう。
根岸 : そこで不信感が出ちゃうのはイヤですよね。他のバンドのリリース時は広告を打っていたのに、うちらはしてもらえなかったっていうのもイヤなので。リリースするときは、朝までコースでSkypeで話しあっています。会ったことがないだけに、そこはしっかりするようにしています。
森 : お金以外だと、僕はバンドごとに接し方を変えています。っていうのも、バンドによって求めているものが違うからで、とことん口を出してほしいってバンドもいれば、好きなようにやらせてほしいってバンドもいる。もし売れても、本人たちが喜ばなきゃ意味がないし、それは自分の中では複雑ですよね。例えば、Memeはそこまでがっつり売るぞって感じじゃないんだけど、僕からしたらすごく売れるべき音楽だと思っているので。
kussy : レーベルとしては1枚でも多く売ってあげたいもんね。
森 : でも、本人たちが欲していなければそこまでしないし、本人たちが嫌がらない程度に紹介していくって感じですね。
エリー : 私は、自分ができることは全部やっています。アーティストが顔を出したくないのであれば出さなくていいし、こちらができることはやるだけやって、全部報告する。そういう回数とかで信頼関係を築いています。
森 : 僕はAureoleの1stアルバムをNATURE BLISSからリリースしたんですけど、「「Windfall」って曲を1曲目にしたら? 」って言ってくれて、すごく勉強になったんです。だから、アーティストがそういうアドバイスを欲しているなら僕もしてあげようと思っています。
エリー : NATURE BLISSは日本のアーティストだけじゃなく、マリ共和国とかエストニア、アルゼンチンなどのアーティストもいるので、メールでしか連絡できなかったり時差があります。でも、いいことも悪いことも全部報告しています。そして、来日するとか旅行で来るとかの機会があって会えそうなときはなるべく会う。友だちになるのに近い感覚かもしれないですね。
kussy : 俺たちも基本的に最初は友だちって感じだから、コミュニケーションは常にとれていると思う。みんなそうだと思うんだけど、お金が絡む問題だからすごくクリアにやっているし。直接会って話すのは大事にしたい。
——なかなか結論という結論は出ませんが、本日の座談会が未来に繋がるヒントになればと思います。本日話しあってみて、主催の森さんはいかが感じましたか。
森 : とにかく、アーティスト、お客さん、レーベル同士とも繋がっていけば、明るい未来が待っているのではないかと思ってやっていきたいですね。
kussy : 今日みたいに、それぞれの考えを共有できる場を作ってもらえたのは本当にありがたいです。こういう企画だけじゃなくて、普段の飲み会とかでもアイデアを出し合っていけたらいいですね。
森 : そうですね。それぞれが協力しあって意見を交換してやっていきましょう。今日は本当にありがとうございました!
PROFILE
kilk records
2010年、Aureoleの森大地により設立。「精神に溶け込む、人生を変えてしまうほどの音楽との出会い」。kilk recordsはそういった体験を皆様にお届けすることを第一に考えております。オルタナティブ・ロック、ポスト・ロック、エレクトロニカ、テクノ、サイケデリック、プログレッシブ、フォーク、アヴァンギャルド、アンビエント、ヒップ・ホップ、ブレイクコア、インダストリアル、ジャズ、クラシカル、民族音楽... 。魂を震わせるような音楽であれば、ジャンルは一切問いません。kilk recordsが最もこだわりたい点は「独創性」です。ヨハン・セバスチャン・バッハ、マイルス・デイビス、ザ・ビートルズ、レディオヘッド、エイフェックス・ツイン... 。信じられないほどの感動や興奮は「独創性」から生まれるように思えます。これから多数の作品をリリースしていきます。末永くkilk recordsにお付き合いくだされば幸いです。
2012年1月18日に、kilk recordsからデビューしたLööfからも2曲フリー・ダウンロード
2人組の歌ものエレクトロニカ・ユニット、Lööf(レーフ)。これまではネットを通じ、主に海外より評価され続けてきた彼ら。まさしく待望のデビュー作とも言えるフル・アルバムがついに完成した。彼らを語る上でまず特筆すべきは、チヒロのヴォーカルであろう。その場の空気を変える力を持った淡く美しい歌声である。
Novel Sound
広島/東京を拠点とする音楽レーベル。ノベルサウンズは、商品ではなく作品を発表していく、利益追求以前に文化事業としての義務を優先目的とする、そういうスタンスのレコード会社です。音的な方向性は、いわゆるポストロック的、エレクトロニカ的な要素を含んだ音楽に対する嗜好が強いですが、基本的にはジャンルを問わず、クオリティの高さ、センスの良さを基準に、気に入ったアーティストと契約をしています。私達と近しい音楽センスを持った人達に、私達の音楽を届けたいと願って、活動を続けています。
NATURE BLISS
ネイチャーブリスとは、NATURE(自然)+BLISS(至福)です。自然界の音・色・質感・うつろい等の美しさは飽きることなく、毎度のことながらハッとさせられます。それらは創作の根本となる要素であると同時に、私たちは自然の恩恵を受けて生きています。それらを享受した時の歓びや感謝の気持ち、自然の流れのような良い循環への憧れを名前にしました。クリエイトすることへの歓びと探求心、物事の伝達とコミュニケーション。我々のこうした活動がどこかで「幸せをもたらすもの」「暮らしを彩るもの」「知的好奇心を刺激するもの」となることを願っています。みんながハッピーであるようなギブ&テイクの精神で、この場が人種や業種を越えて、人々を結びつける交差点となり、さらに波紋のように輪が広がればこの上ない喜びです。
Wonderyou
ワンダユーは株式会社ネイチャーブリスの傘下に2010年に設立された音楽レーベルです。天にも昇る幸せな気持ちにしてくれる、底抜けに明るい音楽をお届けすることを目的としています。
NATURE BLISS official HP
Wonderyou official HP
術ノ穴
プロデューサー・グループFragmentが主宰する音楽レーベル「術ノ穴」。これまでに環ROY×Fragment、キリコ、DOTAMA、Geskia!等リリース。ジャンルにこだわらず良質な音楽をリリースするレーベル。