幼少の頃からピアノを、20歳の頃から作詞・作曲を始め、2010年より都内のライヴ・ハウスで弾き語りを始めた、南壽あさ子。2012年6月にリリースされたデビュー・シングル『フランネル』に続き、湯浅篤をプロデューサーに迎え制作された本作は、透き通るヴォーカルとメロディから季節感溢れる情景が浮かぶ作品となっています。本作には、サポート・ミュージシャンとして、斎藤ネコが「あの人を待つ」に、山口ともが「メープルシロップ」に参加。また、OTOTOYでは、唯一無二のシンガー・ソングライターの声を、高橋健太郎のマスタリングによる、HQD(24bit/48kHzのwav)でお届けいたします。その歌声をじっくりとご堪能ください。


成長を遂げた、1st mini album

南壽あさ子 / Landscape

【配信形態】HQD(24bit/48kHzのwav)

【配信価格】単曲 250円 / アルバム 1,800円

1. 回遊魚の原風景 / 2. 雲の通り道 / 3. メープルシロップ / 4. フランネル / 5. あのひとを待つ / 6.例え話 / 7. 冬の旅人 / 8. 歌うことだけ





記念すべき、デビュー・シングル

南壽あさ子 / フランネル

幼少の頃からピアノを、20歳の頃から作詞・作曲を始め、2010年より都内のライヴ・ハウスで弾き語りを始めた南壽あさ子。プロデューサーに湯浅篤を迎え制作されたデビュー・シングルは、透き通るヴォーカルとメロディから情景が浮かぶ、物語性を持った作品となっています。

1.フランネル / 2.例え話 / 3.星のもぐる海

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『フランネル』リリース時のインタビューはこちら

対談 : 南壽あさ子 × 湯浅篤

溢れる情報の中、どれだけ癖のあることをするかが注目を集めるための大きな要素となっている。アイドルを始め、シンガー・ソングライターなど、様々なシーンが活況なだけに、それは否めないことかもしれない。そうした状況において、真っすぐに、シンプルに、透明感のある歌声を届けようとしているのが、2012年6月にシングル『フランネル』でインディーズ・デビューを果たした、南壽(なす)あさ子である。彼女の歌声からは、癖というものは感じられない。むしろ無防備すぎるくらいストレートな声が空気を伝わってくる。それが不思議なことに、癖を持ったものよりも鋭く聴き手の胸に迫ってくるのだ。ライヴにおいてもそれは変わることがない。彼女が歌うと、場の空気も正座して彼女の歌に耳を澄ませているような印象を受けるのである。

今回OTOTOYでは、南壽あさ子に迫るべく、連続企画として、様々な視点から対談を行う。第一弾は、YUKIやいきものがかりなどの楽曲に携わる、サウンド・プロデューサーの湯浅篤。南壽とは、『フランネル』からがっちりチームを組み、サウンドをプロデュースしている。もちろん今作も彼によるプロデュース。2人に出会いから、目指すものまで、じっくり話を伺い、南壽あさ子の魅力に迫った。そこから見えてきたのは、等身大であることと、それを実現に導く、信頼できるチームの存在であった。

インタビュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 雨宮透貴

人に聴いてもらうことを意識するようになった

——南壽さんと湯浅さんは、前作『フランネル』からガッチリとタッグを組んでいらっしゃいますよね。そもそもどのように出会ったのでしょう?

湯浅篤(以下、湯浅) : サマーソニック2011で「出れんの!? サマソニ!?」の審査員をさせて頂いていたときに、南壽さんの事務所のレーベル長と知り合って、打ち上げで飲んでいるうちに仲良くなったんです。

——それが初対面ですか?

湯浅 : そうですね。僕は完全に酔ってましたけど(笑)。その後しばらくしてから連絡を頂き「実は南壽あさ子というアーティストがいる」という話になって。

——南壽さんの音源を聴いた第一印象はどうでしたか?

湯浅 : やっぱり声がいいなと思いました。でも、まだ荒削りで「思い浮かんだものをそのままライヴでやっている」という印象で。まだCDを出すクオリティではないなと正直思いました。ただ、声と曲を整理していけば、すごく良くなるんじゃないかなという印象を受けました。

左から、湯浅篤、南壽あさ子

——逆に南壽さんは最初、湯浅さんにどんな印象を持ちました?

南壽あさ子(以下、南壽) : お会いするまで私は勝手に、もっと年配のどっしりした方を想像していました。ある日突然会いに行くことになって。そしたら神様みたいな方で。

——神様(笑)!?

