某ボカロPの”●●●的な”別名義——MOtOLOiD特集第4弾DJ'TEKINA//SOMETHINGの“EDM的”作品を特典とともに配信!

突如コミケから生まれ、EDM、チップチューン、ロック・バンドなど、あらゆるジャンルのミュージシャンが所属するネット・レーベル〈MOtOLOiD〉。11月から始まった特集もこれが最終回! 第4弾となる今回は、トラックメイカー / DJとして活動しているDJ'TEKINA//SOMETHINGをご紹介! 名前の通り“●●●的ななにか”と、全く実態のつかめない存在である彼。その正体は、DJやラウド・ミュージック・バンドのフロントマン、はたまたメタル系アイドル、BABYMETALに楽曲提供するなど、マルチな才能を発揮しまくっているボカロP、ゆよゆっぺ。そんなDJ'TEKINA//SOMETHINGに変身した彼による“EDM的な”ファースト・アルバムを、OTOTOYだけの限定トラックとともに配信。なぜ彼がDJ'TEKINA//SOMETHINGとして活動し、今作リリースまでにいたったのか。MOtOLOiD代表であり、ヒゲドライVANのギタリストとしても活躍するムラタユーサクとの対談で迫った。音楽、恋愛哲学についてなど、あらゆるパンチラインが繰り出されたこの対談を見逃すな!
謎のネット・レーベルMOtOLOiDの過去特集はこちらから!!
>>MOtOLOiD特集第1弾 : ヒゲドライVAN
>>MOtOLOiD特集第2弾 : ヒゲドライVAN(インタヴュー篇)
>>MOtOLOiD特集第3弾 : baker
DJ'TEKINA//SOMETHING / DJ'TEKINA//SOMETHING
【配信フォーマット / 価格】
ALAC / FLAC / WAV / mp3 : 単曲 200円(税込) / まとめ購入 1,620円(税込)
【Track List】
01. opening
02. Internet bxxch(feat.YUCe')
03. You need fuxxkin' anthem(feat.ゆよゆっぺ)
04. We gotta power of music(feat.DJ Samurai)
05. Ninja step
06. KIck hole
07. Paradox
08. May and December(feat.ルシュカ)
09. Emotions(feat.Hasewo)
10. 光を(feat.YUCe')
11. Hope TEKINA Remix
12. Internet bitch P*Light Remix
13. You need fuxxkin' anthem Powerless Remix
14. 光を TEKINA Remix OTOTOY限定ボーナス・トラック
INTERVIEW : DJ'TEKINA//SOMETHING×ムラタユーサク
ボカロPとして有名なゆよゆっぺの別人格であるDJ'TEKINA//SOMETHING。彼のファースト・アルバム的な何か『DJ'TEKINA//SOMETHING』は、踊りまくれるが情感豊かな音楽性、イケメンだがリア充ではない親しみやすさがある。今回はそんな“アルバム的な何か”を世に送り出した彼と、ヒゲドライVANのギタリスト、MOtOLOiDを運営するTOKYO LOGICの社長、ムラタユーサクに対談をしてもらった。果たして“的な何か”とは何なのか? 「バールのようなもの」とは違うのか? 親に渡したお年玉はどこへ行ったのか? 君の目で真実を確かめろ!
インタヴュー&文 : 滝沢時朗
ドラえもんのように、未来を感じさせる音楽
——今日は社長とDJ'TEKINA//SOMETHINGさんの対談ということで、まずレーベルのお話から伺いたいと思います。2014年のMOtOLOiDはヒゲドライバーさんもbakerさんも、今回のテキサムさんもEDMのアルバムを出されていますね。どうしてレーベルとしてEDMを打ち出しているんですか?
ムラタユーサク(以下、ムラタ) : 基本的にはその場のノリです。とはいえ、思うところもあります。まず、東京の街中ではアメリカのダンス・ミュージックが結構流れているけど、日本のダンス・ミュージックはそれほどでもない印象がある。だったら、日本人が作っていて、日本人にポップスとして受け入れらるような要素が入ったダンス・ ミュージックがあってもいいんじゃないかと思いました。
——国内でかけるダンス・ミュージックを作りたいということですね。
ムラタ : MOtOLOiDのアーティストはイベントに呼んでもらえることが最近多くて。ですが、特に地方だと予算的な問題もあって、バンドのような多人数のものではなく、ソロが多くなります。そうすると、必然的にDJで勝負することになるので、自分自身の強いネタがないといけない。ずっと他人の曲で勝負するのは寂しい気もしますし。
DJ'TEKINA//SOMETHING(以下、テキサム) : そうなんですよね。ボカロ系のイベントでかけるためにボカロ曲のブート・ミックスもたくさん作ってるんですけど、結局ポップスに寄っちゃって、ダンス・ミュージックになりづらいんですよ。でも、自分の曲にしてしまえば、もう少しダンス・ミュージックに寄せられる。だから、今は反応がどうであれ、どんな地方でも自分の曲をかけています。種を蒔いてる感じですね。
——社長は最初からテキサムさんがEDMに向いてそうだと思ったんですか?
