microshot新作リリース&「ambrosia」のDUBWISEを募集!

ルーツ・レゲエに敬意を表しつつも都会的でクールな質感を醸し出すサウンドで、日本のレゲエ・シーンにおいて独自のポジションを築き上げている、インスト・レゲエ/ライブ・ダブ・バンドmicroshotが、3年ぶりとなる新作『ECHO SATELLITES』をリリース。発売を記念して、microshot所属レーベルmao主催のもと、アルバム収録曲「ambrosia」のDUBWISEを一般募集するコンテストを開催!

応募楽曲の中から、優れたものに関しては、今秋発売を予定しているネット配信限定アルバム「ambrosia DUBWISE(仮)」に収録。このアルバムには、イトケン、Tyme.、fragment、SHANTY-NOBや100madoといったゲスト・アーティストの作品も収録されます。「ambrosia」は、6月30日までOTOTOYでフリー・ダウンロード可能。原曲がイメージできないくらいの過激なものから、思わずニヤリとさせられるようなものまで、ドキドキさせてくれる作品をお待ちしております。
>>DUBWISEコンテスト詳細 / 応募要項はこちら

microshot「ambrosia」フリー・ダウンロードはこちら(期間 : 5/27〜6/30)

>>mp3ver.はこちら

【DUBWISEとは?】
レゲエから発祥した音楽手法、および音楽ジャンル。(レゲエ)楽曲のリズムをより強調する様にミキシングし、エコーやリバーブなどの過剰なエフェクトを施し加工することに全く別の作品に作り変えてしまうことであり、リミックスの元祖とも言われる。1968年頃、ジャマイカの音楽エンジニア、キング・タビーがサウンド・システム用のボーカル抜きのトラック(ヴァージョン)を製作する過程で偶然発明したとされる。

INTERVIEW

オーガスタス・パブロに価値観をひっくり返され、ルーツ・レゲエに深い愛情を示すメロディカ担当の吉川真緑を中心に、ルーツに特化したサウンドを鳴らすレゲエ/ダブ・バンドmicroshot。3年振りとなる2枚目のアルバム『ECHO SATELLITES』から伝わってくるのは、ルーツ・レゲエに対する愛情と尊敬である。東京で奏でられるサウンドは、都会ならではの洗練さと同時に、都市生活者ならではの孤独も臭わせる。

オリジナル曲とそのダブワイズで構成された8曲は、レゲエやダブを聴いたことのないリスナーの入門盤としても最適であり、レゲエのルーツを辿る意味でも重要なアルバムである。自分たちの楽曲を無料でフリー・ダウンロードしてもらい、リミックスさせてしまおうというダブワイズ・コンテストも開催が決定。自身を”雨男”と豪語する吉川を迎え、レゲエとダブについてじっくり伺った。もちろん外は雨が降っていた。

インタビュー&文 : 西澤裕郎

トラウマだったものが一気にかっこいいものになってしまった

——まず、どのようにmisroshotの4人が集まったのか教えて下さい。

2001年にmicroshotを始めたんですけど、まだ今のメンバーは全然集まっていなかったし、僕もレゲエをやってなかったんですよ。色々活動していくうちにレゲエをやりたいなと思ったんですけど、周りにレゲエをやっている人もいないし、学生時代の友人にもそういう音楽を好む人間がいなかったので、インターネットのメンバー募集に書き込みました。

——掲示板には何て書いたんですか?

『オーガスタス・パブロ、MUTE BEAT好きな人募集!』って書きました(笑)。その時来てくれたのが、ドラムの岸(智哉)くんとベースの藤川(秀之)くんの2人なんです。ギターの龍(健太郎)くんは3年前に入りました。同時にダブ・ミキサーも募集していたんですけど、ダブ・ミキサーの人ってなかなかいないんですよ。それで大分苦労したんですけど、加入希望のところで見てみたら『ダブ・ミックスやります』って書いてあって、それがpasadenaのイシモト(サトシ)さんだったんです。掲示板がきっかけでこのスタイルは動き始めたんです。

——ちなみに、レゲエをやる前はどんな音楽をやっていたんですか?

ダメなピンク・フロイドみたいな、もっとロックな音楽をやってました(笑)。ただその時からピアニカは持っていて、オーガスタス・パブロに憧れていたので、ピアニカに特化した音楽をやりたいと思っていました。

——どうしてロックからレゲエをやろうと意識が変化したのでしょう?

