2021/02/18 12:00

シキドロップが綴る“巡り逢い”の物語──はみ出し者であることの煌めきを唄う最新アルバム

シキドロップ

YouTuberとして1億回以上再生されているヴォーカルの宇野悠人と、「トッキュウジャー」など役者としてのキャリアを持つ平牧仁による異色のユニット、シキドロップがサード・ミニ・アルバム『イタンロマン』をリリース。今回オトトイでは、シキドロップの2人にインタヴューを実施。独特のセンスを持って生み出される歌詞の秘密や、自身の活動のスタンスについて伺いました。ずっと真夜中でいいのに。のMVでも話題の人気イラストレーター"sakiyama"とのコラボによるアニメーションMVにもぜひ、ご注目を。

三部作の完結編となるニュー・アルバム

INTERVIEW :シキドロップ

シキドロップの新作『イタンロマン』は、美しい旋律にユニークな言葉遊びが乗る意欲作だ。1作目のアルバム『シキハメグル』から続く三部作の“環結編”となる今作。実際にメンバー2人に制作について話を訊くと、様々な映画や絵画からのインスパイアや、その感性の鋭さに驚かされた。2021年にはまた新たな挑戦をしていくと語る2人から今後も目が離せない。

インタヴュー&文 : 西田健

「自認」の物語を描きたかった

──今作『イタンロマン』はどのようなコンセプトで作られましたか?

平牧仁(以下、平牧) : アルバムごとにコンセプトをつけていて1st『シキハメグル』で「喪失」をテーマにしていて、2nd『ケモノアガリ』で人と出会うことで「再生」していくお話。この3枚目の『イタンロマン』はその再生した人たちが自分たちだけの正解を見つけていく「自認」の物語を描けたらなってことで作っていたんです。

──今作は1作目から続く三部作の完結編という位置付けなんですよね。

平牧 : 完結編なんですけど、終結する完結ではなくて輪になってく「環結」だと思っているんです。1枚目の『シキハメグル』は別れからの喪失を表していたんですけど、そこから2作目の『ケモノアガリ』で誰かと出会うことで再生して、3枚目でその人達が、はみ出しもの同士だったんだけど互いに認めあっていく物語なんです。でも、今作で最後に収録されている“ふたりよがり”っていう曲が聴き方によっては「え、この2人って別れちゃったの?」っていう風にも捉えられると思うんです。そうすることでまた『シキハメグル』の方に戻っていくみたいな。ニュアンス的に輪っかになっているという意味で「環結」ですね。巡り逢いってそういうことかなと思って、そういうコンセプトで作りました。

──制作自体はいつごろぐらいから作りはじめたんですか?

平牧 : 2枚目を作っているときに、もう3枚目も想定しているような感覚ではあったんです。シキドロップの制作は僕が曲を作った一年後とかに収録って感じです。

──セカンド・アルバムがでるくらいのタイミングでは、ほぼ出揃っていたんですか! めちゃくちゃ早いですね。

宇野悠人(以下、宇野) : 一個作っている間に、次のことは想定しながら制作は行っているつもりなので自ずと一年先の曲とかになっちゃうんだよね。

平牧 : 2020年の頭にはもう、ほぼ作詞と作曲は完成していました。そこからシェイプアップしたり、時期を見図りながらレコーディングは夏ぐらいからはじまったりました。

宇野 : いろんなところとの調整があったり等の兼ね合いで、ミュージック・ビデオにする曲だけ早くレコーディングしたんです。“エラー彗星”は、僕の一推し曲でどうしてもミュージック・ビデオにしたくてこの曲は早めに録りました。

──制作はどのようにして進んでいったんでしょう。

宇野 : “イタンロマン”と“新世界”は、自分の家の防音室で録ってデータを送って、いつものエンジニアさんにミックスしてもらってみたいな感じで作りました。今回そういう特殊な作り方をしたのが数曲入っています。こういう機会がなかったらやらなかったことなので、いい経験になりました。

──1曲目“イタンロマン”はアルバムタイトルにもなっていますが、歌詞が独特のワードセンスだなと思ったんですよね。

シキドロップ /イタンロマン
シキドロップ /イタンロマン

平牧 : いつもアルバムのタイトルはダブルミーニングにしてるんです。ファースト・アルバム『シキハメグル』は四季と死んで蘇るっていうDeathの死期をかけていたり。今回は「インスタント浪漫」と「異端浪漫」をかけていただけだったんですけど、それ自体ちょっと痛いなと思っていた時に「痛い浪漫」ってワードが浮かんで、トリプルミーニングになりました。最初はタイトルをカタカナ六文字にしなきゃいけないっていう自分の中で縛りを作っていて、その縛りに首を絞められていましたね。

──カタカナ六文字縛り?

平牧 : ファースト・アルバムのタイトルが『シキハメグル』、それからセカンド・アルバムも『ケモノアガリ』というカタカナ六文字のタイトルにしたんです。そうなると、サードだけ『In The Sky』とかだったらちょっと恥ずかしいなっていう気持ちがあって(笑)。カタカナ六文字の言葉をめちゃくちゃ考えましたね。

──歌詞を書く時は、どういうところからワードが出てくるんですか?

平牧 : “イタンロマン”は上野公園を歩いていたときに浮かびましたね(笑)。

宇野 : 仁ちゃんって制作はウォーキングしながらだよね。

平牧 : ひとつできればあとは集中して机の上でガリガリってできるんですけど、0を1にする瞬間はそれに集中しないようにしてるんですよね。集中しすぎるとできなくなっちゃうので、あえてガヤガヤしている公園とかに行って、歌詞が降ってくるのを待ちます。

この記事の筆者
西田 健

1990年生まれ。熊本出身の九州男児。2019年までイベント業界で働きながら、福岡親不孝通りにてJ-POP、アニソンのDJ活動を行う。その後上京し、OTOTOY編集部にてアイドル、アニメ関連を中心に担当。映画、深夜ラジオが好き。

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