無表情になろうとしながら描いた欠落感ーーOGRE YOU ASSHOLEに訊くミニマル・メロウをテーマにした最新アルバム

もはや誰にも追いつけないロックの在り処をみつけだし、さらなる深淵に潜り込もうとしているバンド、OGRE YOU ASSHOLE(オウガ・ユー・アスホール)が、『homely』『100年後』に続く3部作最終章とも言えるアルバム『ペーパークラフト』を完成させた。彼らが産み出したワード「ミニマル・メロウ」をテーマに、ポストパンク、サイケ、プログレ、AOR、ノイズ・エクスペリメンタルなど、様々なモードを咀嚼した末にみつけた、叙情的でクールでデカダンな新境地。本作のリリースを記念し、メンバー4人にインタヴューを行なった。また、TV♭でお馴染みのUstream番組『RECORD YOU ASSHOLE』を、11月23日(日)にタワーレコード新宿店で公開生放送!! OGRE YOU ASSHOLEという現在進行形の音楽史に直接触れる機会をお見逃しのないように!!

ミニマル・メロウをテーマに制作された最新作!!

OGRE YOU ASSHOLE / ペーパークラフト

1. 他人の夢
2. 見えないルール
3. いつかの旅行
4. ムダがないって素晴らしい
5. ちょっとの後悔
6. ペーパークラフト
7. 誰もいない

【配信形式】 wav
【価格】 単曲 257円 / アルバム 1,697円


RECORD YOU ASSHOLE 第19回の公開生放送が決定!!

OTOTOYのUstream番組「RECORD YOU ASSHOLE」第19回の放送が決定しました。ニュー・アルバム『ペーパークラフト』発売を記念して、メンバー4人でタワーレコード新宿店7F・イベントスペースより初めての公開生放送を行います。閲覧は無料です。


生放送日 : 2014年11月23日(日)15:00〜16:00
チャンネル : OTOTOY TV♭
※タワーレコード新宿店7F・イベントスペースより生放送
セレクター : 出戸学(ギター、ボーカル)、馬渕啓(ギター)、勝浦隆嗣(ドラムス)、清水隆史(ベース)

関連リンク
http://p-vine.jp/news/20141011-120000

INTERVIEW : OGRE YOU ASSHOLE

地元・長野を住処としながら、レコーディングのたびに東京を訪れ、サウンド・プロデューサーの石原洋とエンジニアの中村宗一郎とレコードショップを周り、レコードをディグして帰る。そんなサイクルを何回か繰り返しながら、OGRE YOU ASSHOLEが約2年ぶりとなるアルバム『ペーパークラフト』を完成させた。メンバーの4人と、もはやメンバーとカウントすべき2人が時間をかけて培った今回の共通言語は、ミニマル・メロウ。反復したリズムとメロディが1曲のなかに同居するという新たな試みにチャレンジしている。数えきれないほどのアナログ機材が使用され、なおかつじっくり時間をかけながら練り上げられた本作は、『homely』『100年後』でも描かれていた欠落感が描かれているが、どこか放っておけないような親近感も感じるような作品となっている。バンドだからこその消せない肉体感や、メンバーの関係によりできあがった雰囲気、そこから生まれた着地点のみえない秘密が込められた本作について、ライヴのために東京を訪れていたメンバー4人に祝日の朝方に話を訊きにいった。余談となるが、筆者は彼らのレギュラーUstream番組「RECORD YOU ASSHOLE」を担当して約半年となる。放っておくと毎回休憩中もレコードの話しかしない彼らが、時間をかけてその音楽を深めて完成させたこと、そしてそれをじっくり聴くことができることが非常に嬉しい。それでは4人の話に耳を傾けていただきたい。

インタヴュー & 文 : 西澤裕郎

勝浦くんが一番わけわかんないっていうか

ーー今作は、メロトロンをはじめとした数多くのアナログ機材を使用されていますけど、『100年後』のリリース以後、少しずつ機材を揃えていったんでしょうか。

出戸学(以下、出戸) : いや、メロトロンは今回初めて使ったんですけど、機材は『homely』とかその前から使っているものが何個かあって。エンジニアの中村(宗一郎)さんがたくさん機材を持っていて、その中から曲に合いそうなものを倉庫から引っ張り出してきてくれたんですよ。