ムラタ : ゆよゆっぺの名義でスクリーモやハードコアみたいなことをやっているけど、もう少しアーティストとしての幅を広げたほうがいいのではないかと思っていたんですよね。それで、DJをやってみようって言ったんですよ。特にクラブとロックって対極にいるじゃないですか。クラブに行く人はライヴ・ハウスは怖いって言うし、逆でもそう言うし。だから、両方わかっておくといいんじゃないってことで奨めました。
テキサム : DJやらないかって言われてからは、すぐに動き出しました。まず、速攻で電気屋さんに行って、店員さんに色々と機材のことを聞いて。全然分からなかったけど「わかりました、この安いやつにします。」って言って機材を買いました。それで、とりあえず練習を始めたんですけど、イマイチわからないままで。でも、2011年に『ヒゲドライバーを持ち上げる会』っていうハンパないイベントでDJデビューしました。その時に自分のDJ中に一回音を止めてしまって。DJにとって音を止めるのは大罪なので、それが相当悔しくて。そこから、そもそもDJやクラブ・ミュージックとはなんぞやという勉強をちゃんとやり始めます。EDMを最初に聞いて、「なんでイントロが64小節もあんの? トランスもなんでこんな長いんだろう?」って思ってたんですけど、学んでいくと「なるほど、この間に曲をつなげばいいんだ!」って、ちょっとずつ曲の成り立ちが分かってきました。それから、クラブに来ているお客さんを踊らせることが中心で、歌がメインじゃないって気づくまでにすごい時間がかかっちゃいましたね。
——具体的に特定のミュージシャンを参考にしたり、誰かに作り方の相談をしたといったことはありましたか?
テキサム : 社長にDJを奨められた時が、ちょうどSkrillexが「Rock n Roll (Will Take You to the Mountain) 」をYouTubeに上げていた頃で、聴いてみたらこれはやばいな、次世代だな、と思いました。でも、それを自分の形にするには、なかなか時間がかかりましたね。EDMってすごくチャラかったり、どうでもいいぜ! っていうイメージが先行すると思うんですけど、盛り上げるためにじつはすごく緻密に作ってあるんですよ。まだその時は雑誌にEDMの作り方も載っていなくて、1、2年くらいかけてようやく“EDM的なサムシング”ができました。今でもキック一発の音を決めるために一人で何時間もかけたり、プラグインについてDJ友達の八王子Pとかに電話で相談したりします。
――EDMそのままではなくて、EDM的なサムシングなんですね。
テキサム : 僕の曲を聴いてきた方とかクラブ・ミュージックをはじめて聴く方に対して、EDMそのままでは聴いてもらいにくいと考えていたんですね。そこで、別の切り口でどう誘い込もうかと思った時に、歌もちゃんと存在感のあるアルバムを作ろうと思っていました。
——確かにいいメロディはテキサムさんの持ち味のひとつですね。でも、EDMは盛り上げるためにフィジカルでアタックの強いサウンドにもしなくてはいけなくて、そこがメロディとぶつかってしまうことってありませんでしたか?
