7/3 3drum3piano vol.01@西麻布SUPER DELUXE
石橋英子、PARAやウリチパン郡で活躍する千住宗臣、NATSUMENの山本達久の3人からなるユニット3drum3pianoのゲストを招いての初ライブが六本木のSuper Deluxeで行われた。この3人のドラマーに加えて、ゲストに先日解散してしまったあふりらんぽのONIとPIKA、そして中原昌也という濃すぎるメンツ。会場にはドラムが3台と、そこから手の届く範囲でキーボードが2台にピアノが1台、ギターが2台にヴォーカル用のマイク2本が立てられていた。見たことのないセッティングに何が起こるんだろうという期待が高まる。
ライブは三部構成で、まず一番手は石橋英子+ONI & PIKA。これが最初から破天荒なステージだった。開演を待っている客の中を突如としてエスニックな衣装のONIとPIKAが乱入し、ONI「私のきゅうり知りませんか〜」PIKA「おばあちゃ〜ん! きゅうりはここよー! 」というアングラ演劇なのかコントなのかよくわからないやり取りを繰り広げる。場内は爆笑と困惑の空間で満ち溢れていていく。もちろん、そんなことはお構いなしに二人でふざけ倒しながら、ドラムを叩きまくり、歌い、ギターをサイケに炸裂させ始めたところでドラムで石橋英子の登場。そこからはノン・ストップで3人が4〜5分ごとぐらいに楽器をどんどん持ち替えて演奏し、トリプル・ドラムでドカドカ叩きまくったり、石橋英子とONIのミニマルできれいなピアノに合わせてONIが歌ったりと、飽きることなく色々なアイディアを繰り出してくる。終盤にはなぜかONIが山瀬マミのものまねをする場面もあり、ONIとPIKAがギターの石橋英子ドラムの構成に戻って終わり。いきなりすごいエネルギーを浴びて、テンションも上がった。
続く第2部は千住宗臣&山本達久。この時はドラム・セットに工夫が施してあって、千住のスネアの上にはポコポコなる置物や小さいシンバルなど細かい鳴り物が置いてあり、山本のスネアは布で覆われて音がミュートされていた。まず1曲目は、千住が手元のノートPCから電子音を出し、二人がバス・ドラムを鳴らさずに細かい音を出して積み上げていく。そして、だんだんと手数が増えていき、気付けばドラムだけでミニマルなサウンドが展開される。音の粒子が流れになって通り抜けていくようで、とても心地いい。そして、2曲目で中原昌也登場。中原は期待通りズギャァァァッという切り裂くようなノイズで、二人はこれまたバスドラを使わずにタムとハットだけでトライバルなビートを叩き出し、これはもう単純に頭が真っ白、すごく上がった。盛り上がるにつれスネアが加えられていき、上がりきったところで終わり。3曲目は中原が二人に「ピアノ弾いていい? 」と聞いて、ピアノに向かう。でたらめに弾かれるピアノに二人のドラムが地盤を作って曲は進む。最後には中原がピアノを弾きながら「ぎゃーーっ! 」と叫び始め、めちゃくちゃになって終わった。これで第2部は終了。
そして、3drum3piano揃っての第三部。千住が電子音を出し、それに三人でドラムを叩き、適宜ピアノも弾きながらコズミックなサウンドが広がっていく。そこにONI、PIKA、中原もまた登場。PIKAも参加のドラム、ピアノに加えて、中原のノイズ、ONIのサイケな歌とギターと場内はさらに色々な音が混ざりまくってカオティックに。途中からPIKAがミニー・リパートンの「ラヴィング・ユー」を歌い始め、そこに爆笑の渦も加わって、もう頭がぐるぐるする。そして、この大即興大会が一山越えた辺りでONIがおもむろにピアノを弾き始め、「みんな楽屋で「ラヴィング・ユー」歌うって言たやないか! 言うたやないか! 」と連呼する。それに合わせてドラムが最高潮に達し、ビートの集中豪雨が起こって終了。そして、第三部の興奮も冷め遣らないままアンコールに突入する。もう一度全員で即興を繰り広げ、最後は残った中原と千住が二人で楽しそうに機材をいじってノイズを出す。最後に中原がぶっちぎれた様子でめちゃくちゃにドラムを叫びながら叩きまくり、観客からその切れっぷりに拍手が送られ、とてもいい感じでで3時間ほどの楽しめた。
そして、こんなライブを全部を見終わって一番心に残ったこと、それは楽器で音出すのはとても楽しい、という単純なことだ。そんな気持ちになる音楽がインディー・ロックやアヴァンギャルドな分野で活躍する3人のドラマーによって地に足の着いた形で鳴らされ、伝えられたことにとても愉快な気分になった。DVDも出て、次回のVol.2も決まっているそうなので楽しみ!(text by 滝沢時朗)
3drum 3piano vol.01
2010/07/03(土)@西麻布SUPER DELUXE
出演 : 石橋英子 / 千住宗臣 / 山本達久 / 中原昌也 / ONI / PIKA