ーー中村さんの機材なんですね。アナログ機材の音にひっぱられる感じで、曲自体も変化したのかなと思ったんですけど、そういうわけではないんですね。

出戸 : あくまでも音質は道具であって、それが目的ではないと思います。もちろん音に触発されることもありますけど。

ーー今回も石原洋さんがサウンド・プロデューサーとして名前を連ねていますが、4人にとって、どんな存在なんでしょう? サウンド・プロデューサーっていう言葉では収まらないような気がしていて。

勝浦隆嗣(以下、勝浦) : 一番大きい視点で観てくれるというか、このフレーズがどうこうってことも言うけど、大事なのは、全体の方向性を観てくれていることだと思いますね。

出戸 : あと、何年か前、ミックスCDをもらってた時期もありました。例えば、ノイズ・エクスペリメンタルとかのCDだったら20曲くらい入っていて、その中から気に入る曲とかを選んで聴いていて。

清水隆史(以下、清水) : 後は一緒にレコード屋に行った時に「これいいよ」とかって教えてもらって、レコード買ってみたりね。

出戸 : レコーディングのたびに一緒に(ディスク)ユニオンを回ったりして、やたらとレコードを買ったりしてたので、それが曲作りにもつながっているかもしれないですね。

ーーRECORD YOU ASSHOLE(以下、RYA)にも、レコ屋を巡りたてほやほやの状態で来てくれましたもんね(笑)。RYAは18回やっていますけど、プレイリスト観ると、かなりディープなところまで来てますよね(笑)。

清水 : 勝浦くんとか自分は、レコードは随分前から買ってました。というか勝浦くんは独自の感覚でレコードを聴いていて、それがすごいんですよ。勝浦くんが一番わけわかんないっていうか。

勝浦 : でたらめなんですよ(笑)。全然詳しくないんですけど、レコード屋でなんとなく買って気にいったら聴くし、気に入らなかったら聴かない。そんな聴き方だから、でたらめなんですよね(笑)。

ミニマル・メロウって言葉は全員の共通認識としてあって

ーー(笑)。さて、今作の話をしていきたいと思うんですけど、実は僕、前作の『百年後』がすごく好きなんですよ。だから最初に『ペーパークラフト』を聴いて「おやっ?」っと思って。「夜の船」とか「素敵な予感」みたいな曲を、さらに振り切った曲が入っているだろうと思っていたので、なかなかすんなり全部を消化できなくて。前作を踏襲したような曲をやろうとは思わなかったんですか?

出戸 : (少しニヤリとした表情を浮かべて)まあ、同じものは作ろうとは思ってなかったです。

ーー他のインタヴューでも言ってましたけど、リキッドルームでのワンマン(2013年12月)の打ち上げで、ミニマル・メロウのコンセプトが生まれたそうですね。ミニマル・メロウってどういうものなんですか?

清水 : それまでのオウガって、ミニマルの要素もメロウな要素もあったと思うんですけど、別々に存在していて、この曲はミニマル、この曲はメロウみたいな感じで1曲の中で同時にやることはなかったんですよ。それを1曲のなかで合わせてやったらおもしろいかもって、リキッドで話したんだよね。

ーーなんでそのとき、ミニマル・メロウがしっくりきたんですか? もっとエクスペリメンタルとな方向にいくって選択肢もあったと思うんですけど。

勝浦 : それ聞きたかったんですよね。俺はミニマル・メロウって言葉がしっくりきて、勘でいいなって思ったんですよね。かなり確かな勘なんだけど。みんなは、もっと考えたりしたの?

