
MAX(Vo.Key.Sampler) INTERVIEW

——MAXさんがバンドを始めたのは、いつ頃のことですか?
MAX : 高校生の終わり頃、スカ・ポップ・バンドが流行っていて、そういうバンドで管楽器を吹いたのが一番最初ですね。
——高校を卒業された後の進路はどうされたんですか?
MAX : 服飾の専門学校に入学しました。バンドからは離れて、服をつくる事に集中していたんですけど、その途中でWiennerの前身バンドであるSCHOOL YOUTHとか、その周辺のパンク・シーンに出会って、段々バンドを見に行ったりするようになったんですよね。
——なぜ、服飾からまた楽器へ? すごく興味があるんですけど(笑)。
MAX : ちっちゃい頃から吹奏楽をやってきていたし、ずっとピアノを習ってたんですよ。音楽はすごく好きで、自分の中で一番長く続けていたものだったので。SCHOOL YOUTHが好きになったタイミングで鍵盤を募集していたから、「この人達と音楽をやったら楽しそうだな」って単純に思って応募したんです。
——マナブシティさん、∴560∵さんは、玉屋さんがやっている音楽をさらに格好良く出来る、サポート出来るんじゃないかという気持ちがあったそうですが、そういうことは思っていましたか?
MAX : 最初はそれがすごく強かったです。でも最近は、助けてもらうだけだとつまらないだろうなって。… いや、助けていたつもりだったんですよ、ずっと。でも、曲が出来なくなってスランプに陥った時、これは本当に助けてるわけじゃないなと思って。だから、今はサポートしたいというより、一緒に面白いものを作りたいという気持ちがすごく強いですね。
——玉屋さんがスランプに陥った時、玉屋さんはメンバーに弱音を吐いたりはしなかったんですか?
MAX : それまでは、ほとんど全くしていなくて…。リーダーだから、自分が弱音を吐いたら皆も不安になって、よくない空気が伝染しちゃうみたいな風に強がってくれていたと思うんです。弱音を吐いてくれたことで、それにメンバーが気付けたんで、出してくれて良かったなって思います。
——そのときの玉屋さんは、本当にスランプだったんですね。
MAX : そうですね。レコーディングが迫っているのに「曲がない! どうしよう! 」ってなってて。ある日スタジオに突然「こんな曲できたんだけど」と言って「午前6時」を持ってきて。
——玉屋さんがスランプから抜け出すことができたのは、メンバーが何かしたとかではなく、玉屋さん自身がきっかけを見つけたんですか。
MAX : メンバーが何かをしたというより、メンバーじゃない友達に相談した時、「一回普通に歌ってみたら? 」って言われたことがあの曲が出来たきっかけだと思います。

——じゃあ、普段顔を合わせている自分たちが何も出来なかったことに対して、もどかしい気持ちもあったんじゃないですか。
MAX : もどかしい気持ちもあるし、メンバーには弱音を吐けない状況を作っちゃっていたんだなって。あと、自分たちが助けていると思っていたやり方が違っていたんだって、気が付きました。
——それによって、MAXさんはバンド内で自分のあり方を変えていったんですか?
MAX : 今までは持ってこられた曲に対して、自分なりの解釈をして出すってことをしていたんですけど、そうじゃなくて、自分が作って助けないとダメなんだと思って。それで「午前6時」へのアンサー・ソングを作ったんです。
——それまでは、自分で曲を作ってみようという気持ちになった事はなかったんですか?
