杉本佳一のソロ・プロジェクトVegpherのファースト・アルバムを先行配信!

FilFla、FourColor、MinamoやFonicaなどのサウンド・プロジェクトで活動しているプロデューサー/コンポーザー杉本佳一のソロ・プロジェクトVegpherのデビュー作『Play』がFlyrec.からリリース。OTOTOYでは、24bit/48kHzの高音質WAV音源で先行配信。またアルバム『Play』の中から収録曲「Hunter」を1週間先行フリー・ダウンロードでお届け! これまでに国内に留まらず、様々な楽曲をプロデュースしてきた杉本佳一の新しいプロジェクトをお聞き逃し無く!

>>>「Hunter」のフリー・ダウンロードはこちら

様々なビートが解け合い、躍動するVegpherのファースト・アルバムを高音質で!

Vegpher / Play

Vegpher(ベグファー)とは、琴座のα星VEGA(ベガ)と「そよ風」を意味するZEPHYR(ゼファー)を組み合わせた造語。ハイブリッドなビート・ミュージック・プロジェクトVegpherは、リズムのインパクトと快楽的な低音のシークエンスに主眼を置いた、空間的でバウンシーなダンス・ミュージックを志向する。

【価格】
mp3、WAV 単曲150円 / アルバム1500円
HQD(24bit/48kHzのWAV) 単曲200円 / アルバム1800円

Vegpher INTERVIEW

杉本佳一を知っているだろうか。彼はエレクトロニカのソロ・ユニットFourColor、音響アコースティック・グループMinamo、カラフルなサウンドのポスト・ロック・バンドのFilFlaなどで活動し、その他にも演劇やCMなど様々な場で音楽を作る才人だ。

その彼がビートを中心に据えたソロ・プロジェクトVegpherとしてファースト・アルバムをリリースする。このアルバムではテクノ、ハウス、ヒップ・ホップ、エレクトロニカなどの様々なビートが彼のフィルターを通して出会い、溶け合った形で躍動している。このビート・ミュージックは彼のキャリアの中で、意外とも思われるような新しい試みなのだ。だが、同時に楽曲全体に耳を澄ませば、どのプロジェクトにも共通して聞こえるやわらかく、透徹した響きがそこにあることにも気づくだろう。そんなVegpherのサウンドについて杉本佳一に語ってもらった。

インタビュー&文 : 滝沢時朗

 

作品に対してレーベルにも感情移入してもらいたい

——FourColorとMinamoのアルバムを去年リリースし、FilFlaのアルバムを今年5月にリリースと複数のプロジェクトを同時に行われていますが、その中でVegpherをやろうと思ったきっかけは何ですか?

Vegpher(以下、V) : そもそも僕は最初に打ち込みで音楽を作り始めたときはビートものをメインにトラック作りをしていました。FourColorも最初の方はブレイクビーツが入っています。今までたまにそういう曲を作っていたんですが、まとまった形でリリースはしたことがなかったんですね。それで、なぜアルバムにしようと思ったかと言うと、今回リリースするレーベルのFlyrec.の根岸くんが出そうと言ってくれたからです。気まぐれでSoundCloudにビートものの曲をアップしたら、レーベルがその音源を聞いて声をかけてくれたんですね。

——そこからVegpherとしての活動がはじまっているんですか?

V : Vegpherっていう名前は今年の3月につけたんですが、去年ぐらいからクラブとかでこの方向性の音楽をやるということはしていました。色々自分でも試行錯誤しながら、根岸くんにライヴを見てもらって意見を取り入れたりして、改善をしていってたんですね。トラックも同時に作りながら、去年1年間はそうしていました。

