ヒップホップの窮屈さに絶対ハマりたくない
──ちなみに、今回アルバムのタイトルにもなっている“ILL KID”に込められた思いは?
言いかたがアレですけど、ヒップホップに対して「こんなのもいるんだ」ってみせたかった。
──収録曲のなかには、〈もうヒップホップの精神とかどうだっていいから〉というリリックがありますもんね。
そうっすね。ヒップホップがどうとか、もう関係ねえっしょみたいな。普通に俺はやるし、みてえな。ヒップホップの窮屈さに絶対ハマりたくない。
──いまと昔は、どちらのが強くその閉塞感を感じますか。
うーん、いまのが感じてるかもな。昔は相手にされなさすぎて感じていたけど、いまも相手にされてないとはいえ、もっとヒップホップに対して突きつけたいなにかがありますもんね。
──コレが売れるんだって、悪い意味で驚かされることが増えたように思います。
曲がインスタントすぎ。それに最近のライヴは歌わねえっしょ? リアルタイムでいまのラップを10代のころに聴いていたら、多分追いかけないでしょうね。っていうか俺が10代のときも、メインストリームのラップとかにのめり込まなかったですけどね! やっぱ90年代のアンダーグラウンドなヒップホップにのめり込んでいくんでしょう、いつの時代に生まれてようが。
──そんなKMCの考える理想の日本のラッパーって誰なんですか?
うーん…普段聴くのはUSのラップですよ。
──そうなんですか! 誰を聴いてるんですか?
別にUSのラップをめっちゃ掘ってるとかじゃないんで、普通にカニエとかですけど。あとEPMDとかA.G.とか昔のヒップホップが好きですよ。日本だとMC漢ですけど、最近は聴けないですね。
──どのころのMC漢がベストですか?
やっぱ『導~みちしるべ~』じゃないですかね。日本のラップのなかで1番好きですよ。あの運動神経だけで完全にやってる感じ。ペンに突き動かされている姿が見えるんですよ。もう…ポテンシャルの押し付けというか(笑)。ポテンシャルを持ってるラッパーもいますけど、それどころじゃない。力技の力技。凄いですね。
──KMC自身パンチラインが多くて、それこそ運動神経から出てきた言葉だと感じますけど、そういったところも影響を受けてますか?
パンチラインなんて狙ってないですよ。韻とかも狙えば狙うほど、ダジャレっぽくなる感じがするし、ふわっと出た感じですよ。出なかったら出なかったで、それでいい。
──『ILL KID』のなかでパンチラインを選ぶならどれって聞こうと思ったんですが(笑)。
どれですかねぇ〜。やっぱ“ILL KID”の、〈見た目は大人で頭脳は子供 眠ってないときの毛利小五郎〉とか良いですけどねえ。
──それめちゃくちゃ笑いました(笑)。自分でも思いついたときは爆笑ものですよね?
爆笑もんですね! “ILL KID”を何度かライヴで歌ったことがあるんですけど、ここでめちゃくちゃ客がブチあがりますね。やっぱ自分で笑えるかどうかなんですよね。俺、人のためにやってるんじゃなくて、歌うためにやってる気がするんで。
──自分が歌うためってことですか?
自分のためだけじゃなくて。客にとっても俺はそうであってほしい。
──なるほど。リスナーは聴くだけじゃなくて、一緒にシャウトしてスカッとしてほしいというか。
うん。実際俺の歌をシャウトしてほしいとかじゃなくて、そういう歌を持っていてほしい。だから俺は人に聴かせるために音楽をやってるんじゃなくて、歌わせるためにやってるのがデカイですね。俺の好きなミュージシャンはそういう歌をやってる人が多い気がする。
──さっきMC漢の名前が出ましたが、それ以外で好きなアーティストを挙げると?
キエるマキュウ。超楽しいじゃないですか、笑えるし、ハーコーだし(笑)。あと忌野清志郎とか、甲本ヒロトですよね。歌詞はヒップホップの人よりも清志郎とかのがめちゃくちゃ好きですね。非常に素晴らしいと思いますよ。やっぱね、人に聴かせるんじゃなくて、歌う歌詞ですよ。
──はやくリリパで一緒に歌いたいです。言える範囲でリリパのアイデアはありますか?
いまの段階で言えるものは無いんですけど、全国に呼ばれたいですね。piz?とかタイに呼んでくんねーかな。
──あれ、そういえば今作の客演って?
実は(『ILL KID』の客演は)ゼロなんですよ。ビートメイカーは色々いるけど、客演すんのは煩わしくてね!
──客演は制作が大変?
そうっすねぇ〜。別にしなくていいっしょ、思い浮かばねえんだから(笑)。
──じゃあ、リリパもずっとひとりですか?
ゲストは呼ぶでしょうね!
──でもアルバムは客演抜きで。
抜きで。俺ひとりですね。
──リリパは半年くらい先ですが、楽しみにしています!
3rdアルバム『ILL KID』のリリースとリリース・パーティーの開催を目指すクラウドファンディングはこちらから! (2021年11月11日まで)
https://camp-fire.jp/projects/view/468037
KMCの作品はこちらで配信中
PROFILE : KMC
駿河湾の荒波が生んだスーパースター、そして雄大な富士山を望む事が出来るパラダイスシティー a.k.a.静岡県吉田町から飛び出した無敵の0548Style MCである。麻薬もやらねぇしタトゥーもありゃしねぇがHIPHOPが好きという愚直さと威勢のよい楽曲とライブパフォーマンスでPropsを獲得。Rapしてきて色々あったが悲しい事もHIPHOPでぶっとばしてきたのでどんな時だってぶっちぎりのKING。声がバカでかく突き動かされる衝動のままに発せられるRhyme&Flowは爆発する魂の叫びそのもの、キャベツ頭をぶち抜くリリックはたちまちKids達の胸に突き刺さる。毎月新宿カブキラウンジで開催されているレギュラーイベント【泪橋】ではコミッショナーとして君臨している。今後ノロマな時代をマイメン達とぶっとばしながら新しいアルバムとかをガンガン出して50歳になったらBeatも作ってく予定。本当の名前は柳原一仁。
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