まだ名前はないかもしれない。しかし、一つの波として時代を象徴するであろうシーンが東京を中心にうごめいている。その中心にいるレーベルがkilk records。もっと言えば、そのレーベル・オーナーの森大地だ。彼がkilk recordsからリリースしているアーティストたちは、その名前のないシーンを担う存在であることに間違いない。例えば、Meme。生楽器とエレクトロニクスを使用した、抽象的でアンビエントな音楽は、ポスト・ロックと近いベクトルを向きながらも、また違った道を独走している。他にも、そういったバンドは数多くいる。これらのアーティストは、ポスト・ロックではない。

しかし、ポスト・ロックがなければ生まれてこなかったのも事実。まさに、ポスト・ロックの後に生まれてきた新しい波といえよう。DEEP MOAT FESTIVALというフェスは、kilk recordsという枠を越えて、これからのシーンを作っていくであろうアーティストを集めたフェスティバルである。これらのシーンを1人でも多くのリスナーに届けるために、森の熱意と周囲の強力によって作り上げられているフェスだ。昨年に続いて2回目となるDEEP MOAT FESTIVALを直前に、出演者の、Joe Takayuki(no.9 orchestra)、ハチスノイト(夢中夢)、照井淳政(ハイスイノナサ)に集まっていただき、森大地と共に話を伺った。これから何か起こりそうな予感。そんな現状にワクワクしませんか?

進行&文 : 西澤裕郎


去年大盛況だったDeep Moat Festiva! 今年も開催!



2011年に引き続き行われる「Deep Moat Festival」では、2FWOMBステージ・4Fミニ・ステージに加え、1Fラウンジ・ステージも登場。2.5D配信「Houses In Motion」にも出演のAureole、ハイスイノナサ、‬‪‬‪ハチスノイト(夢中夢)、18日に2ndアルバムをリリースするHer Ghost Friend、今年5年ぶりに新作を発表したbronbabaらが出演する。

日時 : 2012年7月16日(月・祝)@渋谷WOMB
OPEN : 13:00 / START : 13:30
入場料 : adv 3,800yen (2drink別¥1,000) / door 4,300yen (2drink別¥1,000)
‪Live : bronbaba、Aureole(with brass session)、‬‪sgt.、no.9 orchestra、ハイスイノナサ、‬‪number0、gamine(from UK)、‬‪speaker gain teardrop、Takahiro Kido、‬‪ハチスノイト(夢中夢)、Her Ghost Friend、‬nemlino、Meme、Lööf、Anrietta(acoustic set)、‪urbansole、kanina、fraqsea、köttur‬

★Deep Moat Festivalへ2組4名様をご招待!
件名に「Deep Moat Festival 招待希望」、本文に氏名、住所、電話番号をご記入の上、「info(at)ototoy.jp」までメールをお送りください。当選者の方には追ってメールにてご連絡します。
応募締切 : 2012年7月14日24時まで
※あらかじめ info(at)ototoy.jp からのメールを受信できるよう設定してください。
※当日、ドリンク代のみ頂戴いたします。


ワンマン・ライヴを終えたばかりの虚弱。のデビュー・アルバム


虚弱。 / 孤高の画壇(HQD ver.)

平均年齢21歳の4人組ガールズ・インストゥルメンタル・バンド、虚弱。が、デビュー・アルバム『孤高の画壇』をリリース。名曲「哲学者の論破」をはじめ、本作からはポップ/ロックの新たな地平を切り拓こうとする彼女たちの確固たる覚悟が感じられる。


「精神から溢れ出るような自己表現」のような音楽(森)

——まず始めに、DEEP MOAT FESTIVALがどういうイベントかを教えていただけますか。

森大地(以下、森) : 今回は去年に引き続き、2回目の開催になります。前回はWOMBの2階と4階を使っての開催だったんですけど、今回は1階も開放して3ステージでやります。出演者も大幅に増えました。

——イベントをやる目的っていくつかあると思うんですね。例えば、kilk recordsをもっと知ってもらうためとか、出演しているアーティストたちをもっと知ってもらう場にするとか。その中で森さんのもっとも強い動機って何なのでしょう?

