ヒリヒリするような、心がざわつく毎日を送らないと楽しくない
──志水さんのディレクションは、どういうところに気を付けて?
志水:越雲君の歌に可能性があるなって、レコーディングの前にあった弾き語りライヴでめっちゃ思ったんですよ。バンドで歌っている時とか、音源の歌のイメージと全然違くて。けっこうのびやかに自由に歌っていて、色が出やすい。すごいなって思いました。もっといろんなことができるんだなって思ったので。彼の声の良さとか、歌謡っぽいメロの良さを活かせるように、バランスを取りながら魅力を色濃く出せたら良いなと思って。
──いままでのレコードでは、彼の歌の良さが出せてなかったってことですか。
志水:正直、そうですね。もっと行けると思っています。
高岩:志水さんが細かいところをけっこう指摘してたんですよ。なのでずいぶん変わったと思います。
越雲:特に今回は歌に関しては9割がた丸投げというか、任せた方が良いのかなと。自分じゃ気付けない自分の良さって、なんでもあるじゃないですか。もっと良くなる、良くなりたいっていう願望があるので。それって自分の力だけではどうにもならない。もっと良いヴォーカリストになるためには、他の人の意見の方が大事。誰かからもらった意見、外からもらった意見も含めて、自分の美学とすり合わせていくことが今後、自分のなかでの課題だと思ったので。そういう意味でも良い作品になったんじゃないかな。
──素晴らしい。ミュージシャンとしての成長ですね。
越雲:結局、みんなヴォーカルを聴くと思うんですよ、まずは。どれだけ演奏が良くて音が良かったとしても、グルーヴが良かったとしても、最終的にその作品の良さというか、入り口を決めるのは自分の歌だっていうのを理解しているので。そこはすごく大事にするようになりましたね。
──なるほど。今回のアルバムは安心して聴けるというか。良い意味で危うい感じがなくなってきた。すごく心地よくサウンドに身を委ねられる感じがある。
越雲:あまりポジティヴな内容のリリックではないと思うんですけど、音はすごいポジティヴで。バンドが前に向かっているなっていう音をしているので。そういう意味ではすごく素敵な作品なんじゃないかと自負してます。
──すごく冷静に見ていますね。その通りだと思います。
越雲:冷静……そうですね。そうなりましたね。任せられるところを任せられるようになったので、メンバーに。そういう部分でも、自分の作品を客観的に見られるようになった。でもそれが窮屈に見える瞬間もあるので。次作は1回、ぶち壊していこうかなって思ってます。前作『Pray Pray Pray』からの流れはベーシックとして置いておいて。このフォーマットは我々はもう、いつでもできるので、今後は違う音楽性というか、新しいものを考えていきたいですね。
──じゃあこれのツアーをやって……。
越雲:すぐに次の作品に取りかかる予定です。ていうかもう作ってるので。出さないと飽きちゃうなっていう。ちょっと時間を置くと、やりたいことが変わるじゃないですか。なので新鮮なうちに。東名阪ツアー(〈polly Release Tour「Heavenly Heavenly」〉)が終わったら、すぐに出したいです。
──飽きちゃったら飽きちゃったで、それはそれでしょうがない、とは思わない?
越雲:なるべく形に残しておきたいなっていうのがある。結構僕自身、曲を作る作業がおもしろくてドキドキしていて。なので鮮度があるうちに作って出すことが美しいんじゃないかって思っているんです。で、後悔したいです。出さなきゃよかったー、みたいな。
──あぁ。おもしろいね。
越雲:安心感のある活動っておもしろくないので。もうちょっとこうヒリヒリするような、心がざわつく毎日を送らないと楽しくない。そうやってpollyって絶対おもしろいバンドになっていくと思うので。そういう鮮度が高いうちに出す。で、後悔して、次はこうした方が良いってなったり。で、出した後で後悔した曲が、意外とよかったじゃん、みたいな。そういう音楽活動、バンドになっていけるといいなと。
──おもしろいですね。いまは配信の時代だから、CDしかない時代に比べるとリリースに対するハードルってすごく低くなっている。それは自分としてはポジティヴにとらえている?
越雲:そうですね。いままではネガティヴだったんです。形があるものが美しいっていまでも思っています。でも逆に、ハードルが下がっているなら、それを利用するしかないじゃないか、みたいな。そこに乗っかっていかないやつはただの怠惰なミュージシャンだと思っているので。
──良いことを言いますね!
越雲:それに乗っかって、おもしろいことをしたいなって思いますし。チーム全体を、良い意味で振り回せていたら最高ですね。楽しんでもらえるような振り回し方をしたいです。
編集:梶野有希
新体制polly、初作品!
pollyの過去作はこちらから
過去記事はこちら
ライヴ情報
東名阪リリースツアー〈polly Release Tour「Heavenly Heavenly」〉
日付:2023年5月18日(木)
場所:名古屋・ell.FITSALL
出演:polly / paionia / さよならポエジー
日付:2023年5月19日(金)
場所:大阪・Shangri-La
出演:polly / mol-74
日付:2023年6月7日(水) 場所:東京・WWW X
出演;polly / KOTORI
PROFILE : polly
越雲(Vo / Gt / Pg)を中心に2012年、宇都宮にて結成。海外の様々なジャンルを消化したサウンドと J-Popにも精通する耳馴染みの良いメロディを軸とし、リリース毎に変化を見せている。
■公式Twitter:https://twitter.com/polly__jp
■公式HP:https://www.polly-jp.net/