mama!milk『Parade』が24bit / 48kHz 高音質HQD音源で配信スタート!
mama!milkが4月にCDで同時リリースした2作品、『Parade』と『Quietude』がついにオトトイに登場! 『Parade』は24bit / 48kHzの高音質HQD音源での配信も実現。6人編成のアンサンブルで、mama!milkの新しい魅力を携えた演奏がホールに美しく響き渡る。 長らく音源化が熱望されていた未発表曲「Parade」、「an ode」を収録した5thアルバムを高音質でディティールまでご堪能ください。
『Parade』(HQD / mp3)
01. Overture / 02. Mimosa / 03. Sometime sweet for Parade / 04. Parade / 05. Hourglass /
06. Sometime sweet / 07. ao / 08. Sones /
09. Parade(reprise) / 10. an Ode
『Quietude』(mp3のみ)
01. Quietude / 02. Airships / 03. Landfall / 04. 6 Kleine Praludien No.2( J.S.Bach ) / 05. Portolano / 06. Compassrose /
07. Quietude(repraise)
mama!milkインタビュー
mama!milkはアコーディオンの生駒祐子とコントラバスの清水恒輔からなるユニットだ。彼らの音楽はジャズ、クラシックやタンゴなど様々な要素が溶け合っているが、なによりとても精密に音を鳴らして曲全体のムードを醸し出し、私たちを単に耳で聴くだけではない音楽体験に導いてくれる。 『Parade』はそんな彼らが音の連なりの間や向こうにある「気配」を、よりリラックスした形で音楽にしてくれたアルバムだ。『Parade』はどんな背景を持ち、どうやって作られたのかを二人に聞いた。
インタビュー&文 : 滝沢 時朗
取材協力 : 恵比寿カチャトラ
楽しくてちょっとデタラメなパレード
——タイトルの『Parade』にはどんな意味が込められているんですか?
生駒祐子(以下I) : 元々mama!milkのレパートリーとして「Parade」っていう曲をずっと前から演奏していました。最初はタイトルもなかったんですけど、ライブで何度も演奏するうちに、ある日突然「この曲はParadeだ」って思ったんです。Parade。楽しくてちょっとデタラメなパレード。みんなで一緒に歩いているのに、ゆっくりしか歩けないおばあちゃんとか、どうしても違う方向に行きたがる子どもとか、先頭を切りたがる人とかすごくいろんな人がいる。でも、とにかく、なんとかみんなで一緒に前に進んでいくパレード。その曲がきっかけとなって生まれたアルバムなので、アルバム・タイトルも『Parade』になりました。
——ライブをやる内に『Parade』のイメージが出来て、今までやられていた曲や新曲を入れてアルバムを作られたんですね
I : 『Parade』のイメージが広がっていく中で、いろんな楽器の奏者とこの曲を演奏してみたいと思うようになりました。そこでトウヤマタケオさんに編曲をお願いしたんです。それで、トウヤマさんに編成も決めていただいて。その編成が、私たちのアコーディオン、コントラバス、トウヤマさんのピアノに加えて、フルート、クラリネット、ホルン。それも小さなパレードでいいなと思いました。
——編曲をお二人とトウヤマタケオさんでされていますが、作曲や編曲の段階ではどういうやり取りをされていたんですか?
清水恒輔(以下S) : 今回は曲は全部祐子さんが書いてるんやけど、トウヤマさんに編曲をお願いした曲は、丸投げで好きにやってくださいって出しました。そしたら、思った以上に好きにやってきて自由だなあと(笑)。でも、ずっと一緒にやっている人なので、すごい信頼してます。
I : やっぱり私たちがトウヤマさんのことよく知ってるっていうのもあるし、本当に委ねるって形でした。
——今回はクラシックでよく行われるようなホール録音を、長野県の茅野市民会館で行われていますよね。なぜそこを選ばれたんですか?
S : ご縁ですね。去年ここの企画のコンサートに呼んでいただいて、その時の演奏はホールじゃなかったんですけど、ちょうどホールで録りたいなと思っている時だったので、下見させてもらいました。かわいらしい小ホールだったんですよね。それで、イメージができてからアルバムに入れる「Parade」以外の曲を選んだんです。場所は京都でも大阪でもよかったんですけど、メンバー六人を連れて京都でホールに通いながらやるよりは、合宿で三日間と決めて外堀埋めてからの方がいいかなと思ったんです。合宿だとみんなガチンコにならざるをえませんから。
はみ出たらはみ出たでOK
——レコーディングはどのように行われたんですか?