森 : 今回出演してくれるアーティストって、世間一般のJ-POP、J-ROCKから比較的遠い存在にいる人たちが多いと思うんですね。悪い意味じゃなく「こんなメンツでも、こんなにパワーのあるイベントが出来るんだ」っていうのが成立すれば、このシーンが今まさに盛り上がってきているっていうことを見せられるかなと思ったんです。こういうフェス形式というのは今迄になかったので、自分でやっちゃおうという感じでしたね。いってみれば日本版All Tomorrow's Partiesというか。

森大地(Aureole)

——実際に呼ばれた皆さんは、このラインナップを見て共感を覚えたのでしょうか。

Joe Takayuki(以下Joe) : 僕はすごく意外でしたよ。ボーカルの方も沢山いらっしゃるし、僕の知らないバンドもいて。ただ、嬉しかったのは、同じ世代のバンドが、こうやって繋がったことですね。後は、エレクトロニカ・シーンからJ-POPまで、全部を同じ距離で見れる人達が多い。所謂、歌謡曲ではないし、ロックって言い切っちゃうとそうではない。ジャンルとかよくわからないけど、みんなそういう意味でフィジカルな音楽をやっているんじゃないかなと。
森 : そうかもしれないですね。どっちかに固まった人っていうのはいないと思うんですよ。バリバリのポスト・ロック、エレクトロニカっていうよりは、もっとみんな特徴的な音楽だと思うんですよね。だからエレクトロニカ、ポスト・ロックなパーティーともちょっと違うと思います。

——照井さんはどうですか。

照井淳政(以下、照井) : J-POPとは一線を画しているし、音楽的にマニアックなことをやっているかもしれないけど、普通に綺麗というか。例えば子供が聴いても、50代の人が聴いても「良いじゃん」と思えるようなアーティストが集まっているなと思って。色々と広がりをもつようなきっかけになったらいいなと思います。

——ハイスイノナサは去年も出演されていますが、今年も呼ばれてどういう気持ちですか。

照井 : 嬉しいです。僕らは残響レコードというレーベルにいて、既にイメージがついてしまっている部分もある思うんですけど、このような少し毛色の違うイベントに出させてもらえるっていうのは嬉しいですね。

——では、ハチスさんはいかがですか。

ハチスノイト(以下、ハチス) : 率直に嬉しいですね。もともと大阪で活動していて、東京に出て来た時に呆然としていたとこがあって。あまりにもバンドが多いっていうのと、音楽のシーンが大きすぎて訳が分からなくなったんです。でも、大っきい割に住み分けが激しいなと思ったのが第一印象で。あのバンドとあのバンドで仲良くなっても良さそうなのに、全然交わりがないとか。関西のバンドとバンドの近さからしたら、仲良くなってもおかしくないような人達が、私からしたらすごく遠くにいる。「東京のバンドは縦でしっかり分かれてんねんな」と思ったのが最初の印象した。そんな中でも、大地君の目線でレーベルを枠を越えて「この人達とやりたい」という場に自分が呼ばれると、繋がりが広がったんだなって思えて、本当にすごく嬉しいですね。