テキサム : フィジカルと歌みたいな気持ちの部分をわけて作っています。まず、最初にキック一発でどれだけ湧かせられるかとか、この展開では皆が手を上げてくれないとか考えながら作って、次にメロディーや歌詞が乗っかってポップスになります。だから、EDMは緻密な計算式と人の気持ちが入り混じっていて、まるでドラえもんのように未来を感じさせる音楽だなと思いますね。
彼自身がEDMみたいだと思いました
——インストの曲でも、メロディはなくてもはっきりしたフックがありますね。特に「NINJA STEP」は日本的な要素が入っていておもしろいですね。
テキサム : 普通にダブステップを作っても面白くないし、ネタの1つとしてあった方がいいなと思って作ってみました。ただ、和楽器とクラブ・ミュージックのすり合わせってなかなか難しくて、上に乗っける三味線とか尺八もなかなか音源がないんですよね。それを選ぶだけで結構お金がかかりました(笑)。やっぱり、ちゃんとした目標で作ったアルバムですし、その中に入れるネタとして作るんだったら投資しなきゃなって。でも、そういう曲があったから、いいバランスのアルバムができたなって思います。「NINJA STEP」がなければ成立しないアルバムですね。
——「We gotta power of music(feat.DJ Samurai)」も聴いた時に「なんだこれは!」って驚きがありますね。
テキサム : あれは色々な奇跡が重なってできた曲なんですよ。まず、DJ SAMURAIは日本育ちのベトナム人で、自分の年齢を4000歳とか言ってるぶっ飛んだ人です。きっかけを話すと、ベトナムのあるイベントの前夜祭を抜けてSAMURAIの家にいったら、めちゃ喜んでくれて「オー、マイメン! 君たちが来た時はスローモーションに見えたよ!」とか言って(笑)。その時にヒゲさんが、「テキサムがちょうどアルバム作ってて、SAMURAIは元々ラッパーをやってたから、フィーチャリングしたらいいじゃん」って言ってくれて、よしやろうと。でも、SAMURAIはノリで乗っかってただけみたいで、改めてお願いの連絡したら「マジか!」って(笑)。それでも一応作ってくれたんですけど、そのもらったデータがやばかったんです! 車のクラクションとか騒音ががっつり入ってて、どうノイズ・キャンセリングしても無理っていう状態で(笑)。さすがにあの音源は厳しいよって相談したら、日本に行く用事があるからそのタイミングで録ろうとなりました。それで、いざスタジオに入ったら、今度はSAMURAIがすごく落ち込んでて。理由を聞いたら、電車に乗ってるサラリーマンとかを見て、なんか無理だと思っちゃったらしくて(笑)。
——すでにいろいろとめちゃくちゃですね(笑)。
テキサム : しかも、いい感じのリリックは書いてくれるんですけど、ラッパーのくせに走るからOKにできなくて。何度も繰り返して、あいつが疲れてきたらちょうどいいのが録れました(笑)。でも、そういう奇跡的な偶然がたくさん重なってできた曲で、僕自身もベトナムを意識してビートを作りました。次回もフィーチャーしようと思ってます。
——また一波乱ありそうですね。
テキサム : 他にもいっぱいエピソードはありますよ。SAMURAIとB2B(※)でDJした時も、お客さんが盛り上がってないと1曲目なのに「もうやめようかな」とか言うし(笑)。
※バック・トゥ・バック。複数のDJが少ない単位で交互に曲をかけるスタイル
ムラタ : 態度がでかい小心者なんですよね。
テキサム : 彼自身がEDMみたいだと思いました。チルったらやめるみたいな。
ムラタ : でも、SAMURAIには、bakerもヒゲさんも相当影響受けたんじゃないですかね。本物のアーティストだなって感じはあるんですよ。曲がどうこうっていうより人なんですよね。みなさんぜひチェックしてください。
——他のゲストミュージシャンの方々に関してはどうですか?
テキサム : 他の曲に関しては、過去の作品でフィーチャリングしたことがあるので、なるべくその人にあった曲を作りました。この人に歌ってもらおうと考えてから、メロディや音色を考えて、歌い手が決まったらもっと詰めていくって感じですね。
人の気持ちを入れることで音楽になる
——アルバム全体の構成として、最初にアッパーな曲があって、中盤に「NINJA STEP」みたいな面白いフックのあるインスト曲があり、後半にメロディが立った曲があって、ちょうどいいバランスですよね。
テキサム : それは本当にスクリレックスを汲んだ感じですね(笑)。というか、どのEDM作品を聴いても定番の流れなんですよ。DJのアルバムって自分がDJやるんだったら、こういう選曲にするっていうパティーンでアルバムを作る人が多いと思うんですよ。やっぱり、踊りたい夜から始まって、最後には朝方になって「光を」っていうイメージで。今回のアルバムには、そこにエクストラとしてリミックスも収録しました。
——エクストラではありますけど、アルバムの流れで「Hope TEKINA Remix」を聴くと、色々とつながってくる感覚がありますね。形を変えて何度も発表されているテキサムさんの代表曲ですけど、「Hope」を通してこのアルバムはEDMでもあり、ボカロの流れにもあり、やっぱり、J-POPでもあるんだなと思います。
テキサム : なるだけ音楽のボーダーをなくしたいんですよね。ジャンルで音楽の良い悪いを判断して欲しくない。好みはあると思うんですよ。でも、じゃあ私は優しい曲しか聴かないとか、激しい曲しか聴かないっていうのは、本当にもったいない。絶対それぞれの音楽の楽しみ方があるし、楽しいことがたくさんあった方がいいに決まってるじゃないですか。いろいろな音楽にずっと触ってきた僕が言うんだから、間違いない。
——EDMはすごくサウンドが激しい部分とメロディーがかなりエモーショナルでぐっと来る部分ていうのが両立してるジャンルだと思うんですけど、今回のアルバム聴いた時に、元々テキサムさんがやっているスクリーモも一緒なのかなとも思いました。
テキサム : そうですね。そこが僕がEDMに入りやすかった部分だと思います。メロな部分からダンス・パートへのドロップっていうか、それがたまらなくて。だから打ち込みのキックが苦手だとか細かい好みはあると思うんですけど、そこを取っ払っちゃったら音楽なんて大体一緒だから(笑)。楽しいと思っちゃえればそれでいいわけで、僕はその楽しい時間を提供できるように頑張りたい。
——なるほど。「音楽なんて大体一緒」っていい言葉ですね(笑)。
一同 : ははは(笑)。
——これは社長としてもうなずける意見ですか?