S : 本当にワン・ポイント・マイクだけでホールで一発録りのレコーディングをしました。オーケストラとかやったことないのにようできましたけど(笑)。順々に話すと、京都でリハーサルを三日して、それから長野に行きました。1日目の着いた日はもうみんな疲れて使いものにならないから、その日は完全に楽器のレイアウト決めだけです。それがミックスみたいなものだから。楽器の場所を決めて、みんな感覚をつかむために練習してました。
I : 楽器の場所を決めるのが一番時間かかりましたね。
S : エンジニアの人にホルンはもうちょっとこっち行った方が良いとか、フルートはもっと前とか。曲によっても全部位置を変えるんです。あとで音をいじれないレコーディングの仕方ですから、エンジニアの林皇志さんとはガチンコで話し合いました。
I : ひとつひとつの楽器にマイクを置いて、後で録った音をミックスしましょうっていうやり方もありますけど、そういうことでなくて、今日、ここで、このメンバーで演奏しましたっていう事実をそのままに収録してもらおうって決めたんです。
——『Parade』を作るうえで、メンバーの皆さんとこんなアルバムにしたいというようなコミュニケーションをよく取られたんですか?
S : それはそうですね。でも、舵を取っていくのは僕と祐子さんと編曲のトウヤマさんの仕事で、管楽器の三人にはもっとこうして欲しいっていう風に、忠実にアルバムのイメージに近づけるために演奏してもらいましたね。
I : イメージの説明はよくしましたね。例えば「Parade」を録るにあたって、この曲は本当に一糸乱れぬパレードではなくて、とにかく、どうしてだか一緒に歩くことになってしまったけど、でもみんなで仲良く楽しくパレードしましょうね、みたいな感じで。楽譜もありましたけど、それに忠実な演奏というよりは、はみ出たらはみ出たでOKですよとか、気持ちの持ち方をできるだけ共有できるようにしました。
S : やっぱり、ある瞬間にうまいことよしやるでって全員で気持ちを合わせないといけませんでした。そこが三日間だと難しかったですね。僕だとコントラバスだからなんぼでも弾けるんだけど、管楽器の人は演奏に体力を使うから大変なんです。あと、何テイクいけそう? とか聞きながらやりました。
I : 関係ない話なんですけど、後で調べたらスポーツ選手が高地トレーニングに行くようなエリアだったみたいで(笑)。
S : 最初は長旅で疲れてるだけやと思ってたんだけど(笑)。
——前作の『Fragrance of Notes』の曲の「Sometime Sweet」が『Parade』ではアンビエント・ミュージックを思い起こさせるような響きの曲に変わっていると感じました。他のジャンルで音響面で参考にされりしますか?
S : いや、本当にホール録音だからクラシックですね。音の感触や作り方も、録音の仕方もクラシックのコンサートと同じように。
I : でも、アンビエントの音楽も普段から聞いているので、アウトプットは違いますけど発想は似たところがある気がします。アンビエントの空気が震える、漂っている、空気がはっきりきれいな感じを写し取るような方法に考え方は似ている気はします。生楽器でも発想は同じですね。
S : 特に音数が少ないと空気のちりちりした感じがすごく聞こえるじゃないですか。ちょっとした軋みとか、楽器のびりって音とか。本当に今回みたいな録音の仕方だと色んな音がよく聞こえて、集中力が上がっていく感じなんです。だから、よく聞くと色んなノイズが入っているんですよね。ピアノの椅子がきしむ音とか。そこらへんも面白かったな。
I : 『Parade』ではひとりの人が出してるとメロディがあるってだけじゃなくて、あの人が出してるメロディとこの人の出してるメロディが空気中で混ざって、その空気の中でふわりと広がる感じを録りたかったんです。楽器の音がぱきっとしていなくて、人によってはちょっと聞きづらいアルバムかもしれないですけど、やりたかったのはこういうことなんです。
——『Fragrance of Notes』はアンビエント的な要素のある楽曲もありましたが、基本的にもっと濃密なムードを作り出すようなアルバムでした。そこから『Parade』のようなアルバムを作ろうと思ったきっかけはありますか?