——今ハチスさんがおっしゃった、住み分けがあったっていうのは他のみなさんも感じてたりしていますか。

森 : 実際すごく多いと思います。
ハチス : 例えば、私が夢中夢をやってたときに仲良くしてた人達って、音楽的には全然似ていないんですよ。オシリペンペンズとか(笑)。なのに何故か同じような志とか、空気感を共有していて、そこに1つのシーンみたいなのが出来ていた。東京に来てみたらあまりにも細分化されてて、本当に呆然とした感じでした。どこに行って良いのか分からない。で、私とかは縦割りのグループがよく分からないから、適当にポンポコポンポコ行ってると、「いろんな人知ってるね~」とか言われて。逆にそれが不思議な感覚で、意外なんですよ。
照井 : ちょうど関西ゼロ世代とか、ああいう流れとかありましたもんね。
ハチス : それは言われてたな。でも、この間、大地君ともその話をしたんだけど、うちらが自分でそういったんじゃなくて、雑誌などから広まった言葉なんですよね。飯田さん(Limited Express(has gone?))やゆーきゃんさんがいた京都のシーンなんかも同じ感覚を感じるけど、あの感じっていうのを、東京では感じなかった。ジャンルを超えた空気感を共有したシーンっていうか。だからすごく面白いなと思いましたね。

——Joeさんもそういう縦割りのような空気感を感じますか。

Joe : 以前、レコードにセロテープを貼ってプツプツッっていうのを体育座りで聴く体験をしていたりとかっていうシーンがあって、その中で音楽を進化させようとしていたんです。どんどん深くなっていって、シーンはすごく確立されていくんだけど、その外の人は離れていってしまって。僕はそのシーンが最初は好きだったんだけど、だんだん20人、15人になって、残ったのはコアだみたいな感じになってしまったんです。これはちょっと極端だけど、そういう感覚が東京の音楽シーンではどうしてもあって。クラブ・シーンにおいても、ハウス好きな人はドラムンベースには行かない、トランスには行かないとか。自分がいるシーンにアンテナを張ったら、そっちの方向だけ通ってしまうのは楽なんですよね。だから、逆にこういうフェスがあるとそこで繋がれたりするのかな。今回のイベントで、こうやって対談とか、顔合わせ飲み会があるっていうのは、すごい新鮮な出来事でしょ?
ハチス : 確かに面白い(笑)。
Joe : かつて体験した事が無い(笑)。多分そういう意図があるんじゃないかな。わざと顔合わせをするっていうことは。それは新しいんじゃないかな、東京の中で。
森 : その通りですね。僕はシーンを作りたいんです。シーンを作ることは、一本の矢は折れるけど三本の矢は折れないっていう考えに似ていると思うんです。no.9 orchestraもハイスイノナサもハチスちゃんも、もっと世に出ても良い才能だと思うんです。ですが、どうしても、1つ1つでいると突出しづらいと思うんです。シーンの住み分けっていうのはマスコミが作り出した幻想かもしれないけど、そういうシーンを作ることの、どこがいけないことなんだって思う。むしろそれで音楽が熱くなって、自分の人生が救われる人が一人でも増えればいいと思う。色んな音楽を聴く機会が多く増えることは、何も悪くないし。むしろミュージシャンは、自分の音楽に自信があるんだったら、一人でも多くの人に聴かせたいって思うほうが健全な考えじゃないかなと。もっと音楽って自分自身の為にやるべきというか。CDを出したり、コンサートやライヴをやる以上は、対象は自分ではなくて、お客さんや聴く人だと思います。そっちの方を意識すべきかなと思うんですよね。

Joe Takayuki(no.9)

——本当に外に伝えていきたいという、森さんの想いが伝わってきます。せっかくアーティストの皆さんが4人集まったのでお聞きしたいんですけど、音楽をやる目的っていろいろあると思うんですね。人に聴いて欲しいとか、さっきおっしゃってた話じゃないけど、音楽を押し進めていきたいとか実験したいとかって。いろいろな目的があると思うんですが、皆さんはどういう所に焦点を当てて音楽をやっていらっしゃるのでしょう。

照井 : 僕は両面あって、今森さんの言ったこともすごく分かるんですけど、根本にあるのは自分の中の世界みたいなものを、表に出したいからやってるんだと思うんですよね。で、それを聴いてもらえたら嬉しいなっていう思いで。ただ、実際に音楽を作って、自分のやりたいことを現実的に続けていく為には、それなりに色々サバイブしなきゃいけない部分があるので、音楽以外のお仕事をしたりとか、他の人に楽曲提供をしたりっていうのもありきな上でっていう感じですね。
森 : ぼくも音楽自体はもちろんそうですよ。音楽自体を人に媚びたら終わりだと思うんですよ。

