スマホひとつでこんなに大勢の人に音楽が届けられる
──MASUNARIさんは音楽留学でデズリーの“You Gotta Be”やマライア・キャリーの音楽プロデュースでも知られるアシュリー・イングラムからレッスンを受けたとのことですが、これは17LIVEでの活動をはじめる前ですか?
MASUNARI:そうです。大学を休学して1年間カナダに行って。技術だけでなく音楽とはどういうものなのか、心の部分も含めて学びました。僕の楽曲は英語の歌詞が多いので、留学の経験はすごく役立っていますね。
──では10代の頃からアーティストを目指していたのでしょうか。
MASUNARI:小学生の頃からずっと歌いたかったんです。ピアノとバイオリンは習っていたんですけど、歌を学んでいるわけではなくて。でも年末年始に親戚で集まったカラオケで高得点を出すと祖母がすごく喜んでくれて、「自分が歌うと人に喜んでもらえるんだ」とどんどん歌が好きになっていったんです。高校の時に合唱部に入って、オーディションを受けたりして、大学に入ってボイストレーニングを始めて、海外留学をして、帰国後にボーカルデュオとして活動をしたり、YouTubeでカヴァー動画をアップしたり──と紆余曲折を経ながらもずっと歌を続けてきました。
──そのなかで2017年12月に17LIVEのライバーになるわけですが、日本で17LIVEのサービスがはじまったのは同年9月なので、かなり早い参入だとお見受けします。
MASUNARI:実は17LIVEをはじめたきっかけは友達なんです。音楽仲間の男3人で北海道に旅行に行った時、そのうちのひとりが待ち合わせ場所の空港からずっとスマホに向かって喋ってたんですよ。それが17LIVEのライブ配信だったんですよね。「みんなで集まってるんだからスマホ置きなよ」と言っても彼はやめず、搭乗のタイミングでやっと回線を切って。
──お友達、かなりのヘビーライバーさんだったんですね。
MASUNARI:当時の僕は「せっかくの旅行なんだから携帯ばっか触るのやめてよ」と言ってました(笑)。それでその日の夜にバーを貸し切りにしてもらえたのですが、彼がまたそこで配信をはじめたんですよね。彼は主に歌の配信をやっていたので、流れで僕も一緒に歌ったら、配信を観ていた方から「めっちゃ感動した」や「めっちゃいい時間でした」と言っていただけたんです。その時に「スマホひとつでこんなに大勢の人に音楽が届けられるんだ」と衝撃を受けて、旅行から帰ってすぐに17LIVEのオフィスに足を運んだんです。そこから一気にライバーの世界に入りました。
──実際に音楽ライバーとして動き出してから、どんな変化がありましたか?
MASUNARI:17LIVEで僕と出会ってくれた、僕を知ってくれた人がいるからこそ、いまがあるんだなとつくづく思うんです。17LIVEでの活動がなかったら音楽を続けられてないだろうな……と思う瞬間がいっぱいあります。
──ライブ配信アプリは、SNSの生配信ツールよりもフォロー外の人の配信にふらっと立ち寄りやすいのが特徴ですよね。ライバーさん側からすると、不特定多数の人にリーチできるというか。
MASUNARI:そうですね。だから17LIVEで歌うことは、オンライン上のストリート・ライブみたいな感覚なんです。ちょっと観てどっか行っちゃう人もいるし、めちゃくちゃ好きになってくれる人に出会えることもあるし、ものすごい人数の人が観てくれる時もあって。一期一会ではなく、しっかり次につなげられるような努力は必要だと思っていますね。
──ではリアルなライブの場は、MASUNARIさんにとってどんなものでしょう?
MASUNARI:ライブというリアルの場でしか感じられない優しさや力強さがあるなと、コロナ禍に入ってあらためて思いました。耳で音楽を聴くのがライブ配信なら、細胞で音楽を聴くのがリアルなライブの場というか。だから胸の奥に響く感覚は、ライブだと全然違うと思うんです。これだけオンラインが発達しても現場がなくならないことが、それを物語っていますよね。でも僕はライブ配信でいろんな人に知ってもらえたので、どちらが優れているとかではなく、新しい表現の場がこの3年ぐらいで増えたと解釈しています。