目標は「横浜スタジアム」ーーSuchmos、メロウでソウルフル、アーバンな新作EPをハイレゾ配信

ディアンジェロ、ジャミロクワイ、J・ディラをフェイバリットにあげ、ソウル・ミュージック、アシッド・ジャズ、ヒップホップ等のエッセンスを取り入れた楽曲で、熱いライヴ・パフォーマンスを繰り広げる若き6人組、Suchmos。ライヴ・チケットは常にソールド・アウトという怒涛の勢いで音楽シーンを沸かせている彼らの新作『LOVE&VICE』は、洗練された色気漂う全4曲を収録。OTOTOYでは、本作をハイレゾ配信するとともに、勢いに乗るSuchmosの現在に迫るべく、メンバー全員へのインタヴューを行った。横浜スタジアムでのライヴを目標に突き進む彼らから絶対に目を離すな!


進化し続けるSuchmosの”今”の音をハイレゾで!

Suchmos / LOVE&VICE(24bit/96kHz)


【配信形態】 FLAC、ALAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC / MP3

【配信価格】 単曲 324円(税込) / まとめ価格 926円(税込)

【収録曲】
1. STAY TUNE
2. FACE
3. BODY
4. S.G.S.2



Suchmos / STAY TUNE


茅ヶ崎出身の6人組バンド、We are “Suchmos”

「スタジアムが似合う音楽をやりたいというか、そういうバンドになりたいですね」。

久しぶりに顔を合わせたSuchmosのフロントマン・YONCEは、まっすぐな眼差しで、惜しげもなくそう言ってのけた。他のメンバー5人も当然のようにそれを聞いて頷き、隙があれば言葉を発しようとしてくる。終始、言葉が切れる瞬間がない。その発言に対し、筆者である僕もまた驚くことはなかった。

左から、TAIKING、HSU、YONCE、KCEE、OK、TAIHEI

茅ヶ崎出身の6人組バンド、Suchmosは、そうした発言が現実味を持って響いてくるポピュラリティと、ヴァイタリティ、メンタリティを持ったグループである。メンバー自身も、周りのスタッフも、そうした素質を持っていると感じている以上、スタジアムでライヴをすることが、このバンドが成功を手にしたかどうかの基準となるだろう。

思い返してみれば、筆者が彼らと初めて対面し話したのは、約2年前のこと。当時、〈FUJI ROCK FESTIVAL '14〉の「ROOKIE A GO-GO」に出演したこと以外、ほとんど情報がなかったため、「会って話がしたい」とメンバーにメールを送ると、間髪置かずにOTOTOYの会議室にやってきた。どこか警戒した態度をみせながらも、彼らはやんちゃで前のめりな若者たちであることを隠そうとしなかった。

1時間半くらいのとりとめのない会話のなかで、「メンバーそれぞれの地元が近く、ファミリーのような関係であること」「週に1日はサチモDAYという日を設け、メンバー全員で集まって、遊んだり、音楽を聴いたり、練習したりしていること」を教えてくれた。とはいえ、それがどのようなものかは頭の中で想像することしかできなかった。筆者自身も変な部分で疑い深いところがあったので、一度彼らの地元に行ってみたいと話し、地元であるセンター南の駅前で取材をすることにした。そのときの記事はOTOTOYにて掲載されている

Suchmosの苦悩、そして決断

それから約1年半。彼らにはいくつもの変化があった。1st EP『Essence』、1stアルバム『THE BAY』のリリース、それに伴う耳のはやいリスナーからの高い評価。それだけではない。ラジオなどで偶然耳にした人たちからも大きな評判を得て、渋谷WWWでの『THE BAY』リリース・パーティはSOLD OUT。2015年末には〈COUNTDOWN JAPAN 15/16〉に出演して約7,000人規模のステージに立つなど、目に見えて状況はよくなっていっている。

