「やるか、やらないか」ですね
──ご自身がターニングポイントになったと感じる楽曲は?
5曲目の“Glow at the Velocity of Light”(TVアニメ「彼方のアストラ」EDテーマ)と、最近の曲なんですけど11曲目の“かたち”(TVアニメ「メイドインアビス 烈日の黄金郷」OPテーマ)ですね。
──“Glow at the Velocity of Light”にはどんな思い出があるんですか?
“Glow at the Velocity of Light”のときに、はじめてタナカ零さんに歌詞を書いていただいたんです。このとき私は「もっと変わりたい」というテーマを個人的に掲げていまして、そういう時期に「変わりたい 変われないのなら たった一度の奇跡待つだけの手を離せよ」とか「逃げんな、捨てんな」とか強い言葉を入れてくれたことが救いでもありました。やっぱり自分自身で考えると、そういう言葉って入れたこと無かったなって思ったんです。自分の変わりたい部分も恥ずかしい部分も、曲の中でならさらけだせるなってわからせてもらったというか。少しずつですけどいろんな殻を破るきっかけになりました。タナカさんと出会ってたことで、「曲ってもっと自由に書いていいんだな」って思えるようになりましたね。
──タナカ零さんは、そこからはカップリング曲も含め、何度も安月名さんの曲を手掛けられていますよね。
タナカさんから作っていただいたものは、毎回想像を超えたものがくるんですよ。アルバム曲には収録されてないんですけど、“Glow at the Velocity of Light”のカップリングの“たたくおと”のデモをはじめてスタジオで聴いたときは、ぽかーんとして、「なんじゃこりゃ」って思ったんですよ。でもそれが自分で1、2番を争うぐらいに好きな楽曲になっています。タナカ零さんは、いろんな概念を覆す方ですね。
──タナカさんが書かれた歌詞で好きな部分はありますか。
“Glow at the Velocity of Light”の「永劫回帰半分こ」とか、「これはいったいどういう意味だろう?」って考えさせられる感じはすごく好きですね。他にも、6曲目の“be perfect, plz!”(TVアニメ「慎重勇者〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜」EDテーマ)では、「い」の母音を一番トップにもってきて韻を踏んだり、そういう遊び心を見つけられる言葉のセンスがすごく好きです。
──もう1曲ターニングポイントになったとおっしゃっていた“かたち”はどうですか。
“かたち”については、「メイドインアビス 烈日の黄金郷」と合わせてたくさん聴いてくださって認めていただいたというのを実感できた曲でもあるんです。単純に大好きな曲ですし、“かたち”を歌ったことで「こんなに自分ってパワフルに歌えるんだ」って知ることができました。優しさ、楽しさ、フレッシュとか、かわいさとか癒しも、大事なんですけど、心が奮い立つような曲を届けていきたいとも思うんです。でも聴くと意外とまだまだだなって思う課題が常にありまして。もっともっと表現力を磨いていきたいなって思っています。
──実際、今作を聴いていると歌いこなすのが、だんだん難しくなってるんじゃないかなって思ったんですよね。
そうなんですよ。どんどん求められるレベルが上がってるんですよね。でもありがたい話だなと思うんです。歌いこなすのが難しい曲は「毎回この歌、歌えない」って思うんですけど、自分のものにすると気持ちが良くて。でも楽曲に関してはやれないことは無いと思ってます。「やるか、やらないか」ですね。