南壽 : 私はわりと頑固だし、右も左もわからない所から、本当になんでも丁寧に教えて下さって。私がこれがいいと言ったことに対しても「他にもこんな方法があるよ」とゆっくり教えてくれて、私の固い心を少しずつ、やわらかくして下さいました。
湯浅 : 南壽さんより十何年か長く生きて、音楽を聴いているので「なんとなくこっちの方がいい」という経験則はあるんです。それを「どうやって説明したらいいんだろう」と理論的に考えるのは自分の勉強にもなりましたよ。一緒に作りながら「こっちの方が良いんじゃない? でもなんでだろう」と考えて、それが見つかって共有出来ると嬉しいし、新しい発見もあるし、楽しい作業でしたね。

——湯浅さんと出会った前後で、南壽さん自身に変化はありましたか?

南壽 : 一番は、人に聴いてもらうことを意識するようになったことだと思います。今まで自分の中だけでやりたいように作っていたのですが、他の人が聴いたらどう感じてもらえるかを考えるきっかけになりました。

——具体的に言うと、音楽的にはどんな部分が変わりました?

南壽 : 例えばテンポですね。もともと私が遅く遅くゆったり作っていたものを、聴きやすいテンポに変えたり。あとはコードですね。色んなコードやパターンを教えてもらって、それによってメロディーが引き立ったので、とにかく勉強になることばかりでした。

——湯浅さんも「人に聴いてもらう」という側面を意識されていましたか?

湯浅 : そうですね。もともと『フランネル』を作るときに、デビュー・シングルだし声がすごく良いから、弾き語りにちょこっと音があるだけで良いんじゃないかと話していたんです。南壽さんは、もうちょっとドラムやベースのある曲をイメージしていたみたいなんですけど、バンド・サウンドになると大事な"歌"が埋もれちゃうと思って。そういう、全体的に思っていた意見は伝えました。
南壽 : 『フランネル』は、ピアノの弾き語りで、シンガー・ソングライターであることをわかって頂くことが根っこにあったので、少し世界観を出すオーケストラがあればいいんじゃないかと湯浅さんに提案して下さいました。

——本当に"神様"というか、よりよい方向へ導いてくれる存在ですね。

湯浅 : 僕はリリースした後も、自分が好きで聴ける音楽を作りたいというのがあるんです。後で「もっとこうしておけばよかったな」とかないように、一個一個話し合って構築して整理していくという作業の積み重ねでしたね。

レーベル長を入れて3人でチームです

——南壽さんはそれまでずっと一人で作っていらしたわけですよね。それに対して、他の方の手が加わることに抵抗はありませんでしたか?

南壽 : 手を加えて頂くことは初めてで楽しみだったのですが、作り始めてみると、なかなか心の融通が利かなくて迷惑をかけたと思います。
湯浅 : 「あ、気に入ってないな」ってすぐわかるんです。

——なるほどなるほど。

南壽 : 私にとっては"歌"が一番聴いて頂きたい所なので、メロディー・ラインが少しでも変わってしまうと最初は敏感に顔に出るんです。ずっとライヴで歌ってきたこともあって、それを変えるのは最初は抵抗がありました。
湯浅 : メロディーは最後の砦ですからね。コードも伴奏の弾き方も色々試して、メロディーはギリギリまでなるべく触らないようにはしました。
南壽 : とにかくお互いが納得するまではちゃんと話し合いながら進めました。完成して昔のデモと聴き比べると全然違っていて、時間が経ったからか、自分の考えがやわらかくなったのか「絶対に今の方が良い」と思えたんですよね。

——それを受け入れられるようになったのは何が影響したと思いますか?

南壽 : 考え方が変わったからだと思います。例えば、"いじられた"と思うと受け入れにくいですが、「より聴きやすくするためにはどうしたら良いのだろう」と一緒に考えて作っているんだ、と。

——じゃあ、今は"チーム"という感覚ですか?

南壽 : はい。
湯浅 : そうですね。
南壽 : あとは冒頭に出た事務所のレーベル長(以下、レべ長さん)を入れて3人でチームです。

——レベ長さんはどんな役割をしているんですか?