出戸 : 俺もそんな感じです。いまならやれそうな要素が多いっていうか、本当にできそうな雰囲気がその言葉の中に含まれていると思った。

清水 : 石原さんも中村さんも含めて、きっとミニマル・メロウって言葉は全員の共通認識としてすっと浸透した。それでいける、いいじゃんって思えたんですよね。そこにはいろんなニュアンスが入っていて、チーム内の共通言語としてすごくしっくりきたんだと思います。

ーー実際、ミニマル・メロウを軸に制作をはじめるうえで、これまでと制作方法も変わったんじゃないですか?

馬渕啓(以下、馬渕) : 制作方法は変わってないですね。

出戸 : 変変わった部分があるとすれば、僕がコードとメロディを馬渕に投げるようになったところかな。『百年後』のころは、ベースとかドラムも自分で入れてデモを作っていたんですよ。「素敵な予感」とかも自分が考えたんですけど、今回はなにも作ってないです。コードとメロディを馬渕がアレンジして、それに対して僕が歌を入れてくというか。

ーー馬渕さんがアレンジを担当されていたと。

馬渕 : そこは石原さんと一緒にやるところが大きくて。僕は大体のベーシックっていうか、パターンを作ってくるんですけど、それがスタジオで変わっていくこともあって。仕上げを石原さんとバンドでやるって感じですね。

ーーみなさんの共通言語であるミニマル・メロウを具現化するっていうのは、実際には大変だったのかなと思うんですけど。

馬渕 : やりながら変わる部分もありますし、どこまでミニマルにするのかっていうのも探りながらやっていきました。だから、曲によって探っていった感じですね。

ーーレコーディングも、いままで以上に時間がかかってますよね? RYAでOTOTOYに来るたび、レコーディング中だって言ってましたもんね。

清水 : そうですね。4月から取り始めて、終わったのが8月の終わりだから、オウガにしては期間が長かったかもしれないですね。

ーーどういうところに時間がかかったんですか?

出戸 : 曲が全部できる前から録り始めていて、ちょっと録ってはテープを聞いて、また長野に帰って曲を作ったりアレンジを考えたりしていて。ただ、スパンは長いですけど、作業時間は他のアルバムとそう変わらないですね。考えている時間が長かったんですよ。

無表情になろうとするっていう感じっていうのかな

ーーオウガは、コンセプト・アルバムを作りたいっていう意思の強いバンドだと思うんですけど、本作におけるコンセプトは、どういうところから生まれてきたんですか?

出戸 : 明確な言葉は最初からあるわけじゃないです。でも、みんなの持っている音とか空気感、あと日ごろしゃべってることとか、そういうことで作ろうと思うものの周辺は固められてるっていうか。最後に「ペーパークラフト」っていう言葉を置いただけだけど、その言葉が導かれるまで、そうした空気感はレコーディング中、ずっとありました。

ーーその空気感っていうのを、もう少し説明してもらえますか?

出戸 : 欠落感とか、欠損感。表面はしっかりしてるけど、裏にまわればペラペラな感じ。あと肉体性がない感じっていうのかな。あ、肉体が感じられないってのは、音を聴いて感じたことで。このアルバムを象徴できる言葉はなんだろうとずっと考えてて、最終的に「ペーパークラフト」が出てきたんです。

ーーオウガのライヴを見ると、すごく肉体感のあるバンドだなと思うんですけど、今作では肉体感がないっていうのを意識していたんですか?

清水 : もちろん今回のアルバムにも肉体感がある部分はあって、作品を通して勝浦くんのドラムは、やっぱりすごく肉体感があると思うんですよ。ライヴでの勝浦くんのドラムはとても情感的というか人間的だと思うし、そこが録音物とライヴをつないでるって気がします。

勝浦 : ミニマル・メロウにはAORとかの要素もあるけど、本物のAORってめちゃくちゃうまいじゃないですか? それに比べたら、はっきり言って下手なんですよ。その下手さ加減には、かなり肉体感があると思います。そこに「ペーパークラフト」って名前をつけるところも、すべてが裏返しの裏返しの裏返しみたいな言葉遊びみたいな要素があると思うんですね。

