NaNoMoRaLでやる曲はNaNoMoRaL用で作りたい
──アルバムは、いつ頃から作りはじめたんですか?
梶原 : 2020年の3月に前作を出して、そこから1年半かけてっていう感じですかね。とにかく、僕は曲を書くのが遅いんですよ。このアルバムのなかでいちばん古いのは “ビューティフルデイズ” かな。これは『ヒルナンデス!』のテーマ曲募集みたいなやつに応募したんですよ。
雨宮 : 私が「こういうのありますよ。とりあえず出したらいいじゃん」って持っていって。でも、“ビューティフルデイズ” は『ヒルナンデス!』のために作っている感じがなかったんですよね。
梶原 : 作ってみたら出来が良くて、これでオーディション通っちゃったらアルバムに入れられないなと思って(笑)。 一応、未來さんには「ヒルナンデス!用の曲を作ったよ」って言って渡したけれど。最後だけ『ヒルナンデス!』用に「それが君の昼なんです」っていう歌詞にしてあって。でもそれ以外は今も歌詞は変わっていないんです。これを作ってやっと動き出した感じがします。そのあとに “ペオプレ” ができました。
──“ペオプレ” は、歌い出しからギターのバッキングではじまります。
梶原 : この曲でギターのアレンジが固まったかもしれないですね。僕のなかのギター・ヒーローは、JUDY AND MARYのTAKUYAさんなんですけど、あの人のギター・フレーズは主張がすごいじゃないですか。そういうギターが鳴っていてほしいなと思って。
──この曲は、歌詞も素敵だなと思います。
梶原 : “ペオプレ” は、ひとつだけ未來さんに歌詞を相談したところがあって。そこは、もともと「まるで嘘つきみたいに」という歌詞だったんですけど、レコーディングするときに、「もっとなにか良い言葉ないかな?」って、これまでの活動ではじめて相談したんです。そしたら、未來さんが「“捨て猫” かな」って言って、それで「まるで捨て猫みたいに」になったんです。これがバシッとハマりました。
──いつもは相談しないんですか?
梶原 : 全然しないです。今回、はじめてしました。
雨宮 : いつもいい歌詞を書いてくれるので、相談してもらわなくても、大丈夫なんです。
梶原 : だからといって口出しはしてほしくないっていう(笑)。でも今回のことで、なにかあったら相談してもいいのかなという気持ちになりました。その次にできた “嘘つきかくれんぼっち” は、もともと僕がひとりで歌っていた曲で、未來さんがNaNoMoRaLをやる前にソロでなにか1曲あったらいいよねって、お渡しした曲です。当時は「それで完結、これ以上はない」と思ったんですけど、ギターアレンジが固まったことによって、全く違うアプローチができるんじゃないかと思って、NaNoMoRaLの曲としてリ・アレンジしました。
雨宮 : ずっとソロではなくNaNoMoRaLでやりたいって言ってたんですよ。もったいないし、パセリさんの過去の曲もやったらいいじゃんって思うんです。
梶原 : 頑固なので、NaNoMoRaLでやる曲はNaNoMoRaL用で作りたいっていうのがあって。絶対やらないって言ってます(笑)。
──“ペオプレ” は、最後のところの高音もすごく良いです。
梶原 : 最高音がえげつないぐらい高いので、大変だなと思います。でも、ここ最近ちゃんと出るようになったんですよ。
雨宮 : お客さんにも心配されなくなってきました(笑)。〈ギュウ農フェス〉のちょっと前ぐらいから、急に「なんか行けるぞ」ってなってきて。
梶原 : 〈ギュウ農フェス〉に向けて、自分たちのなかで “ペオプレ” を強化した感じがあって。それがきっかけかもしれないですね。でも、高音が出てなくてもやりきるから、そんなに気にならないんですよね。この曲を作ってから、制作のペースが劇的に上がるんだよね。
雨宮 : そうですね。急に上がりました。
梶原 : “カミサマボクハ” に関しては実は、“ペオプレ” を作っているときに、Aメロぐらいまではあった曲で。あとは、“あいをうたえば” と “ですてに” が同じぐらいですかね。
──“ですてに” ではラップもやられていますね。
梶原 : いまは、バンドでもヒップホップじゃない人たちでも、結構ラップをやっている人がいて。そういうのが好きだった時期だったんだと思います。
雨宮 : 新しい試みでした。普段、韻を踏まないので、歌い方がわからなかったんです。ラッパーさんの動画を見て勉強しました。お客さんのみんなは優しいから、「もうできてるね」って言ってくれるんですけど、まだまだです(笑)。