奇妙礼太郎がカヴァーした名曲「君が誰かの彼女になりくさっても」を生み出したのはこの男! 関西の自由気ままバンド、ワンダフルボーイズの中心人物であり、ズバ抜けたソング・ライティング・センスを持つ大阪のSUNDAYカミデがファースト・ソロ・アルバムをリリース。特典としてSUNDAYカミデ描き下ろしの、実体験をもとにした青春群像小説「あし」が付いており、特典と侮るなかれ、かなりボリュームたっぷりで読みごたえのあるものとなっている。キラリと光る青春に、せつなさや苦さも内包したSUNDAYカミデ独特の世界。音源と合わせてどっぷりと浸っていただきたい。
SUNDAYカミデ / MY NAME IS!!!
【価格】
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 1,600円
WAV 単曲 200円 / まとめ購入 1,800円
【Track List】
1. 天王寺ガール~君だけのライフ~ / 2. スキダヨ / 3. 先生、僕は… / 4. 子犬のちび / 5. 平和トゥーザピーポー / 6. サンセット通り / 7. ダラダラ~170号線にて~ / 8. 遠距離恋愛 / 9. LOVE ME BABY!!
アルバム購入特典! SUNDAYカミデ描き下ろし小説「あし」
19歳の高校三年生の大阪青春グラフィティ、青い、ひたすらに青い春がここに綴られて完成!
あし。 僕のあし。 何回も、折ったり切れたり、伸びたり離れたりした。
高校生の頃、大会の2週間前に前十字靭帯を断劣させてしまい、何もかも、あきらめてグラウンドでボーッとしてたら、監督が近づいて来て、ボロボロのメモ用紙を渡された。
そこには、電話番号と住所がなぐり書きされてた。
「なんすか、これ?」
不機嫌な顔で監督にゆうと、
「試合に出たかったら、いけ。」
監督は言った。
お前の足は、行くしかない。と監督はつけ加えた。
電話番号と住所だけ。
ボロボロのメモ用紙を、ジャージのポケットに入れて、クラブの練習を途中で抜けて駅に向かった。
自転車に乗って。
左足でこいだ。
駅に着いて、駅員さんにメモを見せた。
乗り継ぎと降りる駅を教えてもらい、電車に乗った。一時間くらい。どんどん知らない街へ電車は向かった。
(あし1 より)
※mp3、WAVともにアルバム購入者特典として、SUNDAYカミデ描き下ろし小説「あし」のPDFファイルが同梱されます。
大阪という都市で生活する若者が作り出したニューソウル
SUNDAYカミデは現在の大阪のインディーズ・シーンを知る上で欠かすことのできない人だ。まず、彼が2000年から主催しているイベント「Lovesofa」では、ロックンロール、ブルース、ジャズ、レゲエなどのブラック・ミュージックをうまく消化しているバンドを数多く取り上げ、cutman-boocheやBAGDAD creationsなどを送り出した。彼自身も「マジであったことポップ・ミュージック」 をキャッチフレーズにワンダフルボーイズとして活動している。ワンダフルボーイズはソウル、ディスコ、レゲエなどをベースに街やクラブで過ごす青春を軽快なダンス・ミュージックとして聴かせるバンドで、やはり、「Lovesofa」のムードを体現しているようなサウンドだ。
そして、そのSUNDAYカミデがファースト・ソロ・アルバム『MY NAME IS!!!』をリリースする。ワンダフルボーイズでは実体験を元にした曲ながら「マジであったことポップ・ミュージック」というあくまで軽さを保とうとする姿勢だったが、『MY NAME IS!!!』はより私的な作品になっている。学生時代の挫折を描いていると思われる「先生、僕は… 」や、疲れや迷いをにじませながら夢を追い続けることを歌う「ダラダラ~170号線にて~」などのバンドの時には見せていないテーマの曲が耳をひく。アレンジも歌とピアノが中心で、リズムは控えめになっている。アルバムを通して静かで内省的な印象だ。ワンダフルボーイズの前身バンドのしゃかりきコロンブスで発表した「天王寺ガール~君だけのライフ~」や「平和トゥーザピーポー」といった曲も私的な色合いが濃い。
そんな『MY NAME IS!!!』を聴いていて思い浮かぶのは、ニューソウルというジャンルだ。ニューソウルはマーヴィン・ゲイなどに代表される70年代のアメリカを中心としたジャンルで、それまで職業的な側面が強かった黒人歌手が、恋愛や都市生活、戦争などについて個人として歌うようになったというところが大きなポイントだ。そのサウンドはフォークからの影響もあり、内省的な側面がそれまでのソウルより強い。『MY NAME IS!!!』で聴くことのできる楽曲も、ブラック・ミュージックを下地として私的な側面から様々なことについて歌っている。つまり、今作は大阪という都市で生活する若者が作り出したニューソウルなのではないだろうか。時折、大阪の地名などが入り、有り体に言ってすこしダサめの言葉を混じえて描かれる青春。それは個人的なことにとどまらず、同じ街で生活し続けるということの力強さを感じさせる。この感覚は、今作の特典である、足のケガからラグビーの夢を追うことに迷う高校生活を描いた青春小説「あし」にもよく表れている。
SUNDAYカミデのファースト・アルバムは、このように私的でありながら、大阪という街も想像させうるような作品になっている。そして、それは冒頭で書いたように、彼がシーンを支えるようなイベントを大阪でやり続けていることにもつながっているだろう。センチメンタルなポップスでありながら、現在の大阪の音楽を知るうえでも欠かせない興味深い一作だ。(text by 滝沢時朗)
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LIVE INFORMATION
2013年9月7日(土)@商栄市庭 ナイトマーケット
2013年9月13日(金)@ネオ公民館『誉』
2013年9月14日(土)@広島ふらんす座
2013年9月15日(日)@福岡モカジャバカフェ今泉
2013年9月27日(金)@新代田commune
2013年9月28日(土)@SENDAI KOFFEE
2013年11月2日(土)@大阪梅田 ムジカジャポニカ
PROFILE
SUNDAYカミデ
2010年結成の関西を拠点に活動する「マジであったことポップミュージック」を標榜するイカした6人組バンド「ワンダフルボーイズ」のリーダーでヴォーカル。 奇妙礼太郎が定番カヴァー曲としている「君が誰かの彼女になりくさっても」のオリジナル・シンガーでもあり、この他にもソロに収録されている「 天王寺ガール~君だけのライフ~」「 子犬のちび」も含めSundayカミデの作詞作曲の曲を多数カヴァー中! 大阪を中心にリスナーを拡大中! せつない青春ソングを中心に、バンド/ワンダフルボーイズやソロ/Sundayカミデ、奇妙礼太郎との臨時ユニット、そしてしゃべりだけのイベント「バンドマンすべらない話」での活躍など幅広く活動中!
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