とはいえ、筆者からしてみると、一番大きな変化は別のところにあった。それは、メンバー構成の変化である。あまり語られないことだが、Suchmosは活動にあたっての大きな決断をしている。ギターのoka Ayustatが脱退し、新メンバーとしてTAIKINGとKCEEが加入、それまでサポート・メンバーだったTAIHEIが正式メンバーになっている。その時期、Suchmosは苦悩していた。このままやっていても、大きなステージへ飛び出せないのではないか? そんな閉塞感のなか、彼らは大舞台に立つ未来を描き、メンバーの脱退と加入という決断をすることを選んだ。とはいえ、YONCE、OK、HSUの3人は、新メンバーを迎えても気持ちの停滞から抜け出せなかったという。そこから抜け出したのは、KCEEとTAIKINGが持ち込んだフレッシュな空気だった。

KCEEはドラム・OKの弟で、もともとSuchmosのMV制作をしたり、写真撮影をするなど、クリエイティビティ部分で参画してきた人物だ。筆者がセンター南に足を運んだときの写真もKCEEによるものである。TAIKINGは、OKと幼稚園からの幼馴染。高校時代には一緒にバンドを組んでいたこともある。その後、TAIKINGは編曲家として活動していく。主にJ-POPの編曲家としての活動をしていたというが、OKやHSUをプレイヤーとして起用し、音源制作をしていたこともあり、Suchmosの制作現場や反省会にもごく当たり前のように遊びにきていたという。

同時に、サポート・メンバーのTAIHEIも正式メンバーとして迎入れられた。ちなみに、TAIHEIとHSUは、SANABAGUN.のメンバーでもある。このときのことを、ベースのHSUはこう語る。

「『Essence』を出したとき、次のアルバムを出すことが決まってたんですけど、何曲か持ち曲ある中で、4人だと俺らの出したいアレンジの幅に届かないかもしれないと思っていて。6人になって最初に「YMM」のセッションをしたんですけど、それが完全にハマったんです」


Suchmos / YMM

セッションを経て、メンバー全員が「根拠のない何かに勝った感覚が芽生えた」「昔、バンドやってた時の俺たち最強っていうのをこの歳で取り戻せた」という。

1stフル・アルバム『THE BAY』の制作秘話と評価

メンバーの脱退と加入という決断による痛みを伴いながらも、新しい風をとりいれ動き始めたSuchmosは、よりドープな音楽表現に向かうこととなる。YONCEは「契約とか作品をたくさん売ることよりも、ライヴをよいものにしないことには何も始まらない。そう思えたのが爆発のきっかけだったかなと思います」と当時を振り返る。

そんななか制作されたのが1stフル・アルバム『THE BAY』 である。彼らの出世作であるが、制作の途中でTAIKINGとKCEEが加入したこともあり、6人での制作という意味でベストを尽くせなかったという。

そんな本作の制作過程を聞いてみると、なんとプリプロをすることなく、10数曲を約1ヶ月でレコーディング、TAIKINGの自宅の一室でPro Toolsを使用してラフ・ミックスの作業をしていったことがわかった。編曲家として活動してきたTAIKINGとOKが一台のPC画面を2台のモニターでみながら作業し、DJ音源や上ものや足りない音素材は同宅の別室を使ってレコーディングしていった。HSUは椅子にもたれかかって、背もたれを思い切り倒しながら演奏したりしたともいうし、ウワモノのサンプリング・ループをダラリとした格好で押したりと、まさに家にいるような状態で加えていったそうだ。完成された肉体的なサウンドからは想像できないくらい、リラックスして収録されたことに驚きを隠せない。とはいえ、抜けがよく、自然体なグルーヴは、意外とそういうところから生まれているのかもしれないと妙に納得してしまった。

レーベル SPACE SHOWER MUSIC  発売日 2015/07/08

01. YMM 02. GAGA 03. Miree 04. GIRL feat.呂布 05. Get Lady 06. Burn 07. S.G.S 08. Armstrong 09. Alright 10. Fallin' 11. Pacific 12. Miree BAY ver.