ムラタ : いいんじゃないですか(笑)。僕は「昔の曲のほうが良かった」ていうような壁を作る台詞が超嫌いだから、そういうのはなくなればいいなと思ってますし。
テキサム : それは僕の場合で言うと、スクリーモしか聴いてなかった人に言われることが多いですね。
ムラタ : ヒゲさん(ヒゲドライバー)もチープなチップチューンをやってる時の方が良かったって、たまに言われてたりするんですよ。「ゆよゆっぺはこうじゃねえ」って言われることもあるし。そう言ってる人を見てると男性が多くて、本当に男性ってふられた女のことを引きずるんだなって(笑)。

テキサム : 間違いない(笑)。
ムラタ : それを言ってる人達は昔の女に未練があるんだろうなと思います(笑)。もちろん、音楽は過去の時間を思い出すものでもあって、思い入れは出来ちゃいます。けど、昔の自分も好きだけど、今の自分も好きだぜって思って欲しいなって。
テキサム : 結局、昔には戻れないんだから(笑)。そういう壁を越えたいというところもあって、DJ'TEKINA//SOMETHINGに名前を変えてるっていうのもあるんですよね。時々はゆよゆっぺと融合合体することがあるけど、ニコ生とかの現場でも、自分としてはDJ'TEKINA//SOMETHINGを演じてますから。
——ボーカロイドにしろテキサムさんが楽曲を提供されてるBABYMETALなどのアイドルにしろ、近年に頭角を表してるジャンルというのは、ジャンルの名前が音楽性を指してるわけじゃなくて、そこをプラットフォームにしていろいろなものが詰め込まれているところに面白さがありますよね。
テキサム : そうなんですよね。さっきも言いましたけど、結局、音階と算数で器を作って、そこに人の気持ちを入れて音楽になると思うんで、いくらでも作りようがあるんですよ。どんな混ぜ方もできるし、どんなやり方もできる。僕はいくらでも変にできるとか、いくらでも自由にできるところを大事にしていきたい。だから、器を作るために凝り固まるのも大事なんですけど、BABYMETALを見ていると、ヘビーなラウド・ミュージックではあるんだけど、メタルなのかハードコアなのかはわかんないわけですよね(笑)。色んなやり方があるけど、もう彼女達がメタルって言ったらメタルなんです。
ムラタ : スーちゃんが「BABYMETALは唯一無二のBABYMETALでありたいんです」って言ってて、感動しましたね。16歳の高校生がこんなことを言うんだって(笑)。
テキサム : 曲を作ってるほうは大変なんですけどね(笑)。

一同 : ははは(笑)。
テキサム : 大変なんですけど、そういうこと言って、しかも本当に活躍してくれるから、作りがいがありますよね。BABYMETALの曲を作るときに、プロデューサーから事前に参考音源を渡されたんですけど、全部ラウド・ミュージックっていうだけでジャンルはバラバラで、指示を出されても最初は「どういうこと?」ってなりましたけど(笑)。でも、今はこういう柔軟性が大事なんだなって思います。そもそも僕のDJ’TEKINA//SOMETHINGっていう名前もDJじゃなくて“DJ的な何か”ですからね(笑)
ムラタ : “●●●的な何か”(笑)。
テキサム : そうなんです(笑)。最初はDJがそんなに出来るわけでもなかったですし、とりあえずアフロ・ジャックの真似をするしかなかったんですけど、「ボカニコナイト」ってイベントでDJをやっていて、音楽ってこんな単純なんだって気づいたんですよ。そこに来た方の中には、クラブ・ミュージックがよく分からないとか、ボカロってカテゴリで音楽を見ていた人もたくさんいたと思うんですけど、お客さんの声を聞くと「大きいキックが鳴って、そこで体を動かすことで楽しくなれるんだ。」ってシンプルなことに気づいてくれる方がたくさんいるんですよね。僕自身もそこで気づけたし、それはすごく良かったなと思っています。
楽しいが先にあって、その上で音楽を好きになれればいい
——bakerさんがインタヴューで『WARU EP』の中の曲はいわゆるクラブ系のイベントでもボカロ系イベントでも好評で、EDMってどっちも繋げるものなんじゃないかと言っていましたが、テキサムさんもそう思いますか?
