歌っている時に今の自分は最強だ!って思う
──続いて今回のシングルの2曲目“Mirror,Mirror,Mirror”、この楽曲はスマートフォン・ゲーム「Re:ゼロから 始める異世界生活 Lost in Memories」の主題歌です。前回のインタヴューでは、鈴木さんが携わってきた「リゼロ」の曲は、主人公のスバルくんに寄り添った歌を歌うことが多いとお話されていましたよね。
今回もスバル目線の曲になっているとは思います。ただ、いつもみたいにもがき苦しみながら希望を取るというより、着実に希望に向かって歩いていっているよねという段階のスバルという感じですね。
──この曲も鈴木さん自身の内面を描いているような気がします。
この曲は、これまた華余子さんと喫茶店で「人見知りって言われるのが嫌なんだよね」って話をしていたときにできました。「鈴木さんってこういう人なんだよね?」って言われると、そういうふうに演じてしまうっていうことってあると思うんです。「鈴木さんは人見知り」って思われていると、自分から話しかけにくくなっちゃうとか。もちろんそれだけだけじゃなくて、いろんな人と会うと「鈴木さんってこういう人だよね」が増えるから、自分がわからなくなっちゃって。でも、結局人を通してでしか自分のことってわからないし、という話をしていて。そこで、華余子さんが「じゃあ、それを歌にしようよ」って、その場で歌詞を書いてくれました。タイトルの「Mirror,Mirror,Mirror」は、人を通してでしか自分を見れない、だけど結局自分で自分のことを見ているんだよという風に私は解釈しています。
──この曲も爽快感がありますよね。
歌っていてスカッとする曲ですね。人と話した時に「ああ自分ってこういう人なんだ」って思うしかないと思うので、自分でいくら考えたってひとりだとわからないなと思う。だから、人と話した時に感じる「自分ってこういう人だな」っていう自分らしさでいい。そういうことも含めて曲にしてくださったので、歌っててスッキリするし、聴いてる方にもそう思ってもらえたらすごく嬉しいです。
──歌詞の中にある「アップデートした最強の僕で」みたいなところは、手術を経てアップデートした鈴木さんを表現しているのかなと思ったんですよね。前作「Bursty Greedy Spider」で「最強 御免あそばせ」という歌詞が入っているという話をされていたので、今回もそういう部分が入ってるのかなと。
わー確かに! 自分で最強を名乗っていくスタイル(笑)。確かにこの曲もそういう気持ちになりますね。普段は、私は歌っている時に今の自分は最強だ! って思うことが多い気がします。
──3曲目“Sanctuary”は、他の2曲と変わってジャズっぽいアレンジの曲ですね。
今回「命の灯火」がOPになっている『ディープインサニティ』に出てくる登場人物って、みんな隠し持った傷がある人の集まりなんですよね。アニメの台本を読んだときに、傷を隠したいキャラクターもいるんだけど、逆にそれが美しく見える瞬間があって。自分にもそういう気持ちがあるなと思って。恥ずかしいから隠したい気持ちもあるんですけど、それとは別で、これはすごく大事なものだから人に言いたくないみたいなものが、自分のなかにあることに「命の灯火」の制作中に気付いたんです。いつもは無意識で思っていたけど、歌にするのはすごく難しいテーマなので「いつか歌えたらいいけどまだいいかなあ」とずっと思っていたものだったんです。でも、今回なりたい自分とか、命の使い方っていうものをテーマにしたシングルだから、いまなら歌えるかもしれない、ということを相談したら後押ししてもらえて、そんな曲を作ろうということになりました。
──これまでに出したかった想いが詰まっているんですね。
いろんなものを出さなきゃと思って頑張った時期もあったんですけど、みて欲しいと思う一方でこれは私だけが知っていればいいというものも確実にあって。全部を明け渡すわけにはいかないと思えたんだと思います。言葉で言わなくても滲み出るものだと思うし、無理に全てを出さないという選択もありだなと思えたんじゃないかなと。
──他の2曲と違ったしっとりした感じで、また良さがありますね。
この曲はリズムがいちばん難しかったですね。ちょっとルーズなくらいがちょうどいい。そういう意味ですごく難しい曲でした。落ち着いたトーンで歌うのも難しくて。赤よりは青い炎という感じをイメージしました。静かなんだけど触れると確実に熱い感じを目指して歌いました。
──11月6日には<Billboard Live YOKOHAMA>のほうで、<Premium Acoustic Live 2021′>が行われます。いま準備中だったりするんですか?
そうですね。大阪公演が終わったので、もうある程度準備が終わってっていう形です。
──大阪公演はどうでした?
めちゃくちゃ最高でした(笑)。今回はいつものバンド・スタイルにストリングスのカルテットが入るのが大きなポイントです。私の曲は、いろんな音が鳴ってる豪華なものが多いんですけど、今回はすごくシンプルになっているので、より歌が聴こえる気がします。背筋もしゃんとするし、レコーディングをみんなに見られているような気持ちになりました。「全部伝わっちゃう」のが逆にすごくおもしろいですね。いつもの楽曲もアレンジがガラッと変わって、テンポ感も歌い方も変わってきたり、そういうのがすごくセッションしてるみたいで「本当にこの日だけのライヴだなぁ」って思いながら歌っていました。
──今後もライヴ自体はたくさんやりたい気持ちはありますか?
やりたいなとは思っていますね。やっぱり私もライヴが好きですし、この間も大阪でライヴをやったときに、顔を抑えて泣いてくれている人がいて、それを見て胸が苦しくて。自分のなかで「あんまりもうライヴって求められないのかな」とか、そういう不安も付きまとったりするなかで、嬉しそうな顔を見れたりすると、自分の心の栄養にもなりますし、それはみんなも同じ気持ちで、みんなもライヴを求めてくれているんだなと思ったので、ライヴ自体はできる範囲でやりたいなと思っています。
『命の灯火』のご購入はこちらから
鈴木このみ 前回のインタヴュー記事はこちら
鈴木このみ ディスコグラフィー
PROFILE:鈴木このみ
1996年11月5日生まれ、大阪府出身。 2011年、第5回全日本アニソングランプリ決勝大会でグランプリを獲得し、翌2012年に 「CHOIR JAIL」で15歳でデビュー。 TVアニメ「ノーゲーム・ノーライフ」オープニングテーマ「This game」、TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」のオープニングテーマ「Redo」など多くのTVアニメ主題歌を担当。2022年のデビュー10周年に向けてを精力的に活動を続ける。
【公式HP】
https://www.konomi-suzuki.net/
【公式ツイッター】
https://twitter.com/Suzuki_Konomin