DOOBEEIS / DOOBEEIS
RAMB CAMP、TETRAD THE GANG OF FOUR、RAU DEF、QN from SIMI LABなど今年もジャパニーズHIP HOPシーンの注目を集めた、ファイルレコードが2010年の最後を飾るHIP HOPグループ、DOOBEEIS(ドゥービーズ)。デビューアルバム リリース!
生活感溢れるタフなラップ
HIDENKAとGOUKIの2MCからなるヒップホップ・グループDOOBEEISがデビュー・アルバム『DOOBEEIS』をリリースする。長く続けていること以外は手元にある資料からはわからないのだが、KEMURI PRODUCTIONのDJ YASやTHINK TANKの一員であるサックス奏者CHE3 CHEEとライブを行うなど、日本のアンダーグラウンド・ヒップホップのコアな人脈とのつながりが伺える。そんな彼らのサウンドは、エレクトリック・ピアノを中心にすえたメロウなウワモノに、都会の野蛮さを匂わせるようなケムたい音響やビートと、やはりアンダーグラウンドの良質さを宿している。この面子とライブをするのもうなずける音なのだ。では、リリックはどうなんだろうか。
1曲目「Black Board」か"オレンジの銀河鉄道 / 光るレールは滑走路"や6曲目「Crazy Night」の"見たこともないとこに行きたい? / そりゃ、俺だって行きたい"など、ここではないどこかへの憧れをつづったものが印象深い。特にアルバムの真中8曲目の8分に渡る曲「Long Forest」では、"かなりきいてるさっきの魔法のビート / よけるヒマないぜブルーベリー / 愛情一本ジュエルのキー"といったキレたセンスのリリックを単調なビートと飛び回るエフェクトの中で聞かせていて、本作のハイライトを演出している。だが、4曲目「Food」は毎日働いて食事をする当たり前のようなことをモチーフにラップしていて、 DOOBEEISの二人が地に足の着いた生活者であることもわかる。あちらの世界に憧れるだけでなく、今ここで生活することのタフさも彼らは忘れていない。
そして、そのタフさが一番表れているのが二人のラップだ。今の若い世代のような複雑かつ高速であったり、R&Bを経由したメロウさがあるわけではないが、中ぐらいの速さで着実に言葉をつむいでいくスタイルは先に書いたサウンドに芯を通している。加えて、ここで引用してきたようなリリックが頭に入ってイメージを結ぶのにも調度いい。スキルを競い合うゲームとは、また違ったラップのよさが聞ける。ざっと彼らのことを紹介してきたが、今年4月にアルバムを出していたROCKASENといい、日本のアンダーグラウンド・シーンにはまだこんなグループもいたのかという気持ちになる。そして、その音がリリースされることは聞き手にとって喜ばしいことだ。耳を傾けてみよう(Text by 滝沢 時朗)
LIVE information
「CLOWN'S CROWN × BLACKSMOKERRECORDS × clubasia presents 『LA NINA』」
12/27@clubasia
DOOR : 3000(1d) / Adv :2000
こだま和文、 CALM、 KILLER BONG、 OLIVE OIL、 DOOBEEIS、 SHIRO the GOODMAN、 L?K?O、 Marginalman a.k.a. DJ TUTTLE、 ROKAPENIS、 タカラダミチノブ、 RILLA、 YAZI、 VIZZA CASH MONEY、 Conomark、 KLEPTOMANIAC
DOOBEEIS profile
「世間知らずのマリアッチ」二つの黒い影が近づいてくる。遂に完成したようだ、DOOBEEISのアルバムが。HIDENKA(ヒデンカ)とGOUKI(ゴーキ)によるHIP HOPグループ、DOOBEEIS。 奇妙な名義を使い分けて活動している為、その実態を知る者は少ないが、様々なトラックメイカーとのコラボレーションや、各々過去の活動によって得てきたストリート・プロップスは計り知れない。シーンの内外でボーダレスに活動し、ヒッピーやジプシーのように気の向くまま音楽の旅を続ける。まさに音楽中毒者が待ち望んだアルバムの完成である。混沌とする現実社会に落とされた自由のひとしずくは、みるみるうちに辺りを浸食していく。まるでロード・ムービーのように情景の浮かぶ「DOOBEEISサウンド」を携えて、唯一無二の音楽の高みを目指す。DOOBEEISが持つ世界感は一朝一夕に作り出されたものではない。天井から垂れ落ちる水滴が、長年をかけて洞窟の中で見事な石柱をつくり出す様なものだ。