——向いてる方は一緒ということですか。

森 : もちろん自分が好きで自分が良いと思うものをやるというのはそうですね。

——Joeさんはいかがですか。

Joe : 僕は今と昔で(音楽との)付き合い方が違うんです。最初は音楽のプロになりたかったんですよ。10代の頃から音楽に打ち込む時代が10年ぐらいあって。その後、僕は広告の音楽を作る仕事をしているんですけど、そうすると音楽が芸術から離れていく時があるんです。音楽って、やっぱり衝動だったり欲だったり、自己表現というか、それこそさっき言った「出したい」っていう気持ち。すごく本能的だと思うから、それが仕事になってしまうと全然本能とは別な部分で音楽と向き合わなきゃいけない時間の方が多くなる。その中で、僕はそれとは別にno.9を一人で作るんです。本当はバンドでやりたかったんだけど、だんだん皆仕事とかで離れていっちゃうから…。
ハチス : ですよね(笑)。
Joe : そんな時、必死で勉強してコンピューターで曲を全部作ったんです。でも、一人で全部出来るよってなって完成した時に出来たのが、ちょっとした寂しさだったりして(笑)。あれ? 1人だ、みたいな。そこで少し自分の音楽に対して余裕ができた時に、改めてバンドをやろうというのがno.9 orchestraで、全てのコンピューターをみんなを集めてフィジカルでやることにしたんです。汗して涙して感動したいっていう、そういうシンプルな所に帰ってくるっていうのが僕の今のバランスなので、どの音楽に対してもすごく大事なんですけど、no.9 orchestraは僕の中で一番人間的な音楽ですね。他のは作曲だったり、仕事だったりという意味で上手く住み分けを取らないと、自分の中の精神的なバランスが取れないかなっていうところで、音楽と向き合ってやっています。

——ハチスさんはどうですか。

ハチス : 私はやっぱり作るっていうことは、伝えたいっていうことだと思うんですよね。それは、この主張を伝えたいっていうような演説みたいなことではなくて。自分はこの時こう感じたよ、っていうことを自分の中で終わらせてしまったら、自分が本当に生きていたのか分かんないじゃないですか。例えば、一人旅をしている時に途中で消えてしまいそうな感覚ってあると思うんですけど、その場所で感じた記憶とか感覚とかも証明しようがなくて。自分はこう感じたということをアウト・プットした時に、それを見て誰かが他の反応を生み出してくれたら、そんな生きてて幸せなことはないなーって。私がものを作ったり歌を歌うのもそういうところから来てますね。生きてたことを証明したい。それはこれを伝えたいというエゴじゃなくて、どう受け取ってくれても良いから、あなたに届けたいということなのかもしれないですね。
森 : 多分この手の音楽っていうのは、人気を気にする音楽とは真逆な位置のものばかりだと思うんです。それこそ、精神から溢れ出るような自己表現というか。誰かに気に入って欲しいから作るというのではなく、ハチスちゃんが言ってたような自己表現。そういうバンドだからこそ、いかにシーンにして外に伝えていくか、こんなに力のあるシーンなんだっていうのをアウト・プットしていきたいっていうのが僕の動機として大きいんです。だから、ちょっと誤解されそうだけど、皆に気に入ってもらいたい音楽をやりたいわけじゃないんです。「精神から溢れ出るような自己表現」のような音楽だからこそ、皆に気に入ってもらいたい。そこがすごい大事なんです。
ハチス : 在り方ってことだよね。
森 : そうそう。気に入ってもらいたいから音楽を作るんじゃなくて、もう在る音楽を気に入ってもらいたい。

持ってるフィールドを上手く混ぜる良い機会(Joe)

——なるほど。今日来ていただいた皆さんは、色んなイベントからのお誘いがあると思うんですけど、DEEP MOAT FESTIVALに出ようと思った決め手みたいなのがあればお聞きしたいです。