——最初からクラブで試行錯誤してフィード・バックを得ようということで活動していたんですね。

V : 客席側にいる人じゃないとわからないことっていっぱいあるので、積極的に「どうだった? 」って聞いて、「ベース音ちっちゃかったよ」とか「もっと曲間のつなぎを良くしたほうがいいよ」みたいな意見をもらっていました。それで、改めて1つの作品としてまとめることができて、じゃあ、リリースしようかっていう段階になったときに名前をつけたっていう経緯ですね。現場で実際にビート・ミュージックを鳴らしたことって本当に数える程しかないので、客観的な意見が欲しいなっていうのはあったんですよ。僕もいい歳だから下手なことはできないので(笑)。出すんだったらすごくかっこいいものを出したいですから、いい意見も悪い意見も聞いて改善していきたいっていうのは最初からありました。

——最初期の段階からレーベルと密接な距離で制作していたんですね。

V : そうですね。今回はアルバムを作る段階でもレーベルに意見を聞いて、1曲ごとに話し合いながら作りましたから。「こういう曲を作ったんだけど、どうかな? 」とか、それに対して「こうしたほうがいいんじゃない? 」とか意見をもらいながら作っていきました。曲順とか収録曲に関しては全部、根岸くんに決めてもらいましたね。

——レーベルの方と一からアルバム制作をしたいと思われたのはなぜですか?

V : 他のレーベルとかアーティストがどんなやり方してるのかわからないですけど、やっぱり、作品に対してレーベルにも感情移入してもらいたいなっていうところがあったので。最初の段階から聞いてもらったりして、密に作っていったら、レーベルも自分の曲のように扱ってくれるかなと思ったんですね。

——Vegpherをやるにあたって制作進行の仕方も違うことをやろうという方針だったんですか?

V : アート・ワークとかPVもそうだったんですけど、今まで自分の活動の中で取り入れてなかったものは取り入れたいなっていうのは、最初からありました。そのひとつですね。

——では、楽曲の作り方について伺いたいんですが、Vegpherの曲は最初にドラムとベースから作っていくんですか?

V : そうですね。最初にドラムとベースを作っていいグルーヴ感があれば、できたっていう調子でやってますね。Vegpherに関してはビートができれば8割は完成したような感じが自分の中ではあります。

——そこから、こういうウワモノだったら面白いんじゃないかと作っていくんですか?

V : 最初にウワモノのアイディアもあるかもしれないですけど、結局、ちゃんとビートを作れないとそれも乗っけられないですからね。だから、ビートありきで進めてますね。

——では、FilFlaにも参加しているmoskitooさんの歌が入っている曲がありますけど、それもビートを作ってから歌があったほうが面白いかなと判断して入れるんですか?

V : レーベルからの提案で、声ネタとか入ってる曲が欲しいっていう意見が出たので、そういう曲はあんまり考えてなかったんですけど、やってみたら面白いかなと思って作ったのが1曲目の「Hunter」です。「Hunter」の声のカット・アップや編集の仕方は自分で今までにやっていない方向だったので刺激的でしたね。レーベル側もすごく気に入ってくれましたし。それで、アルバム全体を考えたときに、もう1曲ぐらいこういう歌の入った曲があったほうがアルバムのバランスとしていいんじゃないかな、っていう客観的な意見を聞いた上で「All Round」を作ったんですよ。

——ちなみに根岸さん(Flyrec. A&R)はなんで歌が入っているものが欲しいと思ったんですか?

根岸(レーベル・オーナー/以下、N) : 今回はそのアルバム1曲目の「Hunter」でMVを作ったりもしてるんですけど、アルバム全体の中の推し曲というか入口になるようなキャッチーな曲があったほうがいいと思ったからですね。そこでポップな歌ものというか声ネタを使用したトラックがあったほうがより聞いてもらえるかなと。
V : プロデューサー的で客観的な意見だと思います(笑)。僕もこういう音楽でちゃんとメロディをのせたものってどこまでできるかなって自分でもチャレンジしてみたかったっていうのもありました。

——Vegpherにはベース・ラインなどにクラブ・ミュージックのアンダーグラウンドな雰囲気を感じるんですが、トータルとしてはポップなものにしたいというところがあるんですか?