MAX : 作ってみたいなとは思っていましたけど、何となくメロディーを思い浮かべても、真剣な気持ちがないと曲にならない気がしていて。助けてあげたいなって気持ちが、真剣に気持ちを出して曲を作りたいと思ったきっかけだったんですよね。
——なるほど。表面上だけじゃなくて、根本にあるコンセプトや気持ちを形にしていったわけですね。今作でもMAXさんが作った曲「トワイライト」が収録されていますけど、曲を作る上での気持ちに変わりはありましたか。
MAX : 『アイデン&ティティ』って映画があるじゃないですか。あの映画を見て、男の人ってなんて不器用なんだろうと思ったんですよ。峯田(和伸)くんの役の人がとんでもないダメな人で、すごく純粋に彼女を好きなんだけど、寂しさを耐えられなくて浮気とかしちゃって、でも音楽には向き合うみたいな。玉屋君のライヴを見てて、すごい説得力もあるし包容力もあるし、お客さんのことも守ってくれそうな力をめちゃくちゃ持ってるんですけど、こういう人こそ、彼を包むような大きい女の人と幸せになってほしいなとめちゃくちゃ思って。ふふふ。
——あははは。
MAX : すごい失礼な話ですよね(笑)。でもそれをすごく思って。だから「トワイライト」は夢を追いかける男の人を応援したい女の人の歌だったんですよ。
——そうだったんですね。Wiennersの中でMAXさんの立ち位置は、『アイデン&ティティ』で言えば麻生久美子さんみたいな感じですよね。
MAX : なんですかね。ははは。皆が幸せになってほしいなと思うんですよね。
——ただ、メンバーが悩んでいる時期って、決していい雰囲気ではないと思うんですね。ピリピリもするだろうし。そういう中で、バンドを続けるのがキツいなと思ったことはなかったですか?
MAX : そこまで、しんどいなとは思わなかったですね。ただ、空気が悪いのが嫌というか、すごく苦しそうなメンバーを見るのが嫌でした。それをどうにかしたいんだけど、その時はまだ「午前6時」を聴いていなくて、どうやったら助けてあげられるんだろうってことをすごく考えて。

——他のメンバーが苦しんでいて、MAXさんも、もがいていたと思うんですけど、自分のことでいっぱいいっぱいにならなかったのはなんでだったんでしょう。
MAX : 私は周りのことを冷静に見るタイプなんです。今、この人はどういう精神状態だとか、漠然とバンドの雰囲気がこういう感じだとか。例えば、今日のマナブシティ君は仕事の後で疲れていて集中力がないなとか、俯瞰的に見てることがすごい多くて。
——バンドの中にいながら、一個上の視点で見ている部分があると。
MAX : 離れてみていますね。良くも悪くも。
正々堂々と勝負する助け方
——一歩引いた所から見て、今のWiennersはどういう風に見えていますか?
MAX : 今のWiennersですか? アルバムが完成して、気持ちをみんなで高めていかなきゃいけないというか、「アゲていくぞ! 」という気持ちはみんな持っていると思います。でも、そう思ったからといって、100%上手くいくわけではないので、どうやったらモチベーションが上がって、バンドとしてギュッとなって上がっていくのかを私は考えています。それはみんなも考えているんじゃないかなと思います。
——マナブシティさんへのインタビューで、メンバー間で遠慮をしている部分がまだあるんじゃないかという話が出てきたんですが、そういう遠慮を感じたりもしますか?
MAX : メンバー全員が、めちゃくちゃ社交的な性格っていうわけではないので、今これを言っちゃいけないんだろうなとか、遠慮じゃないけど、考えすぎて言えないことはありました。言いたいことがはっきり言えないってわけじゃないんですけど、みんな結構考え込んじゃう性格をしていて、考えすぎて言えなかったりはあるかもしれないですね。
——マナブシティさんは、その距離が近くなればバンドの音も変わってくるんじゃないかと言っていて、ムード・メーカーとして積極的にやっていきたいと仰っていたんです。Wiennersのアルバムは、作品を重ねるつれてバラエティに富んできているし、メンバーの関係性もすごく影響していると思うんですよね。
MAX : 確かに、上手い方に行ったらめちゃくちゃキュッとまとまると思うんですけど、それは人間なんでなかなか難しい所もありますよね。
——∴560∵さんが自分のことを「意外とポジティブじゃないんです」と言っていてすごい意外だったんですよね。
MAX : ∴560∵も、結構自分の中に抱え込んじゃったりとか意外と自分の本音を言わなかったりして、たまに心配になったりするときもあって。そこはコミュニケ—ションをとってやっていきたいですね。
——MAXさんとしては、Wiennersを今後どうしていきたい、どんな活動をしていきたいと思いますか?
