2011年10月に改装オープンした中型ライヴ・ハウス、下北沢GARDENが1周年を迎えた。ライヴ・ハウスがひしめきあう下北沢の中でも、最大級のキャパシティを誇り、新世代のロックから70'sパンク、60's Rockn'Rollまで、骨太なロックを軸としながら非日常の空間を演出する硬派なライヴ・ハウスである。今回OTOTOYでは、1周年を記念して2回に渡り特集を行う。第一弾となる今回は、GARDENのマネージャー、橋本俊一にインタビュ—を決行。下北沢GARDENというハコについて迫った。それにあわせて、2012年10月に行われる1st Anniversaryライヴのフリーパス券もプレゼント。記事を読んで、ぜひ足を運んでみてほしい。
下北沢GARDEN 1st Anniversary LINE UP!!
GARDEN 1st Anniversary Presents
Ambition Thursday
2012年10月11日(木)
出演 : ATOM ON SPHERE / fade / white white sisters
OPEN / START : 18:40 / 19:20
ADV / DOOR : ¥2,500 / ¥3,000(ドリンク別)
HEAT
2012年10月12日(金)
出演 : 浅草ジンタ / THE MAN / video brother
OPEN / START : 18:30 / 19:00
ADV / DOOR : ¥3,000 / ¥3,500(ドリンク別)
SOUNDBOND vol.6
2012年10月17日(水)
出演 : O'VALENCIA! / neat's / Praque / 魅起法則(ミキノルム) / Lighter190E
OPEN / START : 18:40 / 19:20
ADV / DOOR : ¥2,500 / ¥2,800(ドリンク別)
管楽器の入ったバンドって、なんかいいよね、の夜Vol.4
2012年10月19日(金)
出演 : ハチャトゥリアン楽団 / ▲s / たをやめオルケスタ
OPEN / START : 18:30 / 19:30
ADV / DOOR : ¥3,000 / ¥3,500(ドリンク別)
侍音宴-Samurai Rock Party vol.1
2012年10月26日(金)
出演 : GARI / MIDNIGHTSUNS / smorgas / TEARS OF THE REBEL
OPEN / START : 18:30 / 19:00
ADV / DOOR : ¥2,500 / ¥3,000(ドリンク別)
HALLOWEEN PARTY 2012
2012年10月31日(水)
出演 : [Special Guest] ROCKETMAN / Junya.K / KAZUKIDZ / HIDE / SHUN(studio54)&SHIIBA(tag cafe)
OPEN / START : 18:30 / 18:30
ADV / DOOR : ¥1,500 / ¥2,000(ドリンク別)
『下北沢GARDEN 1st Anniversary』のフリーパス券を10名様にプレゼント!
無料招待への応募方法!!!
件名に「下北沢GARDEN 1st Anniversary 招待券希望」、本文に氏名、年齢、住所、電話番号、をご記入の上、info(at)ototoy.jpまでメールをお送りください。当選者の方には、追ってメールにてご連絡します。
※あらかじめinfo(at)ototoy.jpからのメールを受信できるよう、設定ください。
※ドリンク代は別途いただきますので、ご了承ください。
応募締切 : 2012年10月15日24時まで
INTERVIEW : 橋本俊一(下北沢GARDEN マネージャー)
下北沢は音楽の街だ。そう言ってもおかしくない数のライヴ・ハウスがひしめきあっている。それでいて、それぞれのハコがそれぞれのカラーを持っており、アコースティック、バンド、アンダーグラウンドはこのハコが強いなど、自然のうちに棲み分けができている。そんな下北沢にあるライヴ・ハウス、下北沢GARDENが、2012年10月に1周年を迎えた。小バコ中心の下北沢において約500名のキャパシティを持ち、同じ場所にあった同じ名前のライヴ・ハウスを受け継ぎながら改装してオープンしたライヴ・ハウスだ。出演するアーティストも、世間的に認知された実力あるバンドだったり、メジャー・レーベル所属のミュージシャンが多い。そういう意味で、他の下北沢にあるライヴ・ハウスにはない役割を担っている。そのことに対して彼らは自覚的だ。1周年を機に、下北沢GARDENがどんなハコなのか、そしてライヴ・ハウスのあり方について、GARDENのマネージャー橋本俊一に話を訊いた。
取材 : 西澤裕郎
構成&文 : 梶原綾乃
