新しい場所で頑張る人たちの背中を押せるように歌えたら
──メンバーのみなさんはどのようにこの曲を受け取ったんですか?
安本:この曲は「SCHOOL DAYS」というタイトルなんですけど、私たちにとっての学校生活がえびちゅうそのものなんですよ。普通の学校では学べなかったことや、積み上げられなかった大切なものを、えびちゅうの活動を通して築くことができました。だからこそえびちゅうには特別な思いがあるし、こうして活動を続けているんだと思います。転校(卒業)したメンバーも、きっとえびちゅうを見るたびに、その思い出を振り返ってくれているはずだと思うんです。この曲を歌っていると、これまでのえびちゅうの歩みや、支えてくれたファンの皆さんと共に過ごした時間への感謝が込み上げてきますね。
杉山:「大人じゃなくなる魔法なら僕がすぐにかけてあげれるから 変わるのを怖がらないでね」の部分には、えびちゅうメンバーの魅力を詰めこんだんです。えびちゅうはみんなすごくしっかりしていて、大人としてちゃんとしている印象があるんですよね。以前Twitter(現、X)のスペースで真山さんと話したことがあったんですが、そのときも「すごくしっかりしている方なんだな」と感じました。えびちゅうのメンバーは仕事としてすごく若い時期から活動しているからこそ、大人として振る舞うことが上手いと思うんです。でもメンバーと一緒にいると、素の自分に戻っている。その姿を見ていると、メンバー同士で「大人じゃなくなる魔法」をお互いにかけられるんだなと思ったんです。そういう関係性ってすごく特別だなと感じました。だからこそ、この歌詞には「メンバー同士でいる間は大人じゃなくていいから、これから『大人になっても大丈夫だよ』」というメッセージを込めて書きました。
真山:歌詞をもらったとき、「ここはもしかして、先生と生徒の禁断の恋なのかな」と思っていたんです。レコーディングのときに真相を訊いたら違ったんですけどね(笑)。
杉山:“SCHOOL DAYS”は人間愛のイメージなんですよ。2番で「僕らは永遠に無邪気な少年少女」と歌っているのは、ファンの皆さんも含めてということで、男性も女性も合わせて「僕ら」という歌詞にしたんです。だから、そういう禁断の感じではないですよ(笑)。
真山:失礼しました…邪な目で見てしまって(笑)。この曲は、私たちがファンの皆さんを思って、そしてファンの皆さんも私たちのことを思ってくれる、そんな楽曲だと感じました。歌詞をもらったとき、特に印象に残ったのが 「だから肩の力抜いてはじめの一歩を踏み出して ちゃんと君を見てるから」というフレーズです。この部分を読んだとき、真っ先にファンの皆さんの姿が浮かびました。ステージと客席という距離がありながらも、皆さんは一歩引いたところから、いつも温かく見守ってくれていると感じています。ライブでは、私自身もできる限り愛を伝えようと思っていますが、それでも伝えきれないこともあるんですよ。でもそのもどかしさは、きっとお互いに感じているものなのかもしれないなと。だからこそ、さいたまスーパーアリーナ(SSA)のような大きな舞台でこの曲を歌えるのが今からとても楽しみです。


桜井:私は中学を卒業するタイミングでえびちゅうに加入したので、ちょうど忙しくてあんまり学校の友達にお別れをいうことができなかったんです。だからこの曲を聴いてそのときのことを思い出しました。「僕らは永遠に無邪気な少年少女」とか「愛される準備ができている君に贈る歌」とか、なんていい歌詞なんだろうと思います。わたしの友達にも、ファンの皆さんにも、新しい場所で頑張る人たちの背中を押せるように歌えたらいいなと思いました。
仲村:わたしは中学を卒業したタイミングで福岡から上京してきたので、そのときのドキドキした気持ちや、それでも一歩踏み出すところとか、そういう気持ちを思い出しました。あと、私たち妹メンバーとお姉さんメンバーで歌詞の解釈も変わるのかなと思います。経験してきていることが違うから、私たちとお姉さんメンバーで刺さる箇所が違う気がするんです。そういう違いも、ライヴで何年も歌っていく中で同じことを感じられるようになったらいいなって思います。


杉山:僕、“SCHOOL DAYS”のパフォーマンスの動画を見たときちょっと泣いちゃったんですよ。いつも頑張ってるのがわかるから、感極まってくるんだよね。MVもかなりグッときましたね。最後に走っていくシーンもすごく良かった。えびちゅうは歌もパフォーマンスも全力で駆け抜けていっているイメージがあるから、ああいう映像を見ちゃうともう感動しちゃいますね。
──MVでは、最初はひとりでいるところからはじまって、それぞれ同期のメンバーと出会って、最後は全員で横一列になるという構成がすごく良かったです。
安本:MVの撮影の日はすごく寒かったんですよ。そして全員集まるシーンが暖かくなる時間帯だったから、温もりを感じました。
真山:そうそう。だからこそ仲間を探す緊迫感がより顔に出てる(笑)。走るシーンも結構全速力だったよね。
安本:私メンバーでいちばん足が遅いんですけど、必死すぎて「もういいよー」って言われても走ってた(笑)。
ーー杉山さんは様々なアーティストにも楽曲提供されていますけど、えびちゅうのメンバーのヴォーカルについてはどういう印象を抱いていますか?
杉山:みんな声のレンジが広いなと思いますね。“まっすぐ”という曲で、「これはキーを高くしすぎたかな」と思ったんですけど、みんなよく声が出るなと思います。そもそも“仮契約のシンデレラ”のときからキーが高かったですし。
安本:当時ディレクションを担当してくださっていた方に、「出るか出ないかギリギリのところで緊迫感ある感じを続けて欲しい」と言われていたんです。あの頃はわかっていなかったけど、今聴くと中学生だった頃の私たちらしさが出ているなと思います。でも妹メンバーは高音パートも上手いなと思います。
桜井:でも“まっすぐ”はキーが高いですよ(笑)。
杉山:やっぱり(笑)。“SCHOOL DAYS”も、かなりキーが高いしリズムも難しいと思うんですよ。こういうピュアな、楽器もピアノや弦だけしか使っていない曲って、符割を複雑にしないと誰かの曲と被っちゃうんです。もちろん「えびちゅうの新曲が何かと被ってる」とか絶対に言われたくなかったですし、そこは頑張りました。それに全力感も出したかったんですけど、グループとしての一体感を大事にしたかったので、お姉さんメンバーには「うまく歌いすぎないでくれ」と伝えました。もちろんライヴでは好きなように、思う存分歌ってほしいです。
ーーそういえば最近また、杉山さんが手がけた“仮契約のシンデレラ”がTikTokを中心にバズっていますよね。杉山さんから見て、この現象についてはどういう想いがありますか?
杉山:やっと時代が追いつきましたね。楽曲としても変なことをやっていたから、そこがハマったのかなと。かなり思い出深い曲なんですけど、最近口ずさんでみたら、これでよく出したなとか思いますね。当時は「ゆとり世代」という言葉が浸透していて、その象徴が「円周率を3として教える」という話だったから、逆にめちゃめちゃな桁数を言ってもらったりしたんです。音楽的にもそのときの中学生がわからないようなベンチャーズのベースラインとか、「エリーゼのために」やディープ・パープルのフレーズをうっすら入れたりと、変なことをやりまくってたんです。また、もしソニーさんから「滅茶苦茶な曲を作ってください」という要望があれば、さらにぶっ飛んだ曲を作る準備はできています(笑)。
真山:“本契約のシンデレラ”も聴きたいです(笑)!

