桜がテーマなのに、どこか冷たさを感じるような
——レコーディングにあたって、お2人で話し合ったことはありますか?
クララ:今回は歌いながらコミュニケーションをとることが多かったです。でもいざレコーディングをしてみると、すごくシンプルで音数が少ないからこそ、リズムを2人で合わせるのが難しかったですね。
カレン:これまでにないリズムだったよね。ちょっとでもずれるとこの曲の良さが出なくなるので、何テイクも録って試行錯誤しました。聴いているとすっと入ってくるんですけど、歌ってみると難しかったよね。
クララ:リズムをしっかり合わせたと思ったら、感情を乗せられていなかったりしたよね。
——「アンダンテ」は実写のMVも素敵ですよね。
クララ:ありがとうございます! MVは茨城にある古民家で撮りました。
——ロケ地は日本なんですね。
カレン:そうなんです。庭込みの古民家で撮影しました。MVには年齢、性別、国籍も問わずキャストの方が出演してくださったんですけど、だからこそ「違う歩幅でもいいの」という歌詞により意味をもてたと思います。国も年齢も超えてみんなで踊っている様子が平和だな思います。
クララ:今までのMVだとダンスシーンが組み込まれていることがあったんですけど、今回はイメージシーンのみで構成されています。それもはじめてだったので、より楽曲のメッセージを届けられるMVになったと思います。
——カップリング楽曲の「サクラ・インカーネーション」は、テイストが打って変わって和風な雰囲気の楽曲ですね。
クララ:「和」を感じるサウンドと、「桜」をテーマにした切ない曲に仕上がっています。
——歌詞から「別れ」を強く感じますよ。
クララ:「君のためだけの桜になれたら」という歌詞があるんです。桜をみると毎年思い出してしまうような歌詞に仕上がっていますし、言葉数が多い中で進んでいくストーリーが逆に切なさを強調しているなと思いました。
カレン:桜は儚いイメージがあるので、それにすごくピッタリな楽曲ですね。1曲を通していろんな表情がある楽曲なので、聴きどころがたくさんあると思います。この曲には「君」という言葉がよく出てくるんですけど、受け取る方によってその「君」が違うような、皆さんそれぞれに共感してもらえるような楽曲に仕上がっていますね。
——「アンダンテ」と「サクラ・インカーネーション」の2曲は曲調もガラッと変わっていますよね。
クララ:ClariSとしては「サクラ・インカーネーション」のような和の楽曲は今までも歌ってきたので、「和」というテーマに対しては解釈がすんなりできました。でも今までになかったアップテンポだけど切ない楽曲ですし、ハートフルな「アンダンテ」からガラッと変わるからこそ、互いの良さを引き出せているんじゃないかなと思いますね。
カレン:対照的だよね。
クララ:桜がテーマなのに、どこか冷たさを感じるような。この曲はただただ切ないんです。新しいClariSをみていただける楽曲なのかなと思います。
——「ゆらゆら」、「ひらひら」あたりの掛け合いも面白いですよね。
クララ:サビはユニゾンで展開する楽曲が多いので、そういう意味でもここまで掛け合いが多い楽曲は最近少なかったなと思います。それぞれの声の良さを感じていただける楽曲になっていると思います。
カレン:交差しているからこそ、重なり合わない思いも表現できているのかなと。
——すれ違い続けるもどかしさも掛け合いによって表現しているんですね。読み込んでいくと「何度でも咲くから」という歌詞は切ないですね。
クララ:切ないです......。
カレン:つまり、何度咲いても......ってことだもんね。
——そしてもう1つのカップリング楽曲「擬態」です。かなりミステリアスな楽曲に仕上がりましたよね。
クララ:今回は3曲ともテイストが違う中で、この曲もインパクトの強い楽曲に仕上がったなと思います。
カレン:ツアーが近いのもあって、ライヴで映えるような楽曲も今回のシングルに入れたいという話はしていたんです。その中でこの曲はふたりともビビッときました。直接的な表現はされていなくても、私たちClariSがいままでつけていた「仮面」や、「獲物に合わせてメタモルフォーゼ」というワードは、今私たちが挑戦したいことに合わせて形を変えていることと重なるのかなと思いますね。
クララ:この楽曲を作ってくださった重永(亮介)さんには、以前「シニカルサスペンス」という楽曲を作っていただいたんです。その曲を歌ったときは新しい感覚があったんですけど、ライヴを象徴するような曲に成長したんです。この曲も「シニカルサスペンス」と同じように、皆さんに楽しんでいただける楽曲になったと思います。珍しくセリフも入るので、そこも楽しみにしてもらいたいですね。