お客さんがアガってくれることが自分らの救いにもなる
──小野さんのルーツは?
小野:僕も大元はJ-POPです。ポルノグラフィティとかユーミンとか。その流れで「マリアの爪痕」をヒットさせたJanne Da Arcさんとか、あとラルク、GLAYに関してはもうクラスメイト全員知ってるみたいな存在でした。彼らがヴィジュアル系からはじまってどんどんオーバーグラウンドになっていった時期に僕は楽器をはじめてるんで、見た目とか考え方、あと音楽的な影響も少なからず受けてます。はじめてギターで弾けるようになったのがGLAYの「いつか」でしたし。バンドを組んでからはパーミーさんみたいにメロコアのほうに行って、界隈としてヴィジュアル系を聴くことはあんまりなくなってしまったんですけど。そういうとこも共通項だったのかも。
──KEYTALKはどういう経緯をたどってダンスのほうに進んでいったんですか?
小野:ドラムの八木(優樹)くんとバンドをはじめたのが2004年、高校1年のときで、メンバーチェンジを経て2007年にいまの4人になったんですけど、当時、僕も八木くんもthe band apartが大好きすぎて、バンアパっぽいというか「バンアパになりたい」みたい曲がいっぱいあったんです。その後、自分らのオリジナリティを出したくなってきたときに、やっぱりバンアパみたいに、バンドサウンドを追求しつつもおしゃれ踊れて、メロディもJ-POPに通じるキャッチーさがあって……みたいなところを目指したいね、ということになったんですね。それが2010年ごろ。当時のバンドシーンって、MC少なめ、衣装やジャケットの色味もくすみめで、カラフルなものはちょっとダサいじゃないけど、なんか違うんじゃない? みたいな空気が蔓延してたんです。メンバー紹介するのがすごいダサいことだったり、オーディエンスを煽るようなこともせず、アンダーグラウンド感がかっこいいよね、みたいな。僕らはそこへのカウンターでおちゃらけたMCとかメンバー紹介をし始めたんですけど、やっぱライヴハウスのイベントで浮くんですよ。「サウンドはかっこいいけど、MCめちゃくちゃフランクだな」みたいな(笑)。
──なるほど、逆張りというか。
小野:ちょうど地下アイドルブームで、ももクロとかが出てきたころで、僕は当時ライヴハウスでバイトしてたんで、よくアイドルイベントを見てたんですね。アイドルはちゃんとみんな自己紹介するから、「これいいな、バンドでやったら逆におもろいぞ」と思って。それぞれのキャラクターを見せていけば、ヴォーカルだけとか曲だけが走らないで、全員が個となってアイデンティティを示せるし。そういう感じでやってたら、結果アゲにつながってったんですよ。
るいまる / パーミー:へぇ~~。
小野:「Everybody say ぺ~い!」って僕よく言うんですけど、「ぺい」って意味ないんですよ。そういう煽りは他のバンドは絶対やらないんです。だからギャグのつもりでやって、お客さんも「え? この空気でそんなことしちゃうの?」みたいにシラーッとしてたんですけど、お構いなしにやってたらみんな少しずつやってくれるようになって、結果フロアが盛り上がる形になって(笑)。最初は斜に構えたギャグだったのがアゲになり、オーバーグラウンドになり……っていうのが、後から見た僕の分析です。
るいまる:僕らの考え方もちょっと似てると思います。まわりが「ヴィジュアル系でこういうのかっこ悪いんじゃない?」「違うんじゃない?」っていうことをどんどん取り入れたら、お客さんも新鮮に感じて楽しんでくれるはずだ、って思いながらいろいろ取り組んできたので。
小野:先入観とか固定観念をぶっ壊したいタイプなんですね。
るいまる:そうですね。壊して「ハハッ」って笑いたいタイプです。
小野:精神性がすごい似てるなと思います。
パーミー:ヴィジュアル系バンドがこういうイベントをやること自体、けっこうぶっ壊しなんで。
小野:間違いない。ヴィジュアル系界隈のライヴによく行ってるいとこが超びっくりして、即LINEしてきたぐらいですから(笑)。
──反骨精神に加えて客観性も通じている気がしますね。
るいまる:音楽って人の心に寄り添うってところがすごくあると思うんですけど、ヴィジュアル系って気持ちが落ち込んでる人に「一緒に堕ちてあげるよ」みたいな寄り添い方が多いんですよ。僕は性格的にそういうのがちょっと苦手で……。
小野:一緒に堕ちられないんですね(笑)。「堕ちてんじゃねえ! アゲてくぞ!」って引き戻しちゃうタイプ。
るいまる:背中をバーンと叩いて「一緒に行こう!」って手を引っ張りたいんです。
小野:若干ゴールデンボンバー先輩とも近しいヴァイブスを感じますけど、ビバラッシュからはどういう見え方なんですか?
