2022/04/10 17:00

藤井風 『LOVE ALL SERVE ALL』

内省的だった前作との対照を描くべく外に向けた作品にしたかったそうだが、その祝祭感を代表する “まつり” のスケールの大きさには絶句した。ドラマやCMをきっかけにこんな胸に迫る歌が、と驚く “きらり” “旅路” から、曲名の印象とのズレに味がある “やば。” や “燃えよ” まで、古今東西のポップ・ミュージックをたっぷり吸収・消化した形跡が確かに窺える楽曲はいずれ劣らずタイムレスな輝きを放ち、優しさとユーモアあふれる歌詞も、アイデア豊富なYaffleのアレンジも抜群。CDの話になるが、ドナ・サマーからポスト・マローンまでピアノで解剖した初回盤ボーナス・ディスク『LOVE ALL COVER ALL』がまた絶品。ピュアな音楽力に降参だ。

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DA PUMP 『DA POP COLORS』

なんと17年ぶり(つまりISSA以外のメンバーにとっては初めて)のアルバム。デビュー25周年ということでキャリアは山あり谷ありだが、僕にとってはMAXとともにずっと好きなグループである。大ヒット曲 “U.S.A.” はもちろん、名曲 “if...” を思わせつつ沖縄へのオマージュも入った “桜” やm.c.A・Tのカヴァー “Oh! My Precious!” など、その後にリリースしてきたシングル曲も多く収録。自己言及的な “with Pride”、ドリル風ビートの “Lean Back~俺たちのキーワード~” とメンバーのプロデュース曲も。“紡 -TSUMUGI-” “Our Milestone” などのバラードが、色艶健在なISSAのヴォーカルがDA PUMPの確固たる柱であることを再認識させる。

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中村佳穂 『NIA』

『竜とそばかすの姫』で飛躍的に知名度を上げて待望の3rdアルバム……なのにプレッシャーが(実際にはあったはずだが)まるで感じられないのはさすが。名乗りで始まる “KAPO✌︎” から快調この上なし。同志のような中村佳穂Bandと一体になって作り上げた曲たちは緩急も伸縮も大小も軽重も自由闊達、メロディも歌詞もダントツに心浮き立たせる。“さよならクレール” “Q日” “祝辞” あたりが典型的だが、ヴォーカルは歌もラップもしゃべりもシームレスでリズム感抜群、トリッキーなのに作為皆無で伸びやか。“アイミル” も “Hey日” も “ブラ~~~~~” もなんて楽しそうなんだ。遊ぶの大好き、根っから善良な音楽おばけみたいな風情は藤井風にも通じる。

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この記事の筆者
高岡 洋詞

フリー編集者/ライター。 近年はインタヴュー仕事が多いです。 https://www.tapiocahiroshi.com/

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