私の脳内にあるChatGPTみたいなものに、「サックス トリオ」って入れたら──
――H ZETTRIOは、配信シングル連続リリースを続けてきて、それがアルバムになるという形で何年かやっていますよね。アルバム用に曲を書き下ろすというのは近年なかったのでは?
M:確かにそうですね。72ヶ月やってきてプラス5曲ということになります。1ヶ月1ヶ月作ってきて、ここに5曲が来るっていう。そして8月打ち合わせで12月にリリースということで、「うわー!」って、もう血管がブチギレる感じでした(笑)。
ユッコ:本当にタイトなスケジュールの中でやっていただいた感じなので(笑)。
M:タイトではありましたけど、やり甲斐があったというか、いいものができそうだなっていう楽しみしかなかったですね。
NIRE:今Mさんが言ったように、8月から始めてアルバムが12月リリースということで、「果たして間に合うのか!?」みたいな感じでしたけど、無事完成してくれて嬉しいなっていう感じです。レコーディングも「やってやるぞ!」って勢いを高めて、1日に3~4曲ずつ録って行きました。
KOU:アルバムに向けて書き下ろしっていうのも新鮮な感じがしたし、ものすごくスピーディーにやりました。まだ会って間もない感じでお互いを出し合って、新鮮な感じをそのままパッケージしちゃったような、いい感じで出来上がったと思います。
――“Emotional” は、ユッコさんの情熱が伝わってくるようなオープニング曲ですね。
ユッコ:まさか一緒にできるなんて、昔の自分に言ってあげたいっていうエモさみたいな感じで “Emotional” というタイトルにしました。
――「こういう思いで書きました」みたいな気持ちは、H ZETTRIOのみなさんに伝えましたか?
ユッコ:いや、とくに伝えていないですね。
NIRE:こういう取材のときに初めて聞いて、「ああそうなんだ」って思いました。
ユッコ:“絶体絶命”とか“危険なアリバイ”とか、いろいろ意味深なタイトルとかもあるんですけど、特に説明してない感じです。私は、いつも自分のプライベートというか、そのときの自分の状況とかを曲にするタイプなんですよ。
KOU:曲名が曲名なんで、ツッコミづらいですよね(笑)。
ユッコ:“絶体絶命”って感じの出来事があったんです。「ワーッ!」て、もう世界がひっくり返るぐらいの衝撃を受けて作ったというか。
――めちゃくちゃ重たいテーマで作っているんですね…。それをどう考えてアレンジしたんですか。
M:まずタイトルが先にありましたからね。タイトルの文字、画数からイメージするっていうか(笑)。それに音からイメージが伝わってきますので、そこら辺を膨らました感じですかね。
ユッコ:打ち込んだ簡単な音源と譜面と、あとはタイトルがついてるっていうだけの状態でお送りして、数日後にMさんがアレンジした音源を作って送ってくださるんですけど、それがもう楽しみすぎて。全部めっちゃかっこいいアレンジにしていただきました。しかも、「この通りにしなくていいから自由にやってください」みたいに言っていただいて。そこからレコーディングの前に1日だけリハーサルをやって、3日間でレコーディングしたんですけど、和やかな雰囲気でゆるりと録れた感じです。もう本当に、3人がすごくカッコイイので、私が何をやっててもカッコイイ音楽になるんですよ。だからやっててすごく気持ちよかったし、楽しかったです。
――お互いに、タイトルのイメージからできたアレンジをスピード感を以って、どんどん演奏してレコーディングしていったわけですね。
KOU:そうですね。もう、“絶体絶命”で、“危険なアリバイ”から、“Free Fall”しちゃったわけですから(笑)。
ユッコ:いつもそのときの自分の状況がアルバムになっているので、過去の自分のアルバムを聴くと「ああ、あのときこんなことがあったな」みたいな感じになるんです。
NIRE:前の自分のアルバムを聴き返したときに思い返せるって、いいなって思いました。面白いですよね。
――そういう意味では、ユッコさんの曲はストーリー性があるように感じます。曲順はどうやって決めたのでしょうか?
ユッコ:曲順は私が決めたんですけど、「この曲の後にこの曲を聴きたいな」みたいな感じで選びました。
NIRE:(“絶体絶命”と“危険なアリバイ”)どっちが先だったかわからないですけど、同じ日にレコーディングした気がします。
ユッコ:ああ、そうだったかもしれないですね。
NIRE:ただちょっと仮タイトルなのか本タイトルなのか、そのときはわからなかったので。“絶体絶命”ができたきっかけを当日聞いてたら、心配になっちゃってレコーディングどころじゃなかったかもしれない(笑)。
ユッコ:あはははは(笑)。
NIRE:あと、僕たちのタイトルは後づけがすごく多いんです。
M:そう、最初は“00001”とか“00003”とか通し番号で付けてます。
NIRE:だから、今回Mさんが作曲した曲もリリース前に「そろそろタイトルを」っていうタイミングで後からつけた感じなんです。
――曲のイメージで言うと、“Free Fall”はH ZETTRIOっぽいなと思ったんですけど、ユッコさん作曲なんですね。H ZETTRIOの得意なところに飛び込んでいったような印象を受けました。
ユッコ:本当ですか?この曲は何か宇宙に大きな穴が開いていて、その穴に「うわー!」って永遠に落ち続けていく感じのイメージです。
KOU:宇宙の穴に落っこちてるわけですからね。まあ、今初めてその話を聞きましたけど(笑)。
M:音から感じられる“Free Fall”感っていうのやっぱりあったと思うので、そこを広げていったというか。
NIRE:しっくり弾ける感じというか、確かに得意な感じではありますね。
ユッコ:私の中でのH ZETTRIOさんのイメージは、すごくメロディーがカッコよくて、ずっと頭に残っていて、パワフルでカッコよくてキャッチーでみたいな感じです。今回、最初に送っていただいた曲が2曲目の“Dragon Funk”なんですけど、(打ち合わせをしてから)すぐに送ってくださったんですよ。「もう来た!すごくカッコイイ!」って感じで。本当に次の日とかそんな感じだったような気がします
M:私の脳内にあるChatGPTみたいなものに、「サックス トリオ」って入れたら、「こんなんどうですか?」って。
ユッコ:すごい!(笑)
KOU:そういう仕組みになってたんですね?
M:そうです。それをただ吐き出してあげてたら、こうなりました。
NIRE:たまにリハのときに、自分でアレンジしたはずなのに「これは…?」とか言ってますもんね。
KOU:初見みたいなときあるもんね。それで俺たちが説明して、「ああそうか」みたいな。
ユッコ:あはははは(笑)。
NIRE:「自分でアレンジしたんじゃないのか!?」って。だから、そういう仕組みになってる可能性はありますね(笑)。