るいまる:歌広場(淳)さんとは仲よくさせていただいてるんですけど、僕はバンドという認識がないです。楽器を持たれているので見た目はバンドだし、エンタメに振り切った演出はすごいんですけど、バンドの演奏を感じた部分がマジでなくて。感覚的にはミュージカルとかに近かったです。
小野:めちゃくちゃアゲてくるし、すごいハッピーなパーティだけど、実際に演奏してないという意味ではバンドとはまた違うと。ビバラッシュは実際に演奏しながらその境地にお客さんを連れていこうとしてるんですかね? 勝手な想像だけど。
るいまる:そうです!
パーミー:でも実は演奏しない案も出たんですよ。それこそゴールデンボンバー先輩を見たときに「うちらも演奏せずになんかおもろいことやったほうがよくない?」と。でも、それをやったら「ゴールデンボンバーが好きな人たちみたいな感じになっちゃうんじゃないか?」って。
小野:二番煎じになっちゃうかも、と。先輩が強すぎるがゆえに。
るいまる:足し算の美学とはいっても、自由にやりすぎて自分たちの芯がわかんなくなっちゃったらダメだなと思って、せめて演奏はしようと。ただ曲によっては、僕とパーミーが歌って、ベースとギターだけ演奏してるみたいな演出もあるんですよ。でも、ギリ誰かは演奏してたほうがいいねっていうことで、アコギ1本でみんなで振り付けする曲とかもあります。
小野:最低限ひとりは演奏してる。そこにビバラッシュのアイデンティティがあるわけですね。
パーミー:でも、どうしても我慢できなくて「恋せよシュビドゥバ」っていう曲ではヴォーカル入りの音源を流して、全部あてぶりしてしまったんですけど。
るいまる:お客さんがサークルモッシュをするので、メンバーもそこに投入して一緒に走って。
パーミー:あえてひとつの武器として使う、みたいな感じですね。
小野:根底にはバンドとしてしっかり演奏を届けるって気持ちはありながらの、フックでありスパイスってことですね。その話を聞いたことで、よりバンド感が伝わってきましたね。バンド愛というか。
──すごく頭を使っているんですね。
小野:来てくれた人を全員楽しませたいという精神が伝わります。誰ひとりとして置いていかないぞ、みたいな。
るいまる:それもありますし、さっきの話の続きで、暗いバンドに救いを求めるお客さんがライヴハウスに来てたりしますけど、個人的に思うのは、本当に心をやられてる人って、そこまで踏み出す力がないんじゃないかって。
小野:なるほどね。ライヴハウスまで来れないんじゃないかと。
るいまる:はい。来てくれる人たちは元気になる力は持ってると思うんですよね。ずっと落ち込んでいたいわけじゃないだろうし、持ち上げてほしいはずだし、行くとこまで行きたいはずだし。せっかく来てくれたんだから、それ以上の気持ちに持っていくのが僕らの役目かな、みたいな。
小野:いろんな救い方があるけど、自分らの救い方はそれだし、できると信じてるってことですね。ここまでお客さんのことを考えてるのは本当にすごいと思います。たぶんそれとやりたいことが一致してるんでしょうね。お客さんがアガってくれることが自分らの救いにもなるというか。すばらしいですね。
るいまる:きれいにまとめてくださってありがとうございます(笑)。
──優しい人たちなんだなって話を聞いていて思いましたよ。
小野:めっちゃ感じますね。普通にもうDreamerです、僕。
るいまる / パーミー:ハハハハ!