V : とにかくかっこいいものが作りたいっていうだけでなので、そこは意識してないですね。ただ、どの作品でもそうなんですけど、自分の出せるものは全部出し切りたいなっていうのは常にあるので、その出し切った中にある種のポップさも含まれてるのかもしれない。僕はもうアンダーグラウンド以外の何者でもないですから、そこと同列に僕がポップ性みたいなものを持っているとして、どのプロジェクトでも反映されると思いますから。ただ、Vegpherは自分でそんなにポップだと思ってないですけどね(笑)。

——資料の紹介文にはダブ・ステップなどが上がっていましたが、ベース・ラインの雰囲気にはダブ・ステップの影響があるんでしょうか?

V : ダブ・ステップも聞きましたけど、反映されてるかどうかはわからないですね。作ってる時は本当にノリでやっているので。影響っていう意味では、今まで聞いてきたクラブ・ミュージックとかビート・ミュージックの全部から影響を受けてきているので、ジャンルでは考えていないです。どちからかというダブ・ステップは最近のものなので、そんなに影響されてないかもしれないですね(笑)。

——では、リスナーとしてクラブ・ミュージックをずっと聞いてきていて、それが感覚として染み付いているものがVegpherのトラックにも表れているということなんですね。

V : そうだと思ってます。自分が通ってきたものを自分のスタイルにするときにどう出せるかっていうところですね。

最後にある意味壊してもらいたい

——クラブでかかる多くのビート・ミュージックがクラブのお客さんを踊らせることを第一目的にし、重低音のきいたダンサブルな音作りをしています。Vegpherはビート・ミュージックなのですが、踊らせることよりビートの表現としての面白さを追求している音作りだと感じましたが、いかがでしょうか?

V : クラブで聴く音楽の重低音はクラブじゃないとまず出ないし、聞けないですよね。ヴォーカル曲の話も出ましたけど、CDとか配信でみなさんに聞いてもらう段階にしようと思ったときに、低音ばっかりきかせると他の音が聞こえなくなっちゃったりするんですね。大事なのはどうバランスをとるかなので、色んな環境で聞いてもらうっていうことを客観的な視点で見て、低音もちょうどよく響くように作り込みます。そういう考えなので、この名義でまだそんなにたくさんやってるわけじゃないですけど、ライヴになると出す音が違いますよ。当然、クラブとかに行ったら音環境が違うわけですから、そこで出せる音を出して踊ってもらえたらいいなというような音作りにします。

——Vegpherの楽曲はビートと楽曲全体の質感が一体になるような音響になっているとも思いました。この音響がVegpherだけではなく、杉本さんのどのプロジェクトでも感じられるような特徴だと思うのですが、そこを意識していつも作られているのでしょうか?

V : むしろ、意識しないからそういう感じになったのかもしれないですね。今おっしゃられたことは、僕も出来上がった後に曲を聴いて自分っぽいなと思った部分なので、無意識なんだろうなと思います。

——作る上で音響的な部分は最後の最後に調整するんですか?

V : そうですね。過程としてはビートを作ってウワモノをのせていくときに調整して、マスタリングする直前と、さらにマスタリング後にも調整しました。マスタリングはAndreas Tillianderにやってもらったんですけど、何度かやり直しをさせてしまって苦労をかけてしました(笑)。

——マスタリングを他のアーティストに委ねたのにはなにか理由があるんですか?

V : 僕は、Vegpherに限らず、どこかの段階で誰かに委ねたいなといつも思うんですよね。だから、マスタリングはほとんど自分でやったことないですよ。打ち込み主体で曲を作る人はマスタリングまで自分でやる人もいるかもしれないですけど、それだと広がらないんじゃないかなと。最後にある意味壊してもらいたいみたいな部分もちょっとあって、自分の世界観がこんな音になるんだみたいなことが楽しみなんですね。

——制作する上で自分以外の要素を意図的に入れて偶然性を作品に取り込むことが大事ということですか?