ライヴ・ハウスがアーティスト育てるっていうのはずっと変わらないかなって
——橋本さんが下北沢GARDENに携わるようになったきっかけを教えていただけますか。
橋本俊一(以下、橋本) : もともと、僕はフリーで音楽関係の製作とかマネジメントをしていたんです。渋谷Plugっていうライヴ・ハウスの立ち上げもして、店長を4年やらせてもらったんですけど、GARDENの新規立ち上げというかリニューアルの話があったので、やらせていただくことになりました。
——GARDENは今年で1周年を迎えるわけですが、1年以上前から同じ場所に「GARDEN」という名前のライヴ・ハウスがありましたよね。
橋本 : そうですね。経営者が変わって、内装が全部ガラッと変わって、システムもスタッフも全て代わりました。自分も含めて、今のGARDENから新たに入ってきたスタッフたちなんです。
——内装、スタッフ、システムも変えたのに、なぜ名前は変えなかったんですか。
橋本 : 名前を変えずに「文化を残そう」という想いがあって。過去の良かったことも悪かったことも全部そのまま引き継いで、新しくしようみたいな感じというか。新しくなってからは、ロックを中心にやっています。下北最大のキャパではあるんですけど、ライヴ・ハウス感を持ちつつ、映像とかにも力を入れられる。ライヴ映像のRECが出来たりとか、PRO TOOLSでライヴをそのまま収録できたりとか、Ustreamで配信できたりするシステムも入れて、ライヴ自体をパッケージ化できるハコをコンセプトとして作ってますね。
——1年かけて現在の状態を作ってきたわけですけど、認知してもらうまで大変だったと思います。街に馴染むように、どのような運営をされてきたのでしょう。
橋本 : うーん。もう、やり続けるしかないっていうのもあったんですけど、とにかく足をいろんなところに運んだりとか、僕自身がフライヤーを配りにいったり、そういうところからコミュニケーションを始めさせてもらって。楽器の搬入搬出もスタッフ全員で手伝ったりとか。
——アイドルなどの盛り上がりによって、ロックがちょっと押され気味という感覚があるんですけど、ライヴ・ハウスで働いている橋本さんの感覚としてはどう感じていますか。
橋本 : 昔から思っているんですけど、音楽業界を辿っていくと最終的にあるのはライヴ・ハウスなんですよ。プロでもメジャーでもアマチュアでも必ず通るところというか。アイドル、ゲーム音楽、ネット上で始まっているムーヴメントって、ライヴ・ハウスを通らなくてもいける道筋で、それはとても面白いと思います。ただ、少なからずライヴ・ハウスが応援していけるような環境でライヴが出来るっていう環境を守らないと、なかなか純粋なロックだったり、昔からある音楽が生き残るのが難しいかなとも思っています。とにかくライヴ・ハウスがアーティスト育てるっていうのはずっと変わらないかなって。うちはロック中心にやるのであれば、アーティストをしっかりと応援していきたい。もちろんアイドルとかもやらないわけではないんですけど、基本はやはりロック。生楽器、バンドを応援したいっていうのが1番ですね。
——なるほど。GARDENではフード・フェスのような音楽以外のイベントもされてますよね。
橋本 : 下北沢の飲食店10店舗以上と一緒にイベントやってたりとかもしています。下北沢っていう街に密着したものをハコがやっていかないとと思って。美容師さんがイベントをやってくれたり、アパレルの雑貨屋さんとかもやったりとか、下北沢のショップさんがうちを使うことも多いんです。
——下北沢には、飲食店だけではなく、ライヴ・ハウスもいっぱいあるわけじゃないですか。下北沢のライヴ・ハウスさんとの付き合いはあるんですか。
橋本 : 各店長がアーティストとつながっていれば遊びに来てくれたりしますし、僕もライヴを観に遊びに行ったりとかもします。機会があったときにみんな会うし、応援するときはフライヤーを置いたり、協力していますね。サーキット・イベントが増えているので、サーキット・イベントでライヴ・ハウスが繋がるっていう意識はありますね。
——なるほど。実際ああいうサーキット・イベントをやることによって雰囲気は変わったりするんですか。
橋本 : 変わります。街がすごく盛り上がるので。普段GARDENに出ないようなアーティストがサーキット・イベントで出たりもするので。そういうことを考えると、サーキット・イベントってすごいチャンスだと思うんですよね。
お店を長く続けていくにはやっぱ人間力が大切
——ライヴ・ハウスにこだわらず、CDショップなど、インストア・ライヴをやる場所が増えてると思うんですね。必ずしもライヴ・ハウスじゃなくてもライヴがやれるという風潮もあると思うんですけど、その中でライヴ・ハウスの強みはなんだと思いますか。