出戸 : なんていうか無表情になろうとするっていう感じっていうのかな。本当のマシーンだったら、もっとのっぺりっとした感じになってるはずなんですよ。肉体性がないっていうのは、どちらかというと人間が無表情になっていくのを利用しているというか。

清水 : 無表情なふりして、実は半笑いみたいな感じっていうのかな。「ペーパークラフト」って言葉をストレートに表現しようと思ったら、打ち込んでしまえばいいもんね。機械に全部やらせればいい。そこを敢えて人間がやるのがおもしろいのかもしれない。

ーーオウガは、なんで人が無表情になるような音作りというか、そういうものに向かって行くんでしょうね?

勝浦 : テーマとしておもしろいと思ったんです。いまの気分に合うって言ったらすごい薄っぺらい感じになっちゃうんだけど、その言葉を聞いたときに、いまこれをやるのが自分にとっておもしろいってみんなが思ったんですよね。

清水 : 着地点がないものがいいっていう価値観があるじゃないですか? この曲はこのジャンル!! っていうふうに分類されたくなかったり、されないものがかっこいいっていうか。聴いていて、これなにがしたいんだろう? と思うような、わかりやすくないものが好きなんですよ。

出戸 : 作品のなかに秘密があって、それはみんなに教えないみたいな、ね。

清水 : 解釈は自由にしてねっていう感じかな。答えをそのまま言うのも野暮というか。

出戸 : でも、『ペーパークラフト』は、あまり秘密があるような感じじゃなく仕上げられたかなあと思ってます。ぱっと聴き、秘密はないんだろうと思うんだけど、よく聴くといろいろなものが込められてる、って位がちょうどいい。魅力的な作品ってすぐには気づかないものが隠されていたりすると思うんですよ。

勝浦 : 言葉でやりとりできるものは言葉でやればいいから、無意識で響くようなものがあって、それを秘密って言ったらいいのかなってところですよね。

清水 : 例えば、勝浦くんがRYAで流したOpus Avantra(イタリアン・プログレ)とかもよくわからなかったじゃないですか。わかる人はわかるのかもしれないけど、どこに着地したいのかがよくわからなかくて。

出戸 : あれは唐突でしたよね。ジェイムス・チャンスのあとにかかって(笑)。

そんなこと思ってるんですか? 意外と凶暴ですね! みたいな

ーーあははは。今作はCD、アナログ、配信に加え、テープでも出しているじゃないですか。RYAを続けているのもそうですけど、音楽媒体にもこだわりがありますよね。

清水 : テープは単に好きなだけだよね。コンセプトがっていうよりは、単にモノが好きっていう。音楽にまつわるモノが好きなんですよ。アナログ盤とかテープとか。

出戸 : データでもらえるのと、モノでもらえるのだったら、どう考えてもモノでもらえたら嬉しいじゃないですか? 聴いてくださいって音源を渡すときも、URLを渡されるよりも、あの箱をもらったほうが嬉しいと思うんです。

ーーオウガぐらい、こだわりを持って作っているアーティストからモノとして渡されると納得するんですけど、たまにCD開けたら、すごいペラペラな紙1枚しか入ってないときあるじゃないですか? あれが一番僕、腹立つんですよ(笑)。オウガの場合、ジャケット・デザインも出戸さんと清水さんがやっているんですよね? さらにMVも出戸さんが作っていて。

出戸 : 今回は全部自分たちでやりました。バンドの4人だけで。


OGRE YOU ASSHOLE「ムダがないって素晴らしい」

ーー自分たちの手でやりたいという気持ちがあったんですか?

