もし地球滅亡の日が明日くるとしたら、きっと争いごとは起こらない
──今作『1999』には、かなり以前から作っていたものも収録されているんですよね。
“夜になって”はデビュー前からある曲ですね。ライヴではすでに披露していたり、YouTubeで弾き語りもやったりしてたんです。音源としてリリースするタイミングでDメロを加えたんですよ。改めて時間が経って思うと、Dメロが入ってちゃんと完成したなっていう感じですね。
──Dメロを入れたのは、どういう理由からだったんですか?
アレンジをしていただく段階で、「Dメロを増やしてみたらどうだろう?」と提案をいただいて、それから考えるようになったんですね。元々、この曲は、絶望じゃなくて希望の曲だったんです。この曲がもつ意味は、聴く人にとって、いろいろな受け取り方があるのかもしれないけど、ひとつポンとテーマとして置くとしたら、きっと自分自身を好きでいるっていうことだと思うんですよ。それをDメロを入れることで、自分なりにちゃんと鮮明にさせてあげることを意識しました。実際、Dメロが加わって、グッとまた理解が深まった印象があります。
──このアルバムで新たに収録される楽曲についても聴いていきたいと思います。まず、今のアルバムの一曲“アイニコイ”。1曲目からゴリゴリのロック・サウンドで、本当ににしなさんのアルバムかなっていうくらい、初めて聴いたときは驚きました。
この曲は、他のものと同じように、曲自体は弾き語りで作ったんですけど、昔、バンドを組んでいた時にやっていた曲なんですよ。その当時のバンド感や疾走感みたいなものを大切にしたいと思って、アレンジャーさんは入れないで、今一緒にライヴをやっているバンドメンバーとスタジオに入って、「せーの!」で録りました。メンバー全員で一緒の空間でのレコーディングは、このアルバムの中でもこの曲だけですね。
──7曲目に収録されている“ワンルーム”は、にしなさんの話し声のような語りかけから始まる、男女の目線の違いを描いた楽曲です。こちらは歌詞から書かれたんですか。
歌詞から書いて、そこにメロディーも乗せて、って感じでしたね。この曲は、“スローモーション”で“ギブス”をイメージしたのと同じような感じで、曲を書いたときは、MOROHAさんとMy Hair is Badさんにハマっていたんですよね。歌と語りの間みたいなものを作りたいなと思っていて、そういう始まり方をする曲を書きました。
──この曲は、過去のことを考えたりして、すごく共感しやすい歌詞だなと思っています。
ありがとうございます。そういってもらえると嬉しいですね。
──続く8曲目の “モモ”もかなり前からあるんですよね。
そうですね。テーマとしては、「モモ」っていう架空のぬいぐるみの曲なんですよ。ぬいぐるみの優しい雰囲気を妄想しながら作りました。聴いた人のなかで、どんな捉え方をしてもらってもいいのかなと思っています。
──そして、アルバムのラストを飾る楽曲“1999”。こちらは、アルバムの表題曲にもなっています。
私自身は1998年に生まれたんです。この『1999』を今回のアルバムのタイトルに引っ張ってきた理由のひとつとしては、私がメジャーデビューしたのが私のひとつのスタートだとしたら、それから、1年経ってひとつ歳をとって、2年目に向かって歩き出したということで、私が生まれた1998年に1つ数字を足して『1999』にしたというところがあります。
──この曲は1999年に世界が滅亡するという『ノストラダムスの大予言』がモチーフになっているんですよね。楽曲のなかで、『世界が滅亡する』という世界観にしては、すごくファンタジックなアレンジだったので、すごく意外に感じました。
アレンジをするうえで、温かみや優しさ、多幸感みたいな部分はすごく重要視したところですね。実際、アレンジは作る中で、二転三転した気がします。曲を書く段階で、歌詞が世界滅亡というテーマだと暗い感じにはなるんですけど、大げさじゃない程度の幸せ感を、自分が歌いたかったという気持ちがあったんですよね。言ってしまえば、「もし、地球が滅亡する日がきたら?」って想像した時に、きっと嫌いな人のことを考えたりケンカしたりするよりも、好きな人のことを考えたり、自分が好きなもの食べたり、好きなことしたり、そういうふうに過ごすんだろうなと思うんです。みんなが常にそうだったら、すごくハッピーだなと思って。そういう気持ちで書いた曲だったんですよね。その多幸感は、楽曲を聞いた時に、言葉以上に音から感じてもらえたらいいなと思っていて、曲を作る段階ですごく大切にしていました。
──なるほど。
いま、すごく混沌としていて、争いごとも起きている世の中だったりするじゃないですか。もし地球滅亡の日が明日くるとしたら、きっと争いごとは起こらないんじゃないかと願っています。そうやって、みんな自分のためにというか、自分の好きな気持ちとか、自分自身の為に過ごしていたらいいなと思っていて。今の時代に出すんだったらそういう意味を込めたものにしたいなと思ったので、アルバムのタイトルにも持ってきたし、曲順としても最後になったんだなと思います。

最新アルバム『1999』ハイレゾ配信中
にしな ディスコグラフィー
PROFILE:にしな

新時代、天性の歌声と共に現れた新星、「にしな」。
やさしくも儚く、中毒性のある声。
どこか懐かしく、微睡む様に心地よいメロディーライン。
無邪気にはしゃぎながら、繊細に紡がれる言葉のセンス。
穏やかでありながら、内に潜んだ狂気を感じさせる彼女の音楽は、聴く人々を徹底的に魅了する。
Spotifyがその年に注目する次世代アーティスト応援プログラム「RADAR:Early Noise」に選出
。 ゆっくりとマイペースにリスナーを虜にしてきた彼女の声と音楽が、 静かに、そして、より積極的に世の中へと出会いを求めに動き出す。
最重要ニューカマー、「儚さと狂気」を内包する才能が、ここに現る。
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