※ 曲名をクリックすると試聴できます。


そのようにして、売れる音源を作るという意識ではなく、自分たちが満足いく音楽を追求していった結果、同作は評価されたと、彼らは認識している。「契約のこととか、もっとビジネス的に考えないといけないところはあったのかもしれないけど、音楽に集中させてくれる状況をスタッフが作ってくれたので、俺たちは音楽のことだけ考えてればいいと思えたんです。それまでは、音楽以外の無駄なところを考えすぎてた可能性があって。音楽に集中したら結果がついてきたんですよ」

「SANABAGUN.が隣にいてよかったなと思っています。あいつらが同じ時期に、同じように道を歩いてきてたから、負けられねえわっていう気持ちでやってこれたところがある。最近思うのは、音楽に集中するってことは、自分に集中することなのかなって。結局、自分がいいと思うものをたくさん取り入れて、一意見としてメンバーに出した時、それぞれが蓄えたいいものが合体して、新しい音楽ができていくのかなと思う。元々目標があって、こういうふうにしたいっていうところから産まれるものではないのかなって感じはしますね。俺たちはオリジナルをやりたいから、自分として正直な意見を言うしかない」。メンバーは、代わる代わるそう語り、話が尽きることはなかった。

目標は、横浜スタジアムとオリンピックでのライヴ

そんな変遷を経て、最初から最後まで6人で完成させた初めての作品が、このたびリリースされた2nd E.P『LOVE&VICE』である。DJとギターも一緒に制作をはじめたのは今回が初めてだという。

「Suchmosの音楽って、特に色が決まっていなくて、いろんなことやるんですけど、単純に小さい音楽はやりたくない。そういう気持ちが『Essence』から『THE BAY』へと変化して、そして『THE BAY』から『LOVE&VICE』になるにつれて明確になっていっているんです。だから、聴いてもらったらわかるんですけど、どんどんサウンドが大きいところに向かっているというか。マインドがそうなっているので、音にも表れてると思うんですよ。そこは成長だなって」。

ディアンジェロ、ジャミロクワイ、J・ディラといったアーティストをフェイバリットにあげ、ネオ・ソウルだったり、アシッド・ジャズと形容されることは多いものの、YONCEは「音楽的なことより、キャパとして自分たちがどこでやりたいか。それこそ浜スタ(横浜スタジアム)とかに似合う音楽をやりたい。スタジアムが似合う音楽っていうかバンドになりたいですね」と堂々と語る。

なぜ、スタジアムのような大きな場所でライヴをしたいのか? 筆者がそう尋ねると「広い家に住みたいのと一緒っすね」「男だからっすかね」と、屈託のない笑顔で全員が答えていた。6人のしゃべる姿は無邪気にふざけあう男子高校生のようでもあるが、学校という枠を越えてその関係性が続いているのはファミリーそのものだからこそであろう。

そして、本作の楽曲制作においてもう一つのポイントは、自分のだけではなく、他の楽器のアイデアを全員で出して作ったということだ。「ギターとベースがユニゾンしてとか、ドラムのパターンこうしてとか、ここでスクラッチを入れてとか、ここでコーラスをしてとか、ここは歌わない方がいいとか、遠慮せずに言い合ったんですよ。それを言われても怒るわけじゃなく、そうしたほうがいいかもねってなるんです。自分の楽器のことを考えてるだけじゃないのが、俺たちの一番の特徴かもしれないですね」と、Suchmosの音楽制作の秘訣を教えてくれた。

また、YONCEは歌詞について「ピリっと効くくらいというか、そこまで具体的に誰かを批判したり、誰かに届けみたいなスタンスではないですね。あーそうかも、くらいになればいいなって感じですかね(笑)」と話す。「最近は、誰かに影響された意見としてではなく、本当に自然に出てきたものを重視しています」。そうした姿勢は、サウンドだけではなく、歌詞にも表れている。暗喩のような歌詞は、スマートでピリリとしていて、風刺的である。