MAX : もっと自由に音楽を楽しめたらなと思うのと、『UTOPIA』で曲を作ったように、自分から出てくるものをもっと出していきたいなというのがありますね。
——玉屋さんは他のバンドを辞めて、Wiennersだけに専念しているじゃないですか。その気合いに対してメンバーの熱量が更なるかけ算になったときが本当により楽しみですね。
MAX : そこは、今までしていた間違えた助け方じゃなくて、正々堂々と勝負する助け方みたいなものをしていけたらと思いますね。

——お話を聞いていて、MAXさんは、何かこう、達観していますね。
MAX : 達観してないですよ(笑)。全然全然。そんな優しくないですもん。
——あはははは。長い間4人で活動をしてくているので、言葉に出さなくても、今まで見せなかった部分を見せられるようになったりしましたか。
MAX : どうなんですかね。私のことを客観的にみてくれる人が欲しいですね。出せるようになってきているとは思うんですけど、出せる時は出せるんだけど、内に籠もっちゃう時はすごい内に籠もっちゃうみたいな。パキっと分かれちゃってるなと反省をしています。
——MAXさんは、中学のときに吹奏楽部、高校では陸上部をしていて、卒業後は服飾と色々なことをやってきているんですよね。興味が沢山ある中で、Wiennersのメンバーとずっと一緒にやってきたっていうのは、このメンバーに特別なものを感じているんじゃないですか。
MAX : そうですね。それは最近自分でも思っていて、あまり固定の人と一緒に何かをするってことがあまり得意じゃないんです。でも4年経って、この人のこういう所が人間的に嫌いだとか思ったことは一回もないので、すごくいい人達に恵まれてバンドが出来てるなと思います。
——なるほど。じゃあやっぱりこのメンバーで曲を作ったりとかツアーに出て行きたいという気持ちがあるんですね。他のメンバーにも聞いているんですけど、音楽だけで食べていきたいという気持ちはありますか?
MAX : 音楽だけで食べていくのかってことも最近すごく考えるんですけど、恐ろしく可能性が薄いというか、バンドをやって音源を作ってライヴをして、それだけで生活をするのって途方もないなと考えて落ち込んでたんです。でも、それだからこそ、自分がしっかり意思を持っていればそれは出来る気がしていて。音楽でご飯を食べていきたいなとはちゃんと考えています。
——話を聞いていると、MAXさんは行動にするまえの土台になる考え方や気持ちの部分がなによりも一番なんですね。
MAX : そう、大事なところだと思います。
——じゃあ、今一番の原動力になってる部分はなんだと思いますか?
MAX : 周りで悩んでる人とかがいたら、その人を助けてあげたいなと思うことが多くて。人のために何かをするのが好きなんです。誰かの為にご飯を作るとか、この人が喜ぶことをしてあげたいなとか、そういう尽くす気持ちが強いタイプなので、困ってる人を助けたい。この人をもうちょっと元気にしてあげたいなみたいな部分が原動力になっていたりしますね。
——それ、すごいことですよ。自分のことは置いておいてってことですもんね。
MAX : でも、それをすることによって相手が喜ぶと、自分が嬉しいから自分のためと言えば自分のためなんですよね。本当にこれを作って、その人が元気にならなくても、まあ自己満足と言えば自己満足なんです。今回作った曲も本当に助けたいと思って作った曲だから、きっとこれを出したら喜んでくれるだろうなっていうところで、自分で救われているって感じかもしれないですね。
——なるほど、でも本当にMAXさんがマザーとしての役割を担っているんだってことがよく分かりました。これからの活躍にも期待しています!
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