「これまでを肯定して、未来へ連れていく」
──2曲目の“初雪とKiss”。こちらはミディアム・チューンの冬っぽい曲です。
前島:この曲は、これまで私が舞台に出演した時の経験を活かして「芝居心を込めて歌いましょう」ということで、歌詞の情景をイメージして歌いました。かわいい曲なんですけど、あえて素のままの感じで歌って、淡い気持ちを表現しました。
──歌詞は心がキュンキュンするようなかわいい歌詞ですね。
前島:まっすぐで、うぶなところもある、少女漫画みたいな歌詞ですね。サビの最後に来る歌詞の「どうか朝が来てもずっと とけないで夢を見せて」が乙女心を感じて良いですね。
──続く“SCARLET LOVE”は、雰囲気がガラッと変わって、大人っぽい感じの曲です。
前島:この曲が一番素の声で歌えたなと思っています。中盤に録った曲なんですけど、ソロのレコーディングにも慣れてきて、AメロBメロは話すようにスッと歌うことができました。
──今作は、楽曲ごとに歌い方も変わっていますよね。
前島:そうですね。キャラソンじゃないレコーディングが久しぶりなので、「自分の素の声って何だろう?」と悩むところから始めました。どうしても曲に合う声色を探ってしまう癖があるんですけど、ディレクターの方に「曲に合わせなくていいよ」と言ってもらえて、自分の歌い方を模索することができました。この曲は一歩引いた色気みたいなものがありながら、サビではしっかりと情熱的に歌い上げることを意識しました。
──気に入ってるフレーズはありますか?
前島:「夜明け」ですね。この作品が、自分の新しい歌声の夜明けになったらいいな、と思いながら歌いました。
──4曲目は、“Unfallen Angel”です。
前島:この曲は藤林聖子さんに作詞していただきました。アルバム全体を通して「どこかに決意を感じられるように」というものを大事にしていたんです。すごく決意に満ちあふれた熱い楽曲なので、ライヴで歌うのが楽しみです。2番の「素直になって 話してと 言われるたび 戸惑う 私だって全部 自分のこと 理解出来てるワケじゃない」の歌詞がすごく好きで、まさに私もこういう気持ちだなって思いました。レコーディングで想いのまま歌うと声がバリッとする瞬間があったんですけど、綺麗な音を出すよりも想いを優先して歌いました。
──この曲のように、かわいいだけじゃない、力強い歌声も前島さんの魅力だなと感じました。
前島:私はHello! Projectさんのアイドルが好きで、芯のある強いアイドル像に憧れてたんです。Berry工房がずっと好きでしたし、最近だとアンジュルムさんが素敵だなと思っています。かわいいだけじゃなくて、かっこよくありたい気持ちは常に持ち続けたいですね。
──5曲目の“ポルターガイスト”はすごく不思議な雰囲気がありますね。
前島:この曲は言葉遊びを楽しんでいて、ちょっとボーカロイドっぽさを感じる曲だなって思っています。私はボーカロイドやネットのカルチャーもすごく好きだったんです。ポルターガイストを表現するために、サビになった時に急に人格が変わるみたいな、遊び心満載な曲になったと思いますね。
──6曲目はダンス・チューン“MAKE IT NOW”です。
前島:“MAKE IT NOW”はK-POPっぽい曲ですね。私、K-POPも好きでよく聴くんです。恋愛的な可愛い面もありますし、「魔法」や「メイクアップ」で、「新たな自分に変わる」決意のイメージで、そこから広げてもらいました。
──ライヴではダンスも踊る予定なんでしょうか。
前島:そうですね。自分はアーティストとして、歌って踊れることが、強みかなと思っています。ささやきパートも見どころなので、ぜひ注目してほしいです。
──7曲目の“職業:あみた”は、ヒャダインさんが楽曲を手がけています。
前島:今回ソロアーティストとして、デビューするにあたって、“これから”にスポットを当てるのと同時に、“これまで”も大事にしたいなと思っていたんです。活動を始めて15年経った今ソロデビューする意味を大事にしたくて。これまでを肯定して、未来へ連れていくっていう想いが込められています。ソロになって、誰に曲を書いて欲しいか聞かれた時に、真っ先に出てきたのがグループ時代から親交があったヒャダインさんでした。
──この曲ではかなりいろんな声色を使っていますよね。
前島:いろんなキャラクターの人物を出すというテーマで歌いました。Bメロはお遊びパートになってます。初めて出すような声で歌ったりして楽しくできたなと思いつつ、かわいい歌声も出したり、サビに入ったら力強く歌ったりもしました。
──Bメロの歌詞はすごいですよね。「昔の方が良かった」には、かなりドキッとしました。
前島:私が今までいっぱい言われてきた言葉なので(笑)。よく見てくださってるんだなと感じてありがたかったです。私が一番好きだったのは、1サビ前の「まだわからない自分だけど 最近好きなんだよ」です。これがヒャダインさんからの最大のエールに感じました。打ち合わせの時に、「自分の職業がわからない」「本当の自分がわからない」みたいに人生相談をしていて、「声優」って名乗っていいんだろうかみたいな相談をしたら「職業:あみた」という曲をくださいました。「私は私なんだ」って思えてすごく嬉しかったですね。
──すごく良い話ですね。
前島:声優アーティストさんもたくさんいらっしゃる中で、自分がどういう風に頑張っていけるのか不安になる時もあるんです。でもこの曲をライヴで歌えば、心配が吹き飛びそうです。