Joe : 僕は完全に森さんからメールの文章です。
森 : そうなんですか?
Joe : no.9 orchestraは、人数が多いこともあって、年に3、4本しかライブをしないんです。なので、基本的にはやりたいって思えるかどうかだけでやっています。命がけで本気で音楽をやるんだったら、付き合いでとかはやる必要を僕は感じなくて、やりたいと思わせてくれるかどうかだと。多分1通目のメールでやりますって僕は返してるんですけど。
ハチス : すごい。
Joe : 森さんと全然面識もなかったし。初めましてがいきなりのメールだと大概はお断りして、お受けすることって滅多にないんです。

——他のメールと森さんのメールで違ったところってどこなんですか?

Joe : 具体的にって言われると難しいですけど、レーベル主催者だったというのが1つ。オーガナイザーからオファーを受けることは結構あるんですけど、レーベル側からってあんまりないんですよね。今まで僕が受けたレーベルだと、PROGRESSIVE FOrMさんのリキッドルームでやったイベントくらいかなって。レーベル主催の方がやられるってことは、もちろん自分のレーベルのアーティストの為でもあるけど、それだけじゃないところが必ずあって、さっきおっしゃってたシーンを作るとか、そういう思いがメールの中にあって、グっときたんだと思います。

——森さんはメール・エピソードが多いですよね。bronbabaがkilk recordsからリリースすることになったのもそうですよね。2年ぶりにバンドを再開しようと思ってメールを見たら一通目にあったのが森さんからのメールだったという。

ハチス : 引きが強い(笑)。
森 : 引きがあるんですかね(笑)。
Joe : なるべくしてここまできたと(笑)。

ハチスノイト(夢中夢)

——ハチスさんが、このフェスに出ようと思った決め手は何ですか?

ハチス : 私は誘われる前から大地君を知っていて、どういう考えでレーベルや音楽をやっているのかも知っているので、その信頼感ですかね。断る理由がない。
森 : 僕はハチスちゃんがソロでやってくれるとは思ってなかったんですよ。ソロでやる気はないのかなって思って。facebookかなにかで「ソロ・ライヴやりたいな~」みたいなの見て、「えー! やる気あるの? 」みたいな。
ハチス : 大阪にいた頃も何本かソロでやっていたんですけど、メインが夢中夢だったので大きくやるつもりはあんまりなくて。でも夢中夢とは全然違ったやり方で自分の音楽を作ってたので、やりたいな~っていうのはずっとあって。タイミングですね。

——照井さんは、いかがでしょう。

照井 : 僕はちょっとそういうエピソードなくて…。
全員 : (笑)。
照井 : すいません(笑)。

——DEEP MOAT FESTIVALに出演するアーティストたちって、2006、2007年頃にアメリカで、Clap Your Hands Say YeahやArcaid Fireとかが出て来たときに近いような気が僕はしていて。バンドの枠とか関係なく色んな人と共演したり、それこそ女性の方が多くなったりとか、そういうのに割と感覚的には近いのかなって気もしたんですよ。

森 : あー。女子が多いって本当に気づかなかったんですよね。
照井 : こういう音楽の親和性みたいなのは結構高いですからね。

——決して意図していた訳ではないんですか?

森 : まるで、僕が女好きみたいな言い方ですね(笑)。そんなことないですよ(笑)。

(爆笑)

森 : そういえば。この辺のシーンのYouTube貼ってるだけのファン・ページみたいなのあるでしょ? Facebookで。オタク・サイトみたいなところに取り上げられたりとか、割とこの辺のシーンが日本よりも、海外で取り扱われているのを最近見たんですよね。だから、あまり日本の方がこの辺のシーンとしては意識されてないところがあって。
ハチス : 外から見たら逆にすごく分かりやすいのかもしれないね。
森 : もしかしたら日本のゲームやアニメとかから繋がった音楽のイメージなのかもしれない。別に悪い意味ではなく。

——日本のリスナーでは気づかないけど、外から見たら何か独特なものが共通してあるのかもしれませんね。

森 : なので、これをもっと日本でも具現化して、分かりやすくしていけば力になるなって思ったんですよね。だからDEEP MOAT FESTIVALはそこに取り上げられそうなメンツかなと思います。

——実際やってらっしゃる皆さんはそういう盛り上がりを感じたりはするのですか?

