VULFPECK『Schvitz』
過去に世界一有名なアリーナと評される〈マディソン・スクエア・ガーデン〉をソールドアウトさせたという偉業を持つ、LAのミニマル・ファンク・バンドによる2年ぶりのアルバム。「サウナ」がコンセプトとなっており、ジャケットはもちろん、MVやライヴにも真っ赤なサウナハットに白のバスロープを着て出演するという徹底っぷりがまず面白いのだが、内を暴けば濃密な楽曲の数々に驚き。リラクシーな楽曲から70'sの雰囲気を漂わせるディスコ調なトラック、グルーヴが気持ち良いファンキーなナンバー、さらには「あれ、いまビートルズ(というよりポール?)流れてる?」と感じるものまで多様な楽曲が詰め込まれている。そのどれもが文句一つないハイクオリティな演奏と仕上がりで、サウナに入らずとも「ととのう」体験がここにあり。
VANISHING GIRL & Rosemary Fairweather『Simply Stated』
トロントを拠点に活動するDIYシンガーによる最新シングルは、詳細不明のVANISHING GIRLとの2年ぶりの共同制作。脳が溶けてしまいそうなほど甘い極上のウィスパーボイスで、清涼感のあるギター・サウンド×80'sライクなエレクトロ・ビートとの相性も抜群。歌い始めのほんの少し詰まるところやブレス、リップ音といった細かな音まで拾うほど解像度が高く、歌の隅々までダイレクトに堪能できるのも嬉しいところ。ドリーミーな世界観と彼女の唯一無二の歌声を一度味わえば心奪われるはず。彼女の天性の声質に敵う人はそうそういないと思っているからこそ、今後の活躍に期待が募るばかり。
戦慄かなの 『Solitary』
中毒性の高いウィスパーボイスといえば、元ZOC(現METAMUSE)のメンバーであり、姉妹ユニット、femme fataleとしても活動する戦慄かなのも見逃せない。”悪魔のキッス”のワンフレーズでTikTokでバイラル・ヒットを生んだ彼女の歌声の魅惑は、先日リリースされたばかりの待望のソロ初アルバムに集約されている。エレクトロ・ポップ、EDM、ヒップホップ、トラップなどの要素を盛り込み、「アイドルのソロ・アルバム」という固定概念を真向からぶった切る前衛的な作品であり、ほんのり拙さを混ぜ込む可憐な歌声は、軽快に韻を踏むユニークなリリックを、淡々とアンニュイに、時折情熱をちらつかせながら的確に歌う。本格派なサウンドでありながらも、彼女の楽曲にはPerfume的なポップ性が感じられるのも大きな魅力だ。
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