world's end girlfriendの革新的挑戦! division series遂に完結!
「完成形の楽曲とは違った視点から音世界を楽しもう」というコンセプトのもと、world's end girlfriendの名作『hurtbreak Wonderland』を大胆に分解する『division』シリーズ。ウワモノ部やリズム部に分解された各「division」は、それだけで楽曲として成り立つよう、ミックス&マスタリングしなおされ、新たな楽曲として生まれ変わります。正直、分解されたのにこれほど美しく響くものなのかと溜息が出てしまう代物。6ヶ月に渡ってお送りしてきた本シリーズもいよいよ最終章。world's end girlfriendの音世界と音楽の可能性を、思う存分お楽しみください。
Vol.6(NEW)
division e.p. Vol.6 birthday resistance
最終章となる第6弾は、「birthday resistance / 誕生日抵抗日」を、弦、管による主旋律を中心とした「division1」と、ハープ、ヴォイスサンプル、ベースとリズムを中心とした「division2」に分解。
Hurtbreak wonderland ; division one(NEW)
Hurtbreak wonderland ; division two(NEW)
これまでのdivision音源をまとめた、スペシャル版も同時販売開始! 各楽曲の「division1」をまとめた『Hurtbreak wonderland ; division one』と、「division2」をまとめた『Hurtbreak wonderland ; division two』。
WEGの誘惑にして挑発に乗る by 滝沢時朗
world's end girlfriend(以下、WEG)の『division』シリーズも6月20日配信のVol.6でいよいよ完結となった。改めて説明すると2007年作『Hurtbreak Wonderland』の1曲をストリングスやピアノが中心のウワモノであるdivision 1、ドラムや電子音が中心のdivision 2に2分割してそれぞれを1曲として提示するという実験的な試みである。WEGの音楽をより理解しようと思うときに様々なインスピレーションを与えてくれて、面白い。ここで『division』シリーズを通して聞いたときに見えるWEGの音楽について考えてみよう。
まず、division 1の特徴は主に生楽器が用いられていることだ。『Hurtbreak Wonderland』についてのインタビューで「より深い表現を求めたとき、アコースティックな楽器が適する場合が多かった」と彼は語っているが、division 1で奏でられるストリングスやピアノ、サックスの音色はやわらかく聞き手の耳に染み込んできて、その言葉にも納得がいく。そして、division 2は打ち込みのビートが中心だ。緻密にプログラミングされ、なおかつ時にブロークン・ビーツのように電子音とともに暴れまわるドラム、曲によっては骨太なベースが絡み付いてジャジーに跳ね回ることさえある。それぞれを聞くことでひとつになっていた時では見えなかった各パートの表情が克明に見え始める。
ここでひとつdivision 1とdivision 2を比べて想像してみよう。division 1は人間の持つ「感情」の流れ、division 2は人間とは無関係であるかのように動き続ける「世界」を表しているように聞こえる。そして、ふたつがひとつになった元の楽曲をまた聞くと、前者の演奏が最も美しく高揚して「感情」を湛える時と、後者のドラムや電子音が最も暴発している時が一致して、楽曲のクライマックスになっていることに気付く。これはWEGの音楽の大きな特徴なんじゃないだろうか。一見相反する要素が不思議とひとつになっている。「世界」の終わりを予感している人間には、「世界」の理不尽で壊れた側面こそ本当の姿で、日常にはないその姿を感じた時に最も「感情」が解放され、自分も「世界」の一部だと思うことができる。と、これはひとつの解釈だが『division』シリーズはこんな想像を遊ばせる余地をふんだんに持っている。
WEGの音楽は人間がテクノロジーを使って音楽を作ることによって「世界」を仮構し、自身の存在を確かめるというとても現代的な表現だ。『division』シリーズもテクノロジーの発達した今だからこそできる音楽の聞き方のひとつとしてある。最後のVol.6もただ聞くだけではなかなか得られないインスピレーションを聞き手に湧き起させるだろう。このWEGの誘惑にして挑発に乗らない手はない。
World's End Girlfriend division series discography
1. division e.p. the octuple personality and eleven crows
リズム部の「division1」とウワモノ部の「division2」に分解。
2. division e.p. Vol.2 ghost of a horse under the chandelier
ピアノとハープによるアルペジオとストリングスを中心とした「division1」と、ピアノ伴奏部とドラムパートを中心とした「division2」に分解。
3. division e.p. Vol.3 bless yourself bleed
ストリングとノイジーなギターを中心とした「division1」と、管楽器とカオティックなドラムを中心とした「division2」に分解。
4. division e.p. Vol.4 grass ark
管楽器、シンセ・パッド、弦を中心とした「division1」と、ピアノ、ウッド・ベース、ドラムを中心とした「division2」に分解。
5. division e.p. Vol.5 100 years of choke
ストリングス、ハープとサックスを中心とした「division1」と、ドラム、パーカッションとウッド・ベースを中心とした「division2」に分解。
6. division e.p. Vol.6 birthday resistance
弦、管による主旋律を中心とした「division1」と、ハープ、ヴォイスサンプル、ベースとリズムを中心とした「division2」に分解。
- world's end girlfriend web http://www.worlds-end-girlfriend.org
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