橋本 : ぶっちゃけ… ないですよね。僕がアーティストだったらライヴ・ハウスにそれほど執着しないと思う。路上でもやろうと思えばできるし、フェスもこんだけあって、自分たちでもできるし。たぶんライヴ・ハウスっていう場所を選ぶのは、単純に生で聴かせるために選んでいるだけで、本当に目標とする終着地点までのリハーサルというか。ハコ目線で言えば、来たアーティストが気持ちよく演奏するのはもちろんなんですけど、アーティストの出している音とかパフォーマンスが、「他のハコよりよかったね」っていうことをお客さんに思わせることが僕らの仕事だと思ってるので。お客さんがGARDENで観たいっていう話になってきたりするとアーティストにもプラスになるし、僕らもプラスになって誰も損しない。迎えるからには一番良いライヴを見せれる環境を僕らはどう作れるかを考えてます。
——プロ意識をすごく感じますね。
橋本 : 僕たちの仕事ってサービス業だと思うので。ライヴ・ハウスって結局お客さんが選ぶので、お客さんが満足できるライヴを提供したい。ライヴを観るだけじゃなく、スタッフの対応だったりとか、音の作り方照明の出し方もそうですけど、お客さんが見ていて楽しいライヴを作らないと、という考えはありますね。
——橋本さんが見ているお客さんというのは、ライヴ・ハウスに足を運ぶ人だけではないんですね。
橋本 : そうですね。ロック・バンドでもニコ動で自分の映像上げたりしてる人もすごく増えてるし、Ustreamももちろん多いです。地方にいる人はやっぱりそういうものしか得られなかったりするので、逆にそういうお客さんに届けていきたいなってのはあります。例えば、東京でやっているライヴを配信して、地方のお客さんが予習して、見に行ったら特典があったりとか。逆に、地方でやったライヴを東京の人が見て、東京でのエライヴ時に4曲目がなんだったかっていうのを合言葉にすると、それがディスカウントになるとか。色んな仕掛けをもっとアーティスト側がしていけるようになったらと思います。GARDENもそういうことを、どんどん積極的にしていきたいなと思っています。
——たとえばTシャツ付きのものもそういうしかけですよね。
橋本 : そうですね。今回、去年のクリスマスにやったPE’ZのライヴのDVDとTシャツが、チケットの特典としてつくっていう試みをしたんです。GARDENとしては大きな野望があるというよりは、まずはアーティストを観て、お客さんが喜んでくれる環境を作るってことと、音楽に興味がある人たちがライヴ・ハウスに来たいと思うような仕掛けをしっかりやっていきたいなと思っています。
——僕はライヴ・ハウスで働いたことはないので分からないんですけど、同じアーティストが何回も自分のハコに出て、だんだん知名度上がっていくのって嬉しいじゃないですか。でも逆に言うと、もっと大きい所にいっちゃっていなくなっちゃうのは寂しいんじゃないですか。
橋本 : 昔からある店舗さんとかは、すごくそういうことってあると思いますね。キャパ300人以内のハコだと、アーティストが育っていく過程が一番見れる場所なんで。ただ、うちは育った人が遊びに使いにくるイメージなので、目線は違うかもしれないですね。アーティストからうちを見たときの目線もそうだし。どっちかというと僕らの場合は50/50かなぁっていう感じ。アーティストとハコの関係で、どっちが偉いとかないし、僕らが育ててるわけでもないので、すごく偉そうなことを言えないし。アーティストもうちを使う時に、どんな使い方ができるの? とかって視点で使ってくれるほうが多かったりするので。
——平日にライヴ・ハウスに行くと、あまりお客さん入っていない場合があるじゃないですか。誠に勝手ながら、ライヴ・ハウスの経営で食べていけるのかなと思うことが多いんですけど、そこはどうなんでしょう。
橋本 : ちゃんとお客さんが入れば全然大丈夫だと思います、どのハコも。いいアーティストが出て、お客さんがいっぱい来て、お酒が一杯出て、ものが壊れなければ、ある程度運営がしっかりいける商売ではあるんです。ただ、お店を長く続けていくにはやっぱ人間力が大切かな。音楽自体が目に見えないものなので、働く人たちの感覚・実力でしか物事が動かない業界なんです。どこの店舗を見ても、それなりにカリスマと呼ばれる人たちがいたり、ブッキングや店長をやっている人たちは人間力の高い人たちが多いので。GARDENとしては、お金だけでもやっていきたくないし、アーティストの夢ばっかりというところでもなくて。バランスをしっかりとるには、まず働く人間たちが音楽っていう仕事を、どう仕事として進められるかっていうことだと思ってますね。
下北沢の街をひっぱっていけるようなハコになれれば良いなと思います
——ちなみに、インディーの人が出るのとメジャーの人が出るのとでは集客は違いますか。