Joe : それこそ森さんが言ってたけど、ステージに立ってる以上はエンターテイナーとして感動させたいし、自分も感動したいというところもあるんです。だけど、twitterとかFacebookでシーンが盛り上がってるってことを僕が思ったら逆にダメなんじゃないかと思って。タイムライン上では盛り上がってるように見えちゃうんですよね。段々それが過保護なシーンになってしまって、よく見たら200人くらいが言い合ってたみたいな。ちょっと前はそういうのが無かったから常に不安で、フライヤーを手で配ったり、もっと音楽シーンは地道だった気がする。今は便利だけど勘違いも危ないかなって。今回のフェスティバルも、果たして僕の近くは知ってるかっていうのは未だに不安だから、これからどうやって告知しようかなっていう感じですよ。皆さんの持ってるフィールドを上手く混ぜる良い機会なのかもしれないですよね。

照井淳政(ハイスイノナサ)

——そういう意味でも、今日kilk records所属じゃない方々で集まったというのはとても意義深いですね。

森 : そうなんです。これは、わざとです。

(爆笑)

森 : いや、本当です。kilk recordsのアーティストを入れたらダメかなと思ったんです。
ハチス : あー、面白い(笑)。
照井 : 流石だなー(笑)。
Joe : 最後は締めてきましたね(笑)。
ハチス : 本当に音楽だけじゃなくて、色んなところで言われてることだと思うんですよ。これからは誰かを倒すじゃなくてシェアしていく中で、本当に良いものを残していくっていう風にしないと誰も生き残れないんじゃないかなって。
照井 : クリエイティブコモンズ的なことですよね。
ハチス : 本当にそうだと思うんですよね。肩肘はって劣等感の裏返しのエゴで相手を倒しにいくんじゃなくて、もっと自由にお互い出し合っていくことが出来るんじゃないかって思うし、そうじゃないと本当に残っていかないんじゃないかって思う。
森 : だから、まずはこの皆さんと共存していきたいですね。

——それでは最後にこのDEEP MOAT FESTIVALに向けてそれぞれ一言ずつお願いします。

Joe : どのライヴでもそうですけど、今までで最高を目指していつもやっているので、来た人に喜んでもらえる様に、今までで最高のライヴにします。
照井 : 僕らはちょっと前にキーボードが脱退してしまって、今はサポートを入れてやってるんですけど、だんだん良くなって来ているので、当日はぶちかましたいですね。
ハチス : バンドさんが多い中、私はライヴで楽器も何も使わずに声だけでやっていて、そこにも自分がこのイベントの中にいること意味みたいなのがあると思うので、他の誰にも出来ないものをその日は作っていこうと思います。
森 : 僕もAureoleで出演します。今回は4人の管楽器を入れて、いつもの6人メンバー+4人の10人でやります。新しくリリースするアルバムから、今まで披露したことがない曲もやりますし、昔の曲と半々くらいやります。この編成ではDEEP MOTE以降やるかどうかも決まってないですし、ひょっとすると最初で最後になるかもしれないので、そういう意味でも是非逃さないで見に来てほしいですね。

——それでは最後に主宰者としての森さんから一言お願いします。

森 : 最初に「All Tomorrow's Parties」を例に出しましたけど、「あの日のあのフェスの第2回目いったんだぜ」って言う風にみんなが誇れるくらいのイベント、シーンにしていきたいので、必ず成功させます。是非来てください。

——楽しみにしてます、ありがとうございました!