出戸 : 思ってたわけじゃないんですけど、結果的にですね。

清水 : それが一番コントロールしやすいし、おもしろいかなってところがあって。

出戸 : あと、人に伝えるときって、相当その人と話し込んだりとかして、微妙なニュアンスも共有してやっていかないと痛い目に遭うんで。東京に住んでいたら、いい人と巡り会って話す機会もあって、一緒にモノ作りするのもやりやすいのかもしれないんですけど、長野だとそういう人と出会えなかったり、よさそうな人がいても会う機会が少ないし、メンバー以外の他人と感覚を共有することがあまりできない。その時間を使うぐらいなら、自分たちで大変だけどやっちゃおうって感じですかね。

ーー今作はさっき話がでたみたいに、欠落感みたいなものが根底にあって、それは歌詞にも通底しているものでもありますよね。

清水 : 出戸くんが歌詞書いてるじゃないですか? こういう会話とか、石原さんから伝わってくる雰囲気とか、そういうのを言葉に落とし込んでいくなかで、どんどんコンセプトができてくるって感じはあるよね。そこで最後の一言「ペーパークラフト」がズバッっと降りて来て、まとまったって感じがしました。

勝浦 : 出戸くんのいいところは、いい意味でちゃらんぽらんな感じがして、それがすごくいいんです(笑)。

清水 : なんか、誤解を生みそうだけど(笑)。

勝浦 : 言葉を上手く、意味に直結せずに漂ってる感じにするところがあって、そこがすごくいいところだと思うんですよね。

ーー馬渕さんは出戸さんの歌詞について、どう思っていますか。

馬渕 : 恩着せがましくないところがいいと思います。あと、そんなこと言われてもなあ、って歌詞もあったりするじゃないですか。そういうこともなく、余地が与えられてる感じがしますね。決めつけないところもいいし。

ーー出戸さんは歌詞を書くにあって決めていることとかってあるんですか?

出戸 : どうですかね。僕の歌詞を聴いて、中には意味を深追いする人もいると思うんですよ。

清水 : そうすると、逆に聴いている人の意識が現れてくるというか、透けて見えたりしますね。歌詞の解釈によって、その人の内面が見えてしまうという(笑)。

出戸 : だから、ちゃらんぽらんなんだなーって聴いてるほうがいいかもしれないですよ(笑)。

ーーたしかに深読みした人のその人の内面が逆に出ちゃうっていうのはおもしろいですね(笑)。

出戸 : 例えばインタヴューとかで、これはこういうことですか? っ言われて、そんなこと思ってるんですか? 意外と凶暴ですね! みたいなこともありますし(笑)。

ーーああ、僕の解釈を言おうと思ったんですけど、ちょっとこの場で言うのはやめときます(笑)。

『ペーパークラフト』作品レビュー


どこか異世界にいる感覚。地に足がつかないというか、どことなくふわふわとしている。OGRE YOU ASSHOLEの6作目のニュー・アルバム『ペーパークラフト』、1曲目の「他人の夢」から5曲目の「ちょっとの後悔」まで、一貫して安定しない浮遊感が付きまとった。そうか、これは他人の夢の中なのか。6曲目「ペーパークラフト」で目を覚ます。ぼんやりとけだるさが襲う。なんだか長い間眠ってしまったみたいだなあ。そういえば、今日の夢は壮絶だった。色んな国を旅したような気がする。そして色んなものを目にして、憤りも感じ、恐ろしくさえ思った。自分のモノではない、誰かの大切そうな思い出も見た。気分が思い切り上がる場面もあった。昔すごく好きだった顔も思い出せない誰かのことも、思い返すような場面すらあった。頭の隅で回想されるイメージは段々と薄くなっていく。起き上がって「誰もいない」。この曲を聴きながら、昼すぎの路地裏を煙草でもふかしながら散歩しよう。眠っている間に見たイメージは、もうはっきりとは思い出すことができない。でも、感じたものはずっしりと心の中に残っている。今日は一日この感覚と共に生活しよう。

