チーム内で野球中継を分析した
──ありがとうございます。そして電音部的にはいちばん大きな動きにはなるかなと思うんですけど、「GAME」はどのようになっていくんでしょう?
松田 : 「GAME」は先程、石田が”部員”と表現していた3DCGのキャラクターたちによるイベントです。石田が“部員”と呼んでいるのにもすごい思い入れがある部分で、その子達がしっかり居るんだよと伝えられるようなイベントになれば思っています。今回パフォーマンスにはAIによるDJのBanaDIVE™AXっていうシステムを使っています。チャレンジングで実験的ではあるんですけど、二次元の子たちの実在性を高めるイベントにしたいです。
石田 : 野球とかプロレスみたいなずっと愛されているスポーツって中継がすごく盛り上がったり、いろんなところで選手を応援して、コミュニティーを作れるきっかけになったりしている部分が、すごくおもしろいカルチャーになっているので、そういうところを強くとりいれていきたいなと。
──今回の「GAME」にはDJを実況解説するようなことも発表されていますが、ここにはスポーツ観戦みたいなところをもとに考えられたんですか?
松田 : 例えば、プロ野球って素人目でみても実況の人が状況を教えてくれるし、解説で何が良かった、何が起きたのか教えてくれるのと、そして、同じ目線で「これって何なんですか?」って聞いてくれるゲストがいるっていうところはエンターテイメントのフォーマットとしてすごいんだなと発見したんです。今回の「GAME」にもそこを組み込んでいます。DJクラブイベントかつBanaDIVE™AX技術みたいなところに掛け算することで新たな楽しみ方っていうのが生まれるんじゃないかな。
石田 : 実況解説については、正直、DJ経験が無い人は「音楽つないでいるだけじゃん!」って見えちゃう可能性があるなっていうところがあって、例えば楽曲の背景や文脈でつないだりとかDJとしてのテクニック、「この子はこういう思いでココをつないだんだろうな」っていうのを解説していくことで、ユーザーさんにわかりやすくしたいっていうのがありました。「DJってこういうことしてるんだ」というのがわかるだけでも、パーティーに行くきっかけになったらいいし、クラブイベントの敷居を低くしたいという想いはありますね。
松田 : 今回、AIのDJであるBanaDIVE™AXっていう技術を活かしていきたかったし、それでなにか表現したいなと思っていたんですけど、いくつか悩みがあったんですよね。AIでリアルタイム性があったとしても、生身の人間の熱量に叶うものなのかなと思ったところもありますし、電音部のユーザー誰しもがDJパフォーマンスを見慣れているものでもないなという思いもあったので、それを観て楽しんでもらうためにはどうしたらいいだろうっていう会議をずっとしていたんですよ。ある時、アザブエリアとシブヤエリアのユーザーさんたちってアキバとハラジュクの試合をを観るんだろうか?みたいな議題があがったんですね。そこで私は野球が好きだったので「巨人とか阪神ファンでも、中日対横浜の試合見たりしますよ」みたいな話をしたんですよ。そこで、「なんで観られるんだろう?」という疑問が湧いて、チーム内で野球中継を分析したんですね。実況、解説、ゲストだったり、ヒーローインタビューや始球式だったりといろんな要素に分解していったときに、「全然詳しく知らなくても観られるように作られているよね」って話が出てきたところがはじまりですね。
石田 : 電音部の特徴は、エリア感もすごく重要視しているので、あのエリアぶっ潰してやるみたいなことじゃなくて、今回はうちのエリアが勝つぞみたいな思いもありつつ、他のエリアの音楽も聴いて「あっちもなかなかいいな」みたいな風に思ってもらうきっかけとかになるといいかなと。
松田 : 応援によって結果が変わるんだよというものを具現化したいなと。
石田 : きっと未来では、インターネットの向こう側の人の気持ちもAIが察して、全体でどれぐらい盛り上がっているのか出してくれたりするんでしょうけど、いまの技術でできることに落とし込むとこうなるというのを、いまは提示していますね。なので、今後もっとパワーアップしたりすることはあるかなとは思っています。
──今後も盛りだくさんな感じになるんですね。まだ今後も楽曲の展開とかもイメージされているのでしょうか?
石田 : 楽曲は2020年と同様に最も注力するのは変わらずですね。それプラスαでもっとユーザーさんに楽しんでもらうために何ができるかっていうのが追加されていくっていうところですね。各エリアのミュージックビデオを公開していて、それも全部の世界観を知るきっかけになるものになるんじゃないかなと。エリアごとにMVのテイストを分けているので、すべてのエリアが公開されたときに、4エリア全然違う電音部の解釈があるんだみたいなことは体感していただけるとうれしいです。
──MVが公開されるのはワクワクしますね。
松田 : MVの展開ももちろんですし、配信があってCDがあってっていうのをやりつつ、、エリア感をより強くしていきたいですね。MOOK本と合わせていろいろ仕込んでいけたらとも思っています。2021年度も音楽が好きな人たちに安心して、追いかけてもらえるコンテンツでありたいです。
石田 : それに加えて、2021年はキャラクターの背景や思いなんかも描いていく一年にしたいですね。もちろんユーザーのみなさんと一緒に作ってく、というのは変わらず電音部のベースとしてやっていきたいところはあるので、引き続き応援していただけるとうれしいです。
編集補助 : 東原春菜&百瀬涼