テキサム : そうですね。でも、その架け橋は自分で作るしかないかなと思っています。僕はよく海外のジャパニーズ・カルチャーのイベントに行ってDJもするんですけど、まず自分の曲をかけていいかを聞くんですよ。外タレのEDMの曲流しても盛り上がるとは思うんですけど、やっぱりジャパニーズ・カルチャーやボーカロイドとEDMを結びつけるには、まず自分が作ったものを試しに聴いてもらわなきゃいけない。これは俺が作った曲だからって言うほうが説得力がありますから。
——テキサムさんは2014年も2013年に引き続いてロック・イン・ジャパンでDJをされていますが、ボカロやEDMではない現場でも活動していく予定はあるんですか?
テキサム : ロック・イン・ジャパンではJ-POPのブート・ミックスを勝手に作っちゃったんですけど、同じようにイベントに合わせて作ることが多いんですよね。色々と挑戦をしようと思いますけど、基本的に「DJ的な何か」ですから、イベントごとにちゃんと合わせていきたいですね。
——社長としてもどんどん活動の幅を広げていってほしいですか?
ムラタ : 何も言わなくても勝手にみんな広げていきますからね(笑)。自分たちは始まった時、なにもなかったレーベルなんで、特に高尚な目的もないんです。元々はLOiDがなくなって始まったレーベルだし、ゼロから出発したから、こういう音楽を作るべきとかこう活動すべきっていうルールは持ってない。だから、音楽だけというよりは、人間としてでっかくなってもらうことに重点を置いてますね。テキサムも、失敗はありますけど色んなところに出て行っていますから、その調子でテキサム、ゆよゆっぺ、ひとりの人間としての自分、というきれいな三角形を大きくしていくことが重要です。ヒゲさんに関しても、「自分がルーツにしているチップチューンを盛り上げたいから、CHIP UNIONという組織を作ります」って言っていつのまにか作っていて、本当にすごいなと思います。そう考えれることが成長に繋がるのかなと思いますね。まあ、僕はしばらくCHIP UNIONのことを知らなかったんですけど(笑)。bakerさんはいまいち主張しない部分があるかなぁ。
——インタヴューではしっかりとした意見を伺いましたが。
ムラタ : そうなんですよ。でも、貧乏くじを引きやすいんですよね。すごくいいことでもあるんですけど、自分より先に他人を優先しちゃって、人に美味しいものを渡して、自分では行かない時が多くて。ボカロのクラブ・イベントを一番最初にやったのも彼なんですけど、あんまりDJとしてのbakerは知れ渡ってないかもしれない。でも、『waru EP』みたいなキャッチーで振り切れたアルバムを作って前進してるし、それぞれが進化していますよ。そもそもテキサム、ヒゲさん、bakerの三人は交差してなかったんですよ。これは太字でお願いしたいんですけど、そもそもヒゲさんはボカロPでもないですから! でも、ジャンルがあまり被っていない彼らが集まって、お互いの立場をわかってやっていくのが、僕たちのレーベルのいいとこだと思うんですよね。
——皆さんの音楽に対する姿勢をお話を伺うと、レーベルとしてもアーティストとしても一貫したものがありますね。
テキサム : いや、僕ぐらい音楽に対してブレブレの人も居ないですよ(笑)。気分が乗らない時は本当にできないし、その時に面白いと思ったものが先行しちゃういますから。でも、僕は楽しく生きていたいし、そのために人生をよりいい音楽で彩りたい。音楽が最初にあるんじゃなくて、楽しいが先にあって、その上で音楽を好きになれればいいと思うんでよ。自分が楽しくなれないと音楽の楽しさも伝えられないですから。だから、僕は曲を作る時にも、いかにこの曲を楽しくしてやろうかっていうことを考えます。DJやる時も、お客さんを楽しませるために、いかに自分が楽しむかってことを最優先に考えてやります。EDMも作ると楽しくなってくる音楽で、そこが良いところですよね。bakerさんもヒゲさんも、最初はEDMに対して肯定的ではなかったと思うんですけど、アルバムを聴かせてもらったら楽しさがにじみ出てますから。ヒゲさんにいたっては「楽しみ過ぎじゃない?」って言うぐらいですけど(笑)。