V : そうですね。それもあります。制作段階では自分の中でも偶然性はテーマになっていて、常に取り入れています。

——SoundcloudにFlyrec.のアカウントでInner ScienceとCosmic Metal MotherによるVegpherの楽曲のリミックスを公開されていますね。Inner Scienceもビートものなんですけど、音響が繊細で表現の重要な部分になっているというところが杉本さんの楽曲と通じるところがあると思います。

V : Inner Scienceは昔から好きなんですよね。僕がFonicaをやっていたときに彼がその曲をミックスCDに入れてくれたのが最初のきっかけで知り合ったんですよ。彼の音を聞いてもらえばわかると思うんですけど、筋が通ってるんですね。揺るぎないものがあるというか、そういう強さみたいなものがずっとある。知り合って10年ぐらいなんですけど、何か一緒にやりたいなっていうのはあったので、一番最初にリミックスを頼みました。

——Inner Scienceもそうですが、Vegpherはクラブ・ミュージックの要素を取り込みながら、そのままでなく独自のフィルターを通すことで、FilFlaのようなポスト・ロックやインディー・ロックのファンにも開かれているものになっていると思います。また、そういった感覚を複数のプロジェクトを同時進行させて、それぞれに違う角度から聞かせてくれていることが杉本さんの音楽の魅力でもあると感じます。

N : そうですね。だから、VegpherはFilFlaのリスナーにも聞いてもらいたいと思っています。知人にVegpherの音を聴いてもらうと、いい意味で裏切られたとか意外性があっておもしろかったという反応が多かったのですが、FilFlaのような音楽をやっている人がVegpherのようなこともやるとわかるのは新鮮で発見の多いことですよね。アルバム制作で曲のやり取りをしていても、全部の曲がこちらの予想を上回って仕上がって来るので、やっていてとても新鮮でした。
V : リスナーはアンビエントでもビート・ミュージックでも特に分けて聞いてはいないですよね。アーティストでも、作品にするかどうかは別にして、当然そういう感覚があります。そこを僕は作品にしているという感じですね。

LIVE INFORMATION

Vegpher "Play" Release Party
2012年8月26日(Sun)@落合soup
OPEN/START : 18:30
料金 : ADV 2,000円 / DOOR 2,500円(共に1ドリンク付き)
LIVE : Vegpher、Bisk、Nyolfen、Kyoka
DJ : INNER SCIENCE

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PROFILE

Vegpher
FilFla、FourColor、MinamoやFonicaなどのサウンド・プロジェクトで活動しているプロデューサー/コンポーザー杉本佳一が新しく始動させたエレクトロ・ダンス・ミュージック・プロジェクト。杉本佳一は多くのサウンド・プロジェクトで、ニューヨークの12k、apestaartje、ドイツのTOM LAB、日本のHEADZなど国内外の音楽レーベルから多数リリースがあり、なかでもFourColorとしての作品『watter mirror』が英のTHE WIRE誌ベスト・エレクトロニカ・アルバムに選出されるなど、海外での評価は非常に高い。これまでにヨーロッパ各国をはじめアジア、オーストラリア、北米・カナダでライヴ・パフォーマンスを行うなどグローバルな活動を続けている。

また、数多くの映画/映像、演劇、エキシビジョンへの楽曲提供・制作、CM/web/企業PVのような広告音楽を手掛ける中、2004年カンヌ映画祭では宮崎淳監督による「FRONTIER」が監督週間おいて“若い視点賞”、2006年フランス・エクスアンプロヴァンス映画祭ではドイツ人監督Timo Katzによる「Whirr」が“オリジナル映画音楽部門賞”を受賞するなど実績も残している。

>>Vegpher official web

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インタヴュー

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筆者について
滝沢 時朗 (滝沢 時朗)

1982年東京生まれ。twitter ID:@sarigenaginger

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