バンドを始めた頃からレゲエは好きだったし、プログレやジャズ全般まで色々な音楽を聴いてたんですね。ただ、具体的にどういうものをやろうか自分の中で整理できていなかったんです。そこで自分の方向性を定めてやっていかないとバンドも動かないなと思って、自分にとって一番大事になってくる音楽は何だろうって考えた結果、出た答えがレゲエだったんです。レゲエであり、レゲエの中でもダブっていう部分が大事なところだと思った。だったらそこに特化した音楽を徹底的にやってやろうと思ってやり始めました。

——レゲエとかダブのどういう部分に魅力を感じたんですか?

最初はレゲエの部分でも、オールディーズの所謂ロック・ステディと言われるあたりを聴いていたんです。そこから色々漁っていくうちにオーガスタス・パブロを知って、その時に結構ビックリしたんですよ。まずピアニカを使うっていうことが僕にとっては衝撃的で。ピアニカって、僕の中でのトラウマ楽器だったんですよ。小学生の時、すごく苦手で大嫌いだったんです。でもそのピアニカを使ってレゲエをやって、なおかつものすごくかっこいいものを作っているパブロの音楽を聴いたときに価値観が逆転してしまった。トラウマだったものが一気にかっこいいものになってしまったんです。その時聴いたのは、『King Tubby Meets Rockers Uptown』っていう代表作なんですけど、それをきっかけにズブズブ入っていきましたね。

——それで価値観が変わって、自分でもピアニカをやってやろうと。

そうですね。ピアニカをメインにした音楽をやろうと思ったのはいいんですけど、メンバーを集めたときピアニカを誰がやるのかってことになったんです。それまで僕はギターを弾いていたんですけど、ギターとかベースに関してはうまい人がいっぱいいるから、ピアニカは自分でやることにしたんです。

——トラウマ楽器だっただけに、過去の記憶がフラッシュバックしなかったですか?(笑)

唾液の感じとか懐かしいなと思いましたけど、その時はパブロの頭になっていたので全然気にせず吹けましたね。

——あまりピアニカを使ったバンドは多くないので、苦労しなかったですか?

ピアニカって、楽器自体音を鳴らすことは誰にでも出来る楽器じゃないですか。トランペットとかの管楽器は音を出すまでに時間がかかるんですけど、そのプロセスがない分何とかなるだろうって思っていたので、そんなに大きな苦労はなかったですね。もちろん難しさっていうのはやっていくうちに分かってきたんですけど、あまり難しいことは考えずにとりあえず音出るからやっちゃえくらいの勢いでやってましたね。

東京でやるレゲエの形が絶対にある

——曲はメンバー全員で作っているんですか?

『ECHO SATELLITES』には、オリジナルとそのダブワイズが4曲ずつ合計8曲収録されているんですけど、オリジナル曲はメンバー全員分の曲が入っています。「libertine」は藤川君、「ambrosia」は岸君、「G summa special」は龍君、「lilacnotes」は僕の曲ですね。

——最初から1人1曲ずつに作ろうと思っていたんですか?

いや、たまたまこうなったんです。

——それは驚きですね(笑)。メンバーが共通して好きなレゲエの部分はどういうところなんですか?

共通するのはルーツ・レゲエですね。ボブ・マーリー、バーニング・スピア、 The Wailersのピーター・トッシュ、バニー・ウェイラーとか色んな人たちから影響を受けました。

——歴史があるレゲエの中でもルーツ・レゲエに弾かれた理由は何でしょう?

70年代前半くらいから80年代半ばくらいまでって、ルーツ・レゲエの一番熱い時代なんですね。自分が聴いていいなと思うレコードやCDが、調べてみるとだいたいその時代の音源だったんです。だから自然とその時代の音を教科書にして曲を作っていったという感じですね。

——レゲエはラスタファリズムなど思想や時代背景も重要な要素だったりするじゃないですか。そういう文化的な背景よりサウンドへの共感のほうが大きかったんですか?

そうなんです、音なんですよ。音に惹かれてそこを追求している。レゲエってやっぱり思想的なものが当然ついてくるので、それも理解してますけど、僕らは文化的なものより音に惹かれるんです。

——確かに”都会的でクール”ってキャッチがついているように、ジャマイカのレゲエとは違う視点を感じます。

強いて言えば東京でやるってことは意識してますね。どう頑張っても、70年代から80年代のルーツレゲエの音にはどうしてもならないわけですよ。育った環境もバックグラウンドも全然違うので。でも東京でやるなら、東京でやるレゲエの形が絶対あるはずなので、そこは意識して演奏はしていますね。

——ジャマイカと東京でやるレゲエの一番の違いはどういうとこにあると思いますか?

