各地で話題沸騰の奇妙礼太郎、タワーレコード新宿店に降臨!
奇妙礼太郎、その変な名前のシンガーは現れると同時に、タワーレコード新宿店の一隅に集まっていた20数人のオーディエンスの度肝を抜いた。ゴールデン・ウィーク真っ只中のインストア・ライブにストライカーズ、矢船テツロー、奇妙礼太郎と交流もあるしゃかりきコロンブス。と3バンドが心地いいグッド・ミュージックを奏でていたのに、トリの奇妙礼太郎はフォーク・ギター一本でスピッツの「チェリー」を全身全霊を込めて異常なまでにメロメロに歌い上げながら登場したのだ。「何でスピッツ!? 」観客が全員がそう思ったに違いない。インストア・ライブは基本的にプロモーションの場なんだから。そして、奇妙礼太郎からの第一声は「みんなスピッツのCD買ってくださーい! 」だ。再び「なんで!? 」と思ったが、そんなことはすぐにどうでもよくなった。奇妙礼太郎の歌が圧倒的だったからだ。歌声はよく伸びて声量があるが、そういった技術的な面だけではない。今にも泣き出しそうな歌声は人間的な弱みをさらけ出しているようなのに、そこには確固とした本人のソウルが宿っているとわかるのだ。他人と共感などしあえないほどの深さで自え身の弱さを突き詰め、それを歌声に込めて響き渡らせているのだと、聞いているだけで感じる。
そして、「チェリー」の次も奇妙礼太郎の曲ではなく、石原裕次郎「夜霧よ今夜もありがとう」、ザ・ビートルズ「オール・マイ・ラビング」のカバー。だが、次々に聞いていく中で、なんで彼がここでカバーばかりするのかもわかってきた。それは単に音楽が好きで、その時歌いたかったからだ。はにかみながら一言二言話すだけのMCだったり、歌っているときの仕草だけからでも、彼の音楽が好きでたまらないと言った気持ちがあふれている。ライブを兼ねてのプロモーションではなく、彼は音楽だけをやりにきたのだ。今時そんなアーティストに出会うとは。そんな風にこちらを驚かせ続けたまま、奇妙礼太郎は最後に自身の曲である「機嫌なおしておくれよ」をやって去っていった。
インストア・ライブなので4曲だけの演奏だったが、奇妙礼太郎の存在感がしっかりと頭に焼き付いたライブだった。昨年11月に発売された奇妙礼太郎トラベルスイング楽団名義の『KING OF MUSIC』は、バンドとの軽快な演奏に乗せて彼がカバーもしていた60年代のスタンダード・ナンバーへの愛が伝わる好盤だが、ここを入り口にして是非ライブにも行ってみて欲しい。絶対にもっと奇妙礼太郎を好きになるから。(text by 滝沢時朗)
PROFILE
奇妙礼太郎トラベルスイング楽団
大根! 人参! ロックンロール! くよくよしようぜ!
シナトラ気取りのフリークスとガラスのハートにワサビを塗りすぎた5名から10数名のキンキー・ミュージシャンズが、 春の入学&ファースト・キッス・シーズン、微熱なフォーエバー・ヤングスに贈る、 ソフト問題児×ハード迷子な栄光のオープン・チャック・集団ダンス・ミュージック! 南コロンビアのチョコな路地裏から聞こえる薫り高いトランペット&ボーンに ニューハンプシャーのファットな高級マンションからこぼれるスリンギーな鍵盤を シェイクした千客万来のビッグ・ダッチ&モブ・サウンズ! つかめグラミー賞4部門! 100万光年のファンタスティックな夜、あまりある情熱はたぶん太陽のわすれもの!
このバンドが好きな人に、奇妙礼太郎を聴かせたい!
ホニャララ / SAKEROCK
お待たせしました。これが日本の新しい音楽。SAKEROCK2年振りのフル・アルバム! 8月にリリースされた先行シングル「会社員と今の私」はオリコン・チャートで25位に入る快挙を達成! インディーでインストでこんなことが起きるなんてすごい! 今作も快晴の空のように痛快で、熟成された古酒のように芳醇な最高のサウンドが詰まっております。
Even Kick Soysause / neco眠る
1stアルバム『Engawa Boys Pentatonic Punk』がクラブ、ライブ・ハウス、縁側、夏祭り、中学校、猫好きやレコード・ショップなどなど、あらゆる関係各所で絶賛を浴びたneco眠る。待望の新作は9曲入りのミニ、というかほぼフル・アルバム! ダンス・フロアとお茶の間をつなぐ、自由奔放な“4つ打ち醤油”生ディスコ?
Paint it white / ELEKIBASS
3枚目のフル・アルバム。『Paint it black』がオルタナ精神溢れる”陰”の部分なら、この作品は”陽”。カラフルでハッピーな、全曲日本語のかわいいポップス大本命! ジャケットはof monterealのイラストでおなじみのDavid Barnes。