最後に「横浜スタジアムでのライヴはいつやるか?」と尋ねてみた。「2020年までにはやりたいですね。オリンピックの前に。確かに、アイドルは日本を象徴するカルチャーかもしれないけど、アイドルには負けられないですよね。俺たちが大舞台でやりたい気持ちがあるから」と、横浜スタジアムとオリンピックでのライヴを目標にあげた。

果たして、それは夢物語なのだろうか? 筆者はそう思わない。Suchmosのポテンシャルは、大きな舞台でこそ花開く。情報やデバイスが多様化し、それぞれがそれぞれの時間と趣味を生きる今の時代にカウンターとなるのは、自分たちの信念を貫きながら最大公約数のなかで表現をしていくアーティストだ。それはSuchmosの同世代である水曜日のカンパネラのコムアイしかり、きゃりーぱみゅぱみゅしかり。そして、同世代の男性アーティストの中で、最もその位置に近いのは、Suchmosだと筆者は確信している。その無邪気で、やんちゃで、無敵な気持ち、熱きヴァイブスをもっとデカい舞台の上でガツンと驚かせてくれ、Suchmos!!(text by 西澤裕郎)

写真 : 大橋祐希

Suchmos配信中の過去作品

Suchmos、堂々の1stフル・アルバム

Suchmos / THE BAY

【配信形態】 FLAC、ALAC、WAV / AAC / MP3

【配信価格】 単曲 205円(税込) / まとめ価格 1,697円(税込)

【Track List】
1. YMM
2. GAGA
3. Miree
4. GIRL feat.呂布
5. Get Lady
6. Burn
7. S.G.S
8. Armstrong
9. Alright
10. Fallin'
11. Pacific
12. Miree BAY ver.


Suchmos、デビューEP

Suchmos / Essence(24bit/96kHz)

【配信形態】 FLAC 、ALAC 、 WAV(24bit/96kHz) / AAC

【配信価格】 単曲 257円(税込) / まとめ価格 1,028円(税込)

【Track List】
1. Miree
2. Fallin'
3. Life Easy
4. E.E.E.


会場限定EPをハイレゾ配信中

Suchmos / Twice(Day)(24bit/96kHz) / Twice(Night)(24bit/96kHz)

【配信形態】 FLAC 、ALAC 、 WAV(24bit/96kHz) / AAC

【配信価格】 単曲 250円(税込) / まとめ価格 500円(税込)

【Track List】
Twice(Day)
1. Pacific
2. Life Easy

Twice(Night)
3. So High
4. Gaga


>>過去の密着特集はこちら

PROFILE

Suchmos

2013年1月結成。ACID JAZZ&HIP HOPなどブラック・ミュージックにインスパイアされたSuchmos。メンバー全員神奈川県育ち。Vo.YONCE.は湘南・茅ヶ崎生まれ、レペゼン茅ヶ崎。

都内ライヴハウス、神奈川・湘南のイベントを中心に活動。Suchmosの由来は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモからパイオニアとなるべく引用。普段からバイブスを共有していた、YONCE(Vo)、HSU(Ba)、OK(Dr)、TAIKING(Gt)、KCEE(Dj)、TAIHEI(Key)の6人グループ。

FUJI ROCK FESTIVAL ’14「ROOKIE A GO-GO」2日目のトリを務め注目を集める。ロック、ソウル、ジャズ、ヒップホップからの影響をバンドに落としこみ、クールでモダンな高い演奏技術で支持を集め、2015年4月にはデビューE.P.『ESSENCE』がタワレコメンに、2015年7月には1st Full Album『THE BAY』をリリースしロング・ヒット中!

音源だけではない彼らのパフォーマンスは、一気に音楽LOVERの心をとらえ、出演するLIVEは常にチケットはSOLD OUTに。今最もチケットが取れない若手バンドと話題になっている。

彼らは固まったジャンルをやろうとしているわけではない。あくまで“よい音楽”を追求している。

>>Suchmos official HP
>>Official Twitter

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by 西澤 裕郎
筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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