「最初に照明さんって言ってるやつ、あれやってくれ」って
──2023年1月25日には、ミニアルバム『気まぐれに廻れ』がリリースされました。前作『BLUE WIND』とはまた違った一面を見せていて、めろんとも違うサウンドになったなと思います。
知世 : お客さんに「これはもうアイドルじゃないね」って言われました(笑)
名波 : 褒め言葉や(笑)
玖月 : 確かに、哀愁とかディストピア感をダークに落とし込んだ大人っぽい一枚にはなったかなと思います。
キャンディ : 前作の『BLUE WIND』はわかりやすくロックで、モガーズの名刺代わりになる作品だったと思うんです。今回の『気まぐれに廻れ』は、さらに「実はモガーズはこういうことができるんですよ」みたいなものになっていると思います。
皆野 : 「この武器を持ってるけどこの武器も持ってます」みたいなね。
玖月 : まずは『BLUE WIND』で知ってもらって、モガーズってこういう感じなんだというところから、『気まぐれに廻れ』でもっと深く知ってほしい。
名波 : そこから沼にハマってもらえれば。
キャンディ : 私、noteにこのアルバムについて書いたんですよ。「『BLUE WIND』が劇場版新モガーズみたいな感じで、『気まぐれに廻れは』それについてきた0巻みたいなイメージ。キャンディ山内の個人的な意見なので正しい解説というわけではありません。」
──めちゃくちゃおもしろいですね(笑)。
知世 : 最近キャンが、アルバムの紹介とかやってくれるんですけど、すごい見やすくていいんですよ(笑)。ぜひ、彼女のnoteをご覧ください(笑)。
キャンディ山内の『気まぐれに廻れ』紹介note
https://note.com/i_can_doy/n/ncfa0734ad9c5
──では一曲ずつ聞いていきます。まずアルバムの表題曲”気まぐれに廻れ”。
知世 : これはプロデューサーが昔やっていたバンドの曲ですね。最初、元曲は7分以上あったんですけど、(森岡)慶さんがうまく編曲してくださって、この尺になりました。
──最初の「照明さん!」というセリフが印象的ですよね。
知世 : どうしてもこの冒頭のセリフを入れたいって話になって、このやさぐれた感じががキャンの声質に合ってたんですよ。
キャンディ : 原曲のライヴ音源をずっと聴いていたんですけど、そのなかで、照明とかPAさんに対して指示を送っていて、そこまで含めて覚えていたんです。で、レコーディングが終わった後にプロデューサーの木下(盛隆)さんから「追加パート録るぞ。最初に照明さんって言ってるやつ、あれやってくれ」って言われて(笑)。
玖月 : まさかそこが採用されるとは(笑)
皆野 : あのセリフからこのアルバムが始まるのが、すごくいいなと思う。
──MVもすごくかっこいいですよね。
知世 : 前作の“BLUE WIND”と“インテリジェンスミキサー”を撮ってくれた和泉さんに今回もお願いしました。ガレージみたいなところを借りて撮ったんですけど、そこが寒すぎて…。
名波 : だから、水じゃなくてお湯をかけたんですよね。
皆野 : 実はお湯なんです。だから、安心してください(笑)
──続いて2曲目、"GYPSY EYES"。
玖月 : これは私、玖月琴美のセンター曲です。GYMNOPEDIAさんのカバー曲なんですけど、最初に木下さんからCDを唐突に渡されて、聞きこんでほしいって言われたんです。それで「はて?」ってなっているときに、「この"GYPSY EYES"を琴美のセンター曲にしたいと思う」って言われたんです。モガーズで誰かがセンターをやるというものが今までなくて、すごく緊張しました。
──なるほど。
玖月 : この曲は、音源ではハーモニカになっているんですけど、ライヴだとカズーっていう声で演奏する楽器を使うところがあるんですよ。そこはぜひ実際に見てほしいです。
知世 : "GYPSY EYES"はいまのモガーズにすごくあっていて、セットリストのどこいれても割とフィットするんだよね。ライヴの一番頭にSEなしで琴美だけ先に出て、そのあと途中から我々が入ってくるパターンもよくやっているんですけど、その時に琴美が「The Grateful a MogAAAzです!」って言うのにふさわしい人物になっているなと思います。「モガーズのサブリーダー、玖月琴美ここにあり!みたいな感じがすごく出て、今までほわっとしていたものが、この曲ができたことでカチッとなった気がしていますね。
──3曲目の"殺し屋のララバイ"は、またモガーズの新たな一面を感じますね。
玖月 : これは、うちのリーダーの知世千世さんの曲ですね。
知世 : 完全オリジナルで作ってもらいました。最初に仮で音源が来た時、木下さんと慶さんが昔やってたバンド、ヒカリノ香車っぽいなって思いました。最初は全員の曲の想定で作ってもらってたんですけど、レコーディングしてみたら「これだけでいいじゃん」ってなって、急遽ソロ曲になった感じです。木下さんと慶さんがやりたかったことが詰まってる曲なのかなって感じました。
──楽曲自体も新機軸で、酒場っぽい感じがしますよね(笑)。
知世 : 歌詞も音も全然アイドルじゃない(笑)。
玖月 : すごく大人っぽい。渋い雰囲気がぐっと増したよね。