PROFILE

kilk records
2010年、Aureoleの森大地により設立。「精神に溶け込む、人生を変えてしまうほどの音楽との出会い」。kilk recordsはそういった体験を皆様にお届けすることを第一に考えております。オルタナティブ・ロック、ポスト・ロック、エレクトロニカ、テクノ、サイケデリック、プログレッシブ、フォーク、アヴァンギャルド、アンビエント、ヒップ・ホップ、ブレイクコア、インダストリアル、ジャズ、クラシカル、民族音楽... 。魂を震わせるような音楽であれば、ジャンルは一切問いません。kilk recordsが最もこだわりたい点は「独創性」です。信じられないほどの感動や興奮は「独創性」から生まれるように思えます。これから多数の作品をリリースしていきます。末永くkilk recordsにお付き合いくだされば幸いです。

kilk records official HP

ハチスノイト(夢中夢)
2002年結成。幾度かのメンバー・チェンジを経て、現在は作詞/ボーカルのハチスノイトと、作曲/編曲を手掛けるヨダにより構成される。独創的かつ過剰なまでに壮大な編曲、普遍的な美しいメロディ、哲学的な詩世界を持つ女性ボーカルが融合した音楽は、「存在」の彼岸でその不確実性を照らす一筋の光の如く、聴く者の心をカタルシスへ誘う。

夢中夢 official HP

ハイスイノナサ
2004年、照井順政(Gt)、照井淳政(Ba)、田村知之(Key)、中村圭佑(Dr)の4人によって結成。2005年、鎌野愛(Vo)が加入し、5人組となる。都内を中心に活動をし、2007年EMI「Great Hunting」主催のサマーソニック07出演オーディションに参加し、最終選考に残る。ポストロック、エレクトロニカ等に影響を受け、ピアノを中心としたストーリー性のある楽曲と、浮遊感のある歌声で独特な世界観を生み出し、そのオリジナリティーのあるサウンドは悲しい位に美しく、心に響く。2012年には、田村が脱退し、現在の編成となる。

ハイスイノナサ official HP

no.9 orchestra
音と共に暮らす、詩的でメロディアスな作曲家として6作品をリリースしているno.9ことJoe Takayuki。 彼が率いるバンド・セット no.9 orchestraは、壮大で圧倒的なサウンドと、アルバムとはまたさらに違ったアレンジによる濃厚な世界観と情熱を、身をもって感じる貴重な機会であると同時に、音楽への愛情を伝えようとする彼の姿勢、それに応えるメンバーの想いが、演奏に直に伝わる『温度の在る音楽』として高い評価を得ている。

no.9 orchestraの特集はこちら
no.9 orchestra official HP

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by 斎井 直史
*ヒップホップ・ライター斎井直史による定期連載──「パンチライン・オブ・ザ・マンス」 第6回
[REVIEW]・2017年07月10日・ヒップホップ・ライター斎井直史による定期連載──「パンチライン・オブ・ザ・マンス」 第6回 暑い! 暑い! 暑い! 最近の東京はジメジメと暑く、いよいよ夏本番がすぐそこに来てるという感じですが、いかかがお過ごしでしょうか? この斎井直史による定期連載「パンチ・ライン of The Month」も6回目ということで掲載から半年! これからも細く長く続けていければと思っております! さて、先月は「#超WAVYでごめんね」というキラー・フレーズが話題を呼んでるJP THE WAVY(例の楽曲、SALUもリミックスしてましたね)と、先月待望の初来日を果たしたDC出身のラッパーGoldlinkを取り上げましたが、今月はすでにやってきているうだるような暑さも忘れられるような気持ちいいアルバム3枚をピックアップしてるみたいですよ!(2ヶ月ぶり、今月はOTOTOYでも配信があるぞ!) 第6回 気持ちのいい夏の始まりのイメトレに適した3枚 ちょっと買い物に外を出た瞬間、ワクワクするような夏の空を不意に見つけて胸が高ま…りたい。 海へ向かう車内で曲を流し、「これ最高だよなぁ〜」なんて友達に言わ…せたい。 そんな気持ちのいい夏
by 斎井 直史
筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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