南壽 : 言葉の力が強くて、彼が何かを言うとハッ! として全てが180度変わることもあります。これは入れた方が良いとか要らないとか、そんなに盛り上げる必要はないとかあるとか。
湯浅 : 押しが強いよね。
南壽 : あははは。
湯浅 : 「これどっちがいいかなあ」「いや、絶対こっちの方が良いでしょう!」とかね。
南壽 : 決定権を持ってるみたいな感じ。
湯浅 : ディレクターさん、監督といった感じ。

「背伸びをしないこと、等身大であること」

——僕は音源を聴いて、ライヴとは全く違う印象を受けたんです。ライヴはまたライヴの雰囲気がありますよね。渋谷duo MUSIC EXCHANGEで拝見したんですけど、ステージに立つと、空気も演奏の一要素みたいな感じで引き締まるというか、風格がありました。

南壽 : ありがとうございます。あのときは全員女性で皆さんバンドでやられていたのですが、私はひとりだったのでシンプルに自分のやれることをやろうと思って歌わせて頂きました。

——ライヴにはどんな心境で挑んでいるんですか?

南壽 : 未だにムラがあるんですけど、空気に色をつけるイメージとか風が吹くイメージですね。実際に何かするわけではないけど頭の中でイメージしています。

——『フランネル』を出した後の全国ツアーはいかがでしたか?

南壽 : 色んな所へ行きました。今まではそこまで旅をしたことがなかったので、新しい風景や人に出会えて、とても良い体験になりました。

——その中で出来た曲も今作には含まれているんですか?

南壽 : はい。『Landscape』のリード曲「冬の旅人」は、その旅の途中で書いた曲です。

——南壽さんは季節感が曲に現れることが多いですよね。湯浅さんは、ライヴ・ツアーを経験した南壽さんに変化や成長した部分を感じましたか?

湯浅 : ツアー先であったことを楽しそうに話をしてくれて、前と違うなというのは覚えています。東北へ行ったときとかね。
南壽 : 仙台へ行ったとき、私が歌って発信してる側ではあるのですが、逆にお客さんから感じるものがすごくあったんです。目だったり表情だったりに圧倒されてしまうような不思議な体験をして。そのときに考え方が大きく変わった気がします。自分が好きなようにだけやっていてはいけないということ。旅であった思い出話をまず湯浅さんにお話してから、またレコーディングをしました。

——以前は「ステージに立ってもあまり何も感じない」と仰っていましたよね。

南壽 : そこは変わってきたかなと思いますね。その土地と人達が感じてきたものに対して、心して伝えなければいけない。そんなことを思いました。
湯浅 : その話を聞いたときに、たぶん今自分が行っても感じない何かを感じたんだろうなと思ったんですよね。若いし、すごい成長をしたんだろうなと。

——レコーディングに対しても、その経験を経て南壽さんから『フランネル』のときとは違う要望などは出てきたんですか?

南壽 : 『フランネル』のときは届ける相手がぼんやりしか見えてなかった気がしますけど、旅の中で色んな人の顔を見てきて、こういう人に宛てているんだとイメージが付いたんです。歌っているとき、弾いているとき、録音するときに、その顔を想像しながら歌うという所に大きな変化がありましたね。

——「聴いてくれる人」のイメージは、ツアーに行けない湯浅さんと南壽さんの間で一致しているものですか? それとも湯浅さんは全体をみるプロデューサーとして別の方向を向いているんですか?

湯浅 : どうなんですかね。...... 難しいですね。
南壽 : 私の見てきたものを全部伝えることは出来ないし、伝えられたとしてもイメージ出来るものでもないと思うので、そこは私の心の中にありつつ、湯浅さんは湯浅さんで、もっと広く見てくださっているように思います。
湯浅 : 南壽さんはそういう体験をしてきて、多分これからの曲に反映されてくると思うんです。でも、『フランネル』のときとそんなに変わらず、基本の方針は"歌を活かしてシンプルに"が良いんじゃないかな。僕はJ-Popの仕事も多いんで、ポツンとこういうシンプルなものがあると映えて聴こえますよ。あまり無理しないで、今の南壽さんのスタイルを無理せずにやることが、誰も後悔しないだろうなって気はします。
南壽 : とにかく「背伸びをしないこと、等身大であること」は色んなものを決定する上ですごいヒントになっています。

度胸があるというか、強さがある

——それ以前には多少背伸びする部分もあったということですか?

