INTERVIEW : 夏芽ナツ
埋めるというより新しい形にするイメージ
──夏芽さんは、幼少期はどんな子だったんですか?
夏芽ナツ(以下、夏芽) : やんちゃ娘でした(笑) 弟とよくケンカもしてました。子供の頃は、毎日公園に2回行かなきゃ気が済まなかったらしいんです。お母さんがいつも連れていってくれました。
──小学生になってからはどうですか?
夏芽 : 学校でいちばんうるさかったです。中学生ぐらいまでそんな感じで、授業中もずっと先生に話しかけてました。
──中学生になってからはどうだったんですか?
夏芽 : めっちゃ反抗期でした。親とかじゃなくて、学校の先生に反抗期でした。入ってたソフトテニス部も途中で辞めちゃったんですけど、それもちょっとした反抗心で辞めちゃって、いまではちょっと後悔してます。
──いまは、落ち着いてますよね。
夏芽 : そうなんですよ。想像つかないって言われます。私の幼少期を知ってる人は、今の私を見て、「大人になったんだねー」ってみんなびっくりします。
──心境が変わったのは、きっかけがあったんですか?
夏芽 : 中学生までうるさかったので、これではいけないと思って、高校生の時に静かに生きていこうって決めたんです。でも、静かに生きたことがなかったからやり方が分からなくて。ちょっと挑戦してみたら、ただの陰キャになっちゃったんです。人見知りが発動しちゃって、人と関われなくなっちゃって。だから、高校時代はけっこう暗黒期ですね。
──アイドルにはいつ頃興味を持ちはじめたんですか?
夏芽 : 最初に興味を持ったのは、子どもの頃に見た、「きらりん☆レボリューション」に出ていた、元モーニング娘。の久住小春ちゃんですね。小学生の頃は、かなりアニメ好きで、3次元には興味がなかったんです。でも、ある日、お母さんに久住小春ちゃんのライブに連れて行ってもらったんですけど、そこから「本物の人でもこんなにキラキラしてるんだ~」ってアイドルに目覚めました。でも、ガチでアイドルにハマったのはAKBさんですね。そこから自分もアイドルになりたいなって思うようになって、好きが憧れになっていきました。
──前身のグループに入ったのは?
夏芽 : 18歳からです。高校卒業したタイミングぐらいですね。
──これまで活動してみてどうですか?
夏芽 : ここまで続けれたのは、周りの人たちのおかげですね。自信もついてきましたし、なんとかやってこれて良かったなって思ってます。
──SANDAL TELEPHONEは、2022年から新体制の3人で活動されています。新体制として動きはじめた最初の頃はどうでしたか?
夏芽 : はじめはやっぱり人数が多い方が華やかになるので、パフォーマンスの面で大丈夫かなという不安もあったんです。でも、それを埋めようとして大きく見せると、全体に負けちゃうので、3人で1つのものを作る方向に変わっていきました。埋めるというより新しい形にするイメージですね。
──新体制に変わって最初のツアーはどうでしたか?
夏芽 : ツアーは、まだ新体制始まったばっかりだったので、本当に大変でした。結構凹んだ日もありましたね。自分のことに精一杯でだったんですけど、ツアーが進んでいくうちに3人で話し合うようになったんです。もっと、グループで魅せるようになれるように、みんなの意見が一致しました。
──ツアーを回るなかで、1回凹んだけど持ちなおしたみたいな感じですか?
夏芽 : そうですね。本当にみんなで凹んだんですよ。でも、どうしたらいいかちゃんと考えて、新しい自分たちの方向性を見つけられるようになりました。対バンライヴに出るようになってからは、新しく生まれ変わったダルフォンを見せられるように頑張りました。
自分に正直に生きようって思いました
──TIFの配信も見たんですけど、すごく良かったですよ。
夏芽 : ありがとうございます! TIFは配信もありましたし、ステージにもたくさん立たせていただいたので色んな人に見てもらえる機会になったかなと思います。
──TIFで印象的なアイドルさんはいらっしゃいましたか?
夏芽 : タイトル未定さんですね。私たちが新体制になった時ぐらいに北海道に呼んでくださってこともあって、仲良くさせてもらっていたんです。TIFでは、結構近しいアイドルさん達が、メインステージ争奪戦に出てたんですけど、そのなかでタイトル未定さんが優勝したんですよ。すごくパワーというかエネルギーを感じました。
──そういうところを見ると、ライバル心のようなものは芽生えたりするんですか?
夏芽 : 実はライバル心もあるんです。負けたくないとか言ったらおこがましいかもしれないんですけど、近いアイドルさんだからこそ、刺激を受けました
──10月18日には、初のフル・アルバム『REFLEX』がリリースされます。夏芽さんにとって、今作はどんなアルバムになりましたか?
夏芽 : SANDAL TELEPHONEが大人になって、カッコよくなったのが分かるアルバムになりました。初期のミニ・アルバム「Step by Step」はハッピーな曲も多いので、聴き比べてみるのもおもしろいと思います。
──新曲の中で、推し曲はありますか?
夏芽 : 私は、明るくてハッピーみたいな曲が好きなので、ファンの人とかにも「ナッちゃん、絶対“恋の魔法使いにはなれない”が好きそうだね」って言われるんですけど、意外と“Silent”は今までなかった感じの曲で、すごく好きですね。この曲は、パフォーマンスしていてもすごく楽しいんですよ。歌詞もめっちゃ昼ドラっぽい大人なイメージで「こじらせてるなー」って思っています。SANDAL TELEPHONEの新しい手札が増えた感じがしますね。
──夏芽さんのファンの方ってどんな方が多いですか?
夏芽 : けっこう個性的な人が多いです。あと、みなさん愛が深いですね。
──ファンのみなさんは夏芽さんのことをどういうふうに見てると思います?
夏芽 : 私って、私推しじゃない人からしたら、しっかりしていて真面目なイメージがあるみたいなんです。でも、私推しの方はけっこう中身の部分を知ってくれてるので、意外とちゃんと支えてあげないといけない子だなって多分思ってると思います(笑) 。表の部分だけじゃなくて、内側の私のことも知ろうとしてくれる方が多い気がしますね。
──夏芽さんが、アイドルとして大事にしてることはありますか?
夏芽 : 作りすぎない等身大の自分でいることですかね。いままでは逆に真面目に「プロ」意識にこだわって、マイナスな発言もしないように気を付けていたんです。でも、それを貫き続けた結果、すごく固い人になっちゃったんですよ。でも、ファンの方って身近に応援したい人が多いってことに気づいたんですよ。これからは自分のためにもファンの人のためにも、自分に正直に生きようって思いました。
──殻を破ってみたんですね。
夏芽 : そうです。殻をちょっと破ってみたときに、意外とファンの方が優しく受け止めてくれたんですよ。「その方がいいよ」とか、「絡みやすくなったね」って言ってくれる人もいて嬉しかったです。もちろんパフォーマンスはしっかりするんですけど、自分らしくありのままでいることを、最近はモットーにしています。
──なるほど。でも、そっちの方が楽じゃないですか?
夏芽 : 楽です(笑)。昔の取材とかだったらこんなに話してないです。言っていいことと悪いことを頭の中で考えて、「こんなこと言っても大丈夫かな?」みたいになっていたと思います。昔は暗い話なんて絶対しないようにしていたので、高校時代の暗黒期のことなんて一生話せなかったですね。
──いい話ですね。
夏芽 : みんなのおかげです。メンバーやファンの人が、素の私を受け止めてくれたからだと思います。