1曲目のタイトルを拝借して、アルバムの曲を眠り、夢、目覚め、現実に組み立ててみた。他人の夢を垣間見るのは、なんだか背徳感が襲う。居心地の悪さも感じる。でも、心の底から落ち着いて、気持ちよくて動けなくなってしまう。『ペーパークラフト』の曲の中には多くのエキゾチックな音が入っている。ゆっくりとしたリズムの中、突如現れるオルガンのメロディがほこりっぽいレトロさを連想させる。曲の展開も、現代というよりかは随分とレトロな曲調であった。しかし、その中で、出戸学の声は驚くほどに”今”っぽい。現代らしからぬレトロなメロディの中で、歌声だけは現代を象徴する。これはなんとなく不気味だ。これが、ライヴではどうなるのだろう。一気に曲の捉え方が変わってしまうかもしれない。レトロなメロディを奏でているのも、目の前にいる彼等なのだから。

ゆっくりとしたミニマリズムが生み出すサイケデリック・ミュージックに引き込まれて、次第に頭は考えるのをやめた。イントロの長さも、徐々に眠りに落ちていき、夢が始まる感覚によく似ていた。何回だって、落ちていく。夢の中に。曲の中に。駄目だダメだと思っていながら、二度寝、三度寝をしてしまう心境に通じるアルバムだと思った。

“体験”はできない。あくまでも一歩下がったところで傍観することしかできないのだ。これがOGRE YOU ASSHOLEの特異性なのか。近づきたい、触れたい。でもまだ、少し怖い。2011年の『homely』以降、彼らの音楽はインディーロックなサウンドから、サイケでリックなど、多様な要素を飲み込んで変化していった。「居心地は良いけど悲惨」という二面性を兼ねていた『homely』。今回も、一方から綺麗に見えても、横に回ればただの線であるというペーパークラフトの二面性を表現している。「すべてが簡単に倒れそう でも意外とうまくできている」(ペーパークラフト)。決して、生ぬるい平和や、ただ取り繕えたような偽善は許さないといったようなメッセージだ。OGRE YOU ASSHOLEは、一見白に見える向こう側に黒が潜んでいるのを無表情で教えてあげている、灰色のような存在だ。(text by by 楯彩佳)

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OGRE YOU ASSHOLEの通算5作目となるアルバムは、その名の通り100年後にも残るであろう名盤。絵画的、都会的なサウンドに、出戸学の叙情的なメロディがとけ込み、唯一無二の世界観を描き出している。音楽の持つエネルギーに静かに圧倒されることは間違いない。

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見汐麻衣(ex. 埋火)が新たに始動させたソロ・プロジェクト「MANNERS」始動。サウンド・プロデュースにゆらゆら帝国、OGRE YOU ASSHOLEを手がける石原洋、エンジニアに中村宗一郎(ギターでも参加) を迎え制作されたデビュー盤。これは未来派のニュー・ミュージックか、向こう岸のシティ・ポップか。豪華なメンバーによって生み出された都会的なグルーヴとほのかな叙情性、クールで洗練されていながら実験的要素も感じさせるアップ・トゥ・デイトなサウンドメイキング。かつての埋火、見汐麻衣のイメージを完全に払拭し、新たな門出と呼ぶにふさわしい傑作。

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インタヴューはこちら

LIVE SCHEDULE

ニュー・アルバム・リリース・ツアー"ペーパークラフト"

2014年12月13日(土)@大阪・梅田 CLUB QUATTRO
2014年12月20日(土)@甲府 CONVICTION
2014年12月21日(日)@長野 ネオンホール
2014年12月27日(土)@東京・恵比寿 LIQUIDROOM
2015年1月10日(土)@札幌 KRAPS HALL
2015年1月16日(金)@名古屋 CLUB QUATTRO
2015年1月17日(土)@広島 4.14
2015年1月24日(土)@新潟 CLUB RIVERST
2015年1月25日(日)@熊谷 HEAVEN'S ROCK kumagaya VJ-1
2015年1月31日(土)@鹿児島 SR HALL
2015年2月1日(日)@福岡 DRUM SON
2015年2月7日(土)@仙台 HOOK
2015年2月8日(日)@松本 ALECX

PROFILE

出戸学(ギター、ボーカル)
馬渕啓(ギター)
勝浦隆嗣(ドラム)
清水隆史(ベース)

>>OGRE YOU ASSHOLE WEB

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筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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