S : それは僕の中でははっきりあります。『Fragrance of Notes』はスタジオだけど、真中にマイクをメインで一本立てて全員で囲んで、各場所に補助的にマイクはあるんだけど、真中のマイクでバランス取れるように録音をしたんですよ。その録り方は僕達にはすごく集中力が必要できつかったんですね。音を戻したりいじったりできないし、いかに小さい音をきれいに出すかが大事なレコーディングでした。そして、『Fragrance of Notes』のツアーでもUの字にバンドで並んでステレオ・マイクを真中に一本立てるっていうスタイルを通したんですよ。大小含めて色んな会場で演奏して、音が小さいとか、音圧がそんなにないって難所はあったんだけど、そのスタイルだと 僕達にもバンド・メンバーにとってもよかったんですよね。モニターも一切なしで。それで、このスタイルで録ってみたいなって思っていたら、「『Parade』を録りませんか? 」って話がレーベルから来たから、「それやったらホールでやりたい」って話をしました。『Fragrance of Notes』のツアーで色んな会場で、みんなで新しいPAの仕方とかバントしてのあり方をすごく鍛えたことは大きい経験でした。
I : ドラムの栗原務さん(ex.Double Famous)も、mama!milkとトリオでやるときには普通に叩いて出る音量よりずっと小さい、ある程度限られた音量の範囲の中で叩いていて、その中で強弱をつけてるっておっしゃってましたね。それがいいんですね。 例えば大きい会場だったらドラムの周りにアクリル板を立てて他のパートの音と分けたりもできるんですけど、がんばっても音量が限られているアコーディオンとドラムでバランスを取るってことで、生身の人間が演奏してる息遣いをより感じながらやるの、すごく楽しいんです。
S : そこで鳴ってる音をそのままお客さんに聞いて欲しいっていうのはあって、自分たちが演奏しててステージ上で鳴ってる感じを。まずステージ上がいい音になるようにみんな工夫して、それを全部そのまま聞かせたいんです。そういうライブの時の感覚と録音は同じかな。「気配」がある音の方が良いですね。
——ototoyからの高音質配信と同時にリリースされる『Parade』のアナログ盤ではCDと曲順が異なりますが、なぜですか?
S : アナログ盤はひっくり返さないといけないからです。『Fragrance of Notes』のアナログ盤もがらっと変えましたから。
I : 曲がインストだからというのも大きいとは思います。曲の並びで曲の持つ色んな表情が変わって聞こえますよね。歌詞があるともっと違うと思うんですけど。CDの時は一本の映画の脚本を書くような感じで、アナログ盤ではそのことは全て忘れてしまって、同じ言葉を使って新たな違う物語をふたつ作るような感覚があるんです。
S : CDだと1、2、3曲目は試聴とかもよくされるから、一応つかみ的な要素はいるなとは思うんだけど、アナログの場合はアナログをわざわざ買ってくれるから、そこを気にしなくてわりとチャレンジングな曲順にしますね。特に『Fragrance of Notes』のアナログはすごく挑戦的な曲順で、テンションの低い曲から始まってます。
——高音質配信に関してはどう思われますか?
I : 録音したそのままの音って、ものすごく良いんです。それをCDにする時って、どうしても、色々音を削らなければいけないですよね。エンジニアの林さんはいつも「このデータを、このままみんなに聴いてもらいたい」とおっしゃっていましたから、高音質配信、すごいことだと思います。林さんの夢が叶いました(笑)。 音質がとてもいいと、例えばピアノの一音だけでも泣きそうになるくらいの力強さがありますよね。音質って音楽にとって大事ですね。
——お二人は寺院や廃校など様々な場所で演奏活動をされていて、録音環境にも大きなこだわりを持たれています。『Parade』はどんなところで聴くと合うと思いますか?
S : 録音した帰り道に山を見ながら車で聴くのが良かったですね。やっぱり、旅には合います。
I : そうですね。録音終わった録りたてのを、まだ荒い音で疲れてもいるんですけど、山を見ながら聴くのはよかったですね。
——まあ、でもそれは僕らにはできないことですね(笑)。
S : 『Parade』に限らず色んなところで試してみると楽しいかもしれないですね。僕は鴨川の川原に行ってワルツの曲を聴いてたんですけど、向こうに工事の大きいクレーンがあってそれがワルツに合わせて動いてるようで、変な映画見てるみたいで面白かったですね。
I : 私も音楽と実際の景色を組み合わせてみるのがすごく好き。音楽を聴きながら眺める車窓は最高です。
——では、最後に次回作の構想などありますか?