橋本 : いや、あまり関係なくなってきてるとは思いますね。インディーズでやってる子たちにお客さんが集まらないかっていったら、そうでもなくて。ただ、動員力ではやっぱりメジャーの方が強いですね。そこはどうしてもやっぱりキャリアと知名度ですね。
——以前OTOTOYで『VANISHING POINT』というイベントをやったんですけど、絶対埋まるだろうなと思ったライヴの集客が想像したより難しかったんです。人気があるバンドたちが沢山出ても、お客さんが増えるわけじゃないってことを身を持って実感しました。
橋本 : アーティストの数が増えれば、1組あたりの演奏時間が減るのはファンも知っているので、30分のために3,000、4,000円払うかどうかを考えたとき、「ワンマン行こうよ」ってなりますよね。あとはイベントの楽しみかたがお客さん的に、変わってきているのかなって。いろんなバンドを観て楽しもうじゃなくて、好きなバンドを見に行きたいっていうパターンの人が多いのかなと思っています。そこはちょっと一概に言えないですけど。どこのハコもそのへんは苦しんでいるとこかなぁと思いますね。
——確かに、そうかもしれません。お話をお伺いしていて、橋本さんがライヴ・ハウスという場所に希望をもってらっしゃるということが伝わってきました。GARDENというハコに対して感じている可能性というのは、どういうところにあるのでしょう
橋本 : 下北沢で最大のキャパですし、そこは誇りをもっていかなければいけないと思っています。あと、下北沢の駅周辺もここ4、5年で変わっていく予定で、線路が下にいったり、バスが多く通ったり、道が開けたりとかすると、商店街自体も変わっていくと思います。古き良き下町の下北沢という場所が商業都市になっていくと考えると、GARDENの存在意義っていうのはすごくはっきりしてくると思うので。「下北沢の近くに住みたい」っていう地方の子たちが東京に来て夢をもつ場として、続いていけるといいなぁっていうのはあります。先々踏ん張って、頑張っていければ未来は見えてくるかなって。
——ブッキングについてもお伺いしたいのですが、呼ぶアーティストの判断基準というか、選考はどのようにされているんですか。
橋本 : 単純に好きか嫌いかみたいなところになってくるんですけど、男っぽいアーティストを好む習性はあるなぁって思います。ちょっと語弊があるとあれなんですけど、僕は音楽が好きでやってるという感覚があまりないんですよね。どっちかというとミュージシャンが好きなんです。音楽活動している人たちや、音楽の仕事に携わる人たちとか。もちろん飲食の料理人とかサービス・マンもそうですけど、人の目の前で何かを自分の手で作って渡している人たちっていうのはすごく魅力がある。そういう人たちとの仕事を僕は自然に勝手に選んできて、その延長で、今GARDENの音楽に行きついているので、音楽というよりはミュージシャンとしての立ち方がかっこいいやつらというか、そういう人たちに集まってきてほしいなって思いますね。
——なるほど。音源を家で聴きまくる音楽ファンという部分よりも、本当に人ありきというか。
橋本 : まぁ好きなCDは買いますけど。仕事というところに関しては、そういう感覚でやっています。僕が音楽を好きじゃないっていうのも変ですけど、音楽がすごい好きだからみんなやってると思うので、音楽の表現の仕方だったり、ミュージシャンとしての生き方というか、そういうのがかっこいいそういう人たちがライヴをやってくれるようなハコになってくれるといいなぁと思います。
——極端な話をいえば、人間力があって、クリエイティブであれば、もしかしたら音楽でない可能性もありうると。
橋本 : 全然ありえますね。
——ちなみに、1周年イベントは、どういった繋がりの方々が出演されるんですか。
橋本 : GARDENに出てくれた人も含めてなんですけど、逆にこの1年で呼べなかった人たちも出てもらったりしてます。呼ぶ段階でのこだわりとかはあまり持ってないですね。とにかく自分たちで自信をもって、いいと思うアーティストたちに集まってもらっています。
——これから2周年、10周年と未来に向かっていくわけですけど、それに向けての目標を教えてください。
橋本 : 下北沢って、都内で一番近い、音楽にすごく隣接している街なので、そういう街の一個の店舗として、GARDENが新しい仕掛けを打っていけるようにしたいと思いますね。GARDENだけでなく、下北沢の街をひっぱっていけるようなハコになれれば良いなと思います。
下北沢GARDEN
音楽の街「下北沢」に、ニューコンセプトのライヴ・ハウスが誕生! 下北沢GARDENは、運営体制の変更に伴い新たなライヴ・ハウスとして生まれ変わります。新世代のロックから70'sパンク世代、60's Rockn'Rollまで、骨太なロックを軸としながら、アコースティック、ジャズ、エンターテイメントまで楽しめる、非日常の空間を演出します。