小野:一気にファンになりました。
──そういう人がこのイベントを通して増えそうな気がします。
るいまる:たくさんの人にジャンルの垣根を超えて見ていただきたいです。
小野:図太い信念を持ってやるエンタメに勝るものって僕はないと思ってるんで、すごい求心力をこれから持っていくんだろうし。いまみたいな考えは普段から発言されてるんですか?
るいまる:いや〜、ないですね。
パーミー:そんなに普段からは……。
小野:やっぱアゲを前面に出してるんですね。僕はめちゃくちゃグッときましたけどね。そこまで考えてアゲてんのかーい!って。
るいまる:配信もけっこうするんですけど、真剣な話をすると人数が減っていくんですよ(笑)。
パーミー:「おまえのそんな話は求めてねえんだ」という。
小野:「おまえはアゲとけばいいんだよ!」。わかりますけど、僕はグッときましたし、めちゃくちゃ響くファンの方も少なからずいらっしゃるんじゃないですかね。こういう話をもっと外でしていったほうがビバラッシュは深くなってくんじゃないかなって勝手に思います。深アゲ最強っていうか、深いとこでアゲられたらもう下がんないですからね(笑)。
るいまる:元気になりすぎて羽ばたいてっちゃうかもしれないですね。「おまえらがいなくても私は大丈夫!」って(笑)。
──当日はどんな意気込みで臨みますか?
るいまる:お呼びしたみなさん各々、アゲていく気持ちや技術を持ってらっしゃると思いますし、KEYTALKさんとの回には邦ロックしか聴いたことないお客さんもいらっしゃると思うんですけれども、ビバラッシュが信じる形、「これが僕らのエンタメだ!」っていうのを、あまり寄り添わずに自分たち色で打ち出せたらいいなと思っております。
小野:僕はもう単純に楽しみです、ライヴが。〈アゲアゲJAPAN〉というね、もうアゲるしかないタイトルのイベントに呼んでいただいたんで、使命はひとつ、アゲるだけっていう。KEYTALKを代表して僕が言いますけど、メンバー4人ともその気持ちは一緒だと思います。そしてビバラッシュのライヴは、今日のお話も踏まえて心の底から楽しみたいと思っております。よろしくお願いします。
パーミー:ありがとうございます!
るいまる:こちらこそよろしくお願いします!
編集:梶野有希
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ライヴ情報
〈ビバラッシュ Presents「アゲアゲJAPAN’24」〉

日付:2024年5月17日(金)
時間:16 : 30(OPEN) / 17 : 15(START)
場所:大阪・GORILLA HALL OSAKA
【出演者】
かずき山盛り/KEYTALK/バックドロップシンデレラ/ビバラッシュ/ BabyKingdom/夜の本気ダンス
料金 : 前売りチケット 5,000円 / 当日券 5,500円 ※ともに税込、ドリンク代別途
チケット:https://eplus.jp/vivarush/
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PROFILE:ビバラッシュ
2016年、活動開始。自由をコンセプトに、ビバがスプラッシュするように、音楽の楽しさをオーディエンスに伝えていく。“アゲみ集団”という謳い文句通り、ユーモアたっぷりで華やかなムードのグループだが、パワーポップ調からEDM要素など、様々なエッセンスを持ち合わせ、予想を超えるサウンドとエンターテインメント性で聴く者の心を持ち上げる。ファンの愛称は「Dreamer」。
■公式HP:https://vivarush.jp/
■公式X:https://twitter.com/vivar_official
PROFILE:KEYTALK
東京・下北沢発4人組ロックバンド。2009年7月に小野武正、首藤義勝、寺中友将、八木優樹で結成。2015年には初の武道館単独公演、2017年には横浜アリーナ、さらに2018年には幕張メッセ(360°センターステージ)でのワンマンライブを敢行。今では日本全国の大型フェスで大トリを務めるまでに成長した。今夏開催された大型フェスにも次々と出演を果たし、その勢いが止まることない彼らに更なる注目が集まっている。
■公式HP:https://keytalkweb.com/
■公式X:https://twitter.com/KEYTALKtweet