S : 結構いっぱいあります。
I : 出来上がるまではちょっと時間がかかると思うんですけど、色々考えてます。基本的には今までやってきたことと同じように、人と一緒に演奏しているそのままの音の、息づかいのようなものを、そのまま録音したいです。
空間を解き放つ音楽を高音質で
Polarisやohanaの活動で知られるオオヤユウスケが、本名である大谷友介としてソロ・プロジェクトSPENCERを始動。ドイツと日本を渡り歩きながら制作した渾身の作品。聴こえてくる音の幅の広さ、そしてダイナミクスを、存分に感じ取ることができます。ototoyでは、高音質のHQD(24bit/48khzのWAVファイル)で販売。
映画に呪われた非映画音楽。菊地成孔率いる、優雅で憂鬱で未来的な ストレンジ・ラウンジ・オーケストラ「ペペ・トルメント・アスカラール」の最高傑作。
菊地成孔 (sax, vo, claves, shaker, tri)、早川純 (ba)、 藤堂昌彦 (vl 1)、 楢村海香 (vl 2)、 菊地幹代 (vla)、 徳澤青弦 (vc) 鳥越啓介 (b)、大儀見元 (perc)、田中倫明 (perc)、堀米綾 (harp)、林正樹 (pf)、中島ノブユキ(comp.,arr.)
世武裕子のセカンド・アルバム『リリー』が到着。本作は、全曲の作詞/作曲を自身で担当したセルフ・プロデュース作品で、ヴォーカル楽曲を中心に収録。レコーディングは、ロック・バンドCHAINSのラリー藤本(Ba)、伊藤拓史(Dr)のリズム隊を迎えた、初のバンド編成。ロック〜民族音楽〜クラシックなど幅広い音楽趣向を見事に昇華したポップ・アルバムの誕生です。ototoyでは、アルバムの発売に先駆けて、収録曲「恋するリリー」を、高音質HQD(24bit/48KHzのWAVファイル)で販売します。軽快なピアノと跳ねるようなヴォーカルが可愛い、春らしい楽曲。購入者には、特典としてオリジナル壁紙をプレゼントします。
PROFILE
生駒祐子(アコーディオン)、清水恒輔(コントラバス)を軸とするユニット。京都を拠点に、各地の様々な空間─古い劇場、客船、寺院等で演奏を重ね、その、クラシカルな香りと新鮮さをあわせ持つ楽曲と、「Cinematic Beauty」とも評される艶やかなパフォーマンス、そして、独創性溢れる数々のアルバム作品が、インストゥルメンタル音楽の世界で独自の輝きを放っている。近年は、アコーディオンとコントラバスのシンプルなデュオから、ゲストを迎えてのトリオやカルテット、またアルバム制作ごとに編成するアンサンブルまで、様々なスタイルで演奏を行う他、数々のアーティストのライブやレコーディングへの客演、舞台、映画、アニメーション、CF、Web Siteやインスタレーション等々への楽曲提供、楽曲書き下ろしなどでも活躍するなど、多岐にわたる魅惑的な活動を自在に展開。また、生駒は、yuko ikomaとして、オルゴールをフィーチャーしたソロ・アルバム『esquisse』や、エリック・サティのカバー・アルバム『Moisture with Music Box』なども発表。 清水は、屈指のコントラバス奏者として、トウヤマタケオ楽団はじめ数々のプロジェクトに参加。また、『esquisse』、『Quietude』』の録音、編集も手がけている。
LIVE INFORMATION
- 2010/07/11 ( 日 ) [大阪] 「BOSSANOVA underground〜10th anniversary〜」 NOON-NAKAZAKI DEPOT
- 2010/07/12 ( 月 ) [京都] 「Presentation 67.5」 shin-bi
- 2010/07/17 ( 土 ) [丸亀] 展覧会「SickeTel シッケテル 〜キュピキュピと石橋義正〜 」前夜祭 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
- 2010/08/29 ( 日 ) [京都] 「ときのあとさき」 法然院
- 2010/09/04 ( 土 ) [金沢] "Quietude" アートグミキャラリー
- 2010/09/05 ( 日 ) [金沢] "parade" アートグミキャラリー
- 2010/10/02 ( 土 ) [横浜] 「moodstock」横浜開港記念会館
- 2010/10/30 ( 土 ) [静岡] サールナートホール
- 2010/11/06 ( 土 ) [大阪] 綿業会館
- 2010/11/14 ( 日 ) [出雲] 旧大社駅
- 2010/11/18 ( 木 ) [北九州]「ディナーと音楽の夕べ」西日本工業倶楽部
- 2010/11/20 ( 土 ) [岡山] 「メトロポリス伴奏付上映会」 天神山文化プラザ
- 2010/11/23 ( 火 ) [高知] 「秋の夜長の演奏会」 たこ蔵
それぞれのLIVEについての詳細はmama!milk OFICIAL WEBでご確認ください。