Sigur Rós / INNI
2008年11月、突如発表された活動休止宣言の直前に、ロンドンの伝説的会場アレクサンドラ・パレスで行われた2公演のライヴを音源化! ここ日本へも複数来日し、絶大な人気を得るも、08年末にバンドは無期限活動休止を発表した。本作は、通算5枚目のアルバム『残響』ツアーの最終公演であり、活動休止発表前最後のライヴを収録したもの。音楽ファン必聴の内容です!

【Track List】
01. svefn-g-englar / 02. glósóli / 03. ný batter / 04. fljótavík / 05. við spilum endalaust
06. hoppípolla / 07. með blóðnasir / 08. inní mér syngur vitleysingur / 09. e-bow
10. sæglópur / 11. festival / 12. hafsól / 13. all alright / 14. popplagið / 15. lúppulagið

※ダウンロード後、アイスランド語がご使用のPC環境によって文字化けをする可能性があります。その際は、曲名をご確認の上、アルファベット表記に直していただきますようお願い致します。

共同体験にはなりえない唯一無二のライブ体験

「とりあえず部屋に籠って、一人で聴いてみてください」と言っておしまいにしてしまいたいくらい、Sigur Rósの音楽は説明を必要としないものだ。2002年にグラミー賞にノミネートされた『( )』には、アルバム・タイトルも曲名もなかった。それくらいSigur Rósは、音ですべてを物語っているバンドだ。以前、ほとんどアルバムの事をしゃべりたがらず、他の事に話をそらそうとしているヨンシーのインタビューを読んだ事がある。恐らく、作品について語ったところで、音楽を聴くうえでの補助線にならないと分かっていたのだろう。

Sigur Rós

今作『INNI』は、2008年11月にロンドンのアレクサンドラ・パレスで行われた2公演のライヴを音源化、映像化(通常のCDは映像付き)した作品である。その直後、突如活動休止宣言をしたため、Sigur Rósとしてのライヴはもちろん、音源が出るのも3年ぶりの事となる。エバーグリーンな音楽とはこういうものかと言わんばかりの新鮮さを持って響いてくる。むしろ本当にこれはライヴ音源なの? とさえ思ってしまうくらい流麗で生々しい。この録音が行われた約1ヶ月前、彼らは日本でも公演をしている。僕も足を運んだのだが、普通のライヴ体験とはまったく異なる印象を持った。新木場STUDIO COASTは満員だったし、盛り上がってはいたけれど、一体感みたいなものはなかった。今までそれをうまく説明できなかったのだけど、今回『INNI』のオフィシャル・サイトを見ていたら、こんな事が書いてあった。「多くのコンサートとは違い、Sigur Rósを観る行為が共同経験になる事はめったにありません。むしろとても個人的なものです」。まったくもってその通りなのだ。どれだけ人が集まろうが、Sigur Rósの音楽が鳴ると、たちまち周りの風景や人々は切り離され、ダイレクトに1対1で音楽と対峙する事になる。だからこの作品はライヴ録音といえ、よくある聴衆との一体感を感じるような作品とは全然違うものになっている。

“インニイ(inni)”というのは、“内側(inside)”という意味だという。その名の通り、今作は徹底的にSigur Rósに寄り添って、彼らをダイレクトに伝える作品になっている。同郷のアミーナをストリングス隊に迎えて10年近くライヴをしてきた彼らが、あえてオリジナルの4ピース・バンドとして演奏しているのも、つまりそういう事なのだろう。また、ここで演奏されているのは彼らを代表する曲ばかりである。ベスト・アルバムといって過言でないくらいの楽曲とともに、彼らのコアな部分に迫っている。アルバムと1つのパッケージ(通常のCD版)になっている映画は、見事なまでに彼らとの親密さを切り取っている。今の時点でHPで先行に公開された一部分しか見ていないが、そのモノクロの映像と空気感から彼等と監督の親密さが伝わってくる。監督は、アーケード・ファイアの『ミロワール・ノワール』を録ったヴィンセント・モリセット。内側に迫るために、バンドと同じ部屋で過ごしたり、ガラスを通して撮影をしたりもしているようだ。

Sigur Rósの作品は、リスナーを自身の内面に潜り込ませる音楽だ。『INNI』という作品は、Sigur Rósの内側に迫るものでもあり、聴き手である自分自身の内面にも迫る二重の構造になっている。同時代にこれほどまでの音楽家がいる事を、今作を聴いて改めて幸せに思った。そして、『残響』以来まだ見ぬ新しいオリジナル・アルバムの完成を期待して仕方ない。(text by 西澤裕郎)

OTOTOY's Live Archives

PROFILE

Sigur Rós
アイスランドを代表する唯一無比の4ピース・バンド。97年にアルバム『Von』でデビュー以来、これまでに5枚のオリジナル・アルバムを発表。神秘的且つ壮大、しかしながらインティメイトなサウンドは世界中から絶賛され、02年作『()』は、グラミー賞にもノミネート。商業的な成功を音楽の力だけで成し遂げた稀有な存在としてリスナーはもちろん、アーティストからも絶大なる支持を得ている。

Sigur Rós 『INNI』 Web

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レヴュー

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筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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