2022/05/01 18:00

SPiCYSOLが自由であり続けるために──2作品に込めたナチュラルな言葉とフリーな精神

SPiCYSOL(PETE(Trumpet・Key) / KAZUMA (Dr) / KENNY(Vo) / AKUN(Gt)

"いま"の「SHONAN SOUND」を代表する4人組バンド、SPiCYSOL。音楽性、また活動形態において、自分たちの意思を大切にするという、その自由な姿勢が多くの人の心を掴んできた。しかし、4月6日にリリースされた、アコギの音色を生かしたメロウな2曲入りシングル「Bell」と、エレクトロなサウンドを中心したEP『TWO』は、これまでとは少し違った立ち位置の作品のように思う。シングル「Bell」はFace 2 fAKEが作曲、カップリング曲の作詞はMichael Kanekoが担当。EP『TWO』に収録されている、“Traffic Jam”はAmPmがリミックスを手掛けている。さらに今回はタイアップ曲を含んでいたりと、前作『From the C』(2021)以上に、今回の2作品は外的な要素を多く含んでいるからだ。それでもSPiCYSOLの音として違和感なく多くの人に届く理由は、「自分たちがいたい場所で、やりたい音楽をやる」というブレないモットーがあるからだろう。そんな彼らのリアルなアーティスト像に迫るインタビューとなった。

SPiCYSOLのシングル「Bell」はこちら!


SPiCYSOLのEP『TWO』はこちら!


INTERVIEW : SPiCYSOL

テレビドラマ『ねこ物件』の主題歌“Bell”と、挿入歌“Coffee And Tea”を収録したデジタル・シングル「Bell」を先日リリースした4ピースバンド、SPiCYSOL。彼らからはやくも、新作EP『TWO』が届けられた。メジャー・デヴューが1年前、同時期にメンバーのうち3人が茅ヶ崎に移住したこともあり、活動拠点はローカルに根差しながら、同時に昨年10月にリリースされた、メジャー・ファースト・アルバム『From the C』(2021)では客演や外部プロデューサーを迎えることで、よりモダンなポップ・サウンドに接近するなど、音楽的なクリエイティビティを自由に拡張させていった。そんな彼らのこの1年間の変化、そして現在地を知るべく、シングル「Bell」と、EP『TWO』という2作の話を軸にじっくりと話をきいた。

インタヴュー・文 : 天野史彬
写真 : 山川哲矢

やりたい場所にいて、やりたいことをやる

──この1年の活動を振り返ってバンドの活動にはどういった手応えがありますか?

KENNY(Vo) : パッと思いつくのは、4人中3人が茅ヶ崎に引っ越したことで、茅ヶ崎のローカル誌に取材してもらったりすることがあって。いい意味でローカルに浸透しているし、茅ヶ崎の人たちには温かく迎えてもらっている感じがありますね。ただ数字的な面では、もうちょっと爆発させたいという気持ちはありました。周りの人たちのおかげで自由にやらせてもらえた1年ではありつつ、コロナもあったし、満足のいっていない部分もあって。

AKUN(Gt) : 僕としても、正直この1年に手応えを感じることはできなくて。ただそのぶん、メジャー・デヴューした記念でVANを買ったり、プロデューサーを迎えて音源を作ったり、出会いもあった1年だったんですよね。その出会いは全部、いまの自分たちに生かされているとは思っていて。特に、今度出すEP『TWO』は、この1年で自分たちに起こったことがちゃんと曲になっているなと思います。特に“Far Away”なんて、メジャー・デヴューしていなかったらできていなかった曲だと思うんです。そういう曲たちができているのは、いいことだと思いますね。

SPiCYSOL 「Far Away」
SPiCYSOL 「Far Away」

──PETEさんはどうですか?

PETE(Trumpet / Key) : 僕としては、やっぱりいろんなプロデューサーの方と絡むことができたので、いままでなかったアイディアやテイストの新鮮味を感じることができたのが大きかったです。

──KAZUMAさんは唯一、茅ヶ崎に移住されていないですが、どうですか?

KAZUMA (Dr) : 3人が茅ヶ崎に行ったことによって、俺ひとりになるじゃないですか。そうなることで自分のドラムに対して向き合う時間が増えたんですよ。なので、より自分のドラムに集中できた1年間だったと思いますね。

──4人のうち3人が同じ地域に住んでいて、ひとりが別の場所にいるという関係性は、それゆえの活動のしやすさもありますか?

AKUN : この形だからやりやすいということでもないんですけど、KAZUMAが茅ヶ崎に来てほしいとは別に思わないです。

一同 : (笑)。

AKUN : やりたい場所にいて、やりたいことをやるっていうのがSPiCYSOLのモットーなので。絞めつけられた環境だったら、自分たちはバンド活動できないなって思うんです。それはこの1年を通して、より強く思いました。この1年間は、メジャー・デヴュー1年目ということもあって、いろんな人の意見も聞いたし、ちょっと自分を我慢したり、折れたりした部分もあって。でもそれは自分にとってよくないなと思いました。今年はもっと本質を濃くしていきたいなって思ってます。

──KENNYさんは、メジャーで活動することの軋轢を感じることはありましたか?

KENNY : う~ん……音楽をビジネスにして生きてきている時点で生まれるストレスっていうのは、メジャーかどうかに関わらず、あるものなので。例えば、リリースタイミングに向けて曲を作らなければいけない、とか。僕にとってそれは正直、どうでもいいことなんです。でも、作りたいときに作って出せるわけではない。それは、メジャーに行く以前からずっとあったことなんですよね。

──曲作りはどのような感じで進んでいくんですか?

KEENY : 僕は、「そろそろリリースしなきゃいけないよ」って、AKUNにケツを叩かれながらやってますね(笑)。

AKUN : でもたとえ音楽から離れている時間でも、絶対にKENNYは頭の片隅で考えていると思うんですよ。細胞に音楽が入っているから、絶対に音楽のことを考えちゃう。KENNYのそういう部分は信頼していますね。

この記事の編集者
梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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