2011/05/20 00:00

先行フリー・ダウンロードを経てリリースされた、mitoの5年ぶりのソロ・アルバム『DAWNS』が、好評を博しています! オトトイでは全曲高音質のHQDでの販売。作り手のエネルギーが余すことなく収録されています。クラムボンはもちろん、他のソロ名義FOSSA MAGNA、dot i/o、micromicrophoneを経て、何故今、この作品が出来上がったのか? 滝沢時朗のレビューとともにどうぞ。
mito / DAWNS

1. still / 2. borderland / 3. montage / 4. algorithm / 5. at the lighthouse / 6. stand up slow / 7. parallel of delusion / 8. one, four, eight / 9. my dusk / 10. when do i understand / 11. white state 18 / 12. no one really cares / 13. a pray

【配信形式】
HQD(24bit 48k wav)

【価格】
2000円

実験を糧に ミトの集大成

インディー・ロックのリスナーには馴染み深いクラムボンのミトがmitoとして発表した5年ぶりのソロ・アルバム『DAWNS』。アルバムの詳細は先日公開されたインタビューに譲るが、多彩なゲスト、多様な音楽的要素を巧みに束ね上げ、聞き手にまっすぐ届く気持ちのいいサウンドになっている。実際は拍子にトリッキーな部分があったり、アルバムの構成も歌ものの曲とインストの曲がほぼ交互というやや珍しい構成になっているが、すべてmitoの音楽として一貫性を持ち、風通しがいい。しかし、重要なことは『DAWNS』を聞いて確実に何かが届いたと感じるにも関わらず、それが何かは特定できないことだ。『DAWNS』が難解なアルバムだということではない。聞いている間はポップでわかりやすいとさえ感じるサウンドなのだが、わかりやすさの質が違うのだ。

例えば、人が「切ない」という気持ちを持ったときに、本当のところを言えばその「切ない」という言葉以上に、その背後にはもっと多くの要素が含まれ、絡み合っている。そして、表現として「切なさ」を伝えるとき、多くの場合は、わかりやすくするためにひとつの場所にフォーカスをしぼり、いくつもの要素を切り捨てて整理する。だが、『DAWNS』の持っているわかりやすさは、なにかを切り捨てることで成り立っているものではない。「切なさ」なら「切なさ」を知り尽くした上で、「切なさ」を成り立たせている要素をミクロのレベルで整理されているから、マクロで見たときにわかりやすいように思えるのだ。そして、『DAWNS』を聞いた後に、その音に思いをめぐらせてみると、単純に感じていたものがいかに複雑だったかに気づき、それが何を表現していたかを簡単には名指せなくなる。これはサウンドのレベルでも同じことが言えるだろう。それぞれの楽曲が優れたポスト・ロック、ジャズ、エレクトロニカとして聞けるが、ジャンル名を当てはめてみても零れ落ちるものが多く感じてしまう。

インタビューの中でmitoは、互いによく知り合っている仲間と適切なスピードでアルバムを制作したと語っていたが、これまで書いたようなことをやりつつ内に閉じないような音楽にするためには、そうした制作方法が必要だったのだろう。また、そのスピードの中でこれだけのことをするには、Fossa Magna、micromicrophone、dot i/oの名義で試みていた音楽的な実験が糧になっていると思う。その意味では『DAWNS』はmitoの集大成と言えるだろう。何度でも耳を澄ませ、思い返して欲しいアルバムだ。(text by 滝沢時朗)

>>mito『DAWNS』インタビューはこちら

PROFILE

mito(ミト)
1975 年5 月6 日生まれ。東京都出身。
クラムボンのバンド・マスターとして、ベース、ギター、キーボード他を担当。デビュー以来クラムボンのほとんどの楽曲はmito によるものである。自身のバンド以外にも、楽曲参加、楽曲提供、プロデューサー、ミックス・エンジニアとして、木村カエラ、ともさかりえ、toe、SOUR、コトリンゴなど多くのミュージシャンを手がける。2006年から「mito solo project」としてFOSSA MAGNA、dot i/o、micromicrophone、の3つのソロ活動をスタートし、アルバムを発表。ノイズ、アバンギャルド、テクノからエピックなポップ・ミュージックまでを傍若無人に搾取するヘヴィー・リスナーであり、常にジャンルの垣根を飛び越えようとするスタイルで、新しい音楽に挑戦している。また、最近では牛尾憲輔(agraph)とのアニソンDJ ユニット "2 ANIMEny DJ's"としても活動中。今年は初のmito 名義となるソロ・アルバム『DAWNS』を5/18 に発売。同時に、これまでミトがプロデュース、作曲、編曲、作詞、remix などを手がけた数々の作品を2 枚にコンパイルした『mito archive 1999-2010』も発表。

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