例えばボブマーリーの曲を聴くにしても、ジャマイカ人がジャマイカで聴くのと、僕らみたいな日本人が日本で聴くのとでは聞こえ方が確実に違うと思うんですよ。それはさっきも言ったように国の成り立ちや状況にもよるし、自分たちがレゲエに辿り着くまでに聴いてきた、邦楽も含めた色んな音楽のとの関連性もある。更に言えば、東京という都市は経済的には向こうに比べて豊かだけれども、それによって向こうが持っている猥雑さとか根源的なタフネスとかが失われている側面もある。でもそれを否定するのではなく受け入れていく中で産まれるソリッドネスやペーソスみたいなものが僕らの音にはあると思うんですよね。同じワンドロップをやっていたとしても。

——東京のmicroshotというバンドがやるレゲエらしさって、1枚目2枚目と進んでいく上で出てきたと思いますか?

それが、確実に出てきていると思うんですよ。今回は前回より強く出せたかなって気がします。

——どういう部分でそう思いますか?

1枚目は向こうの音に近づこう近づこうとして、アナログ感を出すことを意識して、質感を重視したんですね。でも今回はそういうある種表面的な部分よりも、もっと自分達のメンタルな部分を出していく方にウェイトを置きました。なのでドラムのチューニングとかにしても前作みたいにミュートガチガチで70年代風の音を狙わずに、今風の音にしてみたりとか。「ここでもっとがつーんと鳴って欲しい」と思っても前作では「いや、それは70年代のマナーじゃないから」ってやらなかったりしてたんですけど、今回はやっちゃってますね。あとは曲毎にレゲエの意匠というか、まぁ色んなリズム・パターンがあるんですけども、そういう曲の構造面でルーツの要素を盛り込んでいけたかなと思ってます。メンタル部分との対比で、ルーツに対するリスペクト感はしっかり僕らなりの形で出せたかなと。

——曲の構造の部分をもう少し具体的に教えていただけますか?

1曲目は、リコ・ロドリゲスの「アフリカ」っぽい曲をイメージして作り始めました。リズムはナイヤビンギ風ですね。ラスタファリアンが集会で演奏している音楽なんですけど、パーカッションを主体としたリズムを強く出したゴスペルみたいなものですね。そのリズムを使った曲なんです。

——他の曲に関してもお聴きしてもいいですか?

2曲目は、ルーツラディクスという80年代レゲエの代表的なバック・バンドが多用したリズムをベースにしてます。キックが頭に来るのが特徴なんですけど、そのリズムを僕らなりに解釈して作った曲です。MUTE BEATというこだま和文さんがやっていたバンドがあるんですけど、そのバンドも多用したリズムです。この曲に関しては今回の中では一番レゲエ臭さはないんじゃないかと思いますね。3曲目は、今まで僕らの曲で一番なかったタイプの曲ですね。ワン・グルーヴで、ずっと同じリズムで押していくっていう曲で、これに関してはギターの龍くんが入った影響なのかなって思います。実際に彼が持ってきた曲だし、今までのメンバーでは出来なかった曲かなって気がしますね。 4曲目は、リズムはシンプルな所謂ミリタント・ビートってやつなんですけど、所謂四つ打ちのレゲエの曲で、それを意識した曲ですね。このアルバムの中では、メロディも含めて一番ポップな曲ですね。

——ちなみにインストですけど曲名はどうやってつけるんですか?

これは基本的には曲を持ってきた人間がつけているんですけど、うちらの場合は先に曲ありきなんで、そのメロディや曲から想起されるものをつけていますね。

僕らの一番軸となっているダブ

——最初から1枚のアルバムの中で、オリジナルを4曲とそのダブワイズ4曲を収録しようと考えていたんですか?

今回のアルバムを作るにあたって、僕らの一番軸となっているダブって部分をしっかり聴かせたかったんですね。元来ダブっていうのはオリジナル曲があって、そのダブ・バージョンがある。だからA面がオリジナル曲で、それを裏返したらダブっていう感じなんですね。なので、ダブワイズ・ヴァージョンをしっかり入れたかったんです。例えばオリジナル曲10曲とか入れちゃうと、そのダブワイズも10曲入れなきゃいけない。そうなると2枚組だとか、別のアルバムでダブワイズ・アルバムを作らなきゃいけなくなるので、初めてダブを聴く人にもわかりやすいように1枚にしたかったんです。なので曲数的には8から10に収めたいと思っていて、結果として4曲ずつになりました。

——原曲をダブワイズにして一番変わる部分はどこでしょう?

曲の構造として、まずメイン・メロディというのはほとんど消えるわけですよ。レゲエって、オリジナル曲でもすごくリズムを強調した音楽なんですけど、更にぐいっと前に出てきたり、その中からドラムが消えたりベースが消えたり、派手なエフェクト処理がされたりするので、本当に別の曲になるっていったほうがいいと思います。同じ曲なんだけど別の曲になってしまうってとこですね。

——今回どなたがリミックスをしているのでしょう?