南壽 : いえ、最初の『フランネル』の頃からずっとそうです。いくつか選択肢があったときに、これにはちょっと無理があるよね、というか、今の自分ではないと感じたときにそれは却下になるんです。

——確かに、作品を聴いていても、実際に会った今日この場でもそれは伝わってきます。

南壽 : ありがとうございます。

——僕も色んな曲を聴きますけど、湯浅さんの言うようにあまり耳にしないタイプの曲だと思います。何がそうさせるのでしょうか。

湯浅 : "写実的"というコンセプトは意外と珍しいのかもね。
南壽 : そうなんですかね。
湯浅 : うん。僕も写実的なものを音にするのがずっと好きで、テクノとかアンビエントを学生時代に作っていたことがあるんです。なので、イメージや風景を音で表現するという部分ではすごい共有できている部分があるのかなと思います。その辺がもしかしたら今はマイノリティーなのかもしれないですね。恋愛とかそういうのを歌っていないし(笑)。

——なるほど(笑)。そうかもしれないですね。湯浅さんは、『フランネル』がリリースされたとき、「純粋な心の強さ。そのことを彼女は教えてくれた」とコメントしていましたよね。

湯浅 : 格好付けすぎましたね。あははは。

——いやいや(笑)。「透明感のある声」などのコメントが多い中で、一番近くで音に接している湯浅さんが「心の強さ」と評しているのが印象的でした。どういう部分に対してそう思ったのでしょう。

湯浅 : 強いという要素は色々あって、例えば、南壽さんは歌がまっすぐなんですよ。ビブラートをほとんど使わないんです。あと、音程を上手く歌おうとすると、下から音を探って歌う人が多いんですけど、そういうこともあまりしない。まっすぐ歌えるというのは、度胸があるというか、強さがないと出来ないんですよ。

——確かに芯の強さは感じますよね。その芯の強さが独りよがりにならず、きちんと形にしていくことができるのは、チームが良いバランスを保っているからでしょうね。お二人は今後も一緒にやっていかれると思うのですが、どんな風にやっていきたいですか?

湯浅 : 僕かどうかはわからないけど、南壽さんが最初に希望した、バンドというか、たくさんのミュージシャンが参加する曲があっても良いのかなと思います。
南壽 : それも身の丈に合えばですね。
湯浅 : でも基本は変わらないのかなと思います。成長をしていく必要はあるんだけど、あまり無理して新しいことをしていく必要はないのかなと。南壽さんは自身の音楽活動をとても長い目で見ているので、今のJ-Popシーンとは一定の距離を保てるんだと思います。なので、その時々に自然に出てきたイメージで曲を作れば、方法論が過去の作品と同じでも良いのかなと思います。

——無理して何か新しいことをするのではなくそのとき々の一番良いもの、自然なものを出していくと。南壽さんはいかがですか?

南壽 : 私は色んな所へ旅をして成長して帰ってきたいと思っているんですけど、必ずしも進化する必要はないと思っていて。それよりも長く続けて行きたいし、長く聴いてもらえる曲を残していくことが目標です。

LIVE SCHEDULE

南壽あさ子 LIVE TOUR 2012 - 2013

『Landscape 2 ONEMAN LIVE』
2013年3月1日(金)@大阪 南堀江 knave
2013年3月2日(土)@名古屋 今池 PARADAISE CAFÉ 21
2013年3月6日(水)@東京 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

タワーレコード インストアー・ライヴ
2012年12月14日(金)@タワーレコード渋谷店3F イベント・スペース
20:00スタート 入場フリー

2012年12月16日(日)@タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベント・スペース
14:00スタート 入場フリー

2013年1月7日(月)@タワーレコード新宿店7F イベント・スペース
19:00スタート 入場フリー

2013年1月27日(日)@タワーレコード池袋店6F イベント・スペース
15:00スタート 入場フリー

詳細は【南壽あさ子HP】にて http://www.nasuasaco.com

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PROFILE

南壽あさ子

1989 年3 月6 日 千葉県生まれ うお座 A 型

幼少の頃よりピアノを始め、物心つく前から漠然と、"私には歌しか無い" と信じて疑わなかった。20 歳の頃から作詞・作曲を始め、2010 年より都内ライヴ・ハウスで弾き語りを始める。南壽(nasu) という名字は、風景画家である祖父の苗字を拝借。情景が浮かぶ歌詞と旋律は、祖父の影響もあるのだろうか。どこかなつかしく、郷愁の漂う空気を纏い、物語を綴っている。

デビュー・シングル”フランネル”はプロデューサーに湯浅篤氏を迎え制作。衣装は谷田浩氏が衣装提供、アドバイザーとして参加。ジャケット写真、アーティスト写真はかくたみほ氏によって撮影された。新進気鋭のクリエイター達が、彼女の歌い創り出す音楽に共感し、集っている。

>>南壽あさ子 official HP

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インタヴュー

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筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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