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INTERVIEW : SPiCYSOL
SPiCYSOLのセカンド・アルバム『SEASONS』が、10月26日にリリースとなった。コンスタントに楽曲をリリースし続けた彼らの1年を、季節の変遷と共にパッケージングした今作は、季節の移り変わりだけではなく、時代の遷移にもコミットした作品に仕上がっている。その上で、茅ヶ崎に拠点を設けて活動をしている彼らの自然体な雰囲気を捉えつつ、リスナーの生活にも寄り添ってくれる包容力を持った今作について、メンバー全員に話をきいた。
インタヴュー・文 : 峯岸利恵
写真 : 大橋祐希
アルバムというよりかは、SPiCYSOLのベスト盤プレイリスト
──2022年は、リリースもかなりタイトにされていましたが、振り返ってみていかがでしたか?
KENNY(Vo):約月1ペースでリリースをしていたんですけど、音楽制作から日常生活への頭の切り替えが上手くできなかったりもして、正直かなり大変でした……。でも、CDからサブスクへと音楽の聴き方が移行しているこの時代にコンスタントにリリースするということは、音楽ビジネス的には必須だなと感じましたね。
AKUN(Gt):僕たちがインディーズとして最後に出したアルバム『The U-KiMAMA’N'i』をリリースした時期って、丁度コロナが蔓延しはじめた頃で、外出もままならなかった時だったんですよね。その頃からもうCDって、サイン会やインストアライヴといった付加価値をつけなければ売れなかったと思うんですけど、そういった状況のなかで更にコロナ禍に突入したことによって、その変遷に拍車がかかったと感じていて。サブスクでも、アルバム作品から先行リリースした楽曲の再生回数がぐんと伸びていましたし、リスナーの聴き方も変わっているんだと思うんです。そういう現状を踏まえた上で、コンスタントなリリースをすることの大切さを実感しましたね。
──なるほど。
AKUN(Gt):なので、アルバム作品のインタビューなのでこう言ってはアレなんですけど、アルバムというよりかは、SPiCYSOLのベスト盤プレイリストをリリースするという感覚に近いですね。
PETE(Trumpet/Key):継続的に最新曲をリリースできるというのは、サブスクの強みではあるよね。これからはこういった出し方の方が時代に則しているような気もしています。
KAZUMA(Dr):以前まではアルバムに向けて楽曲を作っていく、といった動き方をしていたので、今回はこれまでとは異なるアクションの上で完成した作品になるんですよね。なので、その分バリエーションが豊かになったように思います。
──逆にコンスタントにリリースしなかったら、『SEASONS』というタイトルの通り、季節感をがっつり取り込んだ楽曲たちは生まれなかったかもしれないですもんね。
KENNY:その通りですね。四季に恵まれた日本で、季節の変遷を感じながらタイトにリリースしてきたからこそキャッチできたものは間違いなくあるので。とはいえ、“Holy Night”に関しては、真夏に作ったんですけどね。クーラーをガンガン効かせたり、失恋系の映画を観てみたり、冬をイメ―ジできるように場を作りながら制作しました。
──環境を季節感に合わせていったんですね。でも、2020年から茅ヶ崎をひとつの拠点としつつ活動をされていますが、茅ヶ崎という場所だからこそ季節感をよりダイレクトにキャッチできたという実感もあるのでしょうか?
AKUN:あぁ、でも確かにそれはあるかもしれないですね。夏は海で海水浴やサーフィン、花火があるし、冬も家族連れが多いので、マーケットが開催されたりして、季節によってのイベントが多いですし。元々はインプットをするために茅ヶ崎に移住してきたんですけど、今回は特に毎月の制作やその他の作業に追われるなかで、自分の時間がなかなか取れなかったんです。でも、茅ヶ崎は自然が近い環境なので、都会にいる時よりはリフレッシュの方法が様々あるし、それは音楽活動においても大きかったと思います。
──いいですね。今作『SEASONS』には初収録の新曲がありますが、その楽曲についても是非お聞かせください。作品の幕開けを飾る楽曲 “Treasure”がまさにその1曲ですが、この曲はいつ頃から制作されていましたか?
KENNY:これはアルバム制作のクライマックスに出来上がった楽曲ですね。悔しくもこのアルバムに入らなかった楽曲のデモが10曲以上あるんですけど、そのなかにも今作のリードにばっちりハマる楽曲がなかったんです。そこで、最後の方にAKUNが持ってきてくれたのがこの曲でした。
AKUN:約月1ペースでリリースしているので、リード曲という概念も正直分からなくなっていたんですけどね。(笑)それでも、このアルバムの顔となる楽曲になったなと思います。この曲はPETEとふたりで、「トランペットやシンセを使った楽曲を一緒に作りたいね!」ということで着手した楽曲の内の1曲なんです。もう1曲は“Skyscraper”なんですけど。
KENNY:はじめて聴いた時に、この曲がリードだな、とビビっときました。ライヴで演奏することをイメ―ジした時にも、アルバムのリード曲ということで最高のタイミングに持ってきても遜色ない楽曲だと思いましたしね。