今回に関しては2人いて、1人はレコーディングもお願いしたpasadenaのイシモトさんが2曲やってくれています。残りの2曲はギターの龍君がやっています。彼は機械をいじるのが好きだったり、個人的にダブ・ステップのDJとかback to chillとかに出ているんですよ。

——同じような試みをしているバンド、もしくはmicroshotを聴いてダブに興味を持った人に薦める入門的なアルバムがあれば教えてもらえますか?

今回の僕らのアルバムみたいな形ではないんですけど、ディスコ・ミックスって呼ばれているものがあって、普通にオリジナル曲で始まるんですけど、途中で強引にダブ・バージョンがくっつくスタイルがあるんですね。僕が一番好きなのがNYのWackies' というレーベルから出ているホレス・アンディの『ダンスホールスタイル』というレコードで、それはすごくダブってものを体感しやすいんじゃないかと思いますね。前半が普通のバージョンで後半にダブっていうのが並んでいます。

ルーツの部分をやる人たちがいなくなっちゃうと寂しい

——5/27から募集を開始するダブワイズ・コンテストについて教えていただけますか。

2曲目の「ambrosia」をパーツ毎の素材に分けて、フリー・ダウンロードで誰でも落とせるようにして、それをいじってもらって発表してもらうという企画なんです。音楽を作っている若い人たちとか、本当に色んな人にいじって欲しいと思いますね。もちろんレゲエを全然知らないっていう人にも是非やってもらいたいです。

——コンテストというだけあって、優秀賞とか何かしらの特典はあるんですか?

集まった中からいいものを集めてネット上で1枚のアルバムにして販売しようかと考えているんですけど、まだ色々と面白いアイデアを考えています。

——企画は誰が発案したんですか?

maoのイシモトさんから企画を聞いて、それは面白いなと思ってメンバーも賛同したんです。例えばこれをきっかけに、全然レゲエとかダブを知らない人にも知ってもらえればすごく嬉しいですし、ほんと楽しみですね。どんなものが出来るか想像つかないです。

——そういえば、ustreamでライヴ中継もされるんですよね。

そうなんですよ。アルバム発売日にスタジオを借りて配信するんです。僕らも初めてなんで色んな意味でドキドキしてるんですけど、いいものを見せたいですね。ダブっていうものをすごく分かりやすく聞けると思うので是非観てほしいです。

——最後に吉川さんから何か言っておきたいことがあれば。

今ダブっていう言葉がすごく進化して、すごい多様化しているんですね。色々進化する形はあるんですけど、僕らはルーツの部分に特化した音楽をやっているので、これを聞いてもらえばダブってものがどういうものがすごく分かると思うので是非聴いてほしいですね。

——追加で、最後にもう一つ質問を。microshotがルーツを追い求めるのはなぜなのでしょう?

進化するってことはいい部分も多いけど、薄くなる部分っていうのもどうしてもあると思うんです。進化した形をやっている人はすごく多いけど、ルーツの部分をやる人たちがいなくなっちゃうと寂しいってこともあるので、そこを僕らはやろうと思ってます。ルーツの部分も大切にしたいんですよね。

microshot PROFILE

結成2001年、都内活動中の4人組インストゥルメンタル・レゲエ/ライブ・ダブ・バンド。小編成ながら太く乾いて攻撃的なレゲエ・ビートの上で哀愁の旋律をメロディカが奏でる。ルーツ・レゲエに敬意を表しつつも都会的でクールな質感を醸し出すそのサウンドは、日本のレゲエ・シーンにおいて独自のポジションを築き上げている。ライブにおいてはダブ・エンジニアを迎えてリアル・タイム・ダブ処理を施したパフォーマンスを展開する。

microshot web site

microshot『ECHO SATELLITES』Release Party

  • 2010年6月6日(日)@吉祥寺曼荼羅
LIVE : microshot(guest:外間正巳[tp]) / Nishiyaad / The Coconuts
DJ : NAMETAKE(AUTHENTIC)
PA, Dub Mix : Satoshi Ishimoto(pasadena)
open 18:30 / start 19:00
料金 : 前売 2000円 / 当日 2500円(1Drink別)

microshot On USTREAM!!


2ndアルバム『ECHO SATELLITES』リリースを記念して、CDの発売日となる6月2日21:30より都内某所にてUSTREAMライブを行います。当日はたっぷり1時間の演奏を予定。1st、2ndアルバムからの曲は勿論のこと、未収録曲も飛び出す予定。まだmicroshotのライブを見たことが無い方はこの機会に是非。そして気に入ってくださった方は是非6/6のリリースパーティ@曼荼羅へもお越し下さい。

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筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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