MOtOLOiD作品はこちら
ヒゲドライVAN / Kiss me EP(24bit/48kHz)
チップチューンを得意とするミュージシャン「ヒゲドライバー」を中心に2013年に結成されたバンドプロジェクト。2013年、クラウドファンディング・サイト「CAMPFIRE」にてヒゲドライVANは、『Kiss me EP』に関する制作支援を募るプロジェクトを開始。開始後の反響・期待は大きく、瞬く間に目標金額である100万円を集め、最終的には目標金額を大きく上回る役150万円を集め、初のワンマン・ライヴはチケット・ソールドアウト。200名強のオーディエンスを集めた。
ヒゲドライVAN / Kiss me EP(Chiptune Remix)(24bit/48kHz)
上記アルバム『Kiss me EP』のチップチューン・リミックスがこちら。まさにヒゲドライバーの真骨頂! 特典音源としてしか入手出来なかったChiptuneのリミックス盤を、まさかのハイレゾにてOTOTOYのみで独占配信!
ヒゲドライバー / HIGE DANCE(24bit/48kHz)
「チップチューンとダンス・ミュージックの融合」をテーマにした、 ヒゲドライバー渾身のピコピコ系オリジナル・アルバム。EDMとチップチューンが合わさったオシャレでファニーな一枚。
baker / waru EP(24bit/48kHz)
本人が、「ダサかっこいい気がして何となく悪そう… 略してダサかっこ悪い」と表現する『waru EP』は、トラップやダブステップなど交差するEDM作品。baker的な悪いサウンドは、深夜のフロアを湧かせること間違いなし。OTOTOY限定特典として、bakerによる「M.A.D composer」の撮りおろしミュージック・ヴィデオが付いてきちゃいます!
PROFILE
MOtOLOiD

2011年2月より始まったイベントであり、たまり場。
2度目の開催からは現在渋谷PARCOにある2.5D(当時は池尻大橋)をホームとして活動。1年半の活動の中で、Ustream同時視聴者数ランキング第一位も獲得した。
出身のDJとしてはヒゲドライバー、DJ'TEKINA//SOMETHING、DJ Powerless等。ヒゲドライバーはニコファーレにおける初出演のDJとして、DJ'TEKINA//SOMETHINGはボカニコナイト第一回目において、実力で出演を勝ち取ったDJとしても活躍。
2012年12月には冬のコミックマーケットにてレーベルMOtOLOiD発足。2013年からはネットレーベルの始動も含め、新人の開発にも乗り出す。
母体は2008年より活動を開始し、2011年1月に活動を終了した、LOiDレーベル。
現在、第一線でも活躍中のクリエイターを数多く輩出した。
DJ'TEKINA//SOMETHING
普段はゆよゆっぺという別の人格が作動しているが、ひとたびDJ台の前に立つや性格が豹変。会場を盛り上げるためのパフォーマンスは各所から高い評価を得ている。
クリエイターとしても『TRF TRIBUTE ALBUM BEST』への参加を筆頭にでんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」のRemixや、BABYMETAL特別盤にも毎回Remixが収録される等活躍。
Dream5でもディズニー・カヴァーの「小さな世界」の編曲を担当。アイドル界への浸透を図っている。また、多数の海外イヴェンとにも参加し、ロック・イン・ジャパン、カウント・ダウン・ジャパンにも出演。
さらに、趣味で作ったSPEEDの「BODY&SOUL Remix」がSPEED本人達から公認をもらう等、その腕は各所から高い評価を得始めている。ボーカロイドDJの祭典ボカ・ニコ・ナイトには出演DJの中で最多出演中。
>>DJ'TEKINA//SOMETHING SoundCloud
>>DJ